月のカケラと君の声

大好きな役者さん吉岡秀隆さんのこと、
日々の出来事などを綴っています。

電車にて

2008年11月17日 | たびたび旅篇



都心から郊外へと向かう電車の窓の向こう側、
流れるように後方へと去っていく東京の町並みを眺めていたら、ふと、
数年前にアメリカ西部を車で旅したときのことを思い出したです。

二匹の愛犬たちを供に約一ヶ月間、
カリフォルニア - ネバダ- ユタ - ワイオミング - 
コロラド - ニューメキシコ -アリゾナ といった順に、
荷物を詰め込んだ車で旅して回ったのが、もうかれこれ三年前。
四駆に乗った旅がらす一家でごぜいやした。

道すがら、犬も宿泊できるモーテルに泊まりながら、
しかし一日の大半は(時には12時間ぶっ通しで)、
ドライブしていたのですが、
それは旅して回った土地が広かったからではなく、
「バカデカい大地だった」
からであります。

見渡す限りの大平原の中、真っ直ぐ一本に突っ切る道を
一日かけてドライブした日に目にしたものは、
ごく稀に行き交う長距離トラックや乗用車以外は、
牛だけであった。
モォ~びっくり。
などという日はざらであり、またある時には、
だだっぴろ~い大地に一面灰色の奇岩群だけが立ち並ぶという、
円谷プロの撮影セットのような中をひたすら走り続けた日もあり、
まるで田舎のおばあちゃんが唱える念仏のごとくに
延々と目の前に続く風景を見ていたら、
「あの岩の横でキングギドラが焚き火をしながらギターを弾いていても
“あ!”
ぐらいの驚きで済んでしまうかもしれない。」
という感覚麻痺に陥ってしまい、しかしそのいつ終わるともしれない
念仏風景にだらり~んと身を任せていると、突如、リスとかウサギとか
猪なのか八戒なのかわけわからん謎の生物が右手も挙げずに目の前を
唐突に横切ったりするので、
「どわぁーっ!」
と度肝を抜かれたりして油断ならないのでありましただ。
はぁ~くわばらくわばらなんまいだー。

それに較べると、東京の町並みはとても立体的に密集しており、
なんだか、とびたす絵本を見ているような視覚感覚であります。
いやでもそれはなにも町並みだけに限ったことではなく、
乗っている電車の中を見渡しても、人は密集しており、雑誌の中刷り広告が
垂れ幕のように所狭しとあちこちに下がっていたりして、
こうして改めて眺めてみると、当たり前なのかもしれないけれど、
とても立体的で、そして色とりどり。

なんてなことを思いあぐねながら、
頭上の週刊誌の中刷り広告を見上げてみると、
ん? 
朝青龍がどうしたって? 
またモンゴルの熱風を周囲に捲き散らしたのかしら、
あばれはっちゃく君だわね。
ってな噂話の密度もやはり濃い。

濃いといえば、
どうしてお相撲さんの名前はこうも濃いのだろう? 
画数がやたらと多くて書きづらいし、第一、
読めんっ! 
力士名とは聴覚でその名を把握するというより、視覚に
「寄り切り突き出し上手投げぇっ!」
と訴えてくる名前だと思う。(←?)

番付表にずらっと並んで書かれている名前を見ると、
「土佐の海」とか「木村山」とかなら素直に読めるし、またその名から、
「ほぅ、高知県や木村さんち出身なのだね。」ともわかるでがす。
しかし「魁皇」とか、「旭天鵬」となるとまるで、
水滸伝に出てくるような名前で覚えづらいったりゃありゃしない、
もっとシンプルにしてくれい、などと思いながら横に目を移すと
「朝赤龍」という名のお相撲さんが・・・いたりする。 これは・・・、
青がいるから赤なのだろうか? リトマス紙ですか? 
朝青龍はアルカリ性だったのね。。。それにしても
なんというシンプルな発想なのだろう。シンプル過ぎだと思う。
やがては「朝ピンク龍」とか「朝レインボー龍」とかいう名の力士が
土俵に登場するのではないだろうか。いやこの際、「朝仮面ライダー龍」とか
「朝おやっさん龍」とかもいいかもしれない。と思っていたら、
「把瑠都」というお相撲さんの名前を発見。一体、
何と読むのですかぁっ?! え、バルトと読むの?
バルト海地方出身だから、把瑠都でバルト・・・・なるほど・・・・
暴走族の当て字みたいずら。
これはもういつの日か相撲界に、関取虎舞竜とか 大関只今参上とか、
横綱なめ猫とかが出てきても驚かない時代が来るのかもしれないぞ。
時代は常に動いているのだ。

などと思いを巡らせていたら既に3駅くらい通過していたわ。
と気付くと、いつのまにか乗車していたらしい
若いカップル二人組みが私のすぐ近くに。
多分、大学生くらいなのかな~、二人で寄りそいながら、
ドアの脇にあるポールにもたれかかって楽しそうに話している様子は
なんとも微笑ましく、ういういしい。

別に耳をミスター・スポックサイズにしていたわけではないけれど、
なんせ彼らのすぐ近くに立っているから、どうしても
そのカップルの会話が耳に入ってきてしまう。

「それでね~、それがね、そうなったの~。」
「そうなんだ~。」
「そうなの~、ふふふ~。」
「そうだね~、あはは。」

なんてことだ。

これだけの言語で分り合えて、
しかも微笑み合えてしまうとは。
余りの驚きに口をポカンと開けてそのカップルを眺めるのは失礼なので
急いで窓の外に目線を移して改めて口をポカンと開けて驚いてしまった。 
驚きリフレイン。

それにしても何故だ? 
何故なのだろう?
何故に彼らの会話はすべて
“そ”
から始まるのだろう?
この“そ”とは、基礎の「礎」=「いしずえ」
ということなのだろうか?
もしそうだとすると先ほどの会話の内訳は、

「礎でね~、礎がね~、礎になったの~。」
「礎なんだ~。」
「礎なの~、ふふふ~。」
「礎だね~、あはは。」

↑こうなる。
深い。
もしや哲学なのか?
しかも哲学しながらきゃっきゃと笑い合えてしまえるなんて
深いのだろうか?
これは、「新・微笑み基そ会話」と呼ばれる
新種で斬新でナイスな会話法なのかもしれない。
「そんなことは全然知らなかった・・・。」
と純君なら言うだろう。

しかしそんな私の新学説には無論気付く様子もなく、
目の前の「“そ”」であるカップル=そっぷるさんたちは、
半径1m範囲内において彼ら独自のそっぷるワールドを
張りめぐらせているわけで、片方がくすっと笑えば、もう片方も
くすくす、なんて相手を反映するように笑っていたりしていて、
やっぱり微笑ましい~。

やはり人生のキーは微笑みなのだ。 

キャンディーズのスーちゃんだってその昔、
「微笑みがえし」と微笑みながら歌っていたからこそ、後年、
モルツのCMでビールを飲みながら、ふふふ~と
吉岡君から微笑み返してもらえたのに違いないのだ。
羨ましいぞぉっ、大家のスーちゃん!
因果応報ですな、何事も。

いやしかし、私だってジャイアンとお付き合いしだした頃は、
いつも微笑んでいたのだったわ、なぜならジャイアンが
何を言っているのか全くわからなかったから微笑んで
その場をごまかしていたのだった。 英語がわからなかったのだ。 
意味が全然違うぢゃーん!

ということですっかり忘れていたけど、
いたんだわ、ジャイアン。
隣に。
そうだこの際だから微笑んで彼の話に耳を傾けてみよう。

ジャ:「でね、よかったな~って思ったんだ。」

終わっちゃったよ!

まったくぅ~、せっかく話を聞いてあげようと思ったのにぃ~、プンプン!
あっ、いかんいかん、こういう時こそ、
「微笑がえしで吉岡くんゲッツ!キャンペーン」を実施しなければ。

私 :「(ニコ)何がよかったの~?」

ジャ:「えっ?! たった今話したばかりだよ?!」

私 :「(ニコ危うし)過去は水に流した方が世の為人の為なのだ。
新しい門出に乾杯。(ニコ復活) 」

ジャ:「なんか丸め込んでない?」

私 :「何も丸めて込めてなんかいないよ。お饅頭作ってるんじゃないんだから、
早く話を始めていただけないかしら?」

ジャ:「うん、だからね、僕も日本人の仲間入りを経験したんだよ。」

私 :「日本人の仲間入り? チョンマゲでも結える気?」

ジャ:「今時そんな日本人はスモウレスラーしかいないでしょ? そうじゃなくて、
昨日の夜ね、ゴンゴンに行ったんだ~。」

私 :「ゴンゴン?」

ジャ:「そう。ゴンゴン。」

私 :「ゴンゴン?」

ジャ:「ゴンゴン。」

私 :「ゴンゴン?」

ジャ:「ゴンゴン」

私 :「はじめ人間ゴゴンゴ~ン♪」

ジャ:「違うと思う。 なにそれ?」

私 :「ダーウィンの種の起源のテーマ曲じゃよ。で、なんなのその
ゴンゴンって?」

ジャ:「えっ、知らないのぉ? 困ったニホンジンだね~、君は~。
ゴンゴンっていうのはね、男の人と女の人が同人数集まってお酒を飲む・・」

私 :「合コンのこと?」

ジャ:「そうそう、それー! ゴウコンだよー。」

私 :「なぁ~んだぁ~、合コンかぁ~、合コンに行ったのね~、
ってなんで妻帯者のお主が合コンに行ったのだっ、え?!
と、私がやきもちを妬くととでも思ったのかい、そこのデカ造。
私はやき餅は正月にしか焼かないのだ、ふぉほっほっほ~。まいったか。」

ジャ:「別にまいらないけど、ただ友達のその友達から、
頭数が足りないから来てくれって頼まれたから行っただけだよ~。
でもゴウゴンって別に疚しいことじゃないでしょ? 
お酒を一緒に飲むだけだもん。」

私 :「そうですわよ。別に目くじらたてることではなくてよ。で、
女性チームはどんな人たちでしたの?」

ジャ:「あのね、JALのスチュワー・・」

私 :「なんじゃと?」

ジャ:「     」

私 :「スッチーたちと飲んだってぇ~のかい?」

ジャ:「・・さっきゴンゴンは大した事じゃないって・・」

私 :「相手がスッチーとなれば話は別じゃ!JALのスッチーではなく、
野村のサッチーとのゴンゴンなら許せるのよっ、ってほんとに
サッチー五人衆がその場にいたら怖いかも~。スッチーでよかったね~。
ってまんまと丸め込んだなっ、お主!」

ジャ:「そうじゃないよ~ちょっと落ち着いて~。
さっき自分でも言ってたでしょ、やきもちは正月にしか焼かないって~。」

私: 「“鵜呑み反対―!”と、鵜飼のカモ君たちは言っているのだ。
いいかい、君の頭上で行ったり来たりしている車内電光掲示板の文を見よ。
“車内警備強化しております。気がかりなことがありましたら、
何でも駅員にお申し出ください。”と書いてあるじゃろう?
でもだからといって、「あの、明日の天気が気がかりで・・・」と
車掌に言えるのかい、え? 文字、言葉には守備範囲があるのじゃ。
その範囲を広げるのも狭くせさるのもおのれの配慮次第なのでねぇかい?
更に言えばだね、例えば、いくら美味しいお店があると人から聞いても、
そのお店の名前が「フレンチ・コブラ」とか「寿司熱帯」とかだったら、
その店に入ろうとすらしないじゃろう? そういうことじゃよ、世の中とは。
はぁ~世知辛いねぇ~。やれやれ。」

ジャ:「あ、それじゃ~こういうことかな、ホラ、
僕はマフィンは余り好きじゃないけど、君のマフィントップは
別にいいと思う、とか?」

私 :「・・・・・・・なに言ってんの?」

ジャ:「ほらほら、これ~。この広告の写真見て。」

私 :「“はみ肉”って書いてあるよ。」

ジャ:「そうそう。」

私 :「ジーンズのウエスト上にはみ出た贅肉をつまんでるこの写真が
なんだっていうの?」

ジャ:「マフィントップでしょ?」

私 :「はみ肉だよ。」

ジャ:「それを英語で“マフィントップ”っていうんだよ~。ほら、
このはみ出た贅肉部分の形が、マフィンのトップ部分に似てるでしょ? 
君のウエストと同じ~。マフィントップと君のマフィントップ。 ね?」

私 :「・・・なにが、“ね?” なのだ?」

ジャ:「でも僕にとってのその二つのマフィントップは、
まるで存在意義が違うんだよ。」


*彼の思考を図解するとこうなるらしい。

普通のマフィントップはこう。↓




僕のマフィントップとは違う。↓



↑何故か舞っているらしい。。。


私 :「・・・・。」

ジャ:「ね?」

私 :「ね、なの?」

ジャ:「ね、だと思うよ。」

私 :「ね~なのかな~。」

ジャ:「ね~じゃないのかな~。」

私 :「・・・ね~かもね~。」

ジャ:「ね~でしょ~?」

私 :「着いたよ。降りよっか。」

ジャ:「うん。ラーメン食べたいね~。」

私 :「ねぇ~。」

なんか上手く丸め込まれたような気がしないでもないけど、
時にはこんな日があってもええでっしゃろ。

まっいっかぁ~、ね。

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躍る大騒動篇

2008年10月27日 | たびたび旅篇


*注意書きであります*

今回下記に載せている内容はかなり「痛~い!」内容でありまして、
したがって、お食事前、中、後、または血が苦手な方は、
読まれないほうが良いかと思われますです。
せっかくお越しくださったのに申しわけありませんです。

* * * * * * *


で、本題なのでありまするが、
今回の日本帰国での出来事であります。

「旅にアクシデントはつきものじゃん。」

とかつての遣唐使さん達も言っておりましたが(←ほんとかよ?)、
確かにそうでございますですね。
道中、行く先々で様々な出来事に遭遇するのが旅というものでございます。
時にはその出来事たちが己の不注意のみから起こってしまう事や、
本人がそそっかしいからこそ引き起こしてしまう物事とか、
「やっぱアホやん、こいつ。」
と周りの者たちにひと言で人格形容されてしまう出来事などなど、
それは一般論ではなく極めて私的な事をいっているのではないでしか?
などという心に湧き上がる疑問はこの際すっとぼけてしまうことにしてですね、
そうなのでぃす!
今回の帰国の旅でも起こってしまったア~クシデ~ンツ!
ということでありまして、トラベルハプニング・じゃぺ~ん篇。

その事件は、日もすっかり暮れた秋の夜長のプレリュード時に
突然起こった事件だったのでした。

その夜、姉の家に家族の者達が集まって、皆でビールを飲みながら
わいわい話しをしていたまでは、それはどこにでもある
にっぽんの夕げ風景でありましただ。しかしその宴の最中、
何を血迷ったのか私は突然、「そだっ、おつまみ作ろーっと♪」などと
♪付きでキッチンに足を運んだのが事の始まりでありもうした。

冷蔵庫からレタスをとりだし、小気味好いリズムでもって
トントントントントントン、と切りますですわよ~千切りレ~タス~
トントントントントント~ン♪ってなもんですわね、フフ、見よ、
さすがの包丁さばきなのだ、前略おふくろさんってかい、お~ふくろさぁ~ん、
お~ふくろさんよぉ~ 空を見上げりゃァ~♪

ガリッ!

ん? 

今ガリッってしたわ。。。。 
何?
ガリってなに? 
なんなの? 
なんなのかしらぁっ、ガリってーーーっ? 
お寿司についてくる生姜とは違ってよーっ! ガリはガリでも
ガリっ!て「音」がしたのよーっ、ガリってーっ!!!
なんでガリッと効果音なのかしらーーーーっ?
ってひぃゃぁ~~~~~~~~~~っ、人差し指から血がぁ~~~~~~
スプラッターしてるわ。
ほっほぉ~。
って感心している場合じゃないのよぉ~~~~~っ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、
ゆびさきがぁ~~~~~~~~がっつり削げ落ちてるぅ~るるるるる~~~
クラ~~~~。

まさに「おふくろさんを歌う森進一の顔」と化して発した原始の叫びと共に
にっぽんの楽しい夕げの一風景は一瞬にして阿鼻叫喚の修羅場となりもうして
秋の夜。

「風子ちゃん(仮名・女性23歳←徹底したサバよみらしい)がぁ~
指切り落としちゃったぁ~~~~~っ!!!」
という甥の叫び声を聞いてキッチンにすっ飛んできた姉が
急いで私のその怪我した人差し指を濡れタオルで押さえながら、
「風子ちゃんの落ちた指を探しなさいっ!」と子供達にすばやく指示。
(彼女はそのとき怖くて傷口を見れなかったらしい。)
ちゃう、ちゃうのよ~、指はちゃんとついてるのよ~、切り落としたなんて、
あたしゃ極道の妻かい? などと言う余裕はその時点でもう無く、
ただふらふらり~んとなってしまった体を母と姉に支えられながら、
落ちたと思っている指先を捜している子供達の間を通って
居間に向かおうとしたその時、真横でレタス内を何やら懸命に捜索している
ジャイアンの姿が・・・。 おい・・おい・・そこのでかい君・・・・、
違うだろがーっ!!! 妻がフラ~~~~~~っとなっとるじゃがぁー、
支えんかいっ、われぃ! 
と言いたかったのに意識が朦朧として言えなぁ~い。

となっている内に気付くとわが身は居間に横たわっていたわけで、
どうやら暫くの間、気を失っていたらしく。

自分でいうのもなんですが、私は痛みにはとても強い方だと
自負しておりまするだ。なので今回の怪我で、痛みとショックで
血圧が急激に下がって気を失ってしまった、わぉ。
という事実自体にびっくりしちゃったでございます。
わぉ。

とにかく意識が戻ってからも家の中は文字通りの「踊る大騒動篇」。
甥の一人が「すごい汗だよっ、大変だよーっ!」と叫べば、
「それは額にのせたタオルが水浸しだからでしょ!」と姉が応え、
「なんか焦げ臭いよー!!!」ともう一人の甥の言葉で、
「シチューがぁ~~~~っ!!!」と母が急いでキッチンへ飛んで行き、
それと入れ替わりにジャイアンが「みちけますたー、ネイル!!!」
とキッチンから飛び出てくれば、再び最初の甥が、
「うわあ~すごい顔色が真っ青だよー!!!」と叫び、
「!@$%~。。。」とそれに反応した私に、
「どうしたの、気持ち悪いの?」と姉が尋ね、
「デスラ~。。。」とかえす私に、
「もうっ、こんな時くらい真面目に倒れていなさいっ!」と母。
ってなもんで、もしその風景を映像にしていたら画面上にテロップで、
大怪我 スプラッター レタス どうして 包丁? シチュー お焦げ 夕げ 朝げ お味噌汁なら永谷園 
とか流れてたと思う。

しかしそんな大騒動のど真ん中に横たわっているというのに、
私自身は、どうしてもその騒動との距離感がよく掴めないのですだ。
すぐ真横や真上の至近距離で人が大騒ぎしているというのに、
それはとても遠くで起こっている事に感じられて、
皆から発せられる声も自分の声も、エコーがかっていて、
まるで現実味がないのですね。
自分の体が周囲から乖離して別空間にいる感覚がして、
騒ぎの実体がどうしても掴めないのですだば。
「そうか~、意識が薄れるってこういう感覚のことをいうんだなぁ~」
なんてまるで他人事のように考えていたりする自分もいたりして、
それはなんだかとても不思議な感覚でぃした。

と、そうこうしているうちにタクシーが到着して、
私は姉とジャイアンに付き添われて夜間救急病院へ。
何件か電話して受け入れてもらった総合病院の、
その夜の当直医は運良く形成外科医。

到着した病院内に入ると、現時点での救急患者は私一人だけであり、
すぐに診てもらえるとのことで、とりあえず一安心。
しかし中々現れてくれない当直医でありまして、
静まり返った待合室でじっと待っている間も
指の痛みは増すばかり。

はぁ~これが志木那島診療所だったらぁ・・・。
コトー先生だったら、どんなに忙しくても、
取り合えず待合室に顔だけは出して、
「もうすぐですから、もうちょっとだけ待っててくださいね。」
って、あの癒しスマイルくんでもって患者を安心させてくれるのにぃ~~~~。
こういうときにコトー先生の良さが身に沁みてわかるわぁ~。
ってほんまに何してんねんや、ここの医者は。
受付の人は先生は手隙だからすぐ来るって言ってたやんか~。
血がとまらへんのやでぇ~。 
はぁ~~コトー先生がいいよ~~~~。
コトー先生~~~~~~~早く来ないかな~。(←幻覚状態に突入したらしい)
コトー先生があの診察室のドアを開けて、
「どうしました~、風子さん?」
なんて言葉と共に白衣をはおいながら出てきてくれたらぁ・・・

「コト~せんせ~~~~~~~っ

って叫びながら春風モードで彼に飛びついちゃうかもしれない。
いやそんな、なんて大胆なっ。コトー先生に飛びつくなんてぇ~~
そんなこと恐れ多くて出来ないわよっ、タックルならできてよっ。
そのまま突進した勢いでダッコちゃんみたいにくっついちゃうかもしれない。
贅沢は言わないけどその時のコトー先生は黄色のシャツを着用希望。
ついでに雷が鳴らないと彼から離れないかもしれなくてよ、おほほほ。(←蛭かよっ?)
はぁ~コトー先生~・・コトー先生に抱きついちゃうなんてぇ~・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
フラ~~~~。(←想像したら血流が早まってしまったらしい)

んが現実はちびしい。

やっとのことで目の前に現れた当直医は、
巨大隕石の如き強力なインパクトを持った電撃マンでありもうした。

彼の年の頃は40代前半。多分。
形成外科医という職業柄、そのいでたちは、
コトー先生が2003の回想シーンで大学病院の廊下を
マッハで走っている姿とそっくりそのまま同じ格好。
んがしかし、そのお顔はコトー先生とは真逆をいく濃縮還元型でありもうして、
いや、でも、四捨五入すれば繰り上がりで美形部門に入るのかもしりない。
しれないのだけれど、なんというか、余計なお世話なのだけれどどうしても、
セサミストリートのバートをみそぴー味にしたような風貌に見えてしまって、
しかも何故か頭にシャワーキャップみたいなのを被っているわけで、
いや形成外科医だからオペハットを被るのは当たり前なのかもしれないけど、
でもオペ以外の診察時にもそれを被るのですか、先生? 
とまたまた余計な質問を問いかけたくなってしまうようないでたちの、
シャワーキャップでバートなみそぴードクター。

そしてなによりも強烈なのはその言動。
とにかくその動作全体が早送り、時々停止でたまにコマ送り、
みたいな動きをする人であり、そこから発する言葉とくると更に強烈で、
診察室に私と一緒に入ってきた姉とジャイアンを見るや否や、
「入らないっ! 邪魔だから出る! 邪魔っ、すぐ出る!」
とアイドルのコンサート会場にいる警備員のような口調で
言い放ったかと思えば、くるっと私に振り向きざま、
「はいっ、傷口見せっ! はーっ、切ったね、すぱっとー!」
と今度は日体大を卒業したばかりの体育の先生みたいな口調になり、
なったかと思えばお次は「生食!」と横にいる看護婦さんに対して
厳しい日舞のお師匠さんみたいな口調に変化して~の、
ヤマトナデシコもアングリな七変化。さすがのディープ・インパクターだ。 
びっくりずら。

しかしいくら診察室が狭いからといって、ふらり~んとなっている
患者の家族に向かってそんな口のきき方することないやんか~。
これがコトー先生だったらきっと、あの和みスマイルでもって
「大丈夫ですよ~。すぐ治療しますから、治療が終わるまで
待合室で待っててくださいね。」って穏やかに言うはずだっ!
なのにこのシャッピーときたらっ!(←既にニックネームをつけたらしい。)

それに「痛いぞっ、痛いんだからねっ、ガマンするっ!!」なんて
いちいちプチ前脅しをかけながら処置することないやんか~。怖いじゃないか~。
しかもあなたのお顔はまるで雷神みたいになっててよー! 
村山元総理大臣若い頃バージョンのような眉毛なんてキーーーッて
逆八の字に吊り上ってるし、しかもシャワーキャップ被ってるしぃ~
笑っちゃうじゃんか~。こっちは痛みと貧血で気が遠くなりそうだってぇ~のに
笑わせるとは~~~ははは~はははぁ~ふら~~~~ハッ!こりはもしや、
天然笑い麻酔ガスなのかっ? 
もしかしたら名医なのかもしれないぞ、シャッピーったら。
あなどれん。

それにしても痛いぞよ。もうちょっと優しく処置してくり~ん。
痛いってぇんだっ、痛いのよっ、泣いちゃうぞっ、泣いたろか、
ビュンビュン丸の弟の如きに泣いたるで、え?
しかしやっこさんに弱みを見せるのは何か癪ずら、よしこうなったら、
じっと我慢の大五郎戦法だ。

「痛い?」
「痛くないですっ。」
「え、痛いだろ?」
「いいえっ!(キリッ)」
「普通の人なら倒れちゃう痛みだけど?」
「いたぐないだすっ!(ギリギリッ!)」

っていだいにぎまっどるだろがぁーーーーーーっ!
しかし大五郎は泣かないのだ、ちゃ~~~~ん。

むむ~~~っと視線をシャッピーのシャワーキャップ一点に据える私。
シャッピーもキーーーーッとなって治療中。むむ~~~っ、キーーーーーッ、
むむむ~~~~~っ、キーーーーーーーーーッ、
むむむむ~~~~~っ、キィーーーーーーーーーーーーッ!
むむっ、キーッ、ムムムッ、キキーッ、ムッ、キッ、ムッ、キッ、
むっきっきーーっ、ってお猿さんですかっ?! ハッ、やばっ、
視線がズレちゃったぁっ眉毛ボーーーーーンッ!あはは~~~~~。

負けてしまった・・・
一騎打ちに・・・・・・
ぶひぃ。(←結局泣いてしまったらしい)

ってにらめっこしてどうするのっ?

はぁ~~~もぉ~~コトー先生が治療してくれてたらぁ~~~~~~。
そうだ~このドクターをコトー先生に変えてしまえばええのだ~。
これはコトー先生が治療をしているのだ。
目の前にいるのはコトー先生なのだ~。
シュミレーション、オン。

コトー先生:「指を切っちゃったんですね~。」
私    :「  」

コトー先生:「大丈夫ですよ~。安心してくださいね~。」
私    :「  」

コトー先生:「ちょっと見せてくださいね~。」
私    :「  」

そこで私の手をそっととるコトー先生。
手を・・・・私の手を・・・・・コトー先生が・・・・・
コトー先生が私の手を・・・・・あの麗しの手で・・・・・・・・
クラ~~~~~~~~~~~~~~~~。

「大丈夫っ? 目開けて!」
え? はい、大丈夫です、コトー先生・・・
コトー先生に診てもらえるのなら私はどんな痛みだって・・・・・ん?
どわぁっひゃーーーーっ、目の前にドアップの
シャッピー味噌之介がぁ~~~~~・・・・・・・・・・・・・・・
バッタリ。(←真面目に倒れてしまったらしい。)


後日談

その後、二日後に再検診で再びお会いした時の味噌之介殿は、
やはり同じようにシャワーキャップを被っており、
外来診察時にも崩さないその徹底したプロフェッショナルぶりに、
なんだか妙にカンドーしてしまった私でありやした。


人差し指くんの形は暫くの間、
ちびっと削れたままになってしまうとのことですが、
でも傷の治癒は順調に進んでおり、
めでたしめでたしでありますだ。

治療してくれてありがとう、シャッピー先生!
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旅ぃ~行けぇ~ばぁ~ 3

2008年08月13日 | たびたび旅篇

そうだ私はマリーンギャルになろう。

と何の前後の脈略もなしに唐突にそう決めた私はその朝、
太平洋を遥か水平線まで見渡すホテルのバルコニーに立ち、
小林麻美をはんぺんにして煮すぎてしまったような面構えを斜に構えながら
コーヒーを飲んでい・・・げはぁーーーーーーーーーーーーーっ?!
コーシーは飲めないと口を邦衛にして何度も言ったろがーっ!
何で私のカップにまでコーシーを注ぐのだ、え、ジャイアンよ!?
まったくもぅ、隙もへったくれもありゃしないわ。ん? そういえば
隙という言葉の意味はわかるけど、へったくれって一体どんな意味なのかしら? 
へったくれ? 
ヘッタ・クレさんという人が過去に存在していたのだろうか?
それとも、「へ、ったく~、レだよな、最近はよぉ~。」という
「レレレのおじさんのレ語」のヤング荒波語なのだろうか?
ふ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~む・・・・・・・・・・・・あ、
何の話をしていたのかしら? 
そうだ、そうだわ、マリーンギャルになる決意をした話だったわね。
そうなのだっ!!!
私はマリーンギャルになる。
この旅先で眺めた北カリフォルニアの海を目の前にして、
理由もなく私はそう決めたのだ。人はそれを「思いつき」というかもしれない。
しかしそんなことは別にいいのだ。そもそも理由なんて
自分の行動を納得させたいが為に後付けされる影絵みたいなものなのよっ。
とにかく今日から私はマリーンギャルなのだ。
ハイビスカス模様のビキニなんかを着て砂浜を颯爽と駆け抜け、
たまには思い出したようにサーフィンなんかもしちゃうかもしれない。
お腹のたるみはこの際無視できないほどたるんでいるけどせっかくだから
この際無視しよう。え、なんですの、ジャイアン?北カリフォルニアの海は
寒流だからアホ以外は泳げない?

ぬわぁんですってぇええええええーーーーーーーーーーーーーっ?!

アホになるわけにはいかないわ、これ以上。
何事も事を成すというのは至難の技なのね、うぅ・・ハッ!
ビーチでビキニになれないですって?! それでは私は
これからどうすればいいのっ? このお腹の脂肪はどうすればいいのっ?!
誰か責任とって頂戴!!! 
と海に叫んでも仕方がないので、
やむを得ずカヤックに挑戦することにしたあたくし。フ、
これで私も立派なカヤック・クィーン。
とレンタルカヤック店に到着する前からそう決めた私ときたらなんていう
意思の堅さの持ち主なのかしら。自分でも呆れちゃうわ。ワイルドだわね。
そんな私のことを人は密かにワイルド・キャッツと呼ぶかもしれない。フッ。
照れるじゃないか。

などと思っているうちにレンタルカヤック店に到着した私とジャイアンは、
レンタル契約書類にささっとサインをした後、ロッカールームへと行き、
そこで華麗なるカヤックスタイルにチェンジ開始!
そうそうカヤックといえばヤッケよね、青色だけどまぁそれもマリンだから
OKってとこかしら、それからズボンね、ん?ちょっとブカブカの
防水加工がついたスキーパンツみたいだけどこれはサーフアンドスノーで
ユーミンチックってとこなのかしら?それと一番大事なのはこれ、
ライフジャケットよね。ふむ、なんだか使い古した防弾チョッキみたいだけど
色はオレンジなのよね、ま、今日のラッキーカラーはオレンジなのかもしれない。
これを装着してこれで準備万端だわっ。鏡に映った私はまるで、
「オ~ラ~イ、オ~ラ~イ、工事中だからね~片側通行だけだよ~」
って夜間交通整理のオバちゃんかよっ?!
おかしい。
華麗なるカヤック・クィーンになるはずが、何故に交通整理のオバちゃんに?!
これは何かの陰謀なのかもしれない。油断は禁物だわ。
張り詰めた緊張の中、私とジャイアンは浜辺へゴー。
そこで待っていたのはアルバイトオーラばりばりのインストラクター。
私の姿を一目見るや否や、「ニホンジンてすか~? ニホンジンてすね~。
ボクニホンにスンデタことアッタから~ニホンゴバッチリすごいよね~。
ニホンダイスキ。ナットーもOK。ボクはデビトといいます。ヨロシク。」
デビト?
デイビットの間違いなのではないだろうか? 
とは思ったものの彼の気持ちを傷つけなくはないので
発音の訂正はしないでおいた。大和撫子なら当然とる処置だろう。

カヤックで海へと出る前に、きっとハードなカヤックレッスンをするに
違いないと思っていたのにそれはたったの三分で終わってしまった。
デビトはただのカヤック立ち話解説員なだけらしい。
しつこく怪しいニホンゴを話しかけてくるデビトに別れを告げ、
私とジャイアンはいざカヤックで海洋へ。

オールを漕ぐごとに深まる海の色。
遥か彼方に広がる水平線。 
どこまでも果てしなく広がる青い海。
素晴らしい!
なんて素晴らしい開放感なのかしら~!
と思ったらオールが巨大ワカメ軍団に絡まってしまった。
ひゃぁ~~~~どないしょ~~~~~~~、にっちもさっちもブルドッグ~
わぉ!!!
なんて歌っている場合じゃないんだったわ。
なんとかしてこのワカメ軍団から脱出しなくては。
いや、待てよ、パニクッてしまうのはよくないのだ。
ピンチのときこそ冷静にならなくては。そうだ、ここは冷静に。
冷静に呼吸を整えて海面を見つめ・・・・・ってなにこれ、え?
だひゃァ~~~~~~!!!!!生命維持装置を外したダースベーダーが
海中真下から私を見つめてるぅぅうううううわぁあああーーーーーっ!!!
ばっちり目が合っちゃったわぁーーーーーーー、You are not my father~~~!
すごい勢いでオールを漕いでその場から脱出した私は
北京にいたらカヤック競争金メダル獲得間違いなしだったと思う。惜しいことをしてしまった。。。
ってそんなことよりなんでダースベーダーが海中にっ?! 
と思ったのもつかの間、再び背後に視線を感じて振り向くと
またもやダースベーダーがぁ~~っ、今度は礼儀正しく海面上に顔を出して
こんにちは~!!!
しかもさっきよりちょっと成長してるわっ! 
きぃゃぁ~~~~~~~~~~~助けてぇ~~~~~~~~~~って
よく見たらそれはアザラシくんだった。。。
人騒がせな。
こんなところで顔を出すんじゃなくってよっ! とっとと海にお帰り!
ってここは海だったわ。
そうよ私は海の上にいるのよ~。
ワカメ軍団とアザラシベーダーに気をとられて
すっかり気を取り乱してしまったわ、あたくしとしたことが。
でもそのお陰でワカメデンジャラスゾ~ンから脱出できたし、
めでたしめでたし。

それにしてもなんて透明度の高い海なのかしら~。素晴らしいわぁ~。
しばらく波に揺られていよう~っと。
見上げるとどこまでも高く澄み渡った空。
髪をやさしく撫でていく海風。
私を囲む海面はユラユラとピンクに凪いでいる。
綺麗だわ。
でもなんで海の色がピンクなのかしら?
どうしてなのかしら~?
どうしてここだけ・・・・・・・・・・ってクラゲだっはぁああーーっ!!!
いつの間に巨大ピンククラゲたちに囲まれていたのかしらぁっ?!
一匹ならまだしもこんなに沢山うようよ~んしてるなんて怖いじゃないかぁ~。
しかもスーパーサイズなのよぉおおおおおおおお。
ここから動きようにも漕いだらオールが君たちにぶつかっちゃうじゃないか!
どないせばええんじゃっ?!
とうろたえているうちにいつの間にかクラゲくんたちのほうでどいてくれた。
フッ。危なかったぜ、クラゲ一味。
なめんなよ。

そうこうしているうちに我がカヤックはまたしてもワカメ水域に突入。
しかし慌てるなかれ。
私はこの海で何度も危機を乗り越えてきた今や海上自衛隊員なのだ。
ワカメ水域なんてへっちゃらなのよ。
わ~かめ わ~かめ すきすき~ わ~かめ わ~かめ すきすき~♪
どう? 余裕の鼻歌交じりでカヤックを漕いでるのよ。
ワ~カメ ワ~カメ スキスキ~ ワ~カメ ワ~カメ スキスキ~♪
今度はカタカナで歌ってみました。
しかし私のカヤックは何か目に見えない力によって、ある物体へと
どんどんどんどん引き寄せられていきコントロール不可能に。。。
一体そこにぽわんと浮かんでいる物体は何なのだ? 
どんどん近づいていっちゃうわぁ~~~。
ひょぇぇ~~~~~~~~~~~~~~~~。
だめよ、落ち着いて。落ち着くのよ。
若芽~ 若芽~ 好き好き~ 若芽~ 若芽~ 好き好・・・・・・・・吉岡くんっ?!
こんなところに吉岡くんがぁ~~~~っ?!!!!!
吉岡くんが私をここに引き寄せてくれてたのねーっ!
運命のめぐり合わせだわっ、吉岡く~~~~~~~~~~~~んっ!!!
と思ったらラッコだったわ。
危なかったぁ。
すんでのところでさらってしまうところだった。。。
危機一髪だったわね、ヒデラッコ。
ってカヤックが止まらないのよー。このままいくとぶつかっちゃうのよーっ!
なんでラブリーな顔をしたままこっちを見つめてるのっ? 危険なのよっ!
わかってるのっ? どかなきゃだめよーっ、ヒデラッコーッ!!!
とその時、ヒデラッコは左手をシュタッと挙げて、
「やぁ!」
と私に挨拶したのだった。
確かにそう挨拶したのだ。
この目で見たのだから確かなのだ。
そしてそのままヒデラッコは海に潜って去ってしまった。

さよなら、ヒデラッコ。
ひとときの友情をありがとう。
君のことは一生忘れないよ。

ヒデラッコとの友情を胸にしまい込みながら浜辺へと戻った私は、
さっそくその話をジャイアンに言うと彼は、
「それはそのラッコが、“止まらんかいおらぁ~!”
って伝えようとしたサインだと思う。」
と言及。
フッ、
こりだからアメリカンはよ~。

私は信じる。
あの時確かにヒデラッコは「やぁ!」と私に挨拶してくれたのだ。
鰯の頭もカルシウム入り
なんて深い言葉なんだ・・・・。


この旅で得た教訓、それは、

私はマリーンギャルにはなれない。


人は旅から様々なことを学ぶらしい。

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旅ぃ~行けぇ~ばぁ~2

2008年05月04日 | たびたび旅篇

日本はゴールデンウィークの真っ只中なのですね~。
ゴールデンウィークといえば、西へ東へ行楽旅行。
はて我が家では最近いつどこへと旅がらすになったのかしらん?
と思いを巡らせたところ、出てきたのが呼ばれて飛び出て、
ビッグ・アップル。
直訳すると大玉りんご。
しかし拝啓恵子ちゃん、
これは齧ると歯茎から血が出るかもしれない
食すリンゴのことを言っているのではなく、
ましてやビッグ・マックの親戚でもないわけで、
何故だか分からないけどどうやらNYの愛称であるらしく。
今日も空が綺麗です。

ということで、先々月にNYへと旅した私であります。
かつて田原のトシちゃんが真っ赤なレッグウォーマーを装着しながら
「ぐ~っらっくまぁ~いらぁ~ぶ♪」と歌って踊っていたタイムズスクエアー。
少女の頃からテレビ映画で幾度も目にしていた、あのジョージ・チャキリスが
チャッキチャキで踊って歌っていたウエストサイド。マンボウッ!♪
ナタリー・ウッドが「トォ~ナ~イトォ~ナ~イ うんにゃらほにゃら~♪」
(後半は歌えないらしい)と歌っていたあれは何処? とにかく、 
何故か旅行の予定を立てると知恵熱をだして計画中止となり、
鬼門説まで囁かれていたNY。
しかしついにやりもうした。
ニュ~ヨ~ク! 
大都会。
あぁあぁ~~~~~~~~~~~~~はってしぃなぃい~~~~~~
ゆぅめを~追~い~~つづけぇえ~~~~~えええ~~~~~~~っ♪
おいどんは感無量でごわすっ。おっかさんっ! くはぁっ。

「ねぇ、ねぇ。」

しかしなにやら突然横から槍がツンツン。
誰なのっ、わたくしのドリーム・ヴォイスを邪魔するのはっ?!
キッと横に目を向けると、あ、ジャイアン。いたんだわ、そういえば。

私 :「何してるの?」
ジャ:「何もしてないよ~。それよりどうして、」
私 :「ん?」
ジャ:「そうやっていつも一人で勝手に盛り上がっちゃうの?」
私 :「盛り上がっていたのではないぞよ。感動にむせっておったのだ。
    ニューヨークでクリスタル・キングを歌うのはニッポン人の常識。」
ジャ:「クリスタル・キングって何?」
私 :「クリスタル・キングとは、80年代の歌謡キングスのデュオであって、            
    遠めから見るとゴルゴサーティーンと林家ペーに見えなくもないのだ。
    そんな彼らは略してクリキンと呼ば・・・おいっ、君!」
ジャ:「え?」
私 :「今、 “くりきんとん?”と言おうとしたじゃろう?」
ジャ:「・・・・・・・・・・・No, I wasn’t.」
私 :「フッ。 君は状況が危うくなると、
    途端にラジオ基礎英会話みたいな口調になるのだよ。
    男らしく事実を認めたまえ、アメリカン。」
ジャ:「そんなこと言おうとしてないよ~。」
私 :「いや言おうとしたのだ。 
    君のそのハトの脳みそみたいなギャグテイストは
    全てお見通しなんざますわよ。おほほ。」
ジャ:「違うよ。」
私 :「何が違うの?」
ジャ:「くりきんとんなんて言おうとしてないってこと~。」
私 :「じゃ~、さっき何て言おうとしたの?」
ジャ:「あのね、」
私 :「なに?」
ジャ:「クリキンでしょ?」
私 :「だから?」
ジャ:「ピグモン!」
私 :「あっそっかぁ~、クリキンだからピグモンっ! な~るほど~。   
    って最後の“ん”しか被ってねぇ~でないかっ。」
ジャ:「あ、語尾に“ん”がついたら負けだよ。」
私 :「きゃい~んっ負けちゃったわ~。って、しりとりかよっ!?」

以後20分のやりとりは省略いたしまする。

とにかく察していただいたように(って何をっ?)、
「日米対抗おもろい夫婦NYへ行くの巻」は、今回も例に漏れず、
しょっぱなからすったもんだでありました。

「そうだったぁーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!」

と叫んだのは先に省略した20分の会話の後でのこと。
そうなのそうなのソースなの。私達はまさにこの時、
ある重要な問題、題して「ザ・スーツケースよ今いづこ事件」に
巻き込まれていたのでありました。なんてことかしら、
すっかり忘れていたわ。
ピグモンのような顔でクリキンをキンキン声で歌っている場合では
ないのだったっ、クリキンのばかぁーっ。(←やつあたりしているらしい。)
空港で再会するはずだった私達のスーツケースは、何故か空路を変えて
メキシコへといい日旅立ちをしてしまったのでありましただ。
なぜ?
ホワァ~イ?
本人でさえ行ったことがないというのに、どうしてスーツケースが
サボテン・ブラザースの祖国メキシコでバケーションを?
けしからん、スーツケースのやつ。 
フリオ・イグレシアスには会ったのだろうか? 
うらやましいじゃないか~、ナタリ~。
いや、ここでスーツケースにジェラシーしてもどうにもならないのだった。
とりあえずこの問題について悩んでみよう、ジャイアンよ。ということで、
う~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~む
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あ、寝ちゃったわ。

私 :「人間慣れないことをすると寝ちゃうらしいよ。」
ジャ:「どうしてそうなるのぉ? 
    それってまさしく言い訳と呼ばれるものなのでは?」
私 :「君、言い訳に相互関係は存在しないのだよ。 
    そっちにとっては言い訳かもしれないが、こっちにとっては
    それは立派な正論なのだ。ふぅっはっはっはぁ~。」
ジャ:「もういいよ。。。。とにかくどうすればいいと思う~?  
    スーツケースがないと困るよね。」
私 :「そうね、確かに着替えるものがないと困るわね。」
ジャ:「航空会社の人はスーツケースをトラッキングして探してくれてるけど、
    でももし帰ってこなかったらどうする?」
私 :「う~~~~~ん。。。。。。」

ここでシュミレーション。

もしスーツケースが無事に帰ってきたら?
きっとビール大ジョッキ三杯くらい飲みながら、
祝・スーツケース帰還をして「いやっほぉ~っ。アメリカばんざ~い!」
とかなると思う。
しかしもし帰ってこなかったら?
きっとビール大ジョッキ二杯くらい飲みながら、
「キィ~~~~~ッ、スーツケースがぁーっ!日米安保条約反対っ!」
とか文句をたれるけど、三杯目を飲んだところで
「ま、いっかぁ~~・・うぃ~っす」とか酔っ払いながら言ったりすると
思うわけであり、そんでもってそれから3日くらいは、
時々ふいに思い出して「キィ~~~っ、スーツケースがぁああっ!」
とか58秒くらいふがふが悶々すると思うけど、
「そういえば明日は朝早く起きなくちゃだったわ。」
ってことに気付いて就寝し、そのまま朝を迎えると思うわけだけど、
午前10時3分くらいにまたイガイガとその事を思い出して、
「あがぁーーーーーーっ!」
っとかまた怒りの火を噴いたりするかもしれない。
しかしいくら「キィーーーーあががぁーーーッ!!!」
略して「キガァッ!」となったところで、
失くしたものは失くしたもののままであり、
そして日は沈みまた日は昇る。 ふ~~~~~~~む、
それならば、このキガァッ!てな感情は
エネルギーの無駄消費であるかもしれず、
エコロジークラスで行きましょ~♪ と吉岡君も言ってるので、
気持ちもグリーンにエコ表示。 ここらで一息、
名作喜劇映画でも見ながら「あはは~♪」
と笑っていたりする方が、地球にも人にもお肌にも
よろしいのではないだろうか? 満男君、大好きぃっ、んはぁ 
あ、横道にそれちゃったわ。もとい考えてみたら私達の状況は、
買い物しようと街まで出掛けたが財布を忘れてしまったサザエさんよりは
よっぽどましなのかもしれない。そんな悲境に直面しても
サザエさんは愉快であるらしく、みんなもお日様も笑っており、
なんてたってル~ルル~ルルッル~ 今日~もいい天気~♪ って
ハミングまでしているツワモノであるわけで。って一体私は
何をシュミレーションしていたのかしら~? 
えぇいっ、この際笑ってしまえーっ。
「単純である」ということは、人生において、
時には必要な事なのねなのねそうかもね、んふ。

シュミレーション、完。

私 :「って思うよ。」
ジャ:「えっ、なにがっ?!」
私 :「人生いつもお利口さんでいることはないってこと~。」
ジャ:「フ~~~~~~~~ム・・・・・・・・・・・・・・・
    あ、お腹すいちゃったよ~。」
私 :「君の答えはそれかい?」
ジャ:「悩んでもお腹はすくもんだよね~。」
私 :「(!)」
ジャ:「美味しいものを食べに行こっか~。」
私 :「そだね。行こ、行こ!」

それから3日後、
メキシコバケーションを終えたスーツケースくんたちは、
無事に私達の手元に戻ってきたのでありました~。
はぁ~~~めでたし、めでたし。はっぴぃ~えば~あふた~。

そこで一言。
笑う角には服来たる。

おあとがよろしいようで。

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旅行けば~

2008年03月14日 | たびたび旅篇


「国際結婚ってどうなの?」
と友や親戚、知人、並びにその他一同の方々から
度々聞かれるのでありますが、基本的に結婚というものは、
国際だろうが国内だろうが町内だろうが幕の内だろうが、
そこに大きな違いはない思うであります。
結婚とは、違った環境で育ってきた者同士が生活を共にする、
ということなわけであり、つまるところは、互い同士の探求の旅
なるものに近いのかもしれない。
などと思う私でありまする。
それまで違った環境で育ってきた者同士が営む結婚生活でありますので、
そこには大小様々な違いが生じるのは当然でありますでぃす。
我が家の場合、その違いが顕著に現れるのが食生活でありまして、
これはもう違いを通り越して、珍事件であります。
例えばある朝のこと、
「大変だよっ、冷蔵庫が壊れちゃったぁっ!」
というジャイアン(旦那くん)の叫びに起こされて、
「えぇえええええーーーーーっ?!」
と急いで飛び起きてキッチンに行き冷蔵庫を開けみると、
何の異変もないであります。
私 :「おい、君。今日はエイプリルフールなのかい?」
ジャ:「違うよっ、ほらちゃんと臭いをかいでみて! 異臭がするでしょ?」
私 :「え? クンクンクンクンクンクンクンクンク~ンってあたしゃ 
    刑事犬カールかいな? 異臭なんかしなくてよ。」
ジャ:「するよするよ~、ほらここらへんからっ!」
ジャイアンがヒシッと指差すものを見てみると、それは
私 :「キムチじゃないかっ!」
ジャ:「オモチ?」
私 :「オモチでねぇのだっ、オモチャっ!」
ジャ:「カトチャ?」
私 :「カトチャじゃなくて、加トちゃんっ! 
    ってお主なんでそんな日本語を知っているのだっ? 
    いいかね、これは古代百済から伝承されたれっきとした食べ物なのだっ、
    てくだらないことを朝っぱらから言ってしまったじゃないか。」
ジャ:「お願いだから英語で言って~。」
私 :「わちゃどぅーいんぐ?」
ジャ:「え?
私 :「え? とか言ってる場合かーっ! お主、時計を見よ。
    6時3分夜明け前と告げているではないか?
    何をやっておるのだこんな時間に?」
ジャ:「夜明け前じゃないよ、夜明けあ・と。」
私 :「小さいことにこだわるなんて女々しいぞ。
    いいかい、朝一番早いのはパン屋のおじさんと相場は決まっておるのだ。
    ウィッキーさんだってこんな早朝から人に迷惑はかけたりしないぞ。」
ジャ:「ウィッキーさんてぇ~(注・さんで、といっているらしい)
    ウッキウッキ~。」
私 :「手裏剣投げたろかっ?!」

といったような珍事件には事欠かない我が家でありまする。
こういった食生活の違いはあるものの、
しかしジャイアンくんは白米が大好きであります。
日本での結婚披露宴の席上で、
「お相手の作る一番好きな日本食は何ですか?」
と質問されて、
「しょーゆライス(醤油ご飯です)。」
と満面の笑みで答えて、私の両親を思わず涙目にさせてしまった
という経験の持ち主でもあります。
またある時のジャパン訪問時には、
白米だと思って喜んで手にしたお椀の中身が、
ジャ:「なにこれーーーーーーーーーっ?!」
私 :「え?」
ジャ:「なになになにこのミクロイドフィッシューーーーーーっ?!」
私 :「シラスじゃよ。」
ジャ:「全部のミクロイドアイズと目が合っちゃったよーっ。」
私 :「ええではないか。御頭付きなんだから目出度いのだ。食べるべし。」
さすがにその時は、祖国に今すぐ飛んで帰りたいと思ったらしいであります。

この異食文化における珍事件の最新版は、
去年の秋に帰国した際に起こった、
「ジャイアン回転寿司に行くの巻」でありました。
なんやかんやの日本訪問の歴史も
その秋で10周年を向かえたジャイアン君。
彼に残された未経験ジャパンカルチャーは何なのか?
と、家族と共に眉間に8㍉程の皺を刻ませて考えた結果、
浮かんだのが「回転寿司」。

ジャ:カイテンスシってなーにー?
私 :回転寿司とは、お寿司くんたちが、皿に乗って回転しているのだ。フフ。
     ↑          ↑            ↑ 
ジャ:カイテンスシとは、 スシが     皿の上で自転しているのか。 おぉ。

以上のように彼の脳内では、回転寿司、それは即ち、
オルゴールの蓋をあけると、エリーゼのためにの曲にのって
バレリーナ人形がクルクルクル~と回転盤の上を回るように、
お寿司も皿の上で回っているもの、なるほど。
とお店に着くまでそう思っていたらしい。
そんなわけないのだ。
さて家族一同で回転寿司レストランに向かった私達でありますが、
行ったその日は敬老の日だったためか、店内はてんやわんやの大繁盛!
しかし40分も待ったかいあって、無事にテーブル席をゲットし、
うっきうき~で回転テーブル側に坐ったジャイアン君。
ジャ:「どれでも好きなスゥシィ~をとっていいの?」
私 :「そうじゃよアメリカン。どれでも好きなスゥシィ~を
    ど~んと食べておくれぃ。」
とにかくその日は残暑厳しい一日であったので、
とりあえずみんなでビールを頼んでかんぱ~い!
私:「いや~暑いですわねぇ~日本の夏は~」
母:「去年の夏もこのくらい暑かったわよね~。」
姉:「やはり地球温暖化の影響なのかしら~?」
父:「日本の夏、キンチョーの夏だからね~。」
などと話している間にも、ジャイアンのお目めは
流れ動く回転テーブルに釘付け状態。
「どれがいいの? 僕がとるからね。どれが食べたいの? ねぇ、ねぇ?」
とひっきりなしに聞いてくるので、ぬぅぁ~んもぉ~~~っ、
「あれと、それと、これと、ざっとと、でぃすと、ぜぁ~」
と、とりあえずジャイアンをなだめた後、私は家族との会話にカンバック。
「ふふふ、あ~だこ~だのなんたらかんたら、あははは~。 
ねぇ、ジャイアンくん? おや? 何かしら? え? って、
なぁ~んで寿司だけ回転皿から掴み取っているのだぁっ!? 
どわぁあーーーーーーーーーーっ?!」
茶摘ですか?
「どっしぇーーーっ!?」←ちなみにこれは家族のリアクションであります。
回転テーブルに視線を移すと、そこには空のお皿たちが
まわってまわってまわぁ~るぅうううぅ~う~♪
我が家のテーブル上にはお寿司くんたちが小さなお皿に山盛り。
積み木かよ?
ジャイアンよ、君は席が空くまで待っていた40分間、
一体何を見ていたのだ?
食い逃げ罪でつかまらなくてよかった・・・・・・。
という、そんなこんなの珍事件でありました。
はぁ~~~~~、どっこいしょ。
まぁ~結婚生活なので、色々あるでごぜいます。

しかしよくよく考えてみると、
長~い間他人同士であった二人が出会い、
恋に落ち、そして結婚をするということは、
ものすごく奇跡なことであり、
そして違った環境で育ってきたその二人が、
そこから新しい生活を共に育んでいくということは、
もしかしたらとても大変なことなのではないのだろうか? 
などと思ったりするであります。
しかし、その大変さを一旦考え出してしまうと、
そうだわ大変なのよっあぁ大変なことをしている私は
大変に大変なんだわっ、大変だーっ!!!! 
という状態に陥りかねないので、
そんなことはあまり深く考え過ぎない方が、
心にもお肌にもよろしいのかもしれないですねぃ。
旅にハプニングはつきもの。
だからこそ旅は面白いのかもしれないですばい。
などとぼんやりと考えていた今日の私でごぜいます。

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ダイエットが呼んだ不思議おば様

2008年02月24日 | たびたび旅篇

人生七不思議のうちの一つに、
久しぶりに穿いたジーンズの生地がいつの間にか縮まっていた。
というとても摩訶不思議な現象があります。
これは一体どういうことなのか? 
いやジーンズが縮まったのではなく、あんさんが膨張しただけでんがな。
などという異論はさておき、この「いつの間にかジーンズ現象」を撃退すべく、
水泳などをしていたわたくしでありました。(←すでに過去形になっている。)
なんといってもスポーツは外見から。
基本に忠実な私は、まずはスポーツ店に行きellesseなどの水着を購入。
その時点で気分は既に3キロ減。
グラビアアイドルよ、どっからでもかかっておいで、ふふふ、
などと呟きながら実家の鏡の前に立った水着姿の自分を見た瞬間、
「マキ上田です! びゅ~てぇ~びゅぅ~てぇ~ まっき~♪」
と歌って踊ってついでに合いの間まで入れてしまった己の姿に
人知れず涙目になってしまった、などという小話はどうでもよいのでありました。
せめてジャッキーでありたかった・・・・うぅ。(←未練がましい)

さて本題であります。(←!)

「なんだよ朝青龍~太ってんじゃねぇ~ぞぉ~!」
なとどテレビに向かって叫んでいた自分が
いつの間にか十両入りしていたという事実に、
いざエクササイズを決意した私は、ちょうどその頃、
ロスの家の改装に伴い、日本に二ヶ月間帰国しておりました。
「それならスイミングクラブでエクササイズだ!」
と主張する姉にひっぱられて、彼女と一緒のスイミングクラブに加入。
とここで、冒頭文八行目に戻る、となるのでありますが、
しかし私はその時ある重大な事実に全く気付いていなかったのでありました。
それはなにかというと、
私は泳げない。
という決定三振打であります。
新しい水着を着てプールサイドに立ったはいいものの、
どげんすればよかとですか? 
と渋谷のモアイ像のようにぼぉ~~~っとしてしまった私でありましたが、
ほぉ~~~っとしていても泳げるようにはならないので、
なにはともあれ人生チャレンジだ、ってチャレンジボーイの轟二郎も
言っていたかもしれないわ、と意を決してプールに入り、
華麗に泳ぐ人たちを尻目にクロールに挑戦。
しかしそれはどうみても泳ぎを忘れた北海トドであります。
そんな私の姿に憐れみを感じたのか、さすがに恥ずかしかったのか、
姉がコーチ役を買い出て、二人でクロールのレッスンを開始。
彼女の教え方が上手かったお陰で、3日ほどもすると、
なんとかかんとか25mを泳げるようになり、トドもおだてりゃ水に浮く。
あぁ気分はまさに世界水泳。
北島と闘えるかもしれないわね、うりゃ、という思い込みと気合だけで
25mをいったりきたりと泳ぎまくっていたところ、
「そんなんじゃダメよっ!!!!!!!」
といきなりダメだしのお声がどこからともなくエコ~ エコ~  エコ~。
へ? とアホ面しながら横に移した目線の先には、
「私昔はママさんバレーでブイブイいわせてたけど、
今はスイミングでブイブイいわせているのよっ、ブイブイッ!」
みたいなスポコンブイブイオーラを全身から漂わせている初老のおば様が
真横のレーンに仁王立ち。
他の人に言っているのかな~? と思いながら自分の体を右に左にそろりと
動かすと、そのスポコンおば様のするどい目線も、ブイッブイッと
灯台の明かりのように私を見据えて右へ左へ東西南北。
やはり私のことを言っているのだ~、どないしよ~。と縮こまっていると、
おば様はいきなり「クロールの腕はこうなのよっ!」と言い放って、
これまたいきなり私の左腕をブイっと鷲摑みにしてぶんわっと大回転させ、
「まわして落とすっ、まわして落とすっ!」と繰り返し言いながら
有無を言わせずひたすらぶぃんぶぃんと私の腕を回し続けてきたので、
あたしゃなにがなんだかどぉ~すりゃいいのっかな~タコのふんどし~♪
などと歌っている心の余裕などあるわけはなく、
これは何かの宗教勧誘なのだろうか? クロール宗教なのか?
そうだったらどうしよーっ、おかぁ~さぁ~ん! 
と慄いている内に暫くするとおば様は気が済んだのか、
「いい、わかったわね? それじゃ、また明日。」
といきなり私の腕を放してプールから立ち去っていったのでありました。
それがDay1。
そしてそれは彼女のクロール泳法許可証がでるDay10まで
果てしなく続いたスパルタ苦行だったのでありました。
なぜに?

その後ロスに帰り、せっかく泳げるようになったのだから、
レッスンを受けてさらに泳ぎに磨きをかけようではないか!
と決意した私は、ジムでの個人レッスンを申し込んで、
颯爽とプールサイドへとゴー! 
見ようによってはかっこええわね、フ、ってなコーチの、
「それじゃ、泳ぎを確認するので50m泳いでみてね。」という言葉を受けて、
見よ、これが私の泳ぎ。バラの花びら散ってます。
と華麗な泳ぎを見せ終わるとコーチがさっそく一言、
「腕の回しがダメだね~。」
そうなの腕はこう大車輪のように大回転させ・・・・・って、
なぁ~~~~~~~~~~んてこったいタコ~のふんどし~♪
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんでこうなるのですか?
あまりの恥ずかしさにその場で地底に潜り込んで
春まで冬眠してしまいたかったのでありますが、
あいにくプールには底があり。
仕方ないのでその場で恥ずかしさにただただ顔から火を噴く
人間水中ナイアガラの滝と化してしまった私でありました。
結局その後コーチから教わった「正しい世界泳法」とは、
おば様から矯正させられる前の腕のかきかたであり、
したがって私のスパルタン苦行は全く無駄であったのだあしからず、
となるわけで泣いちゃうぞぉ~、というオチがついたのでありました。
山田君、座布団全部とちゃってください。
しかしなんとも恐るべし、おば様・ブイ。
何者だったのですか?
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不思議なっちゃんの巻 

2008年01月05日 | たびたび旅篇

世の中には不思議な人が多いであります。
「そういうお前が一番変だ。」
という外野からの声はこの際水に流して、
私の人生の中で度々遭遇してきた
不思議くん、不思議ちゃんについて書いてみたいと思います。
まずは、なっちゃん。

小学校5、6年生のときに同級生だったなっちゃんは、
サリーちゃんの親友よし子ちゃんをインドネシア産にしたような女の子だった。
なっちゃんの生い立ちは、当時11年という長さにもかかわらず、
ど演歌という樽の中でこれでもかぁっというほど
島倉千代子味に漬け込まれたスパルタ演歌ものであり、
彼女に起こった様々な出来事を語らせたら、
それだけでみのもんたの電話相談コーナーの特番が
簡単に出来上がってしまうこと請け合いで、
しかしそういった話は全て頼んでもいないのに
彼女自身の口から無理矢理に聞かされたものであるので、
信憑性のほどは恐ろしく脚色されているのではないだろうか、
というものであるのですが、しかしそのインパクト性にかけては
忘れじの君ナンバーワン。

なっちゃんの摩訶不思議な逸話の中でも突出していたのが、
なっちゃんのお父さんは、プロボクサーだった。
このボクサー父ちゃんというのが、すさまじく謎にまみれた人物であり、
ある日なっちゃんが丸坊主頭で教室に現れたので、
皆びっくりしてその理由を彼女に聞くと、
「お父さんが、私が寝ている間にバリカンで剃っちゃった。」
となっちゃん。
「えぇええええっ、なんで寝てる間にぃっ?!」
と隣にいた子が更につっこんで聞くと、
夏だから。」

謎であります。

またある時には、なっちゃんが両手の甲を痣まみれにして登校してきたので、
「どうしたの、なっちゃん、その手?」と心配して聞くと、
「お父さんが。」
「まさかお父さんに殴られたのっ?!」
「お父さんは殴らないよ、絶対に。」
「じゃ、お父さんがどうかしたの?」
「ボクサーの練習に、殴ってくれっていうから。」
「殴ったの?」
「うん。」
「お父さん、平気なの?」
「うん。鼻血が止まらなくなって救急車で病院に運ばれた。」
「えぇえええええっ、大丈夫なの、お父さんっ?」
「大丈夫だよ。プロボクサーだから。」

プロボクサーだから一体何が大丈夫なのかまったく説得力に
かけていたのでありますが、当時小学生だった私達は、
そうかボクサーだから鼻血が出てもあしたのジョーなんだな、
とこれまた意味不明の理解力で納得していたのであります。
しかしなっちゃん、今なら私は思うのだ。
お父さんは本当にボクサーだったのですか? 
それともボクサーになりたかった人だったのですか?
農協の窓口で働いているなっちゃんのお父さんを見た、
ついでにお父さんは西はじめのような容姿の人だった
という度々の目撃証言は、果たしてただの
都市伝説のようなものだったのだろうか?
そしてなによりも、私たちの住んでいた土地は、
プロボクシングという世界からブラジルと日本くらいかけ離れたところに
位置していたという事実は些細な事柄だったのだろうか。

このようになっちゃんは、とても不思議な子でありました。
いじめられッ子では決してなかったのに、
みずから半径3m以内に絵の具を混ぜ合わせたパレットのような、
またはドロロ閻魔くん的なおどろ~な雰囲気を醸し出して
クラスメートをわざと遠ざけているような感があり、
そしてそんな状態を何より本人自らが密かに影で楽しんでいる、
というタイプの子だったように思うであります。

私が彼女と直接にかかわった椿事で鮮明に覚えているのが、
ある日の図工の時間でのことでありました。
課題である版画を製作していた時に、
隣の席に坐っていたなっちゃんがいきなり
「ねぇ、私の秘密知りたい?」と話しかけてきたので、
「え、秘密? う~ん、どうしようかな~。」
と曖昧に答えた私。
「聞きたくないの、私の秘密? 聞かないと損するよ。」
「なんで?」
「だって、怖いんだから。」
「えーっ、怖い話なら聞きたくないよ~。」
「なんで?」
「だって怖いのやだもん、私。」
「やなの? それじゃ~話してあげる。」
「やだよ~、やめてよ~。聞きたくないから、私。」
「あのね、私ね、」
「だぁーっ、やめてってばぁーっ。」
「クラスの子全員のね、」
「ちょっとぉ~やめてよーっ!」
わら人形もってるの。」
「エ?」
「今日は誰をつつこうかな~。」

謎を通り越してギャグやで、なっちゃん。

しかしその当時その時に彼女から受けたわら人形インパクトは鮮烈で、
その日以降一週間近く、夜ベッドに入ると、
ろうそくを頭に二本立てた丑三つ時の小川真由美のような
なっちゃんの姿が頭に浮かんで怖くてろくに寝付けず、
結果生まれて初めて寝不足というものを経験した私でありました。
なっちゃん、実はもしかしたら、あなたは影に隠れた
とてもパッシブな隠密いじめっ子だったのだろうか? 

でもなっちゃん、
どうしてあんな突拍子もないことを言って
みんなを煙に巻いていたのだろう。
そんなことをしてわざと注目を引かなくても、
いつでもみんなの仲間に入れたのに。

不思議ななっちゃん、今どうしているのかな?
どこかの空の下で、幸せに暮らしているといいな。
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番外編、その2

2007年11月20日 | たびたび旅篇

前回の帰国時での故郷滞在中に、友たちから、
「あなたの日本語は、少しおかしいぞ。」
と度々指摘されたのでありますが、
そんなことは自分では全く気付かないことあるので
そんなことはないことあるかもねかもね100%そうかもね。
やはり少しおかしいのかもしれない。
英語も決して得意とは言えないのに、そのうえ母国語の日本語まで
ほんじゃらけになってしまったなんてっ、
あちしは一体何人やねんなっ?!
いかんいかん、このままでは。
せめて本くらいは毎日読まないとね。
二宮金次郎さんなど蒔を背負ってまでも読書していたのだ。
人生そこまでしないと大成しないのかもしれんのぉ~。
しかしそこまでするのは、やはり試練の技。
試練なので、大変であります。
大変であるので、蒔を放り出し逃げ出すのが人情というもの。
なので人情家の私は、試練とは無縁であります。
要するにこれは人類学上から検証すると、
ただ単にナマケモノ。
ということになるらしい。いやそんなことにはこの際目を瞑ろう。

旦那さんが英語オンリーな人なので、
アメリカ大国、及びに、結婚生活サバイバル必要最低限英会話は
話せるようになってはおりますが、けれども話が小難しい政治の話や、
経済やら医学やら理学やら科学やら忍法やらガッチャマンやらの話になると、
右脳、左脳、及びに前頭葉がオーバーヒートで土偶化へとまっしくらだスイッチオン。
となってしまうので、まったくもっておいどんは情けなか。
けれどもそんな会話の内容も、旦那さんとお付き合いを始めた頃に比べると、
南極熊くんとボリショイサーカスの熊くんくらいの差があるのは確かでごぜいます。
お付き合いを始めてすぐの頃の会話で、脳の裏側にびたっと張り付くような
粘着力で記憶に鮮明に残っているのが、
「きょう、ランチを、どこで、たべたのかな~?」
というジャイアン(旦那さんの紙上名)の質問から始まったある日の会話。
それまでは、
「じすいずぁ~ぺん」
という荒井ちゅーレベルの会話、または、
「じすいずじゅでぃー ざっといずとにー」
という中学一年英語教科書、第1ページレベルの会話を
繰り返していた私達でありましたが、
なにを思ったのかジャイアンは、その日ちびっと会話内容をレベルアップ。
「あい うぇんとぅ~ まくどなるど。」
と、満面の笑みで答えた私。
「?」
と、ジャイアン。
私 :「あい、うぇん、とぅ~、ま・く・ど・な・る・ど」
ジャ:「??」
私 :「あ~い、うぇ~ん、とぅ~、まぁくどぉな~るどぉ~~!」
ジャ:「??!」
私 :「(ムッ)あ~~~~~い、うぇ~~~~ん、とぅ~~~~~~、
    めくだぁ~~にゃ~~るど~~~~!」
ジャ:「??!@」
貴様~、これじゃ~まるで私は、
渚で剣道の竹刀を振り振り叫んでいる森田健作みたいじゃないかっ。
私 :「あ・い・う・ぇ・ん・と・う・めぇくぅだぁ~にゃる!」(←負けたくなかったらしい。)
ジャ:「?!?#$%*_+!@:??」
私 :「(お主の脳はカニ味噌かーっ?!)あーーーーーーーーーーい
     うぇんとぅ みゃくだ~にゃ~るどぉあ~~~!」
ジャ:「???!!!!!%^$#@」*&^??!!!!!・・・・?」
どわぁあああああっ、
アホのおっしょさんと小坊主の禅問答じゃないんだから、やめてくれぃっ。
おちょくっておるのか、ジャイアンよ~?
そのままじゃ全く埒があかなかったので、
仕方なく華麗なる得意のゼスチャーを披露。
スクっとその場に立ち上がって、大きく両手で「M」のポーズ。
世界のマクドナルドのMじゃ~。
ふふ~ん、こりでわかったじゃろ~、ジャイアンめ。
しかしすかさずジャイアンもすくっとその場に立ち上がり、
大きく両手を天井に向けて広げて、
ん、Y?
次に、曲げた両腕の指先を頭上に乗せて、
うんうん、M?
そんでもって、両手を横に出して丸く形作って、
え、C?
嫌な予感・・・・。
最後に両手を頭上で高く合わせて、A!
わ~い、仲良くみんなでYMCA~♪
ってお主、YMCAでなんだというのだ?
ヤングマンでおせちもいいけどカレーもなのはヒデキなのだ!
ジャイアンめ、きさま、大和撫子をなめとるのか?
と、ヒートアップした私はそこで後に下がれないのが悲しいサガ。
SPF50の日焼け止めサンスクリーンをバックの中から取り出し、
それをた~っぷり顔に塗って、更に赤いルージュで口紅べったり。
「あい あむ ドナルド。」
「おぉっ、マクダ~ナル! アイシーアイシー!」
一目でそれがマクドナルドのドナルド君だとわかって、ジャイアン大喜び~。
フッ、手が焼けるやつだぜオバカさんめ、ってオバカなのはこの私でござんした!
何故に私は、お昼に食べたものを伝えるだけの為に、
ドナルドもどきのオバQにならなくてはいけなかったのだろう?
とっとと紙にMcDonaldと一文字書けばいいだけのことだったのだ・・・。
救えないほどオバカさんって感じ?
とちょっと可愛く言い直してみても拭いきれない脱力感。
あんな姿になるくらいなら、欽ちゃんの仮装行列大会にでも出たほうが
まだましだった・・・。と今なら思う。
しかし思ったところで何になるというのだろう、過ぎ去りし日々。
悲しみの英会話・・・・・何が悲しいって、これは全て事実です。

コメント (2)
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番外編もいいとこだっ!

2007年11月16日 | たびたび旅篇

ということで、吉岡君の話ではありまっしぇん。
せっかくお越しくださったのに、ごみんなさいです。
吉岡君の話は、今回はお休みさせていただきました。




今日は、新婚旅行のことについて書きまする。
なぜなのだぁっ?!
いや、確かに突然に唐突な話題なのですが、
突然なので唐突に別に理由はないらしい。
今回だけよぉ~、ということでご免こうむりまするであります。

98年初夏、新婚旅行に出かけた、ういういしい(自称)、いや、
ういういしかった(過去形)私。
新婚旅行といえば、南の島。誰も彼もが南の島。
パラダイスだしぃ、青いサンゴ礁だしぃ、ファイアーダンスだしぃ、
アロハ~ってなっちゃってぇ、私の恋は南の風に乗って走るのっ、
ウキャっ♡
なんてまったく、どいつもどどいつもそうだからってどうして
みんな揃ってこぞって南の島なのだっ!?
ということで私達も南国パラダイスへレッツゴー、ウキャっ♡!

ロスから飛行機で7時間かけて着いたメインアイランドから、
目的地の孤島へと更に乗り継いだのは、小型ジェット飛行機。
のようなもの。
なんつーかですね、それはもうすごい年季の入りようで、
人間で例えて言えば、「わしゃ~もう、入れ歯もガタがきて腰もまがっちょるが、
やる気だけはあるけん、命は預かったっ!!」
みたいな、瀬戸内海で生まれ育った酸いも甘いも85年で行く年来る年。
のようなおじいちゃんプロペラジェットでありもうした。

20人ほどで一杯になった機内は全て、世界各国から集まってきた、
新婚さんいらしゃい。
西部警察の渡哲也をがんもどきにしちゃったようなキャプテンパイロットに
身を任せ、いざ秘境のアイランドへ出発。
飛行時間は、約10時間。正確にいえば30分くらいだったのかもしれない。
そんな時間差を感じてしまうくらい、「恐怖におののく新妻危機一髪!」
な飛行時間。とにかく、揺れる。いや、揺れるなんてもんではなく、
いってみればヨーヨーの紐にぶら下がった鉛の塊みたいで、
0・8秒に一度の頻度で、上下にぶわんぶわんぐらんぐらんびゅわんびゅわん
激しく大きく揺らぎに揺れて、その度に乗客全員も上下にぐわんぐわん動いて、
「これじゃ~まるでスタイリースタイリー空中バージョンじゃないかぁっ!」
頼むぜ、哲也がんもどき。

しかし他の乗客たちは、そんな状態にはいっこうにお構いなし。
なんてたって、新婚旅行。
いや、私もそうだったのだけど、他の人たちは、
新婚旅行にかける気合が違っていたのかもしれない。
機内の中は、新婚旅行世界柔道大会黒帯クラスみたいな、
わけわからん熱気と興奮とチャチャチャな坩堝であり、
ぐわらんっ、と飛行機が上下に大きく揺れるたびに、
「ぃやっふ~!」とか「ぶらぼ~!」とか「らむ~る!」とか「はれるや~!」とか
「チャオ!」とか「なますて!」とかですね、各々の母国語で
うかれ騒いでまるで機内は「突き抜けちゃった旅行団・世界代表編」みたいな
状態であらえっさっさ~♪

となっているうちに、やっと目的地の孤島へと無事着陸。
「あいらぶゆ~」やら、「あいうぉんちゅ~」やら、
「さぁ、僕たちの島についたよ、ハニ~」やら、
「青い海も君の瞳の美しさには負けるよ、ナタリ~」やら、
やれやれヨレヨレ日本語に意訳するとそんなようなことを
ハネムーンモード継続中で囁き合いながら、
颯爽とプロペラ機を降りたっていく他の乗客を横目に、
一番最後に降りた私は、げっそりごっそりかすかす状態。
一体なんのために南の島にきたのだ、私ったら?
なんでがんもどきに命を預けながら空中でスタイリースタイリーしていたのかしら? 
そうだ、そうだわ、そうだった、新婚旅行で来たのだった。
ついでにすっかり相方のことを忘れてたわ。
と目的を思い出して周りを見回すと、やはり南の島のパラダイス。
やけにリアルなトーテムポールがたっているわぁ~、と思いきや
それは自分の旦那さんだった。
私の旦那さんは、アメリカ人の中でもでかいであります。
緑に塗ったらそのままグリーンジャイアントであります。
トーテムポールのようにでかいグリーンジャイアント。
ここでは、彼に敬意を込めて、ポール・グリーンと呼び名を付けようと
思ったのですが、長くて面倒なので、ジャイアンと呼ぶことにしました。

私 :おい、君。そんなところで、なんで半径3メートル範囲内
   やけに爽やかに南の島オーラを振りまいているのだ、え?
ジャ:だって、南の島なんだから、モンゴルみたいにはなれないよ~。
私 :誰が焼肉のタレ・ジャンみたいになれと言ったのだ?
   目の前に、はかなき新妻がヨレヨレになっておるだろう?
   「あいにぃじゅ~」とか「もなむ~る」とか、「どんくらいべいべ~」
   とか、「君がいないと生きていけないよ、はに~」とか、
   気の利いた台詞の一つでもおっしゃったらいかがなの?
ジャ:そっかぁ~
私 :そうだよ。
ジャ:タレ・ジャンっていうモンゴル人がいるの?
私 :いや、そうじゃなくてですね、タレ・ジャンとは、
   日本の焼肉のタレに新風を巻き起こしたソースで、って、
   なんでこんなところで焼肉ソース解説員にならなくちゃならないのだ?
   こんなあっちぃ所で焼肉のタレ・ジャンなんて言うのは、
   サウナに湯たんぽをもって入るオバカさんみたいだわよ、
   やめてちょうだい。
ジャ:え~、君が先にモンゴル人のタレ・ジャンって言ったんだよ~。
私 :過去にこだわるなんて肝っ玉の小さい男だわね。
   何度もそのあつくるしいモンゴル人の名前を繰り返すでねぇっ。
   暑すぎてお肌が天日に干されすぎたETみたいになっちゃったじゃないの!
   泣けてくるわよ。
ジャ:ねぇねぇ、
私 :なに?
ジャ:どんくらいべいべ~
私 :なに言ってんの?

などと早くも日米代表ばかっぷるになりながら、
やっとこさ宿泊先のコテージに到着。
開け開いた窓の向こうには、真っ青な海。遥か彼方に広がる水平線。
うぃんでぃすほぉりんふろ~むにゃ~え~じゃ~♪
と、ジュディ・オングが白いドレスの裾に長い棒を入れて広げて
歌っていたことはあるわ~。って、それはエーゲ海だった。
いやこの際、小さなことにはこだわらないほうがいい。

おかぁ~さぁ~ん、地球人に生んでくれてありがとーっ!

と、とりあえず母親に感謝の意を表明したあと、
ビーチに行ってパラダイス~。
二日目、ビーチで遊んでパラダイス。
三日目、海で遊んで、パラダイス。
四日目、海に潜ってパラダイス。
五日目、もう海はごっつぁんですっ!
海のトリトンにも負けないくらいマリーン生活は知り尽くしたわ、
これで私もマリーン博士、フッ。
と得意の飽きっぽさで、五日目は内陸探検ツアーに参加。

桂歌丸を日焼けサロンでこてんぱんに焼いちゃいましたぁ!
みたいな現地の添乗員さんに案内されて乗り込んだ大きなジープの中は、
やはり新婚さんいらっしゃ~い!で大繁盛。
まず最初に連れて行かれたのは、島の珍しい花スポット。
なん変哲もない野の花であります。しかし歌丸添乗員は嬉々とした様子で、
「ほらほらみてくださ~い、この花、珍しいですね。だって花びらの
内側が紫になってるんですから、すごいですね。じゃ~次いってみましょう。」
と勝手にスピーチを自己完結して、その次に連れて行ったのが、島の交流場。
普通の家であります。おばさんたちがその前で話しておりました。
井戸端会議じゃねぇか。
しかしさすがの歌丸添乗員、「これは島の人が語り合う場所。
時々踊ったりもする場所。みんなで語って踊りましょう。」
と今度はお誘いスピーチ。
何をいまさら語って踊れというのだ、サロン歌丸よ。
しかし周りのツアーカップルの人達は、
「素晴らしい文化の違いだね、ハニ~」「来てよかったわ、ダーリン」
などと愛の感動にむせっている様子で、やはりハネムーンというものは
人の脳をサンバにするらしい。
その後も島のレストランや島の学校、挙句の果てに島の墓場で祈らされて
「なんじゃこりゃぁああああああああ~!」とあやうくジーパン刑事のように
叫びをあげそうになったところで最後に錦を飾ったのが、
「島のナイアガラの滝」。
確かに滝だった。しかしナイアガラではない。岩清水だ。
けれども高さ20メートルくらいはあると思われる、垂直に切り立った
大きな崖は素晴らしいものがありました。
壊れた水道の蛇口から滴り落ちているような水(これが滝らしい)が、
その崖づたいに流れ落ちて、目の前の滝つぼに溜まっている様は、
それはとてもエキゾチックビュ~ティ~。来てよかったわぁ~、と
大自然の美しさに心を洗われていると、横に立っていた歌丸添乗員が、
「みなさんすごくラッキーですよ。あそこを見てください。」
と、まるで星飛雄馬を指差す花形満のような姿勢で歌丸添乗員が
指差す方を見ると、その崖の端~っこの方に、そこだけ
「なんでかしらないけど流れ落ちてますっ!」
みたいな勢いでゴゴゴゴ~っと華厳の滝化している場所が。
「おぉ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」
なんでかしらないけど全員で大感動の叫び。
「ささっ、みんなで滝の下で記念撮影ですよ~。行ってくださ~い。」
という歌丸添乗員の合図で、もちろん私も含めてみんなで一列になって
その滝へとレッツゴー。
バカみたいだった・・・。と、今から思うとそう思う。
その様は、浮かれた滝つぼ苦行団ご一行様、みたいなものだったに違いない。
そうです、しかし確かにこれは苦行の道だったのでした。
とにかく水底が滑る。一歩踏み出してツルッ、二歩踏ん張ってツルツルっ、
三歩進んでツルツルツルっ、って波平さんの頭みたいじゃないか。
そうこうしているうちに苦行団から一人、二人と落伍していき、
気付けば残っているのは、私と、もう一組の日本人カップル三人だけ。
向こう際の砂地では、ジャイアンが涼しい顔をして
こちらに向かって手を振っている。
うふっ、私はあなたの愛を一心に受けて日本代表頑張るわ~うっきゃ♡
とでもなると思っているのか、お主、いつの間に砂地に逃げたのだ!?
くそぉ~、今すぐ戻ってやるぅ~!
と思いきや、「がんぱってくたさ~い、もうすくてすよーっ!」という
歌丸添乗員の叫び言葉が大自然にこだまして、娘さんよく聞けよ山男にゃ
惚れるなよ。書き忘れたのでありますが、歌丸添乗員は、日本語が
少し喋れたのでありました。
ジャイアンもそれに加勢するように、「がんばって~、大和撫子~!」
などと叫んでいたりする。
ところで私は、無駄なところに労力を使う癖があるらしいであります。
この労力を長年の間、私の親、親族、親友達は、
「まったくもってアホ丸出しやな。」
と呼んでいる癖であるのですが、これは一旦火がつくと制御不能らしい。
「よっしゃぁ~大和撫子、いっちょやったるでぇ~!」
ほんまもんの大和撫子には迷惑の極みであるのですが、
しかし何しろアホ丸出しなので、これはもう8マンもお手上げの勢いジェット。
0・2秒にコンマの素早さでツルっとツルツル波平になりながらも、
やっとの思いで、「なんだかわからないけど激流の滝」に到達。
ンゴゴゴゴゴゴゴォ~といやというほど流れ落ちる滝の下で、
ムムム~と苦行僧のように滝に打たれて、ついでにピース。
「写真とったよ~!」とうジャイアンの言葉を合図に、
みなが待っている砂地に戻ろうとしたところ、シュピッ!!!!!! 
と目の前一センチを掠めて何かが空から水面へと落下。
なに?
と思う間もなく、再び、再三、シュピピピピッ!!!!!!!
ひゃぁあああああああああ~~~~~~~手裏剣だわああああああっ!!
たしけてくりぃ~~~お代官様、あたしゃ~ただの平民ですだぁ。
などと、あたふた恐怖に焦って砂地に戻ろうとして勢い余ってずるっと転倒、
ぐにゃっと両手に不安の感触。
ぐにゃ、ってしたわ・・・・・・・ぐにゃって・・・・・。
しばらくの間、ツタンカーメンのように行き場を失い硬直した後、
恐る恐る水底を覗いてみると・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どっ、でっ、しゃぁっ@#$%$%^&*~~~~~~~~~!!!!!!!
水底一面に巨大ウナギがァああああああああああああああああああ~~~~!
たっくさん。 
しかもお目めが赤く光ってるぅ。
多分私はその場で、5.8秒の間、三途の川をさまよったと思う。
しかしその後、素早く蘇生して、カール・ルイスもぶったまげの脚力で
砂地に戻った後、息せき切って、先ほど水底で目にしたものを
歌丸添乗員に報告したところ、
「あ~うなき~、いぱいいますね~ここに。あくまうなきいいますよ~。
たまにひとかみます~。」とニッコリ。

負けたぜ、サロン歌丸、君に幸あれ。

ここで終わったかと思った涙の内陸ツアーは、
しかしこの後予想もしなかった局面へと展開していったのでありました。
10日間のハネムーンを終えて、再びがんもどき哲也の操縦する
プロペラジェットに身を任せた私達。帰途はそんなに機体が揺れることもなく、
快適に飛行を続けていた最中、いきなりジャイアンが、
悪者に捉えられたミクロイドエスの女の子のように
ふるふると涙目になったので、そんなにハネムーンが終わるのが悲しいの?
大丈夫よ、ダーリン、これからもずっとハネムーンよぉ、ふふふ~
などとなだめていたところ、ジャイアンが突然意を決したように一言。
「カメラにネガが入ってなかった・・・」
その後の光景は、描写できないので省略いたしまする。
最後に一言。
般若の顔も三度まで。

PS
目の前を掠めていった謎の物体は、
崖のてっぺんから滑り落ちてくる「あくまうなき」でありました。
恐るべし、うなぎ手裏剣。
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