出しゃばり御免３．豊かさのストレス ２０００．１．１．記す

政府は言います。お米や肉や果物は国産が高すぎますから、安い輸入農産物を食べましょう。その方が得だよ、………………得だよ、得だよ、得だよ。
お医者は言います。あなたは半病人です、栄養が偏っています。食べ過ぎです。運動しましょう、減量しましょう。そうしなければ早く………………死ぬぞ、死ぬぞ、死ぬぞ。
市民運動家は言います。あなたはの食べているモノは汚れています。安心なモノを採りましょう。そうしなければ………………死ぬぞ、死ぬぞ、死ぬぞ。
薬屋さんが言います。あなたは、カルシュウムが不足です。あなたは鉄分が不足です。あなたは繊維分が不足です。あなたはビタミンが不足です。あなたはカロリーが……不足です、不足です、不足です…………不足だよ、不足だよ。
食品会社は言います。あなたは、いつでも、どこでも、ほしいときに、わが社の××製品をお求めになります。………………便利だよ、便利だよ、便利だよ。
有機栽培農家が言います。無農薬、無化学肥料だ。付加価値があるよ。高くても買わなければ………………損だよ、損だよ、損だよ。
「安いモノを政府の言うとおりだ、得だと思って、たらふく食べて、太りすぎた。あわてて医者に行ったら食べ過ぎが万病のもとと言われ、運動家からは食べているモノが悪いと注意され、迷える羊になっていたところ、薬屋さんと食品会社が、あなたの身体に足りないモノを教えてくれ、その買い方を教えてくれ、いつでもどこでも手にはいるしあわせの指南をしてくれた。すかさずそこに、いつでもどこでも手に入る有機農産物だよと新手のビジネスがわんさと現れ、それがいいなと思っていたら、国産の有機農産物は高すぎます、それに作り方も怪しいよ、外国の輸入のオオガニックが安くていいよ、と誰かの声、それが次第に大きくなって、そうしないと……損だよ、損だよ、損だよという声となって、鳴り響く。耳鳴りのように。
(2000.1.1.)