ブナは今日で13歳。エライ、エライ。
歯はかなりすり減り、目は少し白くなり、肘やどこそこに座りダコのようなものもできているし、脂肪腫もあるけれど、大病もせず、まだ軽快に歩くことができる。有難いことだ。
トチ、お前の子どもたちは無事に13歳を迎えたよ。
「ブナ、お誕生日、おめでとう。そして、有難うね、長生きしてくれて」と言いながら、普段のエサの後、茹でたニンジンをあげた。
それから私は、ブナの姉妹犬であるピッコイとほたるの飼い主さんに「おめでとう&有難う」のメールを送った。
すると、ピッコイの飼い主さんから返信があった。
「今日は、お友達のエリーちゃんと一緒にいつも行くカフェでお祝いしました。
注文しておいたケーキを一緒に食べてゴキゲンでした。
ホントにピッコイも私も、幸せです。」
注文しておいたケーキ?! ヤヤヤ、なんという行き届いた心遣い……。ピッコイの待遇とブナのそれでは、庄屋と小作人ほど違うではないか!
ピッコイのバースデーケーキ ろうそくまで立ててもらってるぅ!
茹でたニンジンしかもらわなかったブナには、ピッコイのバースデイケーキの写真は見せられない。ブナは自分の境遇を嘆くだろうか。
と思っていると、インターホンが鳴った。ヤマト便のお兄さんが届けてくれたのは、ほたるのうちからの荷物だった。
開封すると「骨型ミルクガム「ミルク味ロールガム」「はぶらしガム」「骨の健康ビスケット」などの犬たちへのプレゼントに加え、飼い主の清美さんが漬け込んだ「イチゴ酒」「キイウイ酒」「コーヒー酒」「梅酒」のほか「グリーンオリーブ漬け」などが、次から次へと箱から出てきた。
犬たちの物より私への酒類の方が品数が多い。いったい誰の誕生日だか、分からなくなってしまう状況であった。
さすがに私が呑んべえであることを知っているラインアップだと、一人で爆笑してしまった。清美さんに電話をしてお礼を言い、ひとしきり犬話で盛り上がった。
清美さんが送ってくれた「はみがきガム」の裏書きには、「歯ぐきの弱いワンちゃんに与える場合には、水に2~3分浸し、やわらかくしてからお与えください」とある。
13歳になって歯ぐきが弱くなりつつあるブナと、すでに歯ぐきが救われない状態になっているクリに、さっそく水でやわらかくしたそれをプレゼントしようと思う。
3月5日、ブナ誕生日の朝のクリとブナ
茹でたニンジンとバースデーケーキの差にドキドキしたからといって、「このガムもお母さんからだよ」などと嘘はつくまい。「ブナ、ほたるのお母さんからだよ」と素直に告げよう。私以外にも愛してくれている人がいることを教えてあげようと思う。