夜汽車

夜更けの妄想が車窓を過ぎる

1981年 Vicente Sanchiz (Valencia)

2019年06月14日 16時00分59秒 | 日記
表甲、側板は solid。しかし裏板は合板だと思う。スペインにはこういう仕様のギターがあるようだ。材はスプルースとサペリ、ネックはマホガニーだと思う。

衝動買いした。梱包を開けて手に持って、『何かおかしい!』と思ったがわからなかった。調弦してそれが分かった、『ブリッジが浮いてるじゃないか!こんなものを売りやがって!気が着かなかったとしたらギター売買人失格!』

仕方がないから湯煎用に小さい鍋や温度計などを用意、抽斗から膠の残りを見つけ出して平山氏ともう一人の方・・・欧州古楽器研究家として外国にまで超有名な方・・・のアドバイスを貰いながら再接着。うまく行った!!

湯煎の湯の温度は63度ぐらいがいい。

前オーナーは多分欧州人、英国ではないかな?小指を表甲に置いて演奏したらしくそこが汚くなっている。それ以外はクラックもなく枯れたいい音がする。しかし・・・弾く機会が少ない。Manha de CarnavalとかNesta Rua、Milonga などはこれでやるが・・・。

ブリッジが典型的なスペイン、ロゼッタは真珠母貝。よくよく見ると流石スペイン、日本人の見様見真似とは一味違う。


モダン・リュートによる素晴らしい演奏 ・・・ジャン・アッカーマン氏

2019年06月14日 15時05分05秒 | 日記
ギターと同じ固定フレット、サドルのあるブリッジ、ナイロン弦、銀巻弦仕様のモダン・リュート。

ガットを巻きつけたフレットで、『フレットがズレないかな?』と恐る恐る、ナデナデ弱弱しく弾く必要がない。『ガットの弦が毛羽だって来た、切れないかな、切れたら高いもんにつくぞ』、と恐る恐る弾く必要もない。

現代のギター奏法でシャニムニ弾きまくる、痛快!そしてギターにはない音、迫力。これならリュートも未来に生き残る。

Jan Akkerman playing the Lute - NRK TV (Norway) 1975 - YouTube 
Jan Akkerman - Fantasie for Lute (Nederpopzien TV Show - 1974) - YouTube 

私が欲しいリュートはこういうリュートだ。歴史に忠実な楽器で、歴史的な演奏なんて興味ない、そういうのをアナクロニズムって言うんじゃないか?
今は現代なんだ、21世紀なんだぞ、音楽は現在進行形じゃなくっちゃ!黴の生えた眠くなるような、男と女が時々挨拶しながら手を繋いで歩くような創造性も生気もない踊りだの古楽だのってまっぴらごめん。

ついでにペグを機械式にするべきだな。それと、調弦しても楽器が歪まないようにもっと頑丈にしなければとても【安心して】演奏出来ない。

下記はフレットのズレに業を煮やしてやった処理、繋いだ、繋いで一番上を一点、タイトボンドでネックに接着した。


泣き笑い

2019年06月14日 10時34分24秒 | 日記
これは想定に過ぎないが・・・。

【隅田川】と言う能がある。子供をかどわかされた母親が、その跡を追って旅する内に悲しみの余り狂ってしまう。そして墨田川の渡しまで来た。人々は狂女を見ようとやって来る。

彼女はそこで死んだ愛児【熊王丸】の亡霊に会う、と言う物語である。既に幽冥境を異にする母と子の悲しみに人々はその深い慟哭を読み取って感慨に打たれる。

その後、今度は狂言が始まる。【鬼瓦】・・・公事(訴訟)の事があって都に上ったさる国の大名、首尾よく事が運んで明日はいよいよ国元へ向けて出立と言う日、せっかくだからと都見物に出る。ある名刹の山門を潜った、大名はふと目を上げて凍り付いた。見れば大粒の涙があふれている。びっくり仰天した太郎冠者が聴く、【殿、いかがなされまいたか?】。『あれを見よ、あの鬼瓦を見よ、明日からはまたあの鬼瓦(妻女)の下に戻らねばならぬ』とさめざめと泣いた。

こういう能・狂言を生み出した日本人とは甚だ以て侮りがたい民族であると思う。