古い話で恐縮なのだが、かっての若者が心を躍らせた経済小説の作家が城山三郎だ。
「総会屋錦城」、「小説日本銀行」、「緊急重役会」などで、一市井人が知ることもない世の中に触れたものだ。
そしてそれは、知らず知らずに手形法だとか市場操作とか委任状争奪戦などを学ぶともなく知ったということでもある。
そんな氏は年齢と共に作風が変遷し、経済小説から人間描写へと移ったかのようにも感じる。
その中で、第五代国鉄総裁石田禮助(いしだれいすけ)についての描きはいまだに色あせない。
◆粗にして野だが卑ではない(そにしてやだがひではない)
これは、はじめて国会に呼ばれて代議士を相手に石田が自己紹介した言葉だ。
そしてそれは、氏の会心のライフスタイルだったらしい。
当時の国鉄総裁と言うのは大変な名誉職だったそうだ。
だが、権限は何一つないとも言われていた、ただお飾りでいるだけなのだ。
従業員数46万人、だが指揮監督は政府と国会だ。
・従業員の給与も運賃も自ら決めることはできない。
・公共負担という事で農産物輸送は採算無視の低料金。
・通勤定期は83%引き、通学定期はなんと92%引き。
・運輸以外の副業は禁止。
・赤字予想の新線を各地で押し付けられる。
・加えて巨大な労働組合がある。
前段の粗末にして野とは、自分自身が「マンキー(上品ではない)」だという自己認識、卑ではないとの後段は石田の心意気を示す言葉なのだ。
三井物産で海外勤務28年間の石田は、「パブリックサービス」すなわち世の中に尽くす、その結果天国に行けるとも言う。
「パスポート・フォア・ヘブン(天国への旅券)」を得るために、国鉄総裁を受けたのだ。
だらだらと書いてしまったが、現在の経済界にも政界にもこんな人は見当たりませんよね、残念です。
「総会屋錦城」、「小説日本銀行」、「緊急重役会」などで、一市井人が知ることもない世の中に触れたものだ。
そしてそれは、知らず知らずに手形法だとか市場操作とか委任状争奪戦などを学ぶともなく知ったということでもある。
そんな氏は年齢と共に作風が変遷し、経済小説から人間描写へと移ったかのようにも感じる。
その中で、第五代国鉄総裁石田禮助(いしだれいすけ)についての描きはいまだに色あせない。
◆粗にして野だが卑ではない(そにしてやだがひではない)
これは、はじめて国会に呼ばれて代議士を相手に石田が自己紹介した言葉だ。
そしてそれは、氏の会心のライフスタイルだったらしい。
当時の国鉄総裁と言うのは大変な名誉職だったそうだ。
だが、権限は何一つないとも言われていた、ただお飾りでいるだけなのだ。
従業員数46万人、だが指揮監督は政府と国会だ。
・従業員の給与も運賃も自ら決めることはできない。
・公共負担という事で農産物輸送は採算無視の低料金。
・通勤定期は83%引き、通学定期はなんと92%引き。
・運輸以外の副業は禁止。
・赤字予想の新線を各地で押し付けられる。
・加えて巨大な労働組合がある。
前段の粗末にして野とは、自分自身が「マンキー(上品ではない)」だという自己認識、卑ではないとの後段は石田の心意気を示す言葉なのだ。
三井物産で海外勤務28年間の石田は、「パブリックサービス」すなわち世の中に尽くす、その結果天国に行けるとも言う。
「パスポート・フォア・ヘブン(天国への旅券)」を得るために、国鉄総裁を受けたのだ。
だらだらと書いてしまったが、現在の経済界にも政界にもこんな人は見当たりませんよね、残念です。