千葉県立市川昴吹奏楽部顧問だったの個人ブログ

元千葉県立高等学校吹奏楽顧問

タイトル

2007-05-16 05:27:28 | コンクール

コンクールの課題曲は、関係者の間で一番とか三番とか言われています。この悪しき習慣はもう止めにします。
 今年の課題曲で一番気に入っているのは、私が好きな宮沢賢治ばりの命名をした栗栖健一氏作曲の『コンサートマーチ「光と風の通り道」』です。 栗栖氏は、「山梨にある金峰山(きんぷさん)に登山したときの思い出が入ってるんですよ。登っていって、2000mくらいを超えたくらいから景色が変わって、そこの光と風がすごく心地よくって。そこから、ですね。この曲名「光と風の通り道」というタイトルにしよう、と」
 金峰山は、奥秩父主脈の一つで、花崗岩の五丈岩がそのシンボル。五丈岩に登ると、富士山、北・南アルプス、八ヶ岳の山々が見わたせる360度の大パノラマが楽しめます。
 また、富士見平から金峰山には数カ所のシャクナゲの群生地があり、シャクナゲ(6月)が道を覆うのでシャクナゲのトンネルができあがります。
 栗栖氏が見た景色はどうだったのでしょう。
 宮沢賢治が見た山からの景色を見た作品に〔水よりも濃いなだれの風や〕というのがあります。
 山腹の斜面を上から雪崩れるように風が駆け下りてきます。夜明け方の薄明の中で小鳥達が鳴き騒ぎ、あたりは、山の妖精たちの棲家のように神秘的な雰囲気を出している。そうした風景の中に、「妖精たちの棲家のやう」から思い描いて、〈童話風の構想〉あたりの風景もお菓子に喩えられるのである。

   〔水よりも濃いなだれの風や〕

   水よりも濃いなだれの風や

   縦横な鳥のすだきのなかで

   ここらはまるで妖精たちの棲家のやう

   つめたい霧のジェリイもあれば

   桃いろに飛ぶ雲もある

   またはひまつの緑茶をつけたカステラや

   茶や橄欖の蛇紋岩(サーペンティン)や

   青いつりがねにんじんの

   花にきらめく一億の露

   みやまうゐきゃうの香料から

   碧い眼をした蜂のふるふ

   蜜やさまざまのエッセンス

   オランダ風の金米糖でも

   wavellite の牛酪でも

   またこめつがは青いザラメでできてゐて

   さきにはみんな干した葡萄がついてゐる

   青く湛える北上河谷のこどもたち

   この青ぞらの淵に立つ

   巨きな菓子の塔こそは

   白堊紀からの贈物

   あらゆる塵やつかれを払ふ

   その重心の源である

  宮沢賢治は童話が有名だけど、詩は具体的でおもしろい。
    
 部活が試験一週間前で休みなのでボーとしながらこんな事を考えていました。