部屋に警策を飾ってある。警策というのは、禅寺で坐禅中に肩をしばく棒のことである。この警策は、大阪の高槻のあるお寺の和尚さんが、東京に出てくるときに餞別で下さったものだ。
いい得ざるも三十棒。いい得るも三十棒。と書いてある。禅の修行で、何度答えを出しても徹らない。参禅というのだが、体当たりで師匠にぶつかってゆく。
警策の文句は、何度でもチャレンジしろ、めげるな、根性を出せ、失うものは何もない。という意味である。いい得ざるも三十棒。いい得るも三十棒。うまくいっても、いかなくても三十回しばかれる。
実は、いま、あらぬ誤解を招いて仕事で苦労している。誤解が解けるまで忍ぶしかない。チャレンジするしかない。この警策をもらって、今年で十年になる。何とか乗り越えねば。