先日、車を運転中に止まった赤信号で、
ふと目を横にやると、
バス停のブースの中の壁に貼られた、
ある映画のポスターが目に入り込んできたとです。
それは白地を背景にして、
黒レザージャケット、黒レザーパンツ、インナーゼロ、
という薄着の黒レンジャーのようなアジア人の若人が、
くわぁっ!
と韋駄天のポーズをしながら雷神のような顔をしており、
といってもその顔の三分の二だけがポスター内に収まっていたので、
より正確に書きますと、
くわぁっ!
と韋駄天のポーズをしながら雷神のような顔をしているのだろうなぁ~
と推測させる顔をしとりまして、なりほど、でもさ、ヤングマンよ、
なにもそんなに、
くわぁっ!
ってしてなくてもいいじゃんか、君、もしかして、
くわぁっ!
なお年頃なのかしらん?青いわね、フフ、くわぁっ!(←真似してみたらしい)
などなどしかじかポスターの下部に視線をやりましたところ、
NINJA ASSASSIN
と書かれた映画のタイトルが。
ほう。
これはNHKラジオ日本語講座中級編風に直訳しますると、
殺し屋忍者
といった感じになりますね。これをちょっと意訳してみますと、
燃えよ忍者
となりますわけで、でも意外なところで、
薄着のゴルゴ
となるかもしれず、穴場的に。
といった思いが青信号でその場を離れた後もずっと頭の中を、
メリ~ゴ~ラ~ン♪
とグルグル巡ってしまって気になって仕方がなかったので、
家に帰ってからその映画について調べてみましたところ、
どうやらそのあらすじは、
秘密結社に拾われた孤児が殺し屋として成長し、やがて起った
一族の派閥抗争から命を狙われることになってしまって、
くわぁっ!
といった内容らしく、んがしかし、
WEB上に掲載されたその映画のスチール写真には、
忍者らしき人物はどこにもおらず、ただただ目に入ってくるのは、
それは先生♪と歌っていた頃の森昌子がしばらく
床屋に行かなかったような髪型をした若造が、
上半身裸+黒スパッツ=それは江頭2:50みたいな格好をして、
ふるふるふるふるふるふる・・・、
つまりドラゴンキック炸裂8秒前のような顔をしていてなぁ~んだそれなら、
リーさんちのブルースじゃないかっ!
くわぁっ!!!
忍者ではなかったのか?
カンフーとニンポーは「ン」と「-」が同じだけで
あとは全くの別物なのだぞう。もしもその二つの言語を混同して
カンポーと勘違いしてしまったらそれはザ・邦衛なのだ。
忘年会の季節だしね、食べる前には飲まないと。
ってそんなことじゃなくて映画作る前にはおべんきょしないとであってよ、
チッ、こりだからハリウッドはよぉ~、って

ハッ!!!
も、もしやこれぞどこかで噂になっている、かもしれない、
「拳法だと見せかけての実は忍法だったりするんだよねアメリカンの術」
なのだろうか。長い・・・・・・そして深い・・・・・・・・
ような気がしないでもない。
ハリウッド映画に出てくる日本人は、昔に較べれば
今は随分まっとうな描かれ方をされてきておりますが、
しかしそれでも時々、東京から商談でNYにやってきた
ビジネスマンという設定の人たちが、互いにとっても上手な
中国語で会話していたりするのでオーマイガーでございます。
そういったことをふまえてみますと、
江頭昌子・リーの格好はともかくとして、少なくとも、
秘密結社=忍者一族の扱われ方をあらすじに読みますると、
「己の存在を消しながらも極秘に生き続ける闇の一族の者たち、キラン

」
といった説明をされており、それは予習復習がたいへんよくできました、
と気分は桜だマークでございまして、はぁ~やれやれ、これにて一件落着、
茶でも飲もうかのう、とソファーに座ってリラックスしようとした矢先、
「日本国民の中での忍者の人口比率ってどのくらいなの?」
「(・◇・ )」
真横からすかぽんたんな質問が。
誰なの、私のリラックスタイムをビックラスタイムに変えたのは?
ってそんなの誰かは決まっているのだった、
「ジャイアンよ・・・、ひょっとして君の思考回路は
時としてエンストを起こすのか? 忍者とは隠者であっていないんじゃ」
「でも日本人の中には隠れ忍者がいるってきいたよ」
おおそれみ~よ~う。
やれやれこりだから思いきりアメリカンは・・・・
ふぅ。
誰に聞いたのだ、そんなこと。前大統領からかい?
しょうがないから一つレクチャーしてやろう。
「いいかい、忍者なんてものはね、
エルビス・プレスリーは生きている伝説と同じなのだ。
ジャパニ~ズの中には隠れ忍者が存在するなんて話は、
“アメリカ人男性の78%はカウボーイでビーフジャーキーが大好物”
って他国のものが勘違いするのと同じ」
「え、アメリカ人の殆どがビーフジャーキー好きのカウボーイだなんて、
そんなことあるわけないじゃないか、何言ってるの、アッハッハッハ、
バカだね」
バカ呼ばわりされてしまった。
無念じゃ。
いやでも待てよ、自分で言っておいてなんだけど、
忍者は隠者である、
ということは、今だってどこかに、
その身上を隠密にして生活している忍者集団がいる、
といえなくもないかもしれずにあらず。
そうか、
だって、忍者とは、
忍者であるがゆえに
忍者だとはバレてはいけない
忍者なピープルなのだ。
「忍者なんていないよ」
と言いきってしまえる可能性があるのなら、
「忍者でぇ~す!」
と言ってしまえる可能性だってあるのかもしれない。
う~~む・・・・、
お、
そうだ、例えば、
待ち合わせの時間に遅れてきた友達が、
「待たせてごめんねー!」
ズザザザザザ~っと池の水面を走ってきたとか、
「合コンの人数が足りないのは私に任せて!」
と幹事を引き受けた友達の飲み会の席で、
どうも自分以外の女の子は全員幹事の女の子の姿に見えてしまう、
しかもみなササササササササッと左右に揺れ動いて見えるとか、
囁き声を耳にすると咄嗟に天井に張り付いてしまう男の子がいたりとか、
温泉の湯の中から竹筒が出ていると思ったら、
そこに友達が全身で潜っていたとか、
「服部くん?」
「なに?」
と思わず振り返って返事をしてしまう原田くんだったり、
「俺、もう博打はいっさいやめるよ」
と心機一転を告げた友人に、
「ニンニン、あっ、うんうん」
と相槌をうち直してしまったとか、
風に飛んでしまった木綿のハンカチーフを、
シュピッ!
と手裏剣で木の幹に仕留めてくれたり、
秋祭りの屋台で売っている風車に、
「弥七」と勝手に名前を彫り込んでしまったり、
気付くと風呂に入っている由美かおる似の友達がいたりしたら、
その人は忍者であるかもしれない可能性は非常に高いと思う、
2.8%くらい。
以上の例をふまえますと、この映画「NINJA ASSASSIN」の若造は、
カンフーでニンポーを見事に雲隠れさせているわけであり、
それはさすがといえなくもないのだけれどもでもしょうじきなところどうなの?
謎を残すのも忍者ゆえなのかもしれない。