マ ス コ ミ の 退 廃
マスコミは退廃したといわれている。
この退廃はあらゆる側面に及び、今日では天気予報とテレビ番組の紹介とスポーツの結
果しか信用しないという人がいる。一口で言うと新聞、テレビ、ラジオは視聴率の争いが
昂じて、大衆の低級な好奇心に迎合し、底の浅い先入観を量産する。それを表面的で刺激
的な流行語に仕立て上げこれを積極的に煽り立てイメージ化し、物事をクイズ的な関心事
項に作り替えてしまう。これはすでに路線と言っていいほどのものである。
情報の発信者としてのマスメディアは政治、経済、文化、学芸、生活、スポーツ、教育
など全ての分野においてこの「クイズ路線」が貫かれている。この路線で共通しているこ
とは、物事の背景やその経過について何も本質的なことを伝えず、掘り下げもしない、表
面ばかりを視覚化、または記号化することによって面白おかしく脚色し刺激的なタイトル
に仕立てる。そのタイトルに沿うように記事を書く。
「やらせ」というのはマスメディアの本性といっても過言ではなく、その背景は商業主
義であることも説明に多言を要しまい。 . . . 本文を読む
長い、こころ苦しい1年が過ぎた。多くの日本人は、経験したことのない、心のつかえ、気持ちの萎えにさいなまされたのではないかと思う。少なくとも何事もなかったかのように明るく笑い、奔放に行動したという人もあるまい。
この1年は私これまでと違ってワイドな視野をもらったように思う。あまりにも生々しい未曾有のことばかりの、また日々発生し続けている事柄に追われて、情報の整理や区切りがつけられない状況であるにしても。確実なのは人々がこれまで抱いていた価値観が変わったことだと思える。人の価値観というのは、苦しい体験が原料になっているとすれば、今般の大震災は、この価値観を揺さぶる大経験を、国民が等しくしたことにあるだろう。
人はそれぞれ生きるために、自分の考え、価値観を常に探し求める存在なのかもしれない。
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