熊本県の荒茶からセシウムが検出され、南相馬市の黒毛和牛からも暫定基準値を超えるセシウムが検出された。
驚くことでもないと思う。お天道さまも雨も等しく万人に、生きとし生けるものに降り注ぐ。ホットスポットはあるにせよ、放射性物質は風が吹けば漂い、ビニールハウス内にも牛舎内にも、息をすれば体内にも入ってくる。
黄砂だって私の車のフロントガラスを汚すし、夢でも見たことがないような、あんなにはるか遠方のチェルノブイリからだって放射性物質は運ばれてきたのだ。
レベルは低くても、放射能汚染はじわじわと全国に広がっているのだと思う。近産近消がダメならと、放射性物質に汚染された食材が遠方に運ばれ、保護者が選びようのない学校給食などに当てられるなど、無神経な行為も頻発する恐れがある。放射性物質で汚染された汚泥肥料などが出回れば、土壌汚染は低レベルでも広がっていくだろう。
1950年代、60年代に盛んに行われた核実験によって汚染されたうえに、さらにさらに降り積もる放射性物質……。
もう政府は「安全なレベルだ」とか「ただちに人体に影響はない」などと言っていないで、これからはいかに放射能汚染と向き合っていくかを真剣に考えた方がいい。
検査した農林水産物の値は多かろうが少なかろうが、出た値をすべて開示して、国民が自ら判断できるようにしてもらいたい。逆にそれが農林水産業者を支えることにつながるのだと思う。
ベラルーシのストレリチェボ村のように、住民が自ら検査したい農産物を検査できる機関を各小・中学校などに設け、無料で検査できる体制をとり、より放射能汚染の少ない地域への移住や保養を奨励し支援するなど、国と国民が一丸となって取り組んでいくしかないのではないか。
福島第一原発の事故は収束していないのだもの。放射性物質は大気に放出され続けており、汚染水も海に垂れ流され、おそらく今もどこかでしみ出しているのではないかと思う。政府にはきちんと現実に向き合っていただきたい。
そして、私たち国民も今後は放射能汚染とどう向き合って暮らしていくか、何をどう食べて生きていくか、真剣に考えていかなくてはいけないようだ。目をそむけるのは容易いことだけど、もうそんな状況じゃないみたいね。