十勝の活性化を考える会

     
 勉強会や講演会を開催し十勝の歴史及び現状などを学ぶことを通じて十勝の課題とその解決策を議論しましょう

世界で最初に飢えるのは日本

2023-03-01 05:00:00 | 投稿

先日、下図のとおり十勝プラザでのリモート講演を聞いてきた。講師は、“世界で最初に飢えるのは日本”の本を書いた東京大学院教授 鈴木宣弘氏であった。同氏は、日本の4割にも満たない食料自給率に関して、「地域循環型農業」による日本の再興を主張していた。

この講演で驚いたことがたくさんある。そのひとつに諸外国の農業への補助金がある。日本は、政府により多額の補助金が農家に支払われているので多いと思っていたが、実際にはそうでなかったのである。

講師の話によれば、日本の農家に対する農業所得に対する補助金の割合は、アメリカ・ドイツ・フランス・イギリス等の約6割に比べて約3割と少ない。そして、円安などによる飼料・肥料の値上がりもあって競争力がないのである。

十勝でも肥料や飼料の値上がりで離農が増えており、その影響の大きさが分かる。十勝、北海道、そして日本の農畜産業は本当に大丈夫なのであろうか。

ただ十勝は、日本の食用基地に変わりはないので、農業を含めた関連産業の育成強化を図っていくほかはないだろう。食料安全保障“とは、「予想できない国内外の様々な要因によって食料の供給が影響を受ける場合のために、その機動的発動のあり方を準備しておくことである。

諸外国では、食糧が途絶えると戦争に勝つことが出来なくなる恐れがあるので、食料自給率を大切に保持している。だから、講師の人は戦争が起きれば、世界で最初に飢えるのは日本だといっているのである。防衛費も大切であるが、農業と教育費におカネを回してほしい。

また驚いたことが、もうひとつある。“種子法”の廃止である。種子法廃止の問題点としては、「競争力の強い外国企業の参入が増える」ということが危惧されている。世界では、「種子の支配」が進められていると言われている。競争力の強いグローバル企業が、種子等の遺伝資源を囲い込んでいるのである。

もちろん種子法を廃止したからといって「種子の支配」が必ず起こるというわけではないが、民間企業で「種子の保存」ではなく、「利益」ばかりを追い求めたらどうなるのであろうか。種子法廃止は2018年4月1日に施行され、すでにその影響を感じとっている農業従事者もいるのではないだろうか。

また、日本はガンで死ぬ人が増えているが、「遺伝子組み換え技術」などの農作物に与える影響が大きいというのである。実際、有機農業を目指しているA会社の会長によれば、環境ホルモンの原因などにより、出生率に影響する精子の数が減っている」というのである。

だから、これからの農業は、地域社会の持続的発展を第一とする有機農業を追い求めていこう。その意味で十勝は、日本で一番の「農業」という宝を持っているので、その宝をどのように活かしていけば良いか、行政機関を巻き込んでみんなで考えていこう。

「十勝の活性化を考える会」会員