先日大阪で塾向けの教材展示会が
あったので、行ってきました。
2020年に予定されている教育改革の影響が
塾向け教材やソフトウェアにも垣間見えます。
その中で興味深いものをご紹介しながら、
教育改革にむけて
どう準備していけばいいかアドバイスします。
2020年の教育改革の目的は何でしょうか。
もちろん文科省が進める教育改革ですから、
大義名分はあります。
その大義名分とは
「AIが人間を超えてくるだろう
これからの時代に取り残されないように
真の学力と能力を身につける」
ということでしょうか。
そのために、文科省は制度的に古くなった
① センター試験を廃止→共通テスト
② 学校教育の改革→新指導要領実施
新指導要領の目玉は何でしょうか。
それは次のような改革です。
②−1 英語は4技能をバランスよく評価する
②ー2あらゆる科目に記述式を入れる
今回教材展示会での目玉といえば、
英検の二次試験に特化した
スマホアプリです。
このアプリは、
生徒が英語を吹き込むだけで、
アプリが自動的に
イントネーション、アクセント、
英語の内容までを評価できます。
このアプリの営業担当者は
「弊社のアプリは英検に採用されています。」
と自慢気に語っていました。
最近はAIによって、ディープラーニング技術が
どんどん進んでいて、音声認識は
人間の能力に迫ってきています。
また機械音声の自然さも、AppleのSiriや
Amazon EchoやGoogle Home を見ても
わかるように、10年前だったら
考えもしなかったレベルに達しています。
このような夢のようなデバイスを
大変安価に手に入れることができます。
あと数年もすれば、その能力は人間並みに
なることは間違いないでしょう。
英検は3級以上は二次試験があることは
皆さんご存知でしょう。
ところが、その二次試験の試験官が
人から機械に置き換わってしまったのです。
いまは、パソコンの置いてあるブースに行き、
pcに向かって試験を受けます。
評価もpcの評価エンジンがします。
このシステムを使うことによって、
英検の協会は二次面接にかかっていた人件費を
大幅に削減でき、また人による評価のブレも
なくなります。
機械が私情なく受験者のスピーキング能力を
評価できるのです。
この現象は喜ばしいことでしょうか。
たしかに企業にとって、人件費を削れるのは
大変魅力的なことでしょう。
しかし、逆の視点から見れば、
AIによる人減らしの典型例に過ぎません。
AIはあらゆる日常のルーチンワークの中に
忍び込み、徐々に人の仕事を奪っていきます。
あらゆる部署で、
AIはこっそりと忍び込んでくるのです。
こういう時代になってきたことを前提に考えると、
自ずと自分の子供をどのように教育すればいいのか
見えてきます。
これからの教育において、
いちばん大切なこと
それは、
深い知識 や 洞察力(思考力)を育み、
そして、それを表現できる
国語力(英語力)を身につける
これに尽きます。
私の塾の授業は個別授業ですが、
特に中学受験コースを受けている人には
読書タイムという時間を設け、
科学的な文章にふれる授業をします。
例えば、「虹はなぜ七色か?」
という文章を読めば、
スペクトルや波長のことについて学び、
またわからないことは理科辞典で調べ、
知識を深めます。
小学生なのに、高校の物理の言葉も
出てきますが、子供なりに理解してくれます。
読書タイムの後、感想を書いてもらって
今度は、そのことについて生徒と話します。
そういうときの子供の顔は
キラキラ輝いています。
そこに物を知る喜び、
新しい知識を得る喜びを
実感しているのでしょう。
このような体験はその後、
ずっと記憶に残って
中学や高校になっても
忘れません。
知識的な満足感というのは
共感することでより倍加します。
「スペクトルって
面白いよね〜。」と
ニッコリし合うだけでいいのです。
その共鳴板の役割を担うのが
真の教師ではないかと思います。
生徒と教師が良い関係になると、
学びが深くなるのです。
私は塾では生徒さんと常にそういう
信頼関係の中でコミュニケーションを
とっています。
それが子供の能力を伸ばすうえで
いちばん大切なことなのです。
次回は、思考力をつけるには について
お話します。