ヤンマ探索記

トンボの観察記録です。

タイトルはヤンマですが、トンボなら何でも撮ります。
勿論、ヤンマが優先です。

サラサヤンマ 生態写真集

2025-02-17 | ●サラサヤンマ生態写真集

サラサヤンマ 生態写真集(2010~2024) 編集2020.4 改訂2022.12 2025.2


交尾態  連結態は湿地を旋回して交尾態になって樹上に消える 着地を見届けるのは困難で撮影まで6年を要した

2015年、産卵に飛来した♀を♂が空中で捕え、あまり周回を重ねず交尾態になり撮れる高さの枝に止まった

数分後に交尾を解くように♀が暴れ始めてやや短い約14分で交尾終了 ♀は同じ木のすぐ横の枝に飛んだ

2015.5.26 千葉県

交尾態になって湿地の狭い空間を猛スピードで周回するシーンは何度も見ていたが、次の撮影は4年後になった

縄張りの♂が産卵に入った♀を捕えて高い枝に着地した なんとか撮れる位置


風に揺られて不自然な形ながら撮り易い角度になった 交尾時間は約17分


この日は真夏日で連続して交尾態が撮れた 枝が入り込むもののやや低い位置に止まった


交尾を解いた連結態 交尾時間は先程と同様で約17分 ♀が飛ぶまで連結したまま1分以上静止


交尾後の♀は大概近くの枝で長時間休止する 直ちに産卵に移行することはない 上の♀は約40分間休止した

2019.5.24 埼玉県

3年が経過して22年5月下旬、交尾態の着地を見届けたが、光線状態が悪く試行錯誤しているうち形も悪くなった
その4日後、今度は運よく見通しのよい枝に止まった 交尾時間は約18分 前回は約13分間であった

交尾態が撮影できる日は暑い日が多くこの日も5月の真夏日




交尾解除後の連結態 交尾後、即時に連結を解かないのが通常 ♀は暴れ回って35秒後に飛ぶ




腹部を反らす連結解除後の♂ 連結を解いてから30秒で飛んだ

2022.5.29 埼玉県

2年後の24年5月下旬、産卵中の♀が移動して飛んだ途端に縄張り♂に補足され、交尾態が高い樹上に止まった
交尾が盛んな日で、目撃した5♀のうち4♀は飛来とほぼ同時に連結された やはり暑い日で28℃に気温上昇

交尾時間は19分 ♀の複眼は青みを帯びている(産卵の項で後述)


交尾解除後の連結態 ♀は36秒で飛ぶ

2024.5.29 埼玉県

連結態  交尾崩れを除き連結態を目撃するのは交尾前の場面 連結に成功し交尾が成立する確率は他種に比べて高い

産卵に飛来したまだ若い♀を草叢に押さえ込んで連結した♂ この後飛立って交尾が成立した

2021.5.23 埼玉県

♀を連結後、珍しく草叢に一時静止したシーン タイミングを計って1分15秒後に飛立ち交尾態になった

2022.6.2 埼玉県

産卵  2010年に偶然産卵を撮影、以後12年に栃木の生息地での生態を把握して13年にじっくり撮影できた

主に泥土、朽木で産卵するが草のなかでは撮影不能 栃木に始まり15年から千葉、18年以降は埼玉に転じて撮影

縄張りの♂の不在時を見計らい樹上から降りてきて朽木で産卵を始めた ♂が現われて逃げるまで約6分間

2013.6.8 栃木県

千葉の湿地の初回は幸先よく3♀を目撃 明らかに小さな個体が何度も中断して休止しつつ1時間以上泥土に産卵






長時間の産卵後に休止 産卵中に♂が何度も飛来したが、身を伏せて動かずにいたため見つからなかった

2015.5.26 千葉県

16年5月は湿地から水が引かず3回空振り 水溜りを嫌うので産卵しない 6月に漸く撮影した 約15分間産卵



2016.6.4 千葉県

17年は個体数が急減して撮影できたのは5月中旬の1日のみ 千葉の湿地で最後の産卵撮影になった

2017.5.19 千葉県

18年も同じような状況で千葉から埼玉に鞍替えした初日 若い♀が朽木で産卵して3分程で♂に捕えられた 


次の♀が別の朽木で約20分間産卵 撮りたい場所には来なかったが、今後十分期待できる環境

2018.5.20 埼玉県

19年5月下旬 交尾態撮影日は産卵前に捕まるので大概産卵の目撃がない 4日後に1時間半の長い産卵に遭遇した




産卵場所を移動してホバリング 

2019.5.28 埼玉県

20年5月下旬は湿地に水が溜まってやや乾いた草叢ばかりで産卵 6月に水が引いて朽木で約30分間産卵した





2020.6.4 埼玉県

21年5月下旬 なかなか草叢から出なかった若い♀ ♂が活発な日で目撃した5♀のうち4♀が連結された

2021.5.23 埼玉県

6月上旬 湿地内を転々として落着いた♀ ここで約7分間産卵


約1時間後 同じ♀が再び現われ何ヵ所か移動して同じ所に戻って産卵 気に入る場所は限られるようである


約12分間で小移動した

2021.6.7 埼玉県

22年は交尾態は撮影したが産卵は満足に撮れず 23年5月下旬 途中2回飛んで同じ朽木に戻り18分間産卵





2023.5.25 埼玉県

24年5月下旬 青みを帯びた複眼の♀が現われた 緑色の強い個体は見るが本種とは思えない複眼の色である




20分間の産卵後、移動したところで縄張り♂に補足された(交尾態の項参照)

2024.5.29 埼玉県 

縄張り行動  ♂は狭い縄張りを持ち♀の飛来を待つ 時折見せるホバリング飛翔と静止を繰り返し縄張り占有する

撮影初期の頃は専らホバリング撮影を目的にしていた 継続時間は個体差が大きく、気温が高いとあまり見られない

栃木の湿地はホバリングの外れがなく12年から14年に何度も行ったが、兎に角暗いうえ泥濘が酷かった

2012.6.17 栃木県

当所では午後になると数頭の♂が出揃い、1m程の高さの一定間隔で同時にホバリングする傾向が見られた 

2013.6.8 栃木県

東京の湿地は明るいのでストロボなしで撮影が可能 13年、14年に行ったが撮影機会は少なかった


同じ林縁でホバリングする♂ 一方暗い場所を占有する♂も見られた

2013.6.1 東京都

15年から18年まで何度も通った千葉の湿地は僅かな環境変化で個体数が減った 

2016.6.4 千葉県

地面すれすれの低い小枝で産卵に来る♀を待ち伏せる 学習効果のある♂の行動パターンで捕捉率も高いようだ

2016.5.26 千葉県

止まっている時間が長いものの思い出したように狭い範囲をホバリングして縄張り占有 再び静止する


水平に止まる姿もたまに見る

2016.5.16 千葉県


2017.5.19 千葉県

埼玉の湿地が一番乾燥していて泥による被害が比較的少ない 全般的に明るい環境

2018.5.20 埼玉県




2021.5.23 埼玉県






2022.5.25 埼玉県

24年5月下旬の湿地はあちこちにキノコが生えた 過去にはない事象である




探雌行動中に縄張り♂とバトルになって墜落した若い♂

2024.5.29 埼玉県

♂特有の行動  移精行動の一連ではなく、時に見せる腹部を後方に曲げる動作 移精は♀を連結後の飛翔中に行う

腹部を後方に曲げる♂ 特有の動作なのか以前にも同じ行動を撮影している

2019.5.24 埼玉県

産卵する♀に擬態して♀を誘う 時に見せる♂の行動 遠目では産卵しているように見える

2018.5.16 千葉県

♂の摂食飛翔  明るい空間での飛翔が撮れるのは摂食時であり、たまに探雌行動に移行することがある 

草叢で摂食飛翔する♂ 15分程飛び姿を消した



2015.5.28 埼玉県

摂食していた♂が突然ホバリングを始めて、おそらく樹上にいた♀を連結した 探雌を兼ねて飛び回っていた様子





2016.5.16 千葉県

休止  ♂、♀とも湿地近くの樹林の高い梢で休止するようだが、目撃することは滅多にない

高い梢で休止する♂

2016.6.4 千葉県

老熟♀の静止 マルタンヤンマがぶら下がる林に姿を見せた

2022.6.27 埼玉県

産卵休止の若い♀ 目線の高さに止まった

2022.5.29 埼玉県

湿地上の低木で休止する未成熟の♀ 未成熟の♂は撮影していない

2015.5.26 千葉県

羽化  初見のサラサヤンマは都区内の臨海公園で羽化中の♀であった 未だに脱出前の羽化個体は撮れていない

羽化する♀ 初めての撮影



2010.4.29 東京都

羽化する♀



2019.5.3 埼玉県

羽化する♂





2021.5.6 埼玉県

羽化する♀





2022.5.3 埼玉県

羽化する♀



2023.5.3 埼玉県

居残りの♀ 前日の午後から雨で気温低下してこの日の羽化はゼロ 居残っていた1♂3♀が13時を過ぎて飛立つ



2022.4.30 埼玉県

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キトンボ 番外編

2025-01-16 | ・キトンボ

産卵シーンの回顧

撮影意欲をそそられるキトンボの産卵、とくに撮りたい放卵の瞬間は産卵方法から大概は草が被ってしまいます。
そもそも個体数が多くないと産卵を撮影すること自体が困難ですが、ここ2年、例年のポイントで急減しました。
今後の動向が気懸かりです。そこで、草が被っているために掲載しなかった写真を改めて見直してみました。
また、露出設定に失敗して放置していたものも、補正して掲載しています(一部再掲載あり)。

まずは、草への放卵時に水滴とともに卵を飛ばすか、直接付着させるか、以前からの疑問点の解明を試みました。
結果、草叢に突入する個体の大半は後者の動きをするようですが、区別は微妙で写真では検証できませんでした。

♀が腹部を前に振って岸辺の草に放卵する産卵行動




背面から 腹端を草に接触させて放卵したと推定


0.2秒後 飛び上がって草叢から出てきたところ


産卵弁に蓄えた卵塊を振る連結態 手前は単独産卵の♀


開けた場所で、岸辺を目がけて放卵態勢になった連結態 


正面から 放卵前に正面向きになり、産卵弁に蓄えた卵塊が目立つ この後、土手の土に放卵した


草叢のなかの土に卵を付着させる連結態


当所で見る一般的な産卵パターンは概ね以下のとおりです。
①産卵場所に飛来した連結態が岸辺近くで打水する ②ホバリングしながら腹端に貯めた水滴に卵を排出する
③腹部を前方に振って岸辺に接近し、土か植物を目がけて卵を含んだ水滴を打ち付ける ④放卵後のホバリング 
放卵後は直ちに打水して、他の干渉を受けない限りは移動することなく、この行動を繰り返します。

①打水


②打水後のホバリング 産卵場所を見定める 手前は干渉する♂


③草のなかに潜り込んで卵を打ちつける ②から2秒後


④放卵直後 後退してホバリング 次の打水をする直前で放卵から打水までは0.4秒


打水の様子 上の写真とは連続していない




放卵前の様子 左は打水後のホバリング 右は打水直前の連結態


右の連結態が打水した直後


産卵パターンは一様でなく、時に打水して放卵することがありますが、連続的ではありません。

岸辺に向けて放卵態勢になった連結態


そのまま前進したが、草叢の手前の水面に放卵した 

2022.10.14 長野県

一連の産卵行動のなかで、放卵の前に再度打水するという紛らわしい行動をした連結態です。
腹部を振った時に偶発的に接水したようです。動きが激しく目視できなくても、写真では様々な発見があります。

打水後、ホバリングして腹端の水滴に生殖口から卵を排出している場面


打水から1秒後に再度打水


上から0.5秒後 飛び上がったところ 打水時に放卵していないことが分かる この後、岸沿いに移動した


放卵後次の打水に向けてホバリングする個体の腹端 水滴が付いていない状態

2024.10.17 長野県

連続打水産卵、連続打泥産卵については、当所では一度のみですが、後者の産卵を目撃しています。

左は草叢のなかの泥土に産卵する連結態 右は通常パターンの産卵


連続打泥産卵

2022.10.14 長野県

参考までに、別の生息地の殆ど水がない泥田で連続打泥産卵する様子です(2019年10月に掲載済み)。

連続打泥産卵





2019.10.6 群馬県

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アキアカネ 2024<11月②>

2024-11-15 | トンボ科アカネ属

<11.7>続編

ひっつき虫

この時期のトンボ撮影で厄介なのは衣服に付くひっつき虫。そのひっつき虫に絡んだアキアカネを目撃しました。
産卵に集合する水田から直線距離で500m離れ、時々休止を見る草原で、ねぐらと思われる場所でのことです。
連結態で飛翔中、交尾を嫌う♀が暴れて♂、♀ともにコセンダングサの実に引っかかったものと推測しました。
すんなり交尾していれば、こんな悲劇には至らなかったはず。残念ながらここで絶命するのは免れません。

コセンダングサが群生する草原で様子がおかしい個体を目撃 連結は解除していた


♀(下)は暴れ回るが、♂は動けない状態


よく見ると、♂の腹部と♀の翅が実のとげに引っかかっていた


産卵タイムが終了した12時50分頃、同じ草原に交尾態が飛来しました。ここで交尾態を見たのは初めてです。

草原に飛来した交尾態 どこから来たのか草原での捕捉ではなさそう




移動後 危険と隣り合わせのコセンダングサの近くに止まった


再移動後 付近の水溜まりで産卵を始めたが、即飛び去る

2024.11.7 神奈川県

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アキアカネ 2024<11月①>

2024-11-12 | トンボ科アカネ属

<11.7>

立冬

立冬を迎え、急に冷え込んで木枯らし1号が吹きました。アキアカネの連結産卵を撮影して今季も終わりです。
時期もやや遅く、行けば撮れる保証はありませんが、2年ぶりの田圃では前日の曇天の反動かまずまずの盛況。
10時半からの50分間に約30対が飛来しました。同じような環境でも、何故か一ヵ所の田圃に集まります。
同じ田圃で複数のペアが産卵始めると、警戒心が弱まり激しい動きが少なくなるので有難い。快晴で17℃。

稲刈り後の田圃の様子 水が残った田圃に飛来して産卵する






水際を好み、打水や打泥を繰り返す








打泥して腹端に泥が付着した♀


泥にべったり産卵する様子 腹部背面が褐色の♀のホバリングと打泥




腹部背面が赤色の♀の打泥




空中で♀を捉えた交尾態が隣接する乾いた田圃に静止した 付近での交尾態の目撃は少ない


移動後

2024.11.7 神奈川県

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カトリヤンマ 2024<11月>

2024-11-08 | カトリヤンマ

<11.4>

唯一の産卵

例年のカトリヤンマの湿地、今季はタイミングが悪いのかホバリングどころか10月中旬から産卵が撮れません。
前週に至ってはノーシャッターで、このままでは終われず出直しました。天候はまずまずで日中は23℃で推移。
探雌の♂も飛ばない嫌なムードの13時10分頃、日当たりのよい所に産卵意欲が旺盛な老熟♀が飛来しました。
飛び回る体力がないのか、同じ一角に約1時間留まって産卵。実際の産卵時間は20分、休止が40分でした。
運よく目撃した唯一の産卵です。終盤は当たり外れが大きいものの、個体数が少なく信じられない状態でした。

落着いて3分間留まった老熟♀ この♀以外に見られず、張り付いて撮影








湿地の一角から飛び去ることはなく、休止を繰り返しては産卵








日照を受けて産卵


林縁で休止 所々翅が欠けている 1時間のうち休止は4回 長いと15分、短いと3分で産卵を再開



2024.11.4 埼玉県

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