うろこ玉絵日記

日々のなにげない一こまを絵日記にしてみました。大阪に近い奈良県在住です。
マウスでかいてまーす。

やっぱりいらないの

2012-04-18 | Weblog
げんぱつは、やっぱりいらないの。
広島の被ばく者の人たちが「核と人類は共存できない」と言ったこと
ほんとに一番この国の人たちが大事にしなくちゃいけないの。



先月の3.11は、大阪でのさよなら原発のデモに参加してきました。
中之島は、初めて行ったけど古い建造物と川があって
横浜を思い出しました。また今度ゆっくりいってみよ。

前の日に子どもたちとプラカードつくって。
ボール紙を絵の具で真っ黒に塗って
息子はがい骨マークに「お魚たべたい」
娘はキノコマークに「きのこたべたい」

友達が「なんか、食いしん坊みたい」と思わず笑ったけど
息子は行進中キレイな若い女の人に写真撮られたりして、ちょっとごきげん。


デモの前には公会堂で、飯館村で酪農を営まれて、今は伊達市に避難中の酪農家、長谷川健一さんのお話を聴きました。
「ふるさとを離れて、はじめて自分がこんなにふるさとを愛していたことに気づいた」
という言葉に泣けました。

自分はもしかしたら飯館に戻るかもしれない。
でも、子どもや孫はだめだ。
除染したって、放射能は浮遊する。

自分たちの代でこの村を終わりにするしかない。
それから、子どもたちへの差別をなくさないといけない。
収束宣言、再稼動なんてどうかしてる。


ひとつひとつの言葉が、強く心に響きました。





31日の土曜日は奈良の、天の香具山のふもとにある昆虫館に
詩人のアーサー・ビナードさんが講演にきたので、子どもたちといってきました。

余談ですがわたし、香具山って昔の歌に詠まれてるだけで、もう今は無いと思ってた!
香具山だけじゃなくって畝傍山、耳成山と、トリオそろって健在です。


アーサーさんの書いた詩が、
画家、ベン・シャーンの描いた第五福竜丸の被ばくを題材にした絵につけられて出版されたのは6年前ですが
アメリカで学生時代を送っていたとき日本語に出会い、
以来日本にきて、日本語で詩やエッセイを書いています。



最近は「さいたさいた、セシウムがさいた」のタイトルの埼玉での講演が中止に追い込まれました。

講演前に話しかけ、残念でしたと言ったところ、
アーサーさんはぜんぜん気にしてないよ!とニコニコされていました。




アーサーさんが昆虫好きということで今回の講演になったそうですが
虫にかんする言葉から、生き方や言葉の深さを教わっていると
並々ならぬ日本語への愛、昆虫への愛を感じました。

たとえばカマキリ。
英語ではpraying mantis
「祈る予言者」と直訳しますが、あのカマキリの鎌が、祈っている姿に見られたからであり、
木に産み付ける卵の位置でその冬の積雪量をはかることができるので予言者と呼ばれたのだということ。


これが、日本語では「蟷螂」。
アーサーさんはこの漢字に深みと鋭さを感じ
絵であり、音であり、意味がある!圧倒的な多様性、生命力に飛び込みたい!と
中国語よりも雑多な日本語に惹かれ、
今ここにいるのだそう。


言葉を、トンボの複眼のようにさまざまな角度からみることの大切さを僕は昆虫に教わりました。
言葉のめがねをかけかえて見てみてください。


的確で、まるで風景や情景が浮かぶような
それでいてなんとなくふわっとした柔らかい話し方で語りました。



言葉のめがねから、話題は北朝鮮のミサイル問題へ。
英字新聞読みましたか?ドイツは?フランスは?「ロケット」と書いています。
どうして日本はミサイルなんですか?
「いまから撃つよ~」「は~い、いいよ~」
こんな風にアメリカと日本が練習してやっと迎撃できたんです。
奇跡ですよ当たったら。
おかしいでしょ?

会場は笑い(苦笑い?)でいっぱいでした。



あとは日本政府の、この原発事故への対応批判が多かったです。

アーサーさんは、アリをとても尊敬しています。
六本足を最大限に生かした行動力と生活がすばらしいのだそうです。
そして言いました。
アリや昆虫の身になって考えるように、魚の身になる、アワビの身になる。
そう考えることの大切さ。
毎時、何トンもの大量の放射能を含んだ水で海洋を汚染し続けていることを思うこと。

ぼくらは、毎日新聞に書かれるホモ・サピエンス、
アメリカや永田町の下品な人間たちのふるまいばかり見る必要はない。
ぼくたちには、バッタがついている。アリがついている。
みんな仲間なんだ。

日本の原発を推進したい人たちは
自分が生き物だと思っていないんじゃないだろうか?
まるで自分が中性子とかジルコニウムかなにかだと思っているのか?




そんな言葉たちが、みんな体と心に、吸収されていくようでした。
そうだね、わたしは生き物だ。
だから、やっぱり原発も、核兵器も、いらないんだ。
生き物だったら、ほんとにいらないよね。

帰りのサイン会で
「よくがんばったね、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び・・・」
と子どもたちをねぎらってくれました。

だって3時間もの講演会でしたから。予定はかなりオーバーしました。

コミュニティーバスには乗り遅れ、香具山を見ながら、大福駅(おいしそう)まで40分歩いて帰りました・・・・・。