月のカケラと君の声

大好きな役者さん吉岡秀隆さんのこと、
日々の出来事などを綴っています。

ご挨拶

2008年12月28日 | 思うコト




あっという間に年の瀬ですね。

今年もブログを読んでくださってありがとうございました。
お越しくださることが何よりもの原動力となって、
今年もここまでブログを書きつづけることが出来ました。
貴重な時間を割いてくださり、ありがとうございました。
とても嬉しく、感謝の気持ちで一杯です。
ほんとうにありがとうございました。

なかなか更新がままならないブログでありますが、
来年も私なりの思いを綴っていきたいと思っております。
またみなさんとここでお会いできたら幸いです。


これから寒さが更に厳しくなりますが、
皆様、どうかお体にはお気をつけ下さい。


来年も皆様にとって
実り多き素晴らしい年となりますように。



                 敬具
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吉岡刑事物語・その8.5

2008年12月18日 | もしものコーナー 吉岡刑事物語


やわらかな午後の光が、
部屋の白さの中に溶け込んでいた。
こまやかな光の粒子が、
病室の窓際に揺れるカーテンをくぐり抜け、
清潔に整えられたベッドのシーツの上に
静かに舞い降りている。
俗世に支配された空気の濁りは日差しの中で浄化され、
ここでは全てが穢れのない光に包まれている。
そんな光の波に溶け込みながら、
吉岡は静かにベットの上で眠っていた。
微かに繰り返される呼吸がシーツを動かす以外は、
ひっそりと物静かに横たわったまま、彼は光の中で透き通っている。
誰も、何も、触れてはいけないと感じさせる
森の奥深くにひっそりと佇む湖のような清澄さが、
その寝顔には宿っていた。
窓のすぐ外にある欅の木の枝葉が、穏やかな木漏れ日を部屋へと運んで、
微かに蒼く透明がかった吉岡の白い皮膚の上に葉影を落としている。
それはゆらゆらと揺らめきながら、光の孤独をそこに映し出していた。

静かな午後の日だった。

流れを止めたような時の中に埋もれながら、
吉岡はただ静かに深い眠りに落ちていた。
僅かに開いた窓から忍び込んできた初秋の風が、
いたずらに吉岡の髪をそっと揺らしていく。
風が頬を撫でていくのを感じて、
ふっと吉岡は目を覚ました。
微熱をまとったその瞳は、少しだけ物憂げに、
風に揺れるカーテンをとらえた後、
ゆっくりと窓の外へと視線を移していった。 
9月の冴えきった青空が、枝葉の隙間の中に
ちりじりに散らばっている。
吉岡は暫くその切り取られた空の破片を見つめていた。

なんて窮屈そうな空なんだろう・・・。

遮るもののない空が見たい、と吉岡は思った。
屋上に出よう。
午後の回診の時間までにはまだ間がある。
今なら病室を抜け出しても差し支えないだろう。
そう思って上半身をベットの上に起こそうとした途端、
右肩に激痛が走って、吉岡は思わず眉をしかめた。

情けないな・・・。

軽くため息をもらしながら、
吉岡は自嘲気味に再びベッドに体を横たえた。
集中治療室からこの個室病棟に移って一週間が過ぎたというのに、
療養しているという状況に未だに気持ちが付いていかない。
吉岡は白い天井をじっと見据えた。

焦っているのか?
落ち着けよ。

そう自分を戒めながら、吉岡はそっと瞳を閉じた。
傷に響かないように、深く息を吸ってみる。
そうすることで靄がかった焦燥感が、
少しだけだが晴れていくような気がした。
その晴れ間から、はるか昔に見た風景が心に浮かんできた。
それは子供の頃の吉岡が当時よく遊びに行った原っぱだ。
その風景の中で、小学生の自分がその当時仲の良かった
近所の友達たちとかくれんぼをして遊んでいる。
吉岡はうち捨てられたトタン板を盾にして、その裏に隠れていた。

もういいかーい?

と、鬼の役の子の声が遠くで聞こえる。

もういいよー!

それぞれの場所に隠れた友達の声がそこかしこから
聞こえてくる。

もういいよ!

吉岡も大きな声で言い返す。

みーっけ! 

みーつけた!

一人、二人、三人と、
隠れた子らが次々に見つけ出されていく。
吉岡はまだみつからない。

みーっけ!

みーつけた!

最初は得意気に隠れていた吉岡だが、四人、五人、と
さらに他の友達が見つけだされていくうちに
だんだんと心細くなっていった。
夕焼け空は次第に暗さを帯び、最後に残ったひと塗りの赤色を、
かろうじてその一隅に残しているだけだ。

僕はここにいるよ!

寂しさに耐え切れなくなった吉岡がトタン板から身を出すと、
原っぱには誰もいない。
枯れた雑草だけが物寂く風に揺れているだけだった。
突然笑い声が遠くで聞こえてその方向へ目線を移すと、
原っぱから出た道を、今まで一緒に遊んでいた友達たちが
家路についている姿が見える。

みんな待って!

吉岡は皆に追いつこうと走り出すが、足がもつれて
うまく走れない。

みんな待って!

すると遠くの方から友達たちの会話が耳に入ってきた。

「ヒデちゃん、帰っちゃったね。」
「いつも遊んでいる途中でいなくなっちゃうね。」
「ヒデちゃんね、また遠くにいっちゃうんだって。」
「この間帰ってきたばっかりなのにね。」

そう言いながら友達の姿はどんどん吉岡から離れて
小さくなっていく。

違うよ、僕はここにいるよ!

ここにいるんだよ!

そこではっと目が開いた。
息が詰まるように苦しくて、
額にうっすらと汗が滲んでいる。
気だるかった。
あんなことを心に思い浮かべるなんて、
病み上がりのせいだ。
吉岡はまた軽く目を閉じた。
心を空にしようと、それだけに意識を集中させようとしたが、
しかし体が熱く、息苦しくて、
上手く意識を集中させることができない。
呼吸を繰り返す空気は心なしか重く、
蒸し暑いくらいだった。
人いきれするような暑さだ。
また熱が上がったのかもしれない。
だるさと体の熱に押しやられるように、
吉岡は横に寝返りを打った。

吉: うわっ?!

ゴ: ここは何処? 私はゴリ。

吉: なんで僕の真横に寝ているんですか、ゴリさん?!

ゴ: 徹夜続きの張り込みでな、ついウトウトしちまっただよ。

吉: 僕のベッドでついウトウトなんてしないで下さい。
いつの間に潜り込んだんですか?

ゴ: そんなのいつだっていいじゃんか。それよりな、
他にもっと気付くべきことがあるだろう? 周りを見ろよ。

吉: え?

 
一同:吉岡くんっ!!!


吉: っ?!

ゴ: とまぁ、大文字で省略しちゃったけどね、とにかく
こ~んなにたくさんの人がお前の見舞いに詰めかけて、
ここは一大事ってわけ。満員電車の中みたいじゃないですか。
息苦しいったらありゃしねぇ。

吉: あの・・

一同:きゃぁ~~っ!!

吉: ・・僕はもうだいじょ・・

一同:喋ったよっ!!!

吉: ・・・・・、

一同:・・・、らしいっ!

「いいかげんにしたまえ、君たち!」

とその時突然窓際の方から声がした。
みな驚いてその声の方向に振り向くと、そこには、

吉: マチャトンくん?!

白衣に身を纏ったマチャトンの姿が。

マ: いや僕はマチャトンではない。彼の兄だ。

吉: え、双子だったんですか、マチャトンくんは?

マ: いや、10つ子だ。

吉: は?

マ: 僕は八男のマチャハチです。君の同僚のマチャトンは
末っ子の十男でね、一番末ということで両親は彼の名の下に
「ん」をつけたんだが、それだとどうもコパトーンと間違われやすい
ということで、一般生活では略してマチャトンと呼ばれている次第なんだよ。
戸籍上での彼の正式名は「マチャトオ、ン」なんだ。

吉: ・・・そうだったんですか・・。

マ: と、こんなことを窓の外から言っていてもしょうがないな。
病室がギュウギュウ詰めで入れないから棟の壁に梯子を立てかけて
ここまで登ってきたんだが、こんな登場の仕方ですまないね。
ちょっと失敬してここから病室の中に入らせてもらうよ。
はぁ~よいしょと。それで吉岡君、傷の痛みはどうだい? 
ちょっと見せてもらうよ。

マチャハチが吉岡の肩の包帯に手をかけた時、

「ちょっと待った。」

と今度は廊下の方から何者かの声が低く響いてきた。
病室のドアの方に一斉に振り返った人垣の向こうから、
その声は更に続く。

「見舞い解禁日ということで、せっかく足を運んでくれたのに
申し訳ないのですが、今日のところはお帰りいただきたい。
吉岡はまだ疲れています。廊下で見舞い日整理券を配っておりますので、
お帰りの際はお忘れなく受け取ってください。次回はその日付に従って
ここにお越し下さるように。それではみなさん、ごきげんよう。」

一同:えぇぇぇ~~?!

「お黙りなさい、駄々っ子たちよ。吉岡のことを思うなら、
ここは速やかに帰るべしなのです。わかりましたね?」

一同: しゅん。。。

となりながら肩を落とした見舞い客たちが、
ぞろぞろと病室から出て行くのと引き換えに、
ブランドものの細身のスリーピースをきっちりと着こなした
いかにもエリート風の紳士がドアの入り口に姿を現した。
カツカツカツ、と快活な靴音を響かせながら、彼はまっすぐに
吉岡のベッドまで歩いてきた。

吉: ボス・・。

ボ: 体調はどうだい、吉岡君?

ベッドの横に立ったその姿は、武道でもやっていたのだろうか、
姿勢の良さがきりっと際立っている。

吉: はい、もう大丈夫です。

ボ: そうか、良かった。顔色も幾分よくなったみたいだね。
安心したよ。

吉: ありがとうございます。

ボ: ゴリさんも徹夜明けのところごくろうさま。あ、これは失礼、
白衣を着てらっしゃるところから察すると、それではあなたが
くるまやの三平ちゃんですね?

マ: 違います。僕は吉岡君の担当医の堺マチャハチです。

ボ: そうでしたか。私は吉岡君の上司で警視庁捜査一課長、
花山院ビビンバと申します。

マ: ・・

ボ: いや、私の名前に驚かれるのも無理はない。
大丈夫ですよ、気になさらなくても。驚きのリアクションには
慣れていますからね。実は私の母親はスイス生まれのチロリアンでしてね、
父は東京と島根のハーフです。

マ: ・・・。

ボ: ちなみに妹の名は花山院ラバンバ。

マ: ・・・。

ボ: 祖母はヤマンバで、母はケロンパ、父はメルヘンです。
ま、とにかく、刑事として駆け出しの頃には、相棒だった石焼デカと一緒に、
「石焼っ!」「ビビンバっ!」「ビビンバはっ?」「石焼だっ!」
と呼び合ったお陰で、数多くのホシの心を和ませ自白に至らせました。
それで今日の私がここにいるというわけです。親には感謝しています。
ところでゴリさん、そこで何をしているのですか?

ゴ: カジキマグロをおろしているんです、三枚に。
志木那島漁連という所から今朝ここに届いたもので、
新鮮なうちにおろしておこうと思いましてね。

ボ: それは緊急なことなんですか?

ゴ: 緊急というよりなんといいますか、
早起きは三文の徳といった心境ですね。

ボ: それでは致し方ないでしょう。

マ: 何者なんですか、あなたたち?

ボ&ゴ: え?

マ: ここをどこだと思っているんです? 病院ですよ。
病室で魚をおろすなんてもってのほか、というかどうしてここに
カンガルーがいるんですか?

ゴ: ああ、こいつはラッセルーといって、吉岡が挙げた
ホシの部下だったんだが、その時吉岡が命を張って
相棒を助けた姿に心を打たれ更正してな、今では築地で
ういろう職人として立派に働いているんだ。いつか日本一の
オージーういろうを作るんだと、毎日一生懸命頑張っているんだよな、
そうだよな、ラッセルー? 俺はその話を聞いて・・くっ。。

ボ: ゴリさん、これを・・・。

ゴ: すまない、ボス。最近はすっかり涙もろくなってしまって・・。
ブビーッ!(←ハンカチで鼻をかんでいるらしい。)

マ: ・・・

ゴ: ブビーッ!

マ: ・・・・

ゴ: ブビーッ!

ボ: あ、吉岡君の顔色が。 

マ: えっ?! ちょっとどいてくださいっ、ドロンパさんっ!

ボ: 失礼な。私の名前はビビンバですよ、マチャゴー先生。

マ: ふざけないでいただきたい。僕は八男のマチャハチです。
五男のマチャゴーではありませんよ。

ゴ: オレはマンゴーは好きじゃないな。

マ: 誰がマンゴーなんですっ? そういうあなたは誰なんですか?

ボ: 君たち!

マ&ボ: ?

ボ: パパイヤ、マンゴーだね?

マ: ・・・。 ハッ、吉岡君っ、大丈夫かっ?!

ゴ: キウイがどうしたって?!

マ: そんなこと誰も言ってませんよっ! 
ふざけたことを言っているから、吉岡君が
貧血をおこしてしまったじゃないですかっ。
吉岡君っ、大丈夫か?! しっかりして!!

吉: 大丈夫です・・。ちょっと急に軽い目眩が。。。

マ: 外的ストレスのせいだよ。
こんなふざけた人たちに囲まれていたのでは・・・。可哀想に。
(キッ!)(←とボスとゴリさんを睨んだらしい。)
お二人とも、もう帰ってください。
せっかく順調に快復してきている吉岡君に、
マイナスな刺激を与えるのはやめていただきたい。

ボ: ・・・・・。

マ: なんですか?

ボ: ・・・・・。

マ: 何か僕に仰りたいことでも?

ボ: ゴリさん、ちょっと。。。

ゴ: はい? 

ボ: ちょっとこちらへ。

ゴ: はい。

ボ: ヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソ

マ: 部屋の隅でなに内緒話しているんです?

ボ: え?

マ: 言いたいことがあるなら、ヒソヒソ言ってないで
きちんと他の言葉で言ったらどうですか?

ボ: こそこそこそこそこそこそこそこそこそ

マ: コソコソだって同じことですっ!
ちゃんと面と向かって意見してください!

ボ: そんなに聞きたいと仰る?

マ: ええ。正々堂々と言ってください。

ボ: “マグロはたたきにしてください、ゴリさん。”
と言っていたんです。

マ: 出ていってください。

ボ: わかりました。そこまで言うなら、吉岡君、
出て行ってくれ。

吉: はい。

マ: 吉岡君が出て行ってどうするんですかっ?!
吉岡君、ちょっと、ちゃんとベッドに寝てて、ね? 
傷口が開いちゃったらどうするの? 
いいですかババンバさんたち、ここから出て行くのは
あなた達の方なんですよ!

ボ: そんなことは初耳ですね。

マ: 常識です。とにかく今すぐ退室してください。

ボ: そうは問屋が歳末セールとでも申しますかな。とにかく、
捜査の邪魔はしないで頂きたい。

マ: 捜査?

ボ: ・・・

マ: ちょっと待ってください。捜査とは何のことですか?

ボ: ・・・・。

マ: まさかこんな状態の吉岡君に任務命令をするとでも?

ボ: ・・・。

マ: そんな無謀なことをしようと思っているのではないでしょうね?

ボ: ・・・・。

吉: ボス?

ボ: (プイ。)

マ: 知らんぷりしても無駄ですよ。いいですか、
吉岡君はまだ回復していないんですよ。まだ十分な休養が必要なんだ。
そんな彼に新しい任務を下したらどんなことになるか・・・。
捜査への復帰は主治医の僕が許さない。帰ってください。
当分彼への面会は控えさせていただく。

ゴ: ちょっと待てよ。吉岡の意見はどうなんだい?

マ: え?

ゴ: 吉岡の気持ちも聞かずにてめぇ独りで決めることじゃねぇだろうが。
おい、吉岡、お前の気持ちはどうなんだ? 捜査に出たいのか、
ここで大人しく寝ていたいのか、どっちなんだい?

吉: ・・僕は、

マ: 吉岡君?

吉: 僕は・・

ボ: 吉岡君?

ゴ: (スパー。)

マ: 禁煙ですよ、ここは。

吉: 僕は・・・・捜査には一日も早く戻りたいです。でも、
今のこの体の状態では、それは到底出来ない事だとわかっています。
もし今仮に捜査に出ても体がついていかず、チームに迷惑を
かけてしまうことは必至です。ボスやゴリさんの期待はとても嬉しいです。
しかし、期待に応えたいという自分の欲だけを追い求めたら、
いい仕事は出来ないと思うんです。僕は・・僕は欲には負けたくない。
弱気な奴だと思われるかもしれませんが、それが今の僕の正直な
気持ちなんです。すみません、僕は今捜査には戻れません。

マ: ・・・。

ボ: わかりました。吉岡君、君の言うことはもっともだ。
優秀な君に頼って無理を押し通そうとした私が悪かった。
傷が完治するまで、ゆっくり休んでくれたまえ。
秘密捜査のほうは、君の相棒のマチャトオ、んくんに
代わりに出てもらうことにしよう。君は心配しないでいい。
ゴリさん、行きましょう。君もだよ、ラッセルー君。

二人と一匹は病室のドアへと向かっていった。
彼らの背後でドアが閉まり、
そして病室は再び元の静けさに包まれた。

マ: すまなかったね、吉岡君。無理な答えを言わせてしまって。

吉: いや、あれが正直な気持ちだったんです、本当に。

そう言って吉岡は少しだけ困ったように微笑んだ。
そんな吉岡の顔を驚いたような表情で見つめた後、
マチャハチはベッドの横にある椅子にそっと腰を掛けた。
聴診器を首から外して、それをサイドテーブルの上に置いた。
白く統一された部屋の中で、その聴診器の存在は、
マチャハチにはひどく不釣合いのように見えた。
そこから目線を吉岡に移すと、まっすぐに澄んでいる彼の瞳と目があった。

マ: そっか・・・。

吉: ?

マ: 弟のマチャトンが、君をかけがえのない大切な友人だと
言っている意味がよくわかる気がするよ。

吉: え?

マ: 弟はいい友人をもっているんだな。

吉: ・・・。

マ: 無事に退院したら、快気祝いに一杯飲みにいこうか?

今度は吉岡が驚いてマチャハチの顔を眺めた。
少し照れくさそうな表情を浮かべながらマチャハチは
窓の外に目線を移した。その彼の背後で、
僅かに色づき始めた木々の葉が光と影の中で揺れている。
その光彩に、すっと吉岡の気持ちは吸い寄せられていく。

午後の木漏れ日の中でキラキラと風に揺れながら
命の美しさを謳っている葉たち。
やがていつかは、季節と共に枯れ落ちていくという
葉たちの宿命も、いま目の前にしている
その生命の美しさを前にすれば、
それはあまり悲しいことではないことのように思えた。

大切なのは、今この瞬間を生きることなんだ。
この一瞬を感じることなく、
どうして未来へと気持ちが繋がっていく?

日差しにきらめく葉を見つめながら、
ふとそんな思いが吉岡の頭によぎっていった。
視線を病室に戻すと、同じく視線を元に戻した
マチャハチと目が合った。

吉: そうだね。全快したら一緒に飲みにいこう。

そう言った吉岡の顔は、一層澄んだ輝きを放っていた。


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ミクロの敵

2008年12月13日 | 雑記



まだ日本に住んでた頃、
ひどい花粉症に悩まされていた私でありました。
花粉症といっても、
私がアレルギー反応を起こしていたのは、
その王道をいくスギの花粉ではなく、
カモガヤという謎の雑草Xのもの。

毎年初夏から梅雨明けにかけての時期は、
止まることなき、くしゃみ鼻水目のかゆみ攻撃を受けて
まるで使い古した雑巾のようになっていた私でごぜいます。

だからロスへの留学が決まった後、
「地球の歩き方」かなんかの本で、
“ロスには花粉が飛ばない”
という一文を発見した時は喜びの余りその場で、
「やったぜ武蔵!!!」
とガッツポーズをしたものでございました。
ありがとう、アメリカ。恩にきるよ。ところで
今日も私はくしゃみ鼻水目のかゆみに悩まされているのは
何故なのだ?
目が痒くって痒くってど~にも止まらなくって
リンダじゃなくても困っちゃう。
なんでなのぉ~~~?
って花粉症ですな。
えぇぇぇぇぇぇええええええええっ?!
って自分に自分で質疑応答しちゃったじゃないか。

“ロスには花粉が飛ばない”

のではなかったのか?
こりだからアメリカはよーっ! 契約違反じゃないかーっ。
ブッシュのおたんこなすーっ!
いや、でも、聞くところによると、確かに、

“ロスには花粉が飛ばない”。

スギの。

十数年前、本屋でガッツポーツをとった時の私はただ勝手に、
“スギ”の二文字を読み飛ばしていたのでありますのね、アハアハ。
泣ける。
他の花粉は飛ぶのだ・・・。
無念じゃ小次郎。。。

しかも最近、このカモガヤの花粉症にプラスして、
ブタクサというこれまた謎の雑草Zのアレルギー反応も
出ちゃったりしてそれを知った時は全力投球で泣いてしまった。

しかしこのカモガヤ、ブタクサとは、一体何やつなのだ?
姿が知れないという事実だけで、その威力が126%くらい
増強されているような気がする。
デビルビームのようだ。
よくわからないけど。
とにかく手強いやつに変わりはない。

調べてみると、カモガヤとはイネ科の植物で、その花粉は
5~七月、種類によっては8~9月に猛威を奮うものであり、
ブタクサについては北アメリカ生まれの、秋頃に花粉を飛ばす
雑草だということですので、あぁそうですか。なるほど。
そんなこと言われても困る。

そもそもこの「カモガヤ」とか「ブタクサ」という名前からして
曲者すぎると思うのだよ、ワトソン君。

「カモガヤ」なんて、
カモがガヤガヤしている場所に生息している草とか、
「カモがヤっ!」
とだだをこねる人が多い地方に生えている草とか、
そういった由縁がこの名の背後にはあるのだろうか? 
しかしなにはともあれ、このカモガヤという名の「ガ」が、
そもそもいけないのだと思うのですよ。なんか、

「ガッ!」

って自己主張しすぎているし、だから後に続く「ヤ」も、

「ヤッ!」

とついつい力んでしまっているのかもしれないよ、いかんよこれじゃ。
これがもし「カモガヤ」ではなく、
「カモリン」とか「カモどん」とか「カモピ~」とか「カモやん」
とかいう名前だったら、つらい花粉症も、
「ちょっとは許してやるよ、カモやん。」
という気をおこす人が東日本でも18万人くらいは出てくるかもしれない。
名前って意外と大切よね。

それから「ブタクサ」でありますが、これはもうどこかの学者さんが
狙って命名したとしか思えない。
だって、「クサ」という、
「あぁそんなことは百も承知だよ。」
という万人知っての事実のもと、そこに敢えて挑戦するかのように
もってきた単刀直入な名詞上に、
「ブタ」
とズバリつけてしまうなんて、その学者さんは
よっぽど機嫌が悪かったのかもしれない、その時。

もしかしたらそれを名付けた日、その学者さんは、
朝っぱらから奥さんと夫婦喧嘩をしてしまい、
機嫌の悪いまま野原調査へと出かけ、
昼食時には最後に食べようと楽しみにとっておいた
デザートのイチゴを口に運ぶ途中でポロ、と
地面に落としてしまって更にキィーーーッ!と
なりながら午後の調査で草原の中を
新種の草を探して歩いていたら途中で
草の根っこに引っかかって転んでしまったので、
もうそこで一気に堪忍袋の緒が切れてしまい、
「くぬぅ~このブタ草めがーっ!」
と思わずあくどい言葉で罵ってしまったその草が
探していた新種の草だったので、隣にいたアシスタントが
「ブタクサ」
と勘違いしてノートに記入してしまった。
という衝撃の歴史がその裏に潜んでいるのかもしれない。
んなわけないけど。

5万歩譲ってこの説がフィクションだとしても、
しかしどうしてわざわざ「ブタ」でなければいけなかったのだろうか?
ブタくんには失礼だが、でも「ブタ」ではなく、
「チワワ」とかでは問題があったのか? チワワでなくとも
「バンビ」とかだったらもう絶好調だ。(←何が?)
もしくは「モーモー」とかも結構いけると思う。

「今年も花粉の季節がやってきますですわね。」
「あら、お宅も花粉にお困りですの?」
「えぇ。モーモーに。」
「そうですの、私はカモやんですのよ。」
「まったくカモやんったら、おほほ。」
「モーモーも然りですわね、おほほほ。」

なんてな地球にも人にもやさしい会話が世界中でされて
人類みな兄弟、めでたしめでたし♪
とは決してならないかもしれないけど、でも気分的には
少しだけでも救われるかもしれないよ~。はぁ~辛いな~
この時期は~。

でも、
とたった今思ったけど、
もしゲゲゲの鬼太郎のお父上が花粉症になっちゃたら、
どうするんだろう?

「オイ、鬼太郎、頭部全体が痒くって痒くってしょうがないぞっ!」

ってな感じで茶川センセみたいに頭を掻き毟っちゃう
掻き掻き妖怪になっちゃうのかな?
ひぃゃぁーーーーーっ、 想像しただけで

「父さん、冷気がっ!」

そんな状態はとっても辛くって耐えられないカモだよ~。
目玉親父じゃなくて良かった・・・。

という風に辛さを甘受するのも一案かもしれない。
ふぃ~、てんやわんやの師走でごぜいます。
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そこから、ここへ

2008年12月10日 | 思うコト



なくて七癖。
などという諺がありますが、
確かに、人は気付かぬうちに、
幾つかの癖を抱えながら
日々暮らしているものでございます。

私など目薬をつける時には必ず、
息を止めてしまう。

というへんちくりんな癖がありますだ。

この人間の持つ七癖でありまするが、
コトー先生もやはり人の子、例に漏れず、
無くて七癖を持っているようでございまして、
それを羅列すると、

① コトー先生は薄暗闇で電話を取る。

② コトー先生は玉子焼きをみるとウルウルする。

③ コトー先生は考え事をしている最中は、
背後にいる和田さんに気付かない。

④ コトー先生はすいか畑の前でよく呼びとめられる。

⑤ ついでにいやというほどスイカをご馳走されてしまう。

⑥ それでもお腹が痛くなったりしないらしい。

⑦ やっぱり男らしいわ、五島くんったら。うきゃ

⑧ あ、8までいっちゃった。

ってこれは七癖じゃなくて七不思議だったずら。
⑦と⑧の事実以外は。

そうなのだった。
コトー先生には癖が多いのではなく、
謎が多いのだ。
彼はその家族背景からしても不思議な面が多いけど、
しかし行動面においてでも、
「なぜに?」
と思わせることがどうも多いでございます。
中でも特に不思議に思うのは会話においてであり、
何故か彼の会話の中では、

「・・・、」

「コトー先生っ!」

のように話を途中で、
第三者に遮られてしまうことが多く、
これは特に咲ちゃんとの会話で顕著に見られる
不思議現象のようであります。

2003、8話においてのコトー先生の部屋でおこなわれた
二人の会話では、
「柏木先生と五島君、どちらにするのか迷っているのよ、
はっきりかたをつけてよ、はっきりかたをつけてよ~」
と、百恵ちゃんの絶体絶命的なシチュエーションを
柔らか~なオブラートで包みながら五島くんに答えを
迫っている咲ちゃんの言葉はしかし、

「五島くんは・・、」

「コトー先生っ!」

と肝心な所で遮られてしまう。

五島くんは・・、何なのだ?

五島くんは・・、出前何にする?

とかではあるまいな。もしくは、

五島くんは・・、シャンプー何使ってるの?

とかだったらそれは私も聞きたい。
サラサラ髪の秘訣はなんなのですか、と。
しかしそんなわけはない気がする。

しかしその後に出てくる場面で五島くんは、
東京に帰るとリーチをかけてきた咲ちゃんに、
自分の気持ちを話そうとするらしい。しかし、

「君は僕にとって・・、」

「先生っ!」

とここでもシャットアウトなのだ。

んもーーーーーっ、気になるじゃないかぁ!
君は僕にとって、なんなのでしかーっ?!
謎なのだー。

いやでもこんなことを挙げ出せば、
なにもコトー先生に限らず、
吉岡君の演じてきた人物には、
同じく謎を抱えた人物は他にも沢山いたりする。

例えば四日間の奇蹟の敬輔くんは、
どうしてわざわざ白の手袋をはめているのだろう?
余計に目立ってしまうと思うのだが
どうなのですか、敬輔くんよ。
しかもあんな手袋姿でいたら、
そこいらの酔っ払いのおっちゃんに、
「おい、兄ちゃんちょっとそこまで頼むわ。」
とタクシーの運ちゃんに間違われてしまわないのだろうか?
とそんなことを作品鑑賞中に心配してしまったのだった。
外道な見方だったよぉ、吉岡くん。ごめんなさい。

などなどの謎を生み出す人物は
少なくなかったりするわけで。

でもこの際だから書いちゃうけど、
四日間の奇蹟の場合は、その作品自体が
多くの問い、即ち「ホワ~イ?」な謎に
包まれているような気がするでごわす。
なんというか、
東京ディズニーランドに行こうと思ったのに、
着いたら日光江戸村だった。
みたいな感じがするのでございますので、
どうしましょう?
でもそれは吉岡君のせいじゃないもんねー。
編集段階においての問題なのかもしりないぞなもし。
吉岡君自身はこの作品の中でも美しかったよ~。
特に、以前にここでも書いたけど、
病院の裏庭(?)で、看護婦さんに詰問されるシーンは
絶品の演技だったですばい。
あれはスクリーン上ならではの醍醐味演技だったと。
ここでの吉岡君は、台詞が無かったと思う。
感情論をぶちまけている看護婦の暴言を
じっとその場で静かに受けてとめている敬輔は、
しかし気焔の塊みたいだった。
敬輔の中に消えることなく燻り続けている怒り、
悲哀、痛み、焦燥といった暗い焔が、心の奥底から
ふつふつと沸きあがり、やがてその細い体全体から
めらめらと発散されていく様が、怖いくらいの迫力でもって
スクリーンからこちらに伝わってきて、
もう文句なしにお見事だったでございます。
さすが銀幕の君。
無制限にヘビー級で無敵に素晴らしいのだ、吉岡く~ん、
映画に出てね。

コトー先生でも、敬輔でも、満男くんでも、純君でも、
即ち吉岡産だよ全員集合!なのですが、彼は、
声にならない声を吐かせたら、
天下一品の役者さんだと思うです。

台詞のない場面でも、吉岡君は決して、
作為的な表情で演技を塗り固めたりなどせず、
幾層にも重なり合った繊細な気持ちの襞で、
その場の空気を「揺らす」ことのできる人だと思うです。

吉岡君の繊細さは、ただか弱いだけではなく、
その感受性には、何か生への意志力といったものが、
宿っているような気がするとです。

ナイーブな演技をすることなんて、
それほど難しいことではないのかもしれない。
しかし「観客が」役者のナイーブな演技に呼応することは
意外と難しいことだと思う。

役者から発せられる台詞や表情は、
必ずしもそこに観客との共通性があるわけではなく、
みな人それぞれの言葉を持ち、表情を持っているわけで。
しかし心の内面に渦巻く様々な感情には共通性があり、
そして普遍性が宿っているわけで、
そこに観客は感応するのだと。
それを吉岡君は伝えられる人なのだと。
それが名優なのだと、
そう思いますです。 
コメント (2)
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夢で逢いましょう

2008年12月05日 | 思うコト




あっという間に師走でごぜいます。
日々寒さは増して行き、吉岡君は
本格的に冬眠してしまった・・・。

と思いきや、

今年はナレーションの仕事をしているのだった!
おぉっ、た~ま~や~! 
吉岡君の声が毎週毎週聴けるなんてお耳お歳暮パラダイスなのかしらん、
これぞ耳冥利につきるってものですぜい、まるで夢のようだわぁ~~、
やったぜパパ、明日はホームランだーっ、いやっほぉ~~いっ!!!
って私は聴けないのだったわ。やっぱりまるで夢のようだったずら・・・。
ぶひぃっ

吉岡く~ん、恋しいよぉ~。
愛しのチミは今頃何をしているのでしか?
あ、だから仕事してるんだっつーの。
長年の習慣でついつい冬眠してるのでは、と思っちゃうのだわよ。
ごめんよ~、吉岡く~ん。

もとい、
そういえば今はヤマサのCMのカボチャ篇が放送されてもいるし、
吉岡君の姿は私でさえPC画面で拝めることができるのだった。
それにしてもあのヤマ夫くんったらほんまに・・うきゃぁ~っ、んも~~うっ、
出番が短かいぞ!!! 
ぱっと出てぱっと引っ込んでしまうなんざ、
マギー四郎のハト出しマジックみたいでございますね。
ハッ いや、贅沢を言ってはいけないのだ。
なんといっても吉岡君がなさったお仕事であるのだ。
そこに敬意を払って感謝しなくてはいかんよ、おっしょうさん。
ありがたや~、吉岡く~ん。

そりにしてもこのCMの吉岡くんってば、
ほんまにええ顔しちょる。
なんか彼は年をとるごとに余分なものがどんどん取れていって、
なんつーか円熟しながら澄みきっていく潔さみたいなものが
ごっつう感じられるでございますですだ。そりは、
気品の質ってやつなのかもしりないですだのぉ。
かっちょええ。。。
ほんまに。。。
最高っす。
すっきやで。

こんなに好きなのに、しかし吉岡君は遠い人だ~。
いけずよね~。。。。
せめて夢の中でも吉岡君に会いたいのぉ~。
しかし吉岡君は私の夢の中には出てきてくれないのだ。
何故になの? 
あ、でもそういえば以前一度吉岡くんは
私の夢に出てきてくれたことがあったけど、しかし
その時の彼はやっぱりブラウン管の中の人であり、
ついでに頭にブリの被り物を載せていたりして、
意外と似合っていたのよね、これが。ふふ。
ってち~~が~~~う、どぉ~してぇ~っ? 
なんでブリなの? あっ、でもそれは、
「カボチャ篇でカボチャ~ズが出てくるよ~♪」
という予知夢だったのかもしれない。
ということで丸く納めるとしよう。

しかしですね、ファンとしちゃ~、
やっぱりちゃんとした吉岡君の夢が見たい。
この際贅沢は言わないよ、だから夢の中では
恋人同士であるべきだ。
そして「あのね、吉岡君、」あ、恋人同士だから
「吉岡君、」なんて呼びかけるのは堅苦しいわよね、
それじゃ、「あのね、よしおかひでたか、」
と呼び捨てで呼ぶのも思い切った一計かもしれない。
なんてな事を思ったりしてるから思考がショートして、
夢の中では吉岡くん回避現象が起きてしてしまうのだ。

吉岡くんの大ファンであるお友達は、
よく吉岡君の夢をみるらしい。しかも聞くと、
彼女の見る夢はとても現実的なストーリー性を持っていて、
その中で彼女と吉岡くんは「きちんと」且つ
「ふつ~に」会話をしているというので私としては
大層うらやましいのでございます。
どうすればそのお友達がみるような吉岡君の夢を
私もみることができるのだろう? やはりこうなったらもう、

気合だ。

気合さえあれば勢いで何とかなるものなのだ。 
ロッキーだって気合で6作まで作っちゃったしね。
よぉ~し、気合を入れて夢で吉岡君に会うぞぉ!
と決心したのがかれこれ一週間前ほど。

決心したその晩、布団に入ってからすぐさま
気合を入れることに気合を入れた気合の入りすぎた私。
頭の中はロッキーのテーマがエンドレスで流れており、
順調な気合っぷりだ。
いいぞぉ~、頑張って気合を入れ続けるのだぁ、
気合だ、ロッキーだ、気合なのだよ、うりゃぁっ!
と念じながら眠りについたらきゃぁ~~っ出てきてくれた~~っ、
ロッキーが。
それはオリンピック長距離マラソン真っ最中の夢であり、
世界各国代表の選手一人一人が、みんなロッキー。
ロッキー1~ロッキー100くらいまでのロッキー軍団が、
あの有名なロッキーのテーマ曲に乗って、
ジャブジャブッ、とか、アッパーッ、とかの
シャドーイングをしながら永遠と走っており、
ようやくその夢から目覚めた時はげっそりしすぎて
体重が3キロくらいは軽く減ってしまったような気がしたけど、
ベッドから起きて鏡を見たらやはりそれは気のせいだった。
あっ、でも今これを書いていて思ったけど、
もしかしたらあのロッキー御一行様軍団の中に、
吉岡君がちょいんと何気に紛れ込んでいたかもしれないっ。
ロッキーたちの迫力に気圧されて
吉岡君を見落としてしまったのかもっ!
なんてこったぁ~、せっかくのチャンスを逃してしまった~。
ロッキー一味のばかぁ~~~~~~!!!

やっぱり気合だけじゃだめなのね。

ならば次は神頼みだ!

ちびっ子の頃、好きな子の写真を
枕の下に入れて寝ると、その晩その人の夢が見られる
というおまじないがあったずらぜよ。
よぉ~し他力本願、望むところだっ、頼むぜ、神さんっ!
お正月の初詣の時とこんな時だけ頼りにしてすんません。

しかし吉岡君のお気に入りの写真といってもねぇ、
全部お気に入りっすよ。
それにしても改めて数々の写真を眺めてみると、
吉岡くんったらほんまに美しい。
きちんと自分の色彩を保ちながら、
しかしそれを決して周囲に押し付けたりせずに、
ひっそりとその光沢を放っていて、
とても静謐とした落ち着きをもっている。

気概という燐光を内面に静かに宿らせ、
ストイックに生きている品格の美しさが、
その外面に自然と湧き出ている感じがするですだ。

吉岡君は、「実り」という言葉が
とてもよく当てはまる人だと思う。

はぁ~好きや~吉岡く~ん。。。

ってことより写真を選ばねば。

写真で見る満男くん、純くん、コトー先生は、
どれもみな吉岡君であるけど、
でもどれもみな吉岡君じゃない。
彼らは吉岡君に息吹を吹き込んでもらった人物たちであり、
それぞれ別個の呼吸をしている。

茶川センセなんて、
色が白くて黒縁メガネかけてて細身だなんて一歩間違えたら
「元気はつらつオロナミンC」なのに、
しかしそこは一歩も間違わないのが吉岡君でありますのぉ~。
あんなに強い個性をもった茶川先生であるのに、
吉岡君は決して「既成枠」からその人格を固めずに、
あくまでも皮膚の内側からその人格を滲み出させているわけで、
けれどもやっぱり吉岡君自身の自我はそこには露ほどにも
見受けられないわけでありますので、
天才だ。

吉岡君は、与えられた脚本の中の人物を、
紙の上から引っ張り出して自分色に形造っていくのではなく、
脚本の中に埋まっているその人生を、丁寧に掘り出しながら
そこに息を吹き込ませてあげているのかもしりないですねぃ。。。

ということで話から大分とんでしまったでありますが、
結局そんな想いもあり~ので、おまじないに選んだ写真は
吉岡君自身が写っているキネ旬の表紙。パンパカパ~ン、
ゲッツ! (ゲッツ元気かな~?)

さてさてその晩は、大切に大切にキネ旬を
枕の下に入れていざ目を閉じた私。気合はいれんぞぉっ!
という思いについつい気合を入れてしまった。。。
いかんいかん、冷静にならんとね。
出てきておくれでないかい、吉岡く~ん。頼んますよ~。
いや今夜こそ大丈夫のはすだ。だっておまじないしてるもんね~。
なんてたってこの枕の下に吉岡君の写真が・・・吉岡君が枕の下に・・・
吉岡くんが・・・ 吉岡くんがぁ・・・・・あの眼差しでぇ・・・・・・
と思ってたら緊張して一睡もできなかった・・・。

結局次の日はひどい寝不足で、
フララララ~~としながらソファに座ったら
いつのまにかうたた寝をしてしまっていたらしく。
んがなんとその時垣間見た夢の中に吉岡君がぁっ!
よよよよよよよよよよよよよしおかくんが、
にっこりと私に笑いかけてくれていて、
「よよよよよよよよよしおかく~~~んっ!」
って呼びかけたらそこでパッと目が醒めてしまった。。。

短かったけど、一瞬だったけど、でも、でも、でも、
吉岡君が夢に出てきてくれたぁ~~~うわぁ~~~~いっ! 
やったぁ~~~~~っ! 神様ありがとーーーーーーー!!!


でもどうして吉岡君はモヒカンヘアーだったんだろう?

コメント (6)
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彼女の子供たち

2008年12月02日 | 雑記


先日犬の散歩をしていた折、すぐ目の前を
ニワトリが横切っていきました。

ニワトリです。

別にニワトリだって道を横切ってもいいじゃんか。
と、私だってそう思う。
そんなの見たって、
たいしたインパクトではないかもしれない。
これがもし、

先日犬の散歩をしていた折、すぐ目の前を
ガチャピンが横切っていきました。

だったらちょっと困ってしまうかもしれないし、
さらにこれが犬の散歩ではなく、

先日エリマキトカゲの散歩をしていた折、すぐ目の前を
ウーパールーパーが横切っていきました。

だったらもうお手上げかもしれない。
それに較べたらニワトリが横切った衝撃など、
屁のようなものかもしれないぞ。
しかし屁と形容されて、なにも、
「オレもいっぱしの屁野郎だぜ。いっちょかましたろか?」
などといって喜ぶ生き物はそうそういるとは思えないので、
世界総合ニワトリ連合会の鶏さんたちの名誉の為にも
ここで思い切って書いでおきたいのですが、
その時私たちの目の前の道を横切っていったニワトリくんは、
私と愛犬をハニワ化させるほどの強力なインパクトを与えた
スーパーニワトリくんだったのでありました。何故なら、
そのニワトリくんはその時私たちの目の前でやおら、
飛んだ。
それもただ飛んだのではなく、

クワァ!

とか叫びながらいきなり3メートルくらい
垂直飛びをしたのであります。

「えぇぇ~?」

と唖然としている私と愛犬の様子を尻目に、
だったかどうだかその表情はよく見えなかったのですが、

シュタッ!

とそのままヒタ、と
高枝切りバサミでも届きそうにないほどの高さの
木の枝に着地したのですだ。

「みゃぁあ~~?」

余りの驚きに謎の名古屋人みたいな叫び声を
上げてしまった私を尻目に、
かどうかは確認できなかったのだけれど、
そんな私と愛犬を高みから暫く見下ろしていた
ジャンパートリー(←すでに命名)は、

カエェ!

とかまた叫んだかと思うとさらに上方へと飛び上がり、

「再び垂直飛びなるかっ?!」

とオリンピックの解説委員のように叫んだ私の期待に、

ドバ。

と目の前に着地して軽く裏切り、

「おぉ、6.3.惜しい。」

と思わず得点まで出してしまった私を
まるで小バカにするように一瞥したあと、

コ~コッコッコ~~~、クワァ?

などとハミングしながら近くの家の裏庭へと
悠然と入っていきそのまま姿を消したのでありましただ。

スゴイ。

柳生一族系ニワトリかもしれない。
と軽い目眩を感じながら感動さえも覚えた私。
しかし、
一体何処の誰が磯野波平さんちが三軒先にあっても
まるで不思議はないような思いっきり住宅街のど真ん中で、
ニワトリを放し飼いにするのだろう?
というか飼うのかい、ニワトリ?

そりとも彼は全ご近所認定ナチュラル目覚まし時計係なのだろうか?
早起きご近所さん集合住宅地なのですか、この一帯は?
あ、でも待てよ、そうだ~、
きっとこのジャントリーくんは、
秋祭りとかの屋台で、ぴぃ~ぴぃ~なんて小声で鳴いてて、
きゃぃ~ん、可愛い~、パパ~買って~。
う~んしょうがないな~、ははは。
なんてな経由を辿って買われていった
か弱きひよこくんだったのかもしれない。
その後家族の者たちに大切に育てられて立派な鶏となり、
今では垂直飛びまで出来るようになったのだねぇ~。
しみじ~み。
そういえばその愛情の印なのかもしれないけど、
ジャンパートリーは金チックなネックレスを首にはめていたわ・・。 
ロッカーのようだ。学校の物入れじゃなくてよ。
歌うロッカーみたいだってことよね、意外とやるよな、
ジャントリーってば。

ということで思い出した友達の話があるのですが、
ある時に、彼女がまだ小学生だった頃、やはりお祭りの屋台で、
二羽のめんこいひよこちゃんたちを親に買ってもらい、
買ってもらって「わ~~い!」と喜んでいる内に
「いきなりもうニワトリですっ!」
ってな迫力で成長してしまいちょっと悲しかった。
らしいのですが、でもまぁそれは自然の法則だからと納得し、
毎日毎日ニワトリズたちの世話をして、そうこうしているうちに
愛情もどんどん溢れる様にふくらんでいき、
彼女は彼らをとても可愛がっていたらしいのですね。
んがしかし、このニワトリズくんたちは
その愛情も大きな悩みに変えさせてしまうほどの
問題を抱えていたというのですだ。

彼女がいうには、何故か彼らは、
どうもせっかちな気性であり、
しかもえらく几帳面だった、と。

コケェーーコッココーーーーーコーーー!!

と鳴いて家族の者全員を
一斉に起こしてはくれるのだけれど、
それが真夜中の二時だったと。

毎日、きっかり、休むことなく、
NTTの時報のように
正確に鳴き出すニワトリズたち。
まさに丑三つ時の恐怖。

幸い彼女は大きい敷地をもった農家のお家に住んでおり、
周りもそういった家が殆どで真横に隣接する家もなく、
そのニワトリズの鳴き声自体は
近所迷惑にはならなかったらしいのですか、
しかし当の家族一同がひどい迷惑を被って寝不足になってしまい、
結局どうしようもなくなって、ある日、彼女のおじいちゃんが
そのニワトリくんたちを近くの川原岸にそっと
「放してやった」そうであります。

「狭い小屋の中に入れられて、彼らもずっと
精神的にまいってしまっていたんだよ。これからは
自然の中で自然に生きて自然に朝に鳴くだろう。」

とおじいちゃんは悲しんでいる彼女のことを、
その時そう優しく諭してくれたらしいですだ。

無くしてしまった愛情は大きい。
無くしたままじゃ辛すぎる・・・。

そんな人生の悲哀をおそらく生まれて初めて噛み締めながら
その夜彼女は眠りについたらしいですだ。
さよなら、ニワトリくんたち。さようなら・・・。
しかし起きてしまった。
夜中の二時に。

微かにニワトリズの鳴き声を聞いたような気がするけど、
でも長年それを習慣として聞いてきたせいで、ただ習慣として
また目が醒めてしまっただけなのかもしれない。
そう気を取り直して彼女は寝なおし、そして次の夜、
やはり起きてしまった。
夜中の二時に。

昨晩と同じくニワトリズの鳴き声を聞いたような気がして
やっぱりとても気になったのだけれど、でも気のせいだと
自分に言い聞かせて寝なおし、そして次の夜、
しかし起きてしまった。
夜中の二時に。

どうしてだろう? 
と思い悩んだ彼女は次の日の朝食の席で
家族にそのことを話そうとしたのだけれど、しかし見ると、
お父さんも、お母さんも、お兄ちゃんも、
寝不足っぽい。しかも、
「話しちゃいけない、“あの”ことは。」
といった暗黙の了解の雰囲気が全員の体から
発散していて、結局彼女は話を切りだせず、横を見ると
おじいちゃんが元気そうにご飯を食べていたらしい。

おじいちゃんが元気ならそれでいい。

なんだか自分でもよく理解できない結論を抱えて
その夜寝入った彼女は、
しかし起きてしまった。
気のせいじゃない。
その時そう確信した彼女はそこでじっと耳を澄ますと、

クェココッコーーーーーッ、コーーーーッ!

と、遠~~~~~~~~くの方で、
鳴いているニワトリくんたちの声が。

やっぱりそうだぁ、ニワトリたちだ。
元気なんだぁ、よかった。

と思ったら急に涙が出てきちゃったそうですだ。
そしてそのとき時計は
やっぱり夜中の二時を指していたらしく。

その日から彼女は、その川原に掛かる橋に行って、
元気そうなニワトリくんたちの姿を確かめるのが
日課になったそうなのですが、暫くすると、
最初は二羽だったニワトリくんたちは、
一羽、二羽とだんだんとその数を増していき、
気付くと彼らはいつの間にか大家族に成長していったそうですだ。
でもそんな彼らの姿を見て、
もう大丈夫だ~。
と彼女は思ったらしく、そう思えた以降は、
もうその川原に行くのはやめたそうです。

でもそれからも彼らの鳴き声は、
彼女がお嫁に行くため実家を出るその日の朝まで
ずっと聞こえつづけていたらしく。
いつの頃からか彼女の中で、
その声たちは自然の中の音の一部となり、
それを微かに聞くことで、
気持ちがとても安心するようになっていったそうでぃす。

今ではその彼女も二児のお母さん。
やがて彼女の子供達にも、あのニワトリくんたちに
会いにいく日がくるのかもしれない。
昔彼女がそうしたように。

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