ご機嫌いかが?

今日一日どんなあなたでいましたか

翁との出会い

2009-12-04 11:39:36 | Weblog
         青島海岸で出会った、お散歩中のワンちゃん ジッと海を見つめていました  

夕方~
我が家の婆がお世話になっている○○苑に、相棒と出掛けた
ショルダーバッグには、婆へのお土産(着替え)を入れてある

食堂兼広間に車いす族が集い、時間が過ぎるのを待っている
どの顔も、笑いを忘れているのか、表情がやや暗い気がした



「長いこと来なかったからね」~と、相棒がひとこと言うと
「うん、長いこと来てくれんかった」ぽつりと婆が答えた

ちょっと膨れっ面の婆は、私達が来るのを待っていた様子
4~5日振りでも、待ちぼうけには変わりない(ごめんね)

車椅子を押して、長い廊下を通り部屋へと向かって歩いた
その間も、ブツブツと婆の不満と文句は続いていた



「着替えを持って来たのよ 少し派手なの着らんとねぇ~」
鬼嫁が言うと、「わざわざ買って来てくれたのね」婆は喜んだ

黒地に花柄や何やらかんやら、賑やかな模様が描いてある
婆の好みは難しい 合格した鬼嫁…心の中でガッツポーズ!



「そろそろ、夕飯だから食堂に戻ろう」また長い廊下を歩いた
廊下の壁には、入所者のどれもよく似た似顔絵が並んでいる

送迎の運転手さんが描いてくれたとかで、婆も並ぶのだろう  
鉛筆のデッサン  温かみのある絵に、心が和みます



婆の定位置の、向かいの席には93歳のおじいさんがいます
見た目には全然お若いその方の顔に、縦の皺はありません

にこにこと微笑み、よくお話をされます どう見ても70歳代~
夢は【元気になって、もう一度家に戻って生活したい】らしい

「それは無理な願いかも知れないけれど、夢は捨てたくない」
おじいさんはそう言うと、また静かに微笑んで見せた



「ここで生活するからには、クヨクヨしたらいかんよ 努力すれ
ば、かなわない身体もきっと元気になる  何もしなければ 
尚一層~衰えが増す 望みを捨てず、一緒に頑張りましょう」

そして、自分なりの日々のリハビリの仕方を、教えてくれた
だからお若いんだ  目標があるから、負けてられんのよね

「あなたはまだお若い 私よりも一回りも若い 元気出して」
婆ときたら、罰が悪そうに下を向いていた  あらら~だわ



重みのある有難い言葉だが、婆は相変わらず下を向いていた
もっと笑え~と言うその人に、ちょっと不満だったのか?

それでも、教えて貰った体操グーパーをコッソリ実行中
先輩の意見は有難いものだ ねぇ~婆ちゃん婆が笑った 

奥様を今年の2月に亡くされて、当時は落ち込んでいたけれど、ここに来て一念発起!
≪自分の身体は自分で守るぞ≫ 今は、運動と歌を歌う事、そしてみんなとお喋りをすること
それが生き甲斐よ~と仰っていた  (これぞ日本男児! おじいちゃんカッコイイ)

「何もしないで時間を過ごすのは勿体無い ここで一緒に頑張りましょう」有難いお言葉です
能楽の翁のお面そっくりに、優しい顔で微笑まれました  どうもありがとうございます


        宮崎・青島亜熱帯植物園内 ブーゲンビリアのオブジェです

                           =お断わり:画像と本文は関係ありません=