和名は「杜鵑草」、または「杜鵑」と書く。
若葉や花にある斑点模様が鳥のホトトギスの胸にある模様と似ているということでこの名がついた。
でも葉の斑点は花が咲く頃には消えてしまう。
鳥のホトトギスは「不如帰」と書く。
花に鳥の名前をかぶせるのは良くある。
例えば カラスノエンドウ、スズメノテッポウ、ツバメオモト、キジムシロ、サギソウなど。
でもそのままそっくり鳥と同じものは「ホトトギス」くらいだと思う。
種類はたくさんあり、
ホトトギス------代表的で紫の斑点が入る種類。
シロホトトギス------白い花で、斑点はなく「白楽天」とも呼ばれている。
ヤマホトトギス------白地で濃いめの赤紫の斑点がある。
そのほかにもヤマジノホトトギス、タイワンホトトギスなど19種類ほどあり、区別が難しい。
「ホトトギスの兄弟」という鹿児島県の民話
ホトトギスには「弟恋しの花」という別名もある。
ある村に貧しいが仲良しの兄弟がいて、兄の方が病にかかり失明してしまった。
弟は看病しながら兄には美味しいものを食べさせ、自分は木の根や皮を食べていた。
目の見えない兄は弟が美味しいものを食べているのだと疑い、殺してしまった。
その時飛び散った血が兄の目に入り、目が見えるようになった。
その時に兄の目には痩せこけて骨と皮だけになった弟の姿が見えた。
兄は自分が間違っていたことに気づき、「弟恋し 弟恋し」と叫んでいるうちに鳥になってしまった。
鳥になっても叫び続けてとうとう血を吐いてしまい、その血がホトトギスの花になった。
この民話、鳥のホトトギスのことで、どう考えても最後の一行は、花のホトトギスに無理矢理結びつけているようにしか思えない。
そのあたりのことはどうでもいいが、鹿児島ではホトトギスの鳴き声は「掘って煮て食わそ 弟恋し(おととこいし)」と聞こえるらしい。