動力は40ワット、蛍光灯二本分の電力で電源は池の側の電灯からひいている。「そんなことで水が綺麗になれば誰も苦労しないわなあ」と専門家や水処理企業は一蹴するのだが、どっこい、この装置が置かれて既に6ヶ月、朝昼休むことなく回り続けている。散歩に来る住民の目には否が応でも目にとまる。私がバイオファンを動かしているある市民と話をしているとき、ベンチに腰掛けていた散歩の老女から話しかけられた。その市民が応えた。
・・・あれなんなの?
「水を綺麗にするのです」
・・・あれで水が綺麗になるの、へえ?
「装置の周りの水面が少し輝いているでしょう?」
・・・よく光っているわね。綺麗だわね。
「今日は散歩、ご近所?」
・・・そう、昔からここに住んでいるのよ。毎日散歩に来ているわ
その後で、市民グループ7-8名と近くの中華料理屋で一杯引っかけながら会話した。
・・・この池は相当荒れていたんじゃないの?
「そう、この池には、大昔から落ち葉が流れ込み水底に1㍍以上ヘドロが溜まっているのです。昔なら人々がそこを浚渫していましたが、今はほったらかし」
・・・水質悪化の原因ですね?
「みんながほったらかしにしているので、ゴミは捨てられるし。洗濯機や自転車までが放りこまれたり住民は大変でした」
・・・水質以前の景観問題だね
「さすがに市役所が撤去してくれましたが追いかけごっこです。ヘドロは何も手を付けませんから対策がお手上げだったのですが、湧水場所を見つけて池に流し込んだり、下水度を引いたりして必死に取り組んではいます。」
・・・水質問題とは?
「悪臭と景観の悪さですかね。市民がしばしば苦情を申し立てて、関係者の努力が実り小鮒などがつれる釣り堀②まで回復しました。水質もずいぶん改善しました。もう釣り掘りとしてもやっていけるようになりましたが・・」
・・・釣り堀ね? でもそれって、エサが巣室を汚しますね?
「そうです。ヘドロは残っていますから、その上にエサが積み重なります」
・・・ヘドロは溜まり続ける。それでアオコ発生が常態化して、悪臭も?
「そうです。夏になるといいたたまれなくなります。せっかくの釣り場が。」
・・・バイオファンは地元の発明ですね。
「物理学の先生が太陽光と水流と光合成と微生物の力で自然に水を綺麗にする理屈を考えて下さり、水理計算式で設計した装置を作って町工場で試作しました。今、この装置は6ヶ月回っていますが、水質が安定していますよ。」
・・・12000㎡も?透明度とかCODとかは?
「何よりもバイオファンが回っている直下のヘドロが逆円錐形の水面ですっかり消えてしまいました。これは水底に潜水してみんなで計測、確認しました。さらに池の透明度は40㎝以下、CODは13以下で、めちゃめちゃにお金を使っている霞ヶ関や印旛沼より遙かに綺麗になりました。」
・・・何かがある、大がかりな工事をしなくても水を綺麗に出来るのですね。研究してみるべきですね」
「データをしっかり取って、専門家に聞きながら、これからも進めます」
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