本日は、たいへんお世話になっているk先生の旦那様であるリエマニュエル・ヌヴ-氏のクラリネット リサイタルに行ってきました。
場所は、東京文化会館の小ホール。
実は個人的には、数々の素晴らしい演奏会に出会った思い出深いホールです。
しおりをいただいて、場所を確認すると、東京文化会館の小ホール。
これは、期待大ですね。
要するに、今までこのホールで聴いた演奏会は外れがなかったのです。浮世の事を忘れ、想像の世界で遊ぶ事が、出来る演奏会でした。
まさしく今日の
エマニュエル・ヌヴー氏の クラリネット リサイタルは、
大当たりの演奏会でした。
簡単な感想を!
カユザック:カンティレーヌ
この曲は、美しいメロディを様々な音色に変え、まるで二人で吹いているように感じさせるこの演奏は、この演奏会が大当たりだと思わせる予感が起きました。
プーランク:クラリネット・ソナタ
やはり、音楽は、ライブだと思わせる名人芸の演奏。ソロコンクールで、部員がチャレンジしてくるので、クラリネットでは、比較的知っている作品。
フレーズの一つ一つが、ヌブー氏による演奏で、その方向性がよくわかり、曲の持つ構成が、全楽章を通してよくわかり、優れて立体感ある演奏。
cdなどの録音媒体では、表現出来ない。
やはり演奏は、ライブが一番。
デニゾフ:無伴奏ソナタ
プログラムを読むと、微分音が出てきたり、何かの暗号を想像させる変イ音、また、1972年に作曲した事が書かれており、チューバのこの頃の現代音楽と比較して、聞いていました。
現代音楽と呼ばれている演奏法は、こうだと決められた方法はなく、もっぱら演奏者が作品から読み取った情報から自由に演奏して演奏者の個性がわかります。(演奏者の人格の個性ではありません。人格の個性は、アンコールでわかります。)
この作品は、チューバの作品では、有名なクラフト氏のエンカウンターというものに似ている部分がありました。音階で最高音まで速いテンポで連続して上昇するところでありますが、チューバのベルティオーソであるロージャー・ボボ氏は、そのレコードの演奏で、世界のチューバの先頭を走っているという意気込みを感じる他を圧する演奏をしていました。まるで富士山を怒濤の勢いで登っていく演奏といいましょうか、あの当時びっくりした記憶がありました。
これに対してヌブー氏は、この富士登山を軽量で、さくさくと登っていく、魔法使いのような演奏を感じてしまいました。
思わず、ヌブー氏を魔法使いの姿と重ね合わせてしましました。
東京交響楽団には、渡辺 功氏というハイパワーチューバプレイヤーがいます。なんか、チューバリサイタルやってくれないかなあと思いました。
バッシ:リゴレットの旋律による演奏会用幻想曲
この曲は、クラリネットの多彩な技巧を華麗に情感豊かに聴かせる曲ですね。
「リゴレット」は、昔合唱部で上演したことがあり、なかなか素敵な曲だったのを覚えていました。
「いつも日曜日は教会で」とジルだという娘が父親に歌っている時、この父親はリゴレットに復讐を決心します。と聴いているうちに思い出してきました。
「美しい愛らしい娘よ」 この美しい四重唱は、ますますリゴレットが憎らしくなるのに美しい。のオペラ一番の聴かせどころではなかっただろうか?
「慕わしい御名」 箱入り娘のジルダは、恋に免疫がなく、男を疑うことを知らない。そして伯爵にさらわれてしまうと思った。
いろいろなオペラのシーンも重なり、楽しく聴くことができました。
ドビュッシー:第一狂詩曲
ピアノとの掛け合いが絶妙で、もう美技です。間の取り方、各メロディの提示の仕方、たとえばクラリネットの音色、音色だけでなく、音のスピードなど、それに答えてピアノの音色や音のスピードなどの掛け合い、この場に言わせた者に味わう事ができる贅沢な音によるひとときですね。
バルトーク:コントラスツ
クラリネットとブァイオリンの音色は良くあうんですね。
一楽章の兵隊の踊りは、違和感もなく聴いてしまいました。
二楽章のピヘネーは、ヌヴー氏の音色と演奏が曲の持つ内省的な雰囲気を良く出していました。私には、長い長いクレシュエンドでドラマチックなものだとひとり悦に入ってました。
三楽章
変拍子が出てきて、熱い舞曲ですね。ジャズっぽい雰囲気も出てきているのは、ベニー・グッドマンが初演者だったからだろうか。
エマニュエル・ヌヴ-氏に感謝です。大当たりの演奏会でした。アンコールもなんとなくおもしろかったです。
会場を出ると、東京交響楽団のチューバの渡辺氏と会う。今日の演奏を聴いて、正式(?)にチューバリサイタルやってくれるようお願いする。そして、ホルンの同級生とも。皆さん、この演奏会に聞きにいらしている。いい交響楽団ですね。東京交響楽団。
とっても良い一日でした。