トルコ初のノーベル文学賞を2006年に受けたオルハン・パムクが2002年に発表した「雪」を読んだ。 550ページに及ぶ長編だが、素晴らしかった。これほど引きこまれた小説は久しぶりである。 . . . 本文を読む
先に紹介した「よみがえれ哲学」の著者の一人である西研氏が95年に上梓した本。ヘーゲルとは、一般的には、人間の自由や平等の思想が最終的に国家精神に止揚(aufheben)されると中学の教科書では習ったし、60-70年代の学生運動とマルクス主義の衰退以降、人間の欲望の肯定と、規律からの全面的な解放を謳ったポストモダニズムの70年代後半以降、まったく流行らないドイツ観念論の哲学者というイメージしかなかった。 事実、カント、ヘーゲルは学生時代も読む契機もほとんどなかったが、この西研氏の本を読むと、ヘーゲルというのは、200年前の人とは思えない現代人に通じる思想を展開していると感じられる。 . . . 本文を読む
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