あるお母さんは「私の家でもいいわよ」と言ってくださいましたが、それは辞退し他をあたりましたが駄目でした。切羽詰まって洋風の建築の我が家でやることになりました。雨もりが心配なぼろ家でしたが、部屋をぶち抜けばそこそこの広さがありました。その代わり父母には我慢してもらうことにしました。こうして何とか空間を確保しました。残る問題は時間調整でした。私は学業が優先しますから時間が自由になりません。もう一つの問題は実験器具の不足でした。貧乏学生にそれを調達する能力はありません。そこに救いの手が差し伸べられました。ある食品会社の幹部である一人の生徒のお父さんが、実験道具一式を寄付してくれたのでした。部屋に収容しきれないほどの実験道具が届きました。アルコールランプ、ガスバーナー、試験管、フラスコ、乾燥機、上皿天秤、シリンダー、試薬類・・学校の理科室に匹敵するほどの実験器具が届きました。そのお父さんのメッセージには。「父母たちで人集めをするから学生の先生を集めてください」とありました。私の痛いところをついてきたわけです
クラススメートで応援団をつくる
もう逃げられません。私は安保闘争のデモで親しくなった下丸子に住む級友のH 君に「一緒にやらないか」と呼びかけました。彼はのちに薬学部に進み優秀な研究者になるのですが、すぐに賛同してくれました。私たち二人は、学習会の基本方針を議論し、「理科と算数」をメインにして、基礎の基礎を教えること、父母たちと常時連絡を取ること、原則として家庭訪問をすること、受験勉強はしないことなどを決め父母たちに説明し了承をいただきました。姫百合幼稚園での父母たちが中心になり「月謝」「時間割り」「連絡」「生徒募集」などを主導してくれたので、私とH 君は先生の確保に奔走しました。そして新たにT君(後に物理学者)、z君(後に脳外科医)、S 君(後に農学者)が加わり、青二才の学生アルバイト教師と地域の親子が触れ合う寺子屋の形ができました。(続)
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