韓国語学習のための翻訳です。営利目的はありません。
著者:キム・ホヨン
(7)
「わかりました。それを一日で全部覚えたんですか?」
「・・・夜中にすることもなく・・・眠くなっ・・・。」
「ひょっとしたら愛煙家でしたか?」
「わ、わからないです。」
「わからないですか?タバコを吸った記憶がないですか?」
「吸ったか吸わなかったか・・・わからないからです。」
「記憶喪失症なんですか?」
「酒のせいで・・・頭が・・・意識がなくなりました。」
「じゃ、過去いつまで覚えていますか?」
「わ、わかりません。」
まあ・・・。シヒョンは会話を自制することにした、先ほどの誓いをまた忘れたことを後悔した。それでもクレーマーをあのように退治したのは本当に痛快でないはずがなかった。シヒョンはドッコさんがカヌブラックを飲んでもこれ以上憎まないことにした。
退勤時間になっても社長さんは来なかった。シヒョンはメールを送った。どこですかと訊ねる質問に帰ってきた返信の内容は次のようだった。「水曜礼拝に行って家に戻った。今日からはドッコさん一人で働く。」シヒョンは「大丈夫ですか?」と再びメールを送ったら「あなたはどう思うか」という返事が戻ってきた。
「あ、あのう・・・。」
シヒョンはしばらく熱心にドッコさんを振り返った。彼は空いている陳列台に激辛鶏炒め焼きそばをそろえながら、超激辛鶏、チーズ激辛鶏、カルボ・・・ナラ激辛鶏をぶつぶつと独り言を言って覚えていた。お尻をぽこんと突き出して口を結びながら手でカップラーメンを線に合わせてまっすぐに整理しているドッコさんの姿を見ていて、シヒョンは賛成のメッセージを返送した。
こうして一週間が過ぎた。決まって8時になれば同じ服装と同じく一歩ずつ及び腰で彼が出勤した。愚鈍な熊の「愚鈍」だけなくなったのが異なっていた。動作は依然として鈍くてもどもりはかなり良くなって、それだけでもはるかに良く見えた。更に機械のように繰りかえしていた出勤後教育事項を一つ一つ仕上げた。屋外のテーブルと室内のテーブルを掃除して、空いている陳列台に商品をそろえ、廃棄商品を整理して、させてもいないウォークイン冷蔵庫をふきんで磨いた。
これ以上研修教育を受ける必要がないようだった。教えることがなかった。彼もシヒョンに訊ねず理解してよく働いた。そうすると、彼女が彼に訊ねたいことが出てきた。夕方の繁忙時でもお客が途絶えて、シヒョンとドッコさんはカウンターに立って一緒に海苔巻きと牛乳を摂った。
「小父さんは昼どこで過ごしますか?」
イチゴ牛乳を一つも残さず飲んだ後、シヒョンがドッコさんに訊ねた。ドッコさんは海苔巻きを慌てて咀嚼して丸のみして、彼女の方を向いた。
「社長さんが・・・仮払いしてくれました・・・。それで・・・ソウル駅の向かい側・・・ドンチャ洞・・・狭い部屋・・・あります。」
「それなら狭い部屋で昼寝て、夕方出てくるのですか?ご飯もそこで作って食べて?」
「狭い部屋・・・棺のようです・・・。横たわれば終わり・・・。仕事終わって家に行って廃棄サンドウィッチ食べます・・・。寝てから出て・・・ソウル駅でTVを見て…来ます。」
「ソウル駅に行かなければいいじゃないですか?そうしてホームレスの友達に会って連れていかれたらどうするんですか?」
「そうじゃないです・・・。ソウル駅はTVを見なければなりません。人の見物もしなければならなくて・・・。」
「小父さん、今上手に話します。今過去も思い出すことがありませんか?家や家族、職業何かそんなものを思い出しませんか?」
ドッコさんはしばらくぐずぐずして首を振った。それから残った海苔巻き二つを口に投げ込んでストローを差し込んだ牛乳パックを摘まみ上げた。彼が力いっぱい牛乳を吸い込む姿が、まるで過去の記憶を思い浮かべようと努める姿に見えたのは何故だろうか?牛乳を飲んでからぺろぺろ舐めるドッコさんを見守ってシヒョンが訊ねた。
「でもコンビニで働いて大丈夫ですね?」
「すべて良いけれど・・・酒飲めなくて大変です。」
「小父さん。仕事もできて寝る場所も食べるものもできたのに、酒が飲めないと不平を言うのはだめですよ。」
「施設に行けば寝ることもでき・・・給食所を訪ねて行けば・・・食べることもできます・・・。仕事をすると酒を飲むことができません・・・。頭が痛いです。」
「ああ。酒を飲めば頭が痛いのです。癖になって、飲まなくても痛いです。だからずっと飲まなければ頭がよくなるはずです。わかりますよね?」
彼がシヒョンに向かって小さい目が見えないほど微笑して見せた。シヒョンは人生の先輩だった彼にコンビニの先輩として教えることをすべて教えたと思った。
「今もう卒業です。小父さんが仕事を全部学んだようなら、8時に来ないで10時に出るようにと社長さんが言いました。だから、明日からは10時に来てください。」
「ありがとうございます。おかげで・・・よく学びました。」
「とんでもないです。」
「本当です・・・。シヒョンさんは教える場合に・・・う、才能があるようです・・・。頭にまっすぐ入ってきました。」
「この小父さんが世渡りが上手ですね。やはりホームレスになる前に羽振りが良かったようで・・・・、率直に私が何かをするときに変だと思ったことがありませんか?」
「いいえ・・・。僕は・・・がらんと空っぽでした・・・。本当にがらんと空いている頭なのによく教えてくれました。信じられなければ・・・インターネットにあげてください。そのレジの使い方・・・本当によく教えてくれました。」
「そんなものをインターネットのどこにアップしますか?」
「ユ、ユーチューブに・・・。」
「ユーチューブ?ユーチューブですか?それをどうしてアップしますか?」
「必要な人が・・・必要です・・・。」
「たくさんおっしゃるから、同じことをくりかえしますね、だからユーチューブにレジの使い方をアップするですって?」
「た、助けになるでしょう。コンビニも多いし・・・アルバイトも多いじゃないですか・・・。僕に教えてくれた・・・ことだけでも知らせればー。」
「小父さん。私は自分のことで精いっぱいで何故他人を助けようと苦労しますか?うちに帰れば授業の予習して寝るだけです。」
「僕を助けてくれたじゃないですか。」
「それは・・・社長さんの指示だから。」
「社長さんの指示でも・・・よく教えてくれたじゃないですか。」
その時シヒョンはぱっと我にかえった。いずれにしても自分がこの男を本当に助けてやったこと、自分はそれを自慢してもいいのだった。
「それでユ・・・チューブそれ…お金になるんだそうです。TVで言っていました。」
ドッコさんが目をパチパチさせてシヒョンに言った。いつもと同じなら、愛想笑いをしただろうが、彼女はすぐ考え込んだ。そして、しばらくログインしなかった自分のユーチューブIDと暗証番号を思い出そうと努めた。