田園調布の山荘

「和を以て貴しとなす」・・ 日本人の気質はこの言葉[平和愛好]に象徴されていると思われる。この観点から現代を透視したい。

ブラジルをかじる(1)

2007年11月16日 19時41分38秒 | ブラジルと私(ブラジルをかじる)
 私とブラジルの日系移民とのおつきあいは、20年あまりになります。そう、1985年ごろ、私の事務所に、ある日突然ブラジルの日系移民の西村俊治さんという、上品な老紳士が来ました。その日の出会いから始まりました。日本人がブラジルに移民した年が1908年です。つまり来年は100年です。私は前後8回ブラジルを訪れておりますが、しかし、ブラジルは大国中の大国です。何度訪れても、「分かった!」とはいえない国、そればブラジルです。今地球がどんなに危ないか?

●ブラジルの大地を歩いて考えた

 お話しの初めは、地球環境問題にしましょう。そうです、ブラジルには世界最大の森林アマゾンがあります。皆さん、地球環境問題が気象変動問題と絡まって、人類の生存危機、そこに至るかのような恐怖のシナリオが毎日のようにテレビをにぎわしています。「いまからではもう遅すぎる」という語り口が多いのですが、このことは、科学的には20年も前から予測されていたことで、地球の危機管理という観点から見れば、人類は科学を軽視していて全くだめである、といわれてもしかたがありません。どうしてこんな事になったかといえば、地球全体を覆う、弱肉強食の論理「強い者が弱いものを支配する」というあさましい理念が、へんてこな哲学を作り、人類を階級とか人種とかにわけ、そのどちらかに優位性を置いて、弱い者の上に強い者が君臨する社会の構造を作ってきたからです。ノアの箱船のお話しをするまでもなく、生きとし生きる者、は地球という環境装置の中に生かされている弱者に過ぎません。富を得るために地球環境を台無しにしてもいいという哲学や経済学は、ずっと前に破産しているのですが、実際はしぶとく生き残り、日本でも、「農業なんていらないよ」「中小企業なんていらないよ」というような強者の論理を貫徹する「小泉」~「安倍」そしてブッシュの連帯政治が、改革の名前で猛威をふるい、この間に日本が果たすべき地球環境保全への国際貢献は、スローガンだけに終わりました。「もう黙ってはいられない」と心ある科学者、技術者は、声を挙げ始めました。遅れた政治を「廃棄」し、地球市民としてこれを傍観せず国際行動にして、地球政治・経済の「構造改革」をしなければならないときに至っていると思われます。こういう時代に未だに、軍事同盟強化とかその軍事力でテロを押さえようとしたり、核兵器では国益を確保しようとする一部諸国の動きは、浅ましく、視野が狭く、知性が低いといわざるを得ません。最初から断定的、糾弾的な語り口をして申しわけありません。けれども私は感情的に申しているのではなく確たる証拠や経験を通じて申し上げていることもあわせてご理解いただければ幸甚です。

 
●バイオエタノール騒動(1)
 アメリカなどではトウモロコシを利用したエタノール生産が急増しています。このため世界の穀物事情が変化しているといいます。原油価格の高騰でアメリカではトウモロコシが大増産の気配があり、06-07年度には前年度比3割も増産しているとのことです。新聞報道によるとブッシュ政権は10年後の2017年にはエタノール生産を10倍にするという計画で、それが原料トウモロコシの国際価格を倍にしてしまったそうです。世界の食料でおそらく一番大切なのは、小麦ではなくトウモロコシだ、というひとがいますが、それが事実だとすると、バイオエタノール騒動は、世界の穀物事情を攪乱し、巨大輸入国の日本をも直撃する事態になるでしょう。そんなことを思いながら、ブラジルに目を転じてみると、ここではサトウキビ騒動が始まっています。サンパウロ州ではサトウキビ畑が急増し、日に日に勢いを増しています。こういう騒動は、環境問題とか持続的開発問題とかを一挙に足蹴にします。モノカルチャーとして土地の生態系の破壊は言うに及ばず、農村の破壊、恣意的な土地利用などが進行します。ブラジルはバイオエタノールの生産と技術の先進国です。石油がなかったブラジルではエタノール車が開発され、早くから実用化されています。ブッシュが、エタノールでブラジルと同盟を画策しているとかいないとか、バイオエタノールを巡るアメリカの激しい動きは、人と車の食料の奪い合いといった新しい飢餓問題を生み出し、途上国や低所得者層への新しい脅威を生み出しつつあるようです。さて、ブラジルから見たら地球はどんなに見えるか、ブラジルの断片をご紹介しながら、以下数十回この問題を取り扱います。最初の数回は「ブラジルの紹介になります。退屈ですがおつき合い下さい。
(次回へ)

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