◆三金会:新井 治仁氏(1968第一政治経済学部卒)
漢詩は面白い!「漢詩で学ぶ、漢詩で遊ぶ」
2024年3月23日(土)午後5時30分から、進交会館において三金会(今回は土曜日開催)が開催されました。出席者は30名の盛会となりました。講師は神奈川県漢詩連盟副会長 新井治仁氏(68第一政経卒)により、漢詩は面白い!「漢詩で学ぶ、漢詩で遊ぶ」をテーマに、「漢詩は声に出して詠うもの♫」、「世界文学を彩る詩人群像」、「漢詩の味わい方」「漢詩を作る」と、まさに「漢詩入門講座」の体験を、参加者一同楽しむことができました。
◆漢詩は面白い
第1章の「漢詩は声に出して詠うもの♫」では、晩唐の詩人・杜牧(803-853)の「江南春/杜牧」と蘇軾(1036-1102)「春夜/蘇軾」の詞が紹介され、出席者全員で新井講師に続いて朗誦した。漢詩も俳句も韻を楽しむ文学。
今一度皆さんと声を出して楽しんでみましょう。!
江南春(江南の春) 杜牧(とぼく)
千里鶯啼緑映紅 /千里 鶯(うぐいす)啼いて 緑(みどり) 紅(くれない)に映ず
水村山郭酒旗風 /水村(すいそん) 山(さん)郭(かく) 酒旗(しゅき)の風
南朝四百八十寺 /南朝(なんちょう) 四百八十寺(しひゃくはつしんじ)
多少楼台烟雨中 /多少の楼台 烟(えん)雨(う)の中(うち)
『江南春』の解説(鑑賞)によると、江南地方は揚子江下流の南部一帯。おだやかな気候と美しい風景の農村地帯。その江南では、千里にわたって鶯がさえずり、緑の若葉と紅い花とがたがいに色を競い合い、照り映えて美しい。川沿いの村、山あいの村では、飲み屋のしるし青い旗が、風にはためいている。当時は仏教の盛んな時代で、南京には四百八十寺もの寺が並び、眼前の寺々にある多少の高殿や高閣に、霧雨にけむる昔の南京の景色を重ね合わせていると、漢詩入門書では解説している。
新井先生の後に続いての朗誦で、古の揚子江の流れにそった水墨画の世界が拡がるようでもあった。
講演は漢詩の歴史にも触れ、「漢詩とは“中国の古典詩(略して古詩ともよばれる)”と、古体詩は唐以前(六世紀)の詩で、韻は踏むが平仄(ひょうそく)の規則はないが、唐代に確立された近体詩には、平仄や押韻の規則があるなどの、漢詩の歴史や決まり事が解説された。また、各時代の代表的な詩人、屈原、李白、杜甫、白居易、杜牧、蘇軾らが年表に沿って紹介された。
漢詩の味わい方についても、遣唐使として渡った「阿部仲麻呂」の場合として、帰国がかなわなかった帰国の船上で、故郷を偲んで歌った「あまの原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも」の和歌も紹介された。
◆漢詩で遊ぶ
「漢詩で遊ぶ」では「歌謡曲を漢詩にしてみる!」で、山下達郎のクリスマス・イブが『聖誕節前夜旗店』として紹介され、およそ100曲を七言絶句で漢訳しているとのことでした。
『聖誕節前夜旗店』
待君窓下獨傾杯 / 君を待つ窓下独杯傾き
坐久時疑成不來 / 坐して久しく時に疑う
細雨絲絲天欲雪 / 細雨糸糸として 天 雪ならんと
徒聞待巷聖歌回 / 徒だ聞く待巷 聖歌回るを
◆実作と添削の一例
サークル例会での添削例が紹介され、きめ細かい添削と解説にサークル活動のレベルの高さが感じられた。
漢詩に興味のある方は、
神奈川県漢詩連盟へ
Tel/fax: 045-432-5438
文責 秋元謙治 記 仁井淳二
講師 新井治仁先生
講演テーマ
東島会長挨拶
熱心に聞入る会場参加者