東京タウンウォッチング情報 & 経営コラム 「経営コンサルタント・安岡裕二」の情報とヒント

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「真のプロフェショナルは、命を賭けるレベルに在る人のこと」

2013-04-21 16:56:10 | 「経営コラム」
「真のプロフェショナルは、命を賭けるレベルに在る人のこと」

 ドラッカーは専門家(スペシャリスト)の社会が来ていると強調する。確かに仕事や知識が細分化し、専門に磨きがかかって他のことが理解できない人が多くなった気がする。「知識労働者」社会というものだろう。スペシャリストに対して、ある“あこがれ感”のある言葉として、「プロフェショナル」がある。スペシャリストの一段上クラスとか、卓越した、抜きん出たとか、安直に捉えても良さそうだがどうも引っかかる。これでは、世にプロフェショナルとして賞賛される人に失礼な気がする。というのも、ある会社で“プロフェショナルな知識労働”を企業理念に掲げたので、企業内でどう位置づけ、賞賛するか? そこまで考えれば、エキスパート、マイスター、コンシェルジュ、など氾濫する称号との関連も気になって来る。そこで、私が感じたプロフェショナルの実例等について…。

 「ゲルダ・タロー」…世界的に有名な「ロバート・キャパ」の分身とも言うべき女性の戦場写真家。ロバート・キャパの助手の様な形で関わるようになるが、助手とかマネージャーではなく、次第に対等の関係になっていく。ロバート・キャパという架空の名前を考えだし著名写真家にのし上げたのも彼女の功績。彼女自身が写真家として、第一線に出るようになりキャパの名前で発表するがついには、キャパを上回る評価を得て、ゲルダ・タローとして世に認められるようになる。その理由は何か? 「一歩前へ」の精神。味方に背を向けて銃弾が当たる危険を顧みず上陸する兵士に接近して撮る、等など迫真の写真を生み出した。そして、とうとう自身の命を落とす。

横山大観と言えば、日本画の大家。普通、身の回りを世話する弟子がいるものだが、大観にとって弟子、助手のような働きをしたのが筆職人だった。大観は、職人に徹底してこだわった人で、筆、和紙、表具師など職人を引き連れてパリの展覧会に乗り込み、彼らの匠振りを賞賛したそうである。芸術家の域となればプロフェショナルと言う言葉は軽すぎて使えそうもないが、素材や道具への“こだわり”は半端じゃない。

並みの耳鳴りを越えるゴーという音が、常時聞こえる生理的環境を想像して貰いたい。身体の痛みに耐えるため、毎回、15種類の薬を飲み、一時的に抑える生活。そんな苦痛に苛まれながら“ヒロシマという交響楽”を作曲した方がいる。耳鳴りの中で、複雑な五線譜を書き上げるなんて人間業と思えない。“命を削る”作業だ。鎮魂の響きが感動を呼び起こす。プロフェショナルという言葉が浮かんだ。

もう一つ、江戸のプロデューサー蔦屋重三郎にあやかってTUTAYAの店名でCD、ビデオレンタル業界を制覇したCCC(カルチャーコンビニエンス・クラブ)が、本の文化へのチャレンジ店舗「蔦屋書店」を代官山に開設した。テーマ別のコーナーに分かれて、お客様の相談に応える販売員を全国から募集した。例えば、ヨーロッパへの旅と言っても、今のお客様はテーマを持った旅を楽しみたいという程ハイレベルだ。そんな希望に応える販売員は、世界の旅のルポライターを長年やって来た方だ。実践の強みを生かしたプロフェショナルに相応しいスペシャリストである。

私の考える、プロフェショナルとは何か? ずっと続きそうなテーマだが、一言で表現すれば、真のプロフェショナルとは、「命を賭けるレベルに在る人」のこと。やっぱり高みの存在である。
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