野党相手の国会論争ではごまかす事が出来た。
なぜなら、政策論争をすることなく、野党を無視し、野党批判に終始すればよかったからだ。
ところが自民党総裁選の論争ではそうはいかない。
同僚である石破氏を無視したり、罵倒するわけにはいかないからだ。
どうしても政策論争をしなければいけない。
そして同僚相手に政策論争をすれば、たちどころに安倍首相は自らの無能、無策ぶりを露呈した。
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たとえば憲法改正ひとつをとってみてもそうだ。
国民に違憲と思われてどうして自衛隊が誇りある仕事が出来るか、
そう言って自衛隊明記の改憲を急ぐ安倍首相であるが、いまごろ自衛隊を違憲と思っている国民がどれほどいるというのか。
そもそも自民党が自衛隊を違憲だと公式に認めた事が一度たりともあったというのか。
そんな馬鹿な事を言う安倍首相より、憲法9条2項を削除して自衛隊を軍と認めるべきだが、国民の大勢が納得していない今、改憲を急ぐ必要はない、と訴える石破氏の方がはるかにまともだ。
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北方領土問題にしてもそうだ。
安倍首相は、習近平主席が隣にいたからそう言ったのだとプーチン大統領が自分そう打ち明けた、とごまかそうとしたらしい。
何と言う情けない言い訳であることか。
経済力力などでプーチン大統領が北方領土を返すはずがないと言い切る石破氏のほうが誰が見ても正しい。
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この二つは、あくまでも一例だ。
ことほど左様に、石破氏に反論する安倍首相はみずからの無能さ、不勉強さを露呈した。
必要なのは強い野党ではない。
自民党の中で、石破氏の後に続いて声を上げるものが出て来ることだ。
そして、その動きは総裁選の後に必ず出てくる。
その事を教えてくれただけでも自民党総裁選の意味はあったということである(了)