風の雑記帳

平凡でもかけがえのない毎日が過ぎていく。
風景や触れ合い、心の断片を切り貼りして綴ってみる。

切り捨てる

2006年11月21日 | 呟き、思い、独り言




<<或る日のつぶやき・・・切り捨てる・・・>>

わたしは長い歳月 上にのびることばかり考えてきて
土の中深く根を張ることを 忘れていたようです

ヒョロヒョロと 幹ばかり高くのびて 雑然と枝葉がひろがるようになった時
幹や枝葉の重みに耐えられない根の弱さに わたしは初めて気がついたのです

気がついたときは手おくれでした
手おくれとわかったとき 私は思い切って枝葉をおとすことにしました
土の中の私の弱い根と 細い幹に支えられるだけのわずかな枝を残して
あとは ばっさりと切り捨てました

それは
根の弱い 幹の細い 力のない者がなんとか自分を守りながら生きてゆくための
消極的な、しかもそれなりに勇気のいる生活の智慧でした

とはいうものの 枝葉を落とす時 わたしはやっぱりさびしい気がしました
もったいないなあと思いました

しかし おかげさまで いまでは 目に見えない土の中で
弱かった根が新たな活動を始めたようです
枝葉を切り捨てた分だけ
いや それ以上かもーーーーー
だれにもわからない根だけが知る 静かな充実感を持ちながら


                    相田みつを 「にんげんだもの」より
コメント (2)
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