田園調布の山荘

「和を以て貴しとなす」・・ 日本人の気質はこの言葉[平和愛好]に象徴されていると思われる。この観点から現代を透視したい。

出しゃばり御免2.1994年の自作評論「マスコミの退廃」

2012年03月30日 08時35分20秒 | 平和

このような傾向が定着したのは、受信者、視聴者の教育レベルの低下にも大いに関係が
ある。テレビというマルチメディアは言語を通じて情報を伝えるラジオや新聞を完全に包
摂して、大量の情報を早送り的に受信者に届ける。受信者は送られてくる情報を時間をか
けて吟味するゆとりがなくなり、その情報洪水に対し主体性を喪失する。
視覚と聴覚を同時的に支配される受信者は、情報の洪水を受け取るのがやっとという状
況に追い込まれる。また送る側も一つの情報を深く吟味する暇がない。短時間の内に単純
で刺激的に事件をまとめ、引き続いて別の事件の情報を同様な脚色をして垂れ流す。現今
のマルバツ式教育を受けた受信者は数分を越えるリポートは理解不能、すなわち退屈とな
り、このことが事件の背後にある複雑な構造を知ろうとする意欲をそぐ。
今の人は15分を越える話にはついていけない。テレビでは1回30分もかかる古典落語は
決して上演されない。政治、経済のコメンテータは30秒で一つのことを解説できなければ
ならない。要するに、マスメディアにおいては、情報は著しく加工されて発信されており
その多くは真相にせまる方向でなく、受信者の感応に迎合する方向で垂れ流される。
(1994.8.25 )


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