きょふから七月である。七月は好きな月である。まだ暑いといふだけで、夏といふ実感はないが、正真正銘、もう夏である。今度の土日は朝顔市である。そして、下旬からは各地で花火大会が開かれる。
よくよく考えてみると、毎年梅雨にごまかされて夏に突入したことを実感できないことが多い。荒川で花火が鳴っている音をきひて、ようやく、そふいえばもう夏なのだなあと実感する有様である。これは日本人として、ずいぶんもったいないことである。
とはいえ、春は桜が咲くし、秋は秋風が吹くし、冬は木枯らしが吹けば、それが季節の到来を告げるのであるが、夏に限ってはその始まりが実感しづらい。六月ごろに湿気が高まって汗がふくともうそろそろ夏だとおもふのであるが、春と夏との境目がはっきりしないことがはがゆい。
だから、僕は毎年、時間の許す限り、浅草寺にほおずきを見に行くし、入谷に朝顔を見に行く。これをもって夏が来たことを確認したいから。夏が来たと肝に銘じたひから。この二つのイベントに、同じ目的を抱いて出かける東京人は少なくなひと考えるのであるが、いかがであろふか。