千葉県立市川昴吹奏楽部顧問だったの個人ブログ

元千葉県立高等学校吹奏楽顧問

打楽器奏者‼️

2015-01-07 19:45:56 | 雑記
NHK交響楽団(ほとんどの演奏をテレビで見ています)に女性の打楽器奏者が団員がいることに気がつきました。いろいろ調べると、ちょうど
良い資料を発見しました。

 武蔵野音楽大学の会報です。ここに書かれている事は、日頃吹奏楽を指導していて打楽器に関するヒントが書かれて、参考になりました。明日からの指導の楽しみ(?)が増えました。また、個人的に打楽器のオーケストラのオーディションについて書かれており、興味深く読ませていただきました。しかし、使用期間最後がボレロのスネアだとは、さすがプロの厳しさと感じ入りました。また、オーでションでアタッチメントがあったと書かれています。なぜそれを取り上げているのか、いつか機会があれば、打楽器の関係者の方に聞いてみたいと思っています。

 とても勉強になる話です。ぜひ、最後まで読んで下さい。

第三希望から打楽器の道へ

黒田英実(NHK交響楽団打楽器奏者)・

さまざまな楽器を受け持ち、オーケストラでも独特な存在感を発揮している打楽器奏者。プレーヤーの大半を男性が占めるなか、日本を代表するオーケストラのNHK交響楽団に、創設以来初の女性打楽器奏者として入団したのが武蔵野出身の黒田英実さんです。打楽器との出会い、その魅力と難しさ、武蔵野の思い出などを語っていただきました。


一打楽器を始めたきっかけは?

黒田:小さな頃にピアノを習っていましたが、手が小さくて難しい曲が弾けず、練習がイヤになってしまいました。ただ音楽は好きでしたから、中学   に入ったら吹奏楽をやろうと。最初に希望を聞かれ、第一希望はサックス、第二希望はホルン、そして第三希望にドラムと書いて提出しました   。第三希望までに打楽器と書いたのは、私ともう一人だけ。必然
   的に打楽器に割り当てられたというわけです(笑)。プロを目指すようになったのはかなり遅く、先生についたのは高校3年の6月からです。

一一黒田さんが考える打楽器の特徴、魅力は?

黒田:ドラムセットや鍵盤楽器、ティンパニ、スネアなど多彩な楽器ができるのが単純に楽しいですね。それに色々な音色を自分で考えられるし、音   のキャパシティがすごく広いと思うんです。自分に任せられる選択の幅が広いぶん、自由な発想、や提案ができる、それが一番の魅力ではない   でしょうか。独奏曲では、どの打楽器を使うか自体を演奏者に委ねる曲も多くあります。オーケストラの中では、全体の流れが滞ってしまった   時に音で方向を示すことができるのが、打楽器ならではの持ち味だと思います。

一一武蔵野の大学院修了からNHK交響楽団入団に至る経緯をお聞かせください。

黒田:大学4年から外部の色々なオーケストラにエキストラとして出演させていただき、大学院の2年からはN響にもお世話になっていました。そうした   活動をしていた昨年4月、オーデイションが聞かれることになりました。海外からも含めて多数の応募があったそうです。l次オーデイションは   、スネアから始まってトライアングル、グロッケンシュピール、大太鼓、アタッチメント(大太鼓とシンパルを同時に演奏)、最後にシンパルと
   全部で10分近くじっくり演奏するというもの。6月の2次オーデイションは、全楽団員の前でソロ1曲とオーケストラスタデイ*を4曲ほど演奏しま   した。結果、一定数の票をいただいて合格し、そこから1年間の試用期間を経て今年の7月に正式に入団となりました。試用期間の最後にダレル   ・アンさん指揮の「ボレロ」で第一スネアを演奏したのですが、その舞台が今までの人生で一香緊張しましたね(笑)。

*オーケストラ曲の難しいパートを集めたもの。入団試験の際に課題として出されることが多い。

一一NHK交響楽団での演奏会に向けてのおおよそのスケジュールは?

黒田:プログラムは大体2年先まで決まっています。乗り番になる場合、担当楽器が決まるのは直前ということも多いです。リハーサル期間は長くて3   日。A·B·Cの各定期演奏会が月1回ずつあるのですが、A定期とC定期は練習3日の本番2日、B定期は練習2日の本番2日。オーチヤードホールの定期   演奏会などもありますが、プログラムでツアーをするという感じですね。武蔵野のオーケストラと一番違う点は、やはりプロ   は練習時間   が短いということ。今になって思えば、l曲を半年もかけてじっくり練習した学生時代の経験は、プロとしての基本をつくるうえで非常に役に立   っています。



一一オーケストラでの演奏の際に心掛けていることは?

黒田:一貫しているのは、「音楽の流れを妨げない」「音楽の邪魔をしない」ということ。常に音色のことを考えています。ただ、まだまだ未熟で目   の前の音に集中するのが精一杯。諾先輩方のように、もっと先のことを意識して、どうしたら最後まで音楽的に良い演奏ができるかに配慮しつ   つ音を出せるようになるのが目標ですね。

一一プロの打楽器奏者に一番必要なことは?

黒田:「空気を読む」ことに尽きると思います。いくら技術があっても、空気が読めないとオーケストラでは通用しません。スキルの部分では学生時    代でもある程度身に付けることは可能ですが、そこから先が難しいところです。いかに引き出しを増やせるかがポイン
ト。トライアングルひとつとっても、1種類の音色だけではダメでどういう 音色にしたいのかという想像力が求められます。

一一武蔵野時代を振り返って最も思い出深いことは?
黒田:師事した安藤芳広先生は本当に素晴らしい先生で、レッスンはもちろん、先生ご自身の演奏からも多くのことを学びました。ミュージカル、ブ ラスパンド、オーケストラ、ソロとやりたいことが多すぎて、どの道に進むべきか悩んでいた時期、先生の言葉に救われました。「それは自分 が決めることではなく、周りがさったんです。つまり、何でも一生懸命やっていれば、コレはあなたに向いている、向いていないと周りが決め てくれる、と。結果、まさに周りが決めてくれて今があるというわけです(笑)。他の先生も含め、良い師に巡り会えたことが武蔵野時代の一番 の財産です。

一一最後に武蔵野の後輩たちへのメッセージを。

黒田:図書館等の施設や楽器など、蒲品で使;えるものは何から何まで使うべきです。例えば、私は最高で40種類もの打楽器を使う曲を演奏したことが あるのですが、これは環境が整つてないとなかなかできません。今しかないと思って積極的に利用したら良いでしょう。また、多くの音楽に触れ ることはもちろん、絵画や映画を見たり、違うジャンルの人とお話をすることも大切。一見つながらないように見えても、どこかで音楽とつなが っていますから、そのようにして自分の器を広げることが大切だと思います。






黒田英実HideliliKuroda

大阪府立岸和田高等学校卒業。2008年、武蔵野音楽大学音楽学部器楽学科打楽器専修卒
業。2010年、同大学院修士課程修了。第25回日本管打楽器コンクール第3位、パーカッ
ション部門最高位。ソリストとして日本フィルハーモニー交響楽団と共演。これまでに打
楽器を安藤芳広、安藤淳子、小管康夫の各氏に師事。現在、NHK交響楽団打楽器奏者。