月のカケラと君の声

大好きな役者さん吉岡秀隆さんのこと、
日々の出来事などを綴っています。

吉岡刑事物語・その8

2008年08月28日 | もしものコーナー 吉岡刑事物語


時計の針はきっかり午後三時を指していた。
警視庁捜査本部第一課長から現場急行への指示が
携帯に入ったのが午後2時5分過ぎ。
ということはここに到着するまで約55分の時間をロスしたことになる。
人質立て篭もり事件は一分一秒の差が事件解決の明暗を分ける。
いくら渋滞に巻き込まれたとはいえ、もうすこし早く現場に
駆けつけられたかもしれないのに・・・。
自分の腕時計を今一度確かめた後、吉岡は軽く息をついた。

ゴ: おう吉岡、着いたか。ごくろうさん。

吉: 遅くなってすみません。人質の状況は?

ゴ: 今のところ無事だ。

吉: 事件の概要はどういうことなんですか?

ゴ: 人質は一人、三十代の男。 犯人は36人で二人を除いては全て
カンガルーだ。

吉: はっ?

ゴ: 押しかけた犯人たちで場所がギュウギュウ詰めになってしまい
人質を全て外に出したらしい。一人残った人質はカンガルーの袋に足をとられて
外に出損なったんだと思う。

吉: ・・・・・。

ゴ: 硝子戸の向こうで手をこまねいているヤツが見えるか?
あれがサブリーダーのハエ。そしてリーダーの姿は未確認。どうやら
拳銃を持っているらしい。全員生粋のオージー野郎どもだ。それから
カンガルー28番はラッセル・クロウに似ているゆえ特別にラッセルーと
名付けた。とにかくやつらはボクシングで鍛えたパンチが武器らしいからな、
気をつけろよ。

吉: ・・・・・・・なんでカンガルーが銭湯を占拠したんですか?

ゴ: 番頭のおやじの話だとカンガルーたちはいきなり銭湯の中に入ってきて
代金も払わず洗い場に突進しそのまま体も洗わず湯船の中にジャンプして
湯に浸かったらしい。「いい湯だな。」と言ったかどうかは今確認中だ。

吉: ・・・・・・・・・それは・・・・・どういうことなんでしょう?

ゴ: どうもこうもないだろう。重大事件だよ。

吉: はぁ・・しかし・・・。

ゴ: しかしとはなんだぁ、吉岡っ!? 事件に大きいも小さいも右も左も
ニッチもサッチもモンチッチもぼ~くは泣いちっち~よ~こ向いて泣いちっち~
なんて調子こいて歌いながら湯桶を壊してしまうなんて俺は無償に悲しい・・・
悲しくて・・・・悲しくて・・・・・俺はっ・・・・・・

吉: ゴリさん、

ゴ: さ、おやつの時間にしよー♪ 

吉: は?

ゴ: 三時のおやつは文明堂~♪ と思っただろう~? 
カスティ~ラとはいかへんでぇ、柴又といったらくるまやじゃき~。 
定番だよ、君。

吉: でも見張りは?

ゴ: 後で戻ってくれば大丈夫~。休憩だよ、休憩~。さ、行くぞ。

吉: そんなわけにはいきませんよ、ゴリさん! 人質はどうなるんですっ?!

ゴ: うむ、そうじゃった。。。 さすがだ、吉岡。刑事の鑑だな。
それじゃくるまやに行くのはガマンして団子は配達してもらうことにしよう、
三平ちゃんに。

吉: それにしても詳しいんですね、ゴリさん、柴又に。
何かこの土地に縁があるんですか?

ゴ: 縁もなにもここは俺の・・・・・フッ。(遠い目をしている模様)
故郷は遠きにありて想うもの・・・ってな。

吉: 柴又生まれだったんですか、ゴリさん?

ゴ: え、なんで?違うよ~。柴又が故郷じゃないよ。俺は生まれも育ちも
オホーツク海だ。

吉: どんなところなんですかっ?

ゴ: お前の生まれ故郷の阿寒湖と近いよな。

吉: 誰が阿寒湖生まれなんです?

ゴ: 隠したって無駄だよ、まりもくん。君のことなら俺はなんでも
お見通しなんだよ、言っとくけどぉ。

吉: 何も見通してないじゃないですか? 僕は阿寒湖出身じゃありません。

ゴ: すまんすまん、悪かった。摩周湖の間違いだった。ということは君は
マッシュ~・マリモくんだったんだね。

吉: ダブルで間違いです。摩周湖にマリモは生息していませんよ。

ゴ: ほらぁ~やっぱり阿寒湖出身なんじゃないかぁ。

吉: 違います。

ゴ: やっぱり摩周湖だろ? とぼけても無駄だよ。
「透明度100%の湖からやってきた透明度100%の君はレモンスカッシュ」
なんていうキャッチフレーズだってもっているくせに~。憎いねぇ。

吉: 勝手にキャッチフレーズなんか作らないでください。いいですか、ゴリさん、
何度も言っていますが僕は吉岡です。摩周湖でも阿寒湖出身でもなく、
ましてやマリモなんとかだねっとは違うんですよ。

ゴ: マリ~モアントワネットだと? フランス製だったのか? 

吉: 張り込みに戻ります。

ゴ: つれないな~吉岡~。お前もしや、

吉: なんですか?

ゴ: 素人だな。

吉: 一体僕に何を期待しているんですか、ゴリさん? ただの刑事ですよ、僕は。
とにかく人質の様子を確かめないと。ゴリさんの望遠鏡をお借りします。あっ!?

ゴ: なにを驚いている、タメゴロー?

吉: 望遠鏡の真ん前に立たないでください、ゴリさん。どいてください!
あっ!?

ゴ: 人質をみて驚いたようだな。まぁ無理もない。
あのうちひしがれたゴボウのような姿をした人質は紛れもなくゴボウだ。

吉: こんな時にふざけないでください、ゴリさん。あれは
マチャトンくんじゃないですかっ?! どうしてこんなところで
マチャトンくんが人質に? 

ゴ: アンドロメダからやっとのことで帰還してひと風呂浴びようとした矢先に
巻き込まれてしまった事件らしい。携帯でそう言っていたよ。だから僕たちと
一緒に帰ってくればよかったのにね~。

吉: とにかく一刻も早くマチャトンくんを救い出さないと。
のぼせてしまいます。

ゴ: 焦るな、吉岡。一刻も早く相棒を救いたい気持ちはよくわかる。
しかしな、こういうときは救う方の焦りが相手の命取りになりかねないんだ。
肝心なのは落ち着くことだ。

吉: わかりました、ゴリさん。でも

ゴ: 俺の話を聞け。俺はな、若い頃、その焦りで苦い思いをしたんだ。

吉: え?

ゴ: あれはまだ俺が犬ぞりチームのリーダー犬だった頃の話だ。
俺はリーダーとしてチームの勝利ばかりに気をとられていてな、先頭きって
ゴールをしたのはいいが、まだ勝利への焦りが完全に俺の気持ちからは
抜けきれていなかったんだな・・喉の乾きを癒そうと飲んだアイス緑茶が
青汁だったんだ・・・・・・苦かった・・・・すごく。。。あれ、吉岡くん、
どこいくの?

吉: マチャトンくんを救出にいきます。

ゴ: 待てといっているだろう、吉岡っ?!

吉: もうこれ以上待てません、救出します!

ゴ: お前にも危険が伴うんだぞっ!

吉: それは当たり前なことじゃないですか、ゴリさん。

時計の針は午後6時3分。
だいぶ日も暮れかかっている。
夕暮れの生ぬるい光が入り口のガラス戸を橙に染めている。
吉岡は慎重に、一歩一歩その引き戸に近づいていった。
拳銃はジャケットの内側のホルスターにしっかりと納まっている。
しかし吉岡はそれを決して使わないだろうことはよくわかっていた。
犯人だって人間だ。いや、カンガルーもいる。
傷つける権利は誰ももってはしないんだ。
ましてやたった今やってきた第三者である自分の立場なら尚更の事だろう。
例えそれが法という加護の下にあったとしてもだ。
そう心の中で呟くと、吉岡は引き戸に手を置いた。
一気に引くべきか、それとも音を立てぬように少しずつ引いていくか、
一瞬選択に悩んだが、一気に引くことにした。戸の真横に番台が見える。
あそこにすばやく潜り込めば万が一犯人が発砲しても被弾は免れるだろう。
ガラッ!
引き戸を開けた瞬時に吉岡は真横の番台の中にすばやく身を潜めた。
洗い場を背にして屈み込む形になっている。
犯人からの動きは何もない。が、ギシ、と板の間を踏む音が聞こえた。
リーダーか?
イチ、ニ、サン、と数を数えながら吉岡は自分の呼吸を整えていく。
ここからどう出て行く?
リーダーの位置は?
マチャトン君はどこにいる?
ギシ、ギシ、と床を踏み出す音が再びこちらに近づいてくる。
屈み込んだ体をひねって、吉岡は番台の陰から後方を覗き見た。
磨きぬかれた床の上に黒いブーツの足先がこちらを向いている。
リーダーだ。
間違いない。
カンガルーはブーツを履かない。

吉: 人質を解放しろ。

リ: そうはいかない。人質はわたしのものだからね。

どこかで聞いた声だな、と吉岡は思った。

吉: 要求は何だ?

リ: それは君が一番よくわかっていることだろう?

吉: どういうことだ?

リ: 私の要求は君だよ。君と討ち合うためににわざわざ
オーストラリア経由でここにやってきたんだからな。

吉: 俺が目的なら人質はもういらないだろう。解放しろ。

リ: いやまだだ。

吉: それなら部下だけでも全部表へ出せ。

リ: フ、よかろう。私も民主主義の生まれだ。公平に行こうじゃないか。
おい、野郎ども、ズラかるのだ!

「へい!」という掛け声に続き、床が大きく揺れ、
ビョンビョンビョンビョンという音が場内に響く。
カンガルーが一匹ずつ表へ出ていくのだろう。
一匹、二匹、三匹・・・・・・・・・二十五、二十六、二十七、

リ: グゥ~~~~~

今だ。
身を屈めたまますばやく番台から出た体を斜めに滑らす。
床を滑っていった吉岡の右足がリーダーのブーツを蹴り、
ドサっという音と共にリーダーが床に倒れた。
瞬時に立ち上がった吉岡はリーダーを片手で腹ばいに伏せ、
もう片方の手ですばやく後ろ手に手錠をかける。
リーダーを床に組み伏せたまま、部屋の中を見回した。
マチャトンの姿はどこにも見えない。
一体彼は無事なのか? 
不安からくる胃を締め付けられるような胸の痛みに、
吉岡は一瞬眉をひそめた。

マ: 吉岡く~~~~~~~んっ!

そのとき部屋の隅からマチャトンが飛びでてきた。ジャジャジャジャ~ン。

吉: マチャトンくん! 

安堵のため息と共に吉岡は組み伏せていたリーダーから手を離し
床から立ち上がった。

吉: 無事だったんだね。怪我は?

マ: 三時間も湯船につかっていたから紀文のはんぺんみたいにふやけちゃったけど、
でも大丈夫だ。君ならきっと助けに来てくれると思っていたよ。すまないね。
君に余計な危険を負わせてしまった。

吉: そんなことないよ。友達のためじゃないか。
さぁ、表でゴリさんも待ってる。行こうか。

マ: ・・・・・・・。

吉: さぁ、行こう。

マ: ・・・・・・・。

吉: どしたの?

マ: きゃ、

吉: え?

マ: きゃ、

吉: ?

マ: キャ~ラメルコ~~~ン ほっほっほほっほぉ~♪

吉: ???

マ: いや、つい。。。。気にしないでくれ。ちょっと疲れているんだ。

リ: お楽しみはそこまでだ!

突然の声に驚いた吉岡とマチャトンが背後を振り返ると、
そこには捕らえたはずのリーダーが銃をこちらに向けて立っていた。
その姿は紛れもなく、

吉&マ: デスラーッ?!

リ: ハッハッハッハ。 忍法手錠抜けの術。こうみえても私は、
知恵の輪・デミラス星歴代チャンピオンなんだ。
お久しぶりだね、ヤマトの諸君。僕を残してさっさと地球に帰ってしまうなんて
つれないんじゃなくて?

吉: デスラー、僕らに何の用があるというんだ? 
決着はあの時あの場で済んだはずだぞ。

デ(に変更): あれはふいの番狂わせだったのだ、吉岡。わたしはあの時
うっかり八兵衛だった。でも今日は大丈夫だ、これを見よ。らっぱのマークの
正露丸。これがあればもう大丈夫だ。さぁ、真の決着の時が来た。その前に、
邪魔者は先に片付ける。マチャトンくん、さらばだ。

一瞬の光線がデスラーの持つ銃口からマチャトンに向かって放たれた。
咄嗟にマチャトンを床に伏せさせた吉岡は、すばやく
自身の体を半回転させながら起き上った勢いを使って
右手でデスラーの握っている銃を掴み取り宙に投げ出す。
その時微かな銃声をもう一度聞いたような気がしたが、
錯覚だったのだろう。気付くとデスラーは吉岡によって
再び床に組み伏せられていた。
一瞬だった。
全てが一瞬のうちに起こったことだった。
そして引き戸が開き、機動隊が突入してきた。
デスラーが機動隊員の手によって表に連行されていく。

デ: これが最後と思うなかれ、ヤマトの諸君。私は必ずやまた戻ってくる。
ふぅわっはっはっは~ わぁ~っはっはっはっは~ どぅわぁ~っはっはっは~
あ、顎が外れちゃった~。

ゴ: 懲りない奴だ、デスラーめ。 おい、二人とも大丈夫か?

吉: はい、大丈夫です。マチャトンくん、大丈夫?

マ: ああ。大丈夫だ。また君に助けてもらった。なんと礼を言った・・・

そこでマチャトンの言葉はふつりと途切れた。
凍りついたように吉岡を凝視している。

吉: ?

マ: 吉岡君・・・・・

吉: どうしたの?

マ: 吉岡くんっ?!

吉: ??

マ: 血がっ!!!!

吉: え?

放心したように自分を見つめているマチャトンの視線を辿ると、
自分の左肩が目に入った。
大量の血がそこから溢れ出ている。
撃たれたんだ。
とその時初めて吉岡は気付いた。

ゴ: きぃやぁああああ~~~~~~~~~~~~っ! (クラ~~~)

マ: ゴリさんが倒れてどうするんですかっ?!しっかりして下さい!
吉岡君っ、今僕が君を病院に運んでいく!

我に返ったマチャトンが吉岡の肩を取る。

吉: 大丈夫。自分で歩ける。

その声がどこか遥かに聞こえる雷鳴のように自分の鼓膜の中に響いている。
と急に全ての力が体から抜けた。
それは一瞬だったのだろうが、
吉岡は自分の体が真っ白い淵の中にゆっくりと落ちていく感覚に
ただ身を委ねるしかなかった。
落ちていく。
最後の意識の糸が切れる直前に、
吉岡は確かにそう呟いた自分の声を聞いた。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メチエ 

2008年08月23日 | 思うコト


満男くんは別格として、
ルート先生は歴代Made in 吉岡の中でも、
パンパカパ~ンとファンファーレ、カパッとクス玉割れて
「素晴らしすぎるで賞」
という垂れ幕がひらり~んと頭上に舞い降りてくるよな
そりゃ~もうワ~ンダホ~でっせ~そこの奥さん、うきゃぁ~ん!
な人物だと至極個人的に思うとります昨今、
残暑お見舞い申し上げまする。

いや~、それにしてもまだまだ暑いですねぇ。
こうも暑いと暑さしのぎにちょっくら怪談の一つでも
読んでみたい気にもなりますわね。
怪談といえばちびっ子の頃、友から「絶対読んでっ、怖いから!」
という熱意の言葉に負けて読んだ「水木しげる・妖怪事典」みたいな
タイトルの本の中に「あずきばばあ」という妖怪が載っていて、
その妖怪はどんなものかとその本にあった解説通りに説明すると、
夜遅くに川辺を歩いているとどこからともなく
シャカシャカチャカチャカチャカカ~ンだよ、シャウトだベイベ~! 
ってアメリカンシンガーの名前になっちゃった。
そうではなくてですね、どこからともなく、
シャカシャカシャカシャカと音がするので、
恐る恐るその音が聞こえてくる方角に行ってみるとそこには、
川辺でシャカシャカあずきを洗っている老婆の後ろ姿が。(おぉ)
シャカシャカシャカシャカと一心不乱にあずきを磨ぎ続ける老婆。(おわぁ~)
とその老婆は急に後ろを振り返って、(ひょは~っ)
「一生シャカシャカ。」
と言うんだそうな。 完。
完なのね。
なるほど。
怖いのだろうか、これ?
自分の読解力が欠けているのかもしれないと思い
更にその後5回も読み返したもののやはり
おぉ→おわぁ~→ひょは~っ→なるほど。 
となってしまう。これは同じ「かいだん」でも怪談というより
階段落ちに似たギャグ落としなのではないのだろうか?
というかこれのどこが妖怪なのだろう?
もしかしたらそれはその川の近所に住んでいる、
夜中にあずきを洗うのが好きな働き者の
小豆とぐさん89歳とかかもしれないじゃん。
などと思っていたあの頃の自分の記憶が蘇ってきたでございます。
可愛くないちびっ子だった。。。。。
というより、はて私は何を書こうとしていたのかしらん?
あ、そだ、ルート先生は素晴らしいよね、そうだよね!
ということを今日は書こうと思っていたのでぃした。ふふ~♪
何故に今頃またルート先生の話題なの?
と思われる方もいらっしゃるかもしりません。なので理由を説明すると、
ただの発作。ということでありますだ~。
だってルート先生ってば「とことんぶらぼ~てんこ盛り~」、
略して「とことん盛りだぜ一丁ありぃ~~!」でごぜいますだ。
(↑略すどころか追加字されているのは何故なのだろう?)

とにかくなんてたって私にとっての「数学」とは、
もうその言葉を耳にしただけで、
思わずその場で頭を丸めて出家したくなってしまうほど、
できれば結婚を前提にしなくとも交際をお断りしたい! 
というサブジェクトにもかかわらず、
私にとってのルート先生は、もうその言葉を耳にしただけで、
思わずその場で「きゃぃ~ん!」と叫ばせながら
そこらにある壁に向かって突っ張りを繰し返し、
「とうとうイカれてしまった・・・。」
と家族を本気で心配させてしまうほどの魅力の持ち主。むふ。

なんてたって「ルート」という名前だぜよ、ハレル~ヤ。
これがもうぴったんこずら。
これ以外の名前は考えられないほど
全身ルート使用でごぜいますだば、吉岡くん。
もしこれが、
「君は今日からシグマくんだ。」
とか
「君は今日から部分積分くんだ。」
とかだったら話もネグセもだいぶ違ってきたのだろうけど
そんなことはどうでもよいのだったわ、とにかくルート先生は、
ほんまにずずずい~っとどこからどこまでも、
ルート。
名前に全く無理がな~い。
のは、
演技に全く無理がな~い。
それは、
吉岡くんったら名優だわ!
ヨ~ロヨ~ロヨ~ロヨ~ロヨ~ロレイッヒー♪
だからなのだと思う。
まいっちゃうわね、ヒデちゃんったら、申し分なくてよ、うふふん。
それに、
形状記憶合金成分が配合されているのではないだろうか?
と思われる程に強力な勢いで撥ねている
あの前代未聞のネグセヘアーはきっと、
「ニッポン全国ねぐせお悩み協会」の人々に
希望の光を与えたと思うし、
ルート先生は洋服のサイズの選び方を知らないのだわ、
と母性本能をくすぐりまくって、
うふ、うふふふ、うふふふ~ん、ジョワッ!
とさせてしまうあのブカブカブレザー姿はやはり、
「ニッポン全国ブカブカ連合会」のみなさんに
明日への指針を与えたと思う。
そういえばその昔、一矢くんはシャツの着方を知らなかったけど、
やはりブカブカ~ンなサイズのシャツを着用してはだけていたわ。
ごっつぁんです。
それに純君も大きめのシャツを好んで着ていたような記憶があるし、
茶川さんなんてブカブカ~なスーツを着て果てしなくヨレヨレ~ンとなっていた。
ということは、吉岡君はブカブカっち~、要するにぶっち~くんなのだろうか? 
ブッチャーなら知ってるけど、ぶっち~とは初耳だ。いやまてよ、
コトー先生の上京キメキメスーツは細身のきっちりスーツだったわ。
あの姿はほんまに何度見ても・・・・・・・・・吉岡君ばんざーーいっ!!!
あ、話がズレてしもうた。そうそうということはですね、吉岡君はまぎれもなく
ぱんぱかぱ~ん、カパッ!
「なんでもござれいで賞」
垂れ幕ヒラ~リ。
なのだわ、すごいで賞! んもうこれだから吉岡君ったら、
魅力に切れ間がないのよ~。たまらんじぇ。むはぁで賞。

以前にも書いたかもしれないけれど(←覚えてないらしい)
このルート先生役は、ほんっとーに難しかったと思うです。

なんてたって数学という材料でのほぼ一人芝居でもって
観客をひっぱっていかねばならんという、星飛雄馬も
大リーグ矯正ベルトを投げ出して逃げ出してしまうこと
間違いなしの大試練の道。
しかしそれを立派に歩き抜いてくれたのが吉岡くんなのだ。
さすがだぜよ、吉岡くん。
吉岡ルート先生がいなければ、この映画は成り立たなかった
といっても過言ではないと思うでありまするだ。
結果で勝負のヒデタカ。
くぅ、たまらんでねぇですかい。
惚れるじゃねぇ~かぁ~、吉岡く~んよぉ~。
惚れれるけどぉ、とことん。

この大人になったルート先生の存在が、そのまま博士と母親、
そしてチビルートくんの辿ってきた人生の集大成なのであり、
それらすべての要素が吉岡君の演じるルート先生の一つ一つの
仕草に、表情に、気配に詩的なくらいに反映されているから、
この話がはじめて美しく成立してくるのだと、そう思うでありますだ。

ルート先生は紛れもなくこの話の語り部であり、
軽やかなリズムでストーリーに色彩を与えている指揮者であり、
隠れた宝石を沢山内包している真の宝箱なのであり、そして
観客を対岸の川岸まで無事に届ける立派な船頭さんなのだと思うわけで。

「数学の授業」という無味乾燥になりがちな題材で、
カメラアングルはほぼ正面撮りのほぼ一人芝居だけで、
あくまでも出すぎず、絶妙なバランスを維持しながら
最初から最後まで完璧なストーリーテラーとして
見事にルート先生をスクリーンに生み出した吉岡君は、
もう文句なしに素晴らしいと思うでありまするだ。

「ありえないくらい緊張した。」
とこの撮影について後述していた吉岡君だけれど、
しかしそんな緊張感は見ているこちら側には
微塵も伝わってこないでありまする。
おおらかに、のびやかに、まるで夏空のように晴れ渡ったルート先生。
まっさらに、嫌味なく、数学をいう世界を通して
真の愛情とは何なのかを生き生きと伝えてくるルート先生。
そんなルート先生だからこそ観客は「安心して」
自分の気持ちをストレートにルート先生に託せるわけで、
そして「小難しい数学」という枠をすっぽり外して彼の持つ世界、
すなわちこの映画の世界の中にすっと入り込んでいけるのではないのかと。

これが名優の為せる業ってやつでごわすわね、マドモゼ~ル。

素晴らしい。
何て素晴らしき世界なのだ、吉岡君よっ。
金メダルを1ダース箱に詰めてお中元の熨斗をつけてお送りしたい!
忘れないうちに金メダル1ダース箱に詰めたお歳暮も一緒に送って、
ついでに福引券もつけておこう。
んもうっ、吉岡君ったら、と~~~れびあ~~~~~~~~ん!

吉岡君の演じている姿を見るとき決まって何時も、
「吉岡くんは流れを組んでいるんだな~。」と、
そう思うであります。
幼少の頃から身近に見て共に演じてきた名役者さんたちの
流れを受け継いでいる、という感じがすごくするです。
それは技術的なことというよりも、伝えていく意志というものを
しっかりと受け継いでいる、という強さが感じられるとですばい。
もしかしたら吉岡くんはその意志を継いでいく使命を持って
この世に生まれてきたのかな。いやその意志を担うように生まれてきた人は
他にも沢山いたのかもしれない。でもそれを背負っていけたのが
吉岡くんだけだったのかもしれないですだ。
役者であるということは、人生を真摯に生きること。
という名役者さんたちの意志の流れをしっかりと
受け継いでいるような気がとてもするとです。

吉岡くんは決して「流行」でも「現象」でもなく、
一人の役者なんだということ。
今、ドラマや映画でよく見かける他の俳優さんたちの存在に比べると、
吉岡君にはどこか「ズレ」を感じる人もいるかもしれないですだ。
でもその「ズレ」の感覚は一体どこからくるのだろう?
もしかしたらそのズレは、
私生活を切り売りしながら芸能界に生きている人と、
普通の生活を大切に守りながら生きている吉岡君との間に感じる
「ズレ」なのかもしれない。
でもそれってどちらがズレているんだろう?
どちらが私たちの生活からズレているのだろう? 
そんなことに答えなんかきっとないのだろうけど、
でもきっと想像もつかないくらいの辛い時期を
逃げずにしっかりと受け止めてきたからこそ存在している
現在の吉岡くんだからこそ、
その彼が求めて決める選択だからこそ、
これからもそれを支持していきたいな~と思うでごわすです。

人生は大げさなものではないということ。
大げさではないけれど、一つ一つが大切なんだということ。
彼の姿を見ているといつもそう感じるし、
だからこそその姿を見ることで、
心が癒され、そして元気が出てくるでありますです。

よく周りの人から
「吉岡くんのファンになったきっかけって何なの?」
と聞かれるのでありますが、
その一瞬のきっかけは確かにあったとです。
でもよくよく想いを馳せればそのはじまりは、

そこに吉岡くんがいたからだと。
スクリーンの中に吉岡くんがいたから。
ただそれだけだったのだと。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

吉岡刑事物語 その7

2008年08月14日 | もしものコーナー 吉岡刑事物語
今日も朝から曇り空だった。
地上全ての呼吸を吸い込んだ空は
鈍色に淀んで膨らみ、
その鬱蒼とした重みに耐えている。
けれども、
ほら、
よく見てごらん、
“それ”はじんわりと、
気だるく緩慢な速度でもって、
全ての空間を蝕むかのように、
圧倒的な憂鬱さでもって、
僕らを鬱閉しながら
“ここ”に、
舞い戻らせているんだ。
そんな空だ。
そんな空なんだ、
この空は。
どこにも行き場はなく、
どこにも留まる場所もない。
ただ無造作に切り取られた感情の一辺が・・・


マ: 吉岡君?

吉: え? あぁ、マチャトン君、いつの間に戻ってきてたの?

マ: 6時間38分21秒前からずっと君の隣にいたよ。

吉: ごめん・・・・気付かなかった・・・。

マ: いいよ、そんなことには・・・もう慣れたから。それより大丈夫か?
また思いつめたような顔をしていたよ。

吉: ・・・・そ、そうだったかな?

マ: ああ。。。。 君は・・・・・時々ふっと透明になるんだ。
急にすっと全てが透き通ってしまう感じがして僕は・・・

吉: ?

マ: きゅい。

吉: え?

マ: いや・・・気にしないでくれ。 ま、こんな陰気な星で
半年も休む暇なき見張り捜査を電柱の影からしていれば、
誰でも気は滅入るってもんだよな。ほら、ランチを買ってきた。
もう夕食になっちゃったけどな。まぁ、いいかそんなことは。いつものことだし。
とにかく一緒に食べよう。

吉: マチャトンくん、

マ: なんだい?

吉: いつもありがとう。

マ: ・・・・・・・・。

吉: いただきます。

マ: ・・・・・・・。

吉: 食べないの、マチャトンくん?

マ: きっ

吉: え?

マ: きっ

吉: ?

マ: きぃ~ざくらぁ~~~~ドンッ! かっぱっぱ~るんぱっぱぁ~♪

吉: ???

マ: きっ気にするなよぉ~そんなことぉ~、吉岡君ったらぁ~!
(バシッ!←相棒の肩を叩いたらしい)あ、あんぱんが地面に落ちちゃったね。
いいよいいよ、僕のと半分コしよ~。え? え~~んりょなんてするなよぉ~、
相棒じゃないかぁ、僕たちぃ~。 あんぱんも分け合うあんぱん仲だよね~♪
水臭いなぁ~もぉ~。ハッ

お酒はぬるめの~燗がいい~♪

吉: もしもし?

マ: 気にしないでくれ、先ほどの僕の言動は。

ブチッ。ツーツーツーツー。

吉: ・・・・・・・・・・。

ゴ: おい。

吉&マ:え? わぁあああ~~~~~?!

ゴ: 何をそんなに驚いている、お前達? 

吉: 100㍍も後方から伸びてきた手でいきなり肩を叩かれれば
誰だって驚きます!

ゴ: シッ、大声を出すなっ! ホシに感づかれたらどうするんだ?

吉: そんな格好をしているゴリさんこそホシにバレバレですよ。なんで
ロボコンの格好をしているんですか?? 

ゴ: ロボコンじゃなくちゃこんな離れた所からお前の肩に手を乗せられないだろう? 
どうだ、こ~んなに伸びるんだよ~、ロボコンの腕~。便利だよね~。
これでロビンちゃんがいれば申し分ないんだけどな~。それに言っておくがな、
俺は98㍍後方から手を伸ばしているんだ。100㍍も伸びた腕だなんて
俺は化け物かっ?! おいっ、どこへ行くっ、お前達っ?!

マ: 帰るんですよ、署に。

ゴ: 帰っても無駄だぞ。

マ: なんでですか?

ゴ: 5時に門が閉まっちゃうんだよ、アンドロメダ署は。
(ニュィ~~~~ン ← 近寄ってきたらしい)
しかしな、俺たちはあくまでも七曲署のデカだ。
アンドロメダ署のルールに屈するわけにはいかん。
俺たちには俺たちのやり方で金メダルを獲る。いいな?

吉: そのロボコンの格好が七曲署のやり方なんですか?

ゴ: フッ、いいか、よく聞けよ、そこのニョロニョロ~ズ。何も俺は
すき好んでわざわざオークションで落札したこのロボコンスーツを着込んで
自慢している訳じゃないんだぞ。こんな格好をしているのもな、全ては
捜査のためだ。ホシの目を引かないための苦肉の策なんだ。一体どこの誰が
ロボコンが実は優秀なデカだと思う? 誰も思わないだろう?
これが正真正銘のロボコップなんだぜ。どうだ、羨ましいだろう? 
おいっ、どこへ行くっ?!

吉: 他の場所から張り込みを続けます。

ゴ: 待てよ、チッチとサリー。
その前に何か俺に言っておきたいことがあるだろう?

吉: 何もありません。

ゴ: とぼけたって無駄だぞぉ~。いいかお前ら、なんで二人して
お揃いちっくなスーツを着ているんだ? 狩人なのかい君たち? まさか
8時ちょうどのあずさ2号で駆け落ちするつもりじゃないだろうな?

マ: っそれは・・

吉: なんで二人で駆け落ちしなくちゃならないんですか? 

マ: えっ?!

吉: スーツが一緒なのは単なる偶然の一致です。

マ: ええっ?!

吉: それに僕はこの一着しか持っていないんですよ。

マ:(フラ~~~~~)

ゴ: それならこの特注ロボコンスーツを貸してやろう。きっと似合うと思う。

吉: もう捜査に戻ります。さ、行こう、マチャトンくん。あれ、どうしたの、
そんなにうちひしがれて? なにかあったの? 顔色が悪いよ。

ゴ: そんなことはどうでもいい。俺の話はまだ終わっておらんぞ。

吉: まだ何かおありなんですか?

ゴ: そうだ、大有りだ。お前たち半年もの間コンビを組んでいるというのに、
未だに本名で呼び合っているとは一体どういうことだ? ニックネームなしで
捜査をつづけているとは、恥を知れ、ヤン坊マー坊よ。明日の天気は晴れか?

吉: 既にそうやって僕らのニックネームを付けてるじゃないですか?

ゴ: いいか、吉岡、よく聞け。僕の名前はヤン坊、僕の名前はマー坊、
即ち二人揃ってヤンマーだ、とはいい度胸をしているな。

吉: ・・・・・・?

ゴ: ヤンマー!とはっきりそう言いたいのなら、ちまちまと坊などつけずに、
僕の名前はヤン! 僕の名前はマー! とか、
僕の名前はヤ! 僕の名前はンマー! とか、
僕の名前はヤンマ! 僕の名前は ー! のほうが
潔くていいと思うんだよ、僕としては~。 おいっ、待てと言っておるだろう!

吉: ゴリさんのたわ言に付き合っている暇は僕らにはありません。

ゴ: いいから待たれい、そこの若侍。この際ここですっきりはっきり
させようじゃないか。まずはマチャトンからニックネームをつけよう。
お前の名前は確かマチャトン堺だったな。それならマチャトン、
お前のニックネームはマチャだ。そして吉岡、お前のフルネームは何だった?

吉: ヨシオカヒデタカです。

ゴ: うむ。 それならお前はミッフィーだ。

吉: どうしてそうな・・、

マ: ちょっと待ってくださいっ、ゴリさん! 
吉岡君がミッフィーだなんて、どういうことですかっ?!
吉岡君はミッフィーなんかじゃありませんよっ、
オバQの弟のO次郎です!

吉: っ?

ゴ: それではお前はテキサス出身のドロンパだというのか? 
おのれ~いいところをとりやがったな~。くそ~、それなら仕方あるまい、
俺はQ太郎で手を打ってやろうじゃないか。でもな吉岡、俺は・・・・・

吉: ・・なんですか?

ゴ: 俺はな・・・・だけど・・・・

吉: だけどどうしたんです?

ゴ: 犬にはとっても弱いんだってさ。

吉: いい加減にしてくださいゴリさんっ、僕はっ

ゴ: バケラッタ。

マ: ふざけないでください、ゴリさん。吉岡君はしばわんこじゃないですよ、
白い手乗り文鳥です!

ゴ: えっ、そうだったのかいっ?! なんてらぶり~なんだ。

吉: いい加減にしてください、二人とも!

マ: ハッ

吉: 僕はミッフィーでもO次郎でもしばわんこでも白い手乗り文鳥でもありません。
吉岡です。

ゴ: え・・・・・ネス湖のネッシーの曾孫ヨッシーだったとは・・・。 
どうりであまり地上に姿を現さないと思ったんだ。。。ん、何を泣いている?

吉: 泣かずにはいられません。。。

や~るな~らい~まし~かねぇ~♪

マ: あっ、あそこで空中を飛びながら歌を口ずさんでいるのは?!

ゴ: 鳥か? 

マ: 飛行機か?

ゴ: いやよく見ろ、伝書鳩だぞ! しかもただの伝書ハトじゃない!!!

吉: 父さん!?

ゴ: おやっさん!!!

パタ。(←息子の肩の上に止まったらしい。)

鳩: 純くん、ガンビで火をつけられるようになったんですか?

吉: え?

鳩: 火がつけられないならもういい。さぁ、食え。

吉: え、でも・・・

ゴ: おやっさん、いくらなんでもそんなに沢山のかぼちゃを・・・

マ: 生のまま食べさせるのはちょと・・・

鳩: 子供がまだ食べてる途中でしょうがぁ!

吉: 父さん、僕はずっと言いたかったことが・・・

鳩: ルルルルル~。

吉: 父さん・・

鳩: 列車が来た。 帰りは一昼夜かけてこの夜行で富良野に戻る。
夜通しかぼちゃを抱えて飛んできたんだ。疲れました、父さんは。

吉: 父さん、

トゥルルルル~。
列車のドアが閉まりま~す。


鳩: 元気でな。

吉: 父さん、

鳩: 純、しっかりやれよ。

吉: 父さん、

列車が発車しま~す。


鳩: じゅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!

吉: 父さん、僕は、

鳩: あ、伝言を渡すのを忘れちまった~!これがそのメモだ~! 
列車の窓から投げるから受け取れ~じゅ~~~~~ん! シュピッ!

吉: 無事に受け取りました! でも父さんっ、

鳩: じゅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!!!

吉: 父さんっ!

鳩: いつでも富良野に戻ってこぉ~~いっ、じゅ~~~~~~ん!

吉: 僕は純ではありません!

鳩: えぇぇ~~~~~~~~~~~~~?

そして列車は夜空へと消えていった・・・・。
一人ホームに立ち尽くす吉岡刑事。

ゴ: 吉岡・・・。(ポン ← 肩に手を乗せたらしい)

吉: ・・・・・・・・・・・。

ゴ:(ニュィ~~~~~~~ン ←近づいたらしい。)

マ: 元気を出して、吉岡君。いつも傍に僕が、いや、
僕と不服だろうがゴリさんがいるじゃないか。

吉: ・・・・・・・。

ゴ: どうした吉岡?

マ: 吉岡君、この際だから携帯なしで言うが、僕は君と・・・・・
できることなら君とお友達になりた・・

吉: ゴリさん?

ゴ: どうした?

吉: 父さんから渡された伝言メモに・・・・

ゴ: ん?

吉: 「捜査の場所はアンドロメダではなく柴又だ、間違えるな、ボケ。」
と書いてあります。

マ: えっ?!

ゴ: そうか・・・。どうりで残業代が出ないはずだ・・・。 ま、
すんじゃったことだしね~、気にするなよぉ~二人とも。ささ、
そうときまったら地球に帰ろうね~。

吉: え、でも地球への最終列車はたった今・・・

マ: 出てしまいましたよ?

ゴ: 列車なんかに頼れるか、ばかもん。俺たちはな、燃える男の~ 
赤いトラクタ~♪

吉: 何を言っているんですか?

ゴ: それがお前~だぜ~♪

吉: は?

ゴ: これに乗って飛ばすんだ! 乗れよ、風に吹かれようぜ。

吉: 何で急に片岡義男口調になっているんですか?

ゴ: つべこべ言うと置いてっちゃうよ! 早く乗りなさい!
シートベルトはつけたね? さぁ出発~~~~~っ!!!

ぶぅぃいいいいいいいいい~~~~~~~ん。

ゴ: さらばだ、アンドロメダ星よ。宇宙から見るこの星は、
意外ときれいだったんだな・・・・。あ、しまった~。

吉: どうしたんです?

ゴ: マチャトンを乗せるのを忘れてしまった。

吉: えっ?!

ゴ: ま、いっか~。

マ: 吉岡くーーーーーーん!!!

ゴ: あんなに姿がちっちゃくなっても叫んでるぞ、マチャトンのやつ。

マ: 吉岡く~ん、帰るのか、島に?!

吉: ・・・・・・・・・・・・・はい。

マ: 君と友達になりたかったぁ~~~~~~~~~~~っ!!!!!

ゴ: 希望は捨てるなよーっ、マチャトン! また会う日まで~!!!


そして銀河へと旅立っていった赤いトラクター。
それがお前だぜ。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

旅ぃ~行けぇ~ばぁ~ 3

2008年08月13日 | たびたび旅篇

そうだ私はマリーンギャルになろう。

と何の前後の脈略もなしに唐突にそう決めた私はその朝、
太平洋を遥か水平線まで見渡すホテルのバルコニーに立ち、
小林麻美をはんぺんにして煮すぎてしまったような面構えを斜に構えながら
コーヒーを飲んでい・・・げはぁーーーーーーーーーーーーーっ?!
コーシーは飲めないと口を邦衛にして何度も言ったろがーっ!
何で私のカップにまでコーシーを注ぐのだ、え、ジャイアンよ!?
まったくもぅ、隙もへったくれもありゃしないわ。ん? そういえば
隙という言葉の意味はわかるけど、へったくれって一体どんな意味なのかしら? 
へったくれ? 
ヘッタ・クレさんという人が過去に存在していたのだろうか?
それとも、「へ、ったく~、レだよな、最近はよぉ~。」という
「レレレのおじさんのレ語」のヤング荒波語なのだろうか?
ふ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~む・・・・・・・・・・・・あ、
何の話をしていたのかしら? 
そうだ、そうだわ、マリーンギャルになる決意をした話だったわね。
そうなのだっ!!!
私はマリーンギャルになる。
この旅先で眺めた北カリフォルニアの海を目の前にして、
理由もなく私はそう決めたのだ。人はそれを「思いつき」というかもしれない。
しかしそんなことは別にいいのだ。そもそも理由なんて
自分の行動を納得させたいが為に後付けされる影絵みたいなものなのよっ。
とにかく今日から私はマリーンギャルなのだ。
ハイビスカス模様のビキニなんかを着て砂浜を颯爽と駆け抜け、
たまには思い出したようにサーフィンなんかもしちゃうかもしれない。
お腹のたるみはこの際無視できないほどたるんでいるけどせっかくだから
この際無視しよう。え、なんですの、ジャイアン?北カリフォルニアの海は
寒流だからアホ以外は泳げない?

ぬわぁんですってぇええええええーーーーーーーーーーーーーっ?!

アホになるわけにはいかないわ、これ以上。
何事も事を成すというのは至難の技なのね、うぅ・・ハッ!
ビーチでビキニになれないですって?! それでは私は
これからどうすればいいのっ? このお腹の脂肪はどうすればいいのっ?!
誰か責任とって頂戴!!! 
と海に叫んでも仕方がないので、
やむを得ずカヤックに挑戦することにしたあたくし。フ、
これで私も立派なカヤック・クィーン。
とレンタルカヤック店に到着する前からそう決めた私ときたらなんていう
意思の堅さの持ち主なのかしら。自分でも呆れちゃうわ。ワイルドだわね。
そんな私のことを人は密かにワイルド・キャッツと呼ぶかもしれない。フッ。
照れるじゃないか。

などと思っているうちにレンタルカヤック店に到着した私とジャイアンは、
レンタル契約書類にささっとサインをした後、ロッカールームへと行き、
そこで華麗なるカヤックスタイルにチェンジ開始!
そうそうカヤックといえばヤッケよね、青色だけどまぁそれもマリンだから
OKってとこかしら、それからズボンね、ん?ちょっとブカブカの
防水加工がついたスキーパンツみたいだけどこれはサーフアンドスノーで
ユーミンチックってとこなのかしら?それと一番大事なのはこれ、
ライフジャケットよね。ふむ、なんだか使い古した防弾チョッキみたいだけど
色はオレンジなのよね、ま、今日のラッキーカラーはオレンジなのかもしれない。
これを装着してこれで準備万端だわっ。鏡に映った私はまるで、
「オ~ラ~イ、オ~ラ~イ、工事中だからね~片側通行だけだよ~」
って夜間交通整理のオバちゃんかよっ?!
おかしい。
華麗なるカヤック・クィーンになるはずが、何故に交通整理のオバちゃんに?!
これは何かの陰謀なのかもしれない。油断は禁物だわ。
張り詰めた緊張の中、私とジャイアンは浜辺へゴー。
そこで待っていたのはアルバイトオーラばりばりのインストラクター。
私の姿を一目見るや否や、「ニホンジンてすか~? ニホンジンてすね~。
ボクニホンにスンデタことアッタから~ニホンゴバッチリすごいよね~。
ニホンダイスキ。ナットーもOK。ボクはデビトといいます。ヨロシク。」
デビト?
デイビットの間違いなのではないだろうか? 
とは思ったものの彼の気持ちを傷つけなくはないので
発音の訂正はしないでおいた。大和撫子なら当然とる処置だろう。

カヤックで海へと出る前に、きっとハードなカヤックレッスンをするに
違いないと思っていたのにそれはたったの三分で終わってしまった。
デビトはただのカヤック立ち話解説員なだけらしい。
しつこく怪しいニホンゴを話しかけてくるデビトに別れを告げ、
私とジャイアンはいざカヤックで海洋へ。

オールを漕ぐごとに深まる海の色。
遥か彼方に広がる水平線。 
どこまでも果てしなく広がる青い海。
素晴らしい!
なんて素晴らしい開放感なのかしら~!
と思ったらオールが巨大ワカメ軍団に絡まってしまった。
ひゃぁ~~~~どないしょ~~~~~~~、にっちもさっちもブルドッグ~
わぉ!!!
なんて歌っている場合じゃないんだったわ。
なんとかしてこのワカメ軍団から脱出しなくては。
いや、待てよ、パニクッてしまうのはよくないのだ。
ピンチのときこそ冷静にならなくては。そうだ、ここは冷静に。
冷静に呼吸を整えて海面を見つめ・・・・・ってなにこれ、え?
だひゃァ~~~~~~!!!!!生命維持装置を外したダースベーダーが
海中真下から私を見つめてるぅぅうううううわぁあああーーーーーっ!!!
ばっちり目が合っちゃったわぁーーーーーーー、You are not my father~~~!
すごい勢いでオールを漕いでその場から脱出した私は
北京にいたらカヤック競争金メダル獲得間違いなしだったと思う。惜しいことをしてしまった。。。
ってそんなことよりなんでダースベーダーが海中にっ?! 
と思ったのもつかの間、再び背後に視線を感じて振り向くと
またもやダースベーダーがぁ~~っ、今度は礼儀正しく海面上に顔を出して
こんにちは~!!!
しかもさっきよりちょっと成長してるわっ! 
きぃゃぁ~~~~~~~~~~~助けてぇ~~~~~~~~~~って
よく見たらそれはアザラシくんだった。。。
人騒がせな。
こんなところで顔を出すんじゃなくってよっ! とっとと海にお帰り!
ってここは海だったわ。
そうよ私は海の上にいるのよ~。
ワカメ軍団とアザラシベーダーに気をとられて
すっかり気を取り乱してしまったわ、あたくしとしたことが。
でもそのお陰でワカメデンジャラスゾ~ンから脱出できたし、
めでたしめでたし。

それにしてもなんて透明度の高い海なのかしら~。素晴らしいわぁ~。
しばらく波に揺られていよう~っと。
見上げるとどこまでも高く澄み渡った空。
髪をやさしく撫でていく海風。
私を囲む海面はユラユラとピンクに凪いでいる。
綺麗だわ。
でもなんで海の色がピンクなのかしら?
どうしてなのかしら~?
どうしてここだけ・・・・・・・・・・ってクラゲだっはぁああーーっ!!!
いつの間に巨大ピンククラゲたちに囲まれていたのかしらぁっ?!
一匹ならまだしもこんなに沢山うようよ~んしてるなんて怖いじゃないかぁ~。
しかもスーパーサイズなのよぉおおおおおおおお。
ここから動きようにも漕いだらオールが君たちにぶつかっちゃうじゃないか!
どないせばええんじゃっ?!
とうろたえているうちにいつの間にかクラゲくんたちのほうでどいてくれた。
フッ。危なかったぜ、クラゲ一味。
なめんなよ。

そうこうしているうちに我がカヤックはまたしてもワカメ水域に突入。
しかし慌てるなかれ。
私はこの海で何度も危機を乗り越えてきた今や海上自衛隊員なのだ。
ワカメ水域なんてへっちゃらなのよ。
わ~かめ わ~かめ すきすき~ わ~かめ わ~かめ すきすき~♪
どう? 余裕の鼻歌交じりでカヤックを漕いでるのよ。
ワ~カメ ワ~カメ スキスキ~ ワ~カメ ワ~カメ スキスキ~♪
今度はカタカナで歌ってみました。
しかし私のカヤックは何か目に見えない力によって、ある物体へと
どんどんどんどん引き寄せられていきコントロール不可能に。。。
一体そこにぽわんと浮かんでいる物体は何なのだ? 
どんどん近づいていっちゃうわぁ~~~。
ひょぇぇ~~~~~~~~~~~~~~~~。
だめよ、落ち着いて。落ち着くのよ。
若芽~ 若芽~ 好き好き~ 若芽~ 若芽~ 好き好・・・・・・・・吉岡くんっ?!
こんなところに吉岡くんがぁ~~~~っ?!!!!!
吉岡くんが私をここに引き寄せてくれてたのねーっ!
運命のめぐり合わせだわっ、吉岡く~~~~~~~~~~~~んっ!!!
と思ったらラッコだったわ。
危なかったぁ。
すんでのところでさらってしまうところだった。。。
危機一髪だったわね、ヒデラッコ。
ってカヤックが止まらないのよー。このままいくとぶつかっちゃうのよーっ!
なんでラブリーな顔をしたままこっちを見つめてるのっ? 危険なのよっ!
わかってるのっ? どかなきゃだめよーっ、ヒデラッコーッ!!!
とその時、ヒデラッコは左手をシュタッと挙げて、
「やぁ!」
と私に挨拶したのだった。
確かにそう挨拶したのだ。
この目で見たのだから確かなのだ。
そしてそのままヒデラッコは海に潜って去ってしまった。

さよなら、ヒデラッコ。
ひとときの友情をありがとう。
君のことは一生忘れないよ。

ヒデラッコとの友情を胸にしまい込みながら浜辺へと戻った私は、
さっそくその話をジャイアンに言うと彼は、
「それはそのラッコが、“止まらんかいおらぁ~!”
って伝えようとしたサインだと思う。」
と言及。
フッ、
こりだからアメリカンはよ~。

私は信じる。
あの時確かにヒデラッコは「やぁ!」と私に挨拶してくれたのだ。
鰯の頭もカルシウム入り
なんて深い言葉なんだ・・・・。


この旅で得た教訓、それは、

私はマリーンギャルにはなれない。


人は旅から様々なことを学ぶらしい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする