つらねのため息

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谷川九段はお飾りの会長になれ

2013-01-19 18:33:00 | 将棋
昨年末、日本将棋連盟会長を務めていた米長邦雄永世棋聖が亡くなり、後任として谷川浩司九段が選ばれた。一将棋ファンとして、谷川新体制の下、将棋界がますます発展することを願っている。

訃報 米長邦雄日本将棋連盟会長

谷川浩司専務理事、新会長に

さて、米長会長の下、日本将棋連盟は様々な新しい取り組みに挑戦し、また様々な課題に取り組んできた。それらが米長会長の強いリーダーシップのもと進められてきたことは衆目の一致するところである。しかしそれは米長邦雄という人物のある種特異なキャラクターゆえに可能であったところは多いように思う。その持てるバイタリティーのかなりの部分を会長職に費やしていたように思えてならないのだ。個々の決断の是非はともかく、一般のファンである自分から見て「そんなことまでトップが決めなくても…」と感じることも少なくなかった。そうでなくても米長会長は引退棋士であったのに対し、谷川九段は現役A級棋士である。谷川新体制で米長会長時代と同様のことは可能であろうか。

ひと:谷川浩司さん 将棋連盟会長に就任

上記、就任直後の毎日新聞の「ひと」欄には谷川九段の「東京での住まいを考えようとした矢先でした」という言葉がある。少なくとも谷川九段自身はA級棋士という立場と両立させながら米長時代と同様の体制をとろうとしているように見える。

これまでも現役棋士が理事として日本将棋連盟の運営に関わることの是非や対局に与える影響については理事の改選期の度にファンの間でもたびたび議論になっていたように思うし、個人的には少なくとも後者に関する限りゼロではないように見えてならない。

また、いくつかの非営利法人の内情を見てきたことからの個人的な感想から言えば、トップに立つ人間が日常の運営にこまごまと指図するなどというのは、法人運営の観点から見てあまり良いことではないように思う。ましてや棋士は将棋を指すプロであっても法人運営の専門家ではないのだ。上記、毎日新聞「ひと」欄では谷川九段の言葉として「運営に長く携わっていきたい」と、「長期政権」への意欲が語られている。そうであればなおのこと、日常の運営は事務方に任せるような運営が求められてしかるべきだ。細かいことまで一々トップが口を出すような運営が長く続くならばそれは「独裁政権」にしかならない。

というわけで私はあえて主張したい、「谷川九段はお飾りの会長になれ」と。

現役棋士が理事なることの是非はひとまず置くとしても、谷川九段ほどの将棋界を代表する実績と知名度を誇る人物がトップにいることの意義を私は否定しない。しかし、そうであればなおのこと、日常においては「棋士」としての研鑽に本分を置いてもらいたい。むしろ渉外上重要なときや理事会での重要決定以外は運営に口を挟まないぐらいのことでよいのではないだろうか。

そして同時に、日常運営を安定的に行える事務方体制を整えてもらいたい(そういう意味では専務理事の人選が本当は重要だと思う)。「米長会長」のような特異な人材が常に輩出されるわけではない。日本将棋連盟の安定した運営が円滑に進む体制を整えることを谷川新体制には期待したい。

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