堂々と逃げる

普通は逃げるときは、こそこそするものだろう。
だが西沢泰生氏は、「堂々と逃げる勇気」について語ってくれた。
奇異な言い回しではあるが、なかなか参考になる考え方だと感じた。

◆逃げるのも作戦
　まずは、野球の敬遠について。
　「敬遠だって、ルールに定められた立派な作戦のひとつだ。この打者にはかなわないと率直に認めて敬遠することは正しいことだ。」
　敬遠によって強敵との対戦を避けることにより、結果的に勝利をつかむ可能性が高まるならば、それは正しい選択なのだろう。
　そしてそれは、自分一人の意地よりもチームの勝利を優先した行為とも言える。
　
　中国の兵法にも「三十六計逃げるにしかず」なんてのがあったはずだな。
　兵法に顕わす３６種類の戦術よりも、逃げる方が得策であるという意味なのだろう。そしてそれも戦術という訳だ。
　さらには、最高の勝利は「戦わずして勝つこと」ともある。
　伝説の剣豪塚原卜伝も、危険を事前に察知して「戦わないようにする」のが本当に強い者だと考えていたそうだ。

　たしかに、「当たって砕けろ」なんては言うが、本当に砕け散っては終わってしまう。
　少し考えを進めれば、「いつでも逃げられる」という余裕をもって物事に対処するというのもありだろう。
　そのことによって、逆に伸び伸びと挑戦できるかもしれない。
　本当に退路を断って戦うのは、一生に一度あるかないぐらいで良いのかも知れませんね。