「僕だってね、まだまだわからないことばっかり」
初年度最初の数学の授業の中で、
ルート先生は生徒達にこう語りかけていたけれど、
そりゃ~わからないだろう、
あんな寝グセがついちゃうのは。
オイラー博士だってお手上げだよ。
しかしあの寝グセ、
ただのヘンチクリン寝グセじゃないと思う。
推測するにルート先生は、
毎年平均して18人くらいの生徒たちから、
「先生!
先生は幼稚園の年少さんからその髪型ですねぃ?」
と質問されているはずた。
いやもしかしたら一日平均して19人くらいはいるかもしれない。
これは結構な数の確定申告だと思う。
一歩間違えればそのあだ名が、
「スキカル君」
とかになりかねない。
しかしあの寝グセ。
生徒達は思うだろう。
「ただ者じゃない」。
更に推測すると、ルート先生は、
毎年平均82人くらいの女生徒たちから、
ルート先生
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と表面に手描きされた手作りハートチョコを
バレンタインデーに貰っているはずだ。
そしてそれを横目で見ている日本史の先生に、
「ちきしょー、なんであんな母をたずねて三千里の
マルコみたいな髪型のあいつに沢山チョコがきて、
JUNONヘアーの俺には一つもチョコがこないんだぁっ?!」
と憤怒の念を抱かせるのだ。
しかしあの寝グセ。
日本史の先生は思うだろう。
「ただ者じゃない」。
放課後ヘアサロンに直行した日本史の先生は、次の日、
ルート先生カットで登校してくるだろう。
そしてそれ以降生徒達から、
「ザビエル」
または
「宣教師Xの献身」
もしくは
「フランシスコDeフランキー」
とあだ名されてしまうのだ。
ぼっちゃんヘアーは人を選ぶ。
そしてあの寝グセに日本史が入り込む余地はない。
日本史の先生は更に思うだろう。
「理系に進めばよかった」。
ルート先生が人から一目置かれるのは、
なにも学校内のことだけではないと思う。
例えばルート先生がクリーニング店にワイシャツを持って行けば、
そこの学生アルバイトの女の子から、
「ほんとは三枚でぇ1000円なんですけどぉ、今日はサービスでぇ、
20円です♪」
と、ときめきクーポン券を貰ってしまうのだ。
「ありがとう」
と笑顔で言いながらもルート先生は規定額の1000円を払うだろう。
独立自尊。
そしてあの寝グセ。
学生アルバイトの女の子は思うだろう。
「んきゃ
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それを後ろから見ていた他の客、練馬区の中村さんは、
「くそ~、なんであんなブカブカのジャケットを着ている野郎が
特別料金をオファーされて、バーバーリーの高級スーツを着ている俺は
通常料金なんだぁっ?!」
と憤懣やるかたない思いを抱くのだ。
しかもあの寝ぐせ。
中村さんは思うだろう。
「ただ者じゃない」。
次にクリーニング店に来た時の中村さんは、迷うことなく
紳士服のコナカで買ったブカブカのジャケットを着用している。
けれど料金は通常のままで、しかもアルバイトの女の子から
「ガリバー」
と陰であだ名されてしまうのだ。
ブカブカのジャケットを
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練馬区の中村さんは更に思うだろう。
「レ・ミゼラブル」。
以上の出来事をレポートにまとめて提出したとしたら、
ルート先生はこう言うに違いない。
「ノートはとらなくていいからね」
いやそうではなくて、
「寝グセがなおらなくてね」と、
“寝グセができちゃって、テヘ
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という事実だけにルート先生は照れてしまうのだろう。
そこから派生するモテモテ事実には全く頓着しないのだ。
おっ
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そうだったのかっ。
あのヘンチクリンな寝グセは、
ルート先生の無欲が形になったものなのだ!
やっぱりただの寝グセじゃなかった。
ルート先生、
ただ者じゃない。
きゃいん
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ってな賞嘆にもてんで気付かず、ただひたすら日々
数の浪漫を追いかけているルート先生なのかもしりない。
情熱ってとってもシンプルなものだと思う。
無欲な情熱は無敵なのかもしれないですねぃ。