先日伺った「松平修文遺作展」の礼状と共に
王紅花さんより「夏暦(かれき)」40号、41号が届いた。
発行は数年前のものだが私は初めて「夏暦」を見た。
短歌の世界には瀟洒な個人誌のあるものである。
全4頁。見開きに王さんの短歌30首と裏表紙に
短文が載っているだけの本。
魅力ある短歌とは1首だけで
その辺の短編小説を凌ぐものがある。
ゆえの重量感でもあるだろう。
王紅花の短歌を抄出する。
巣作りに忙(せは)しき小鳥楢若葉そよぐこのふかき森のゆふぐれ
鳥が枝に啼く、魚が水に跳ねる、そんなものの一つで夫(つま)の口笛
あなたは何といふ名の鳥ですか桐の葉の葉隠れにもつたりもつたり移る
(「夏暦」40号「氷上の少女」より)
花籠に小禽(ことり)が入つて行つたきりいつまでも出て来ないのですが
電柱から落下した大きめの鳥の巣の骨組みは枯枝で、枯草とピンクのマフラーを敷く
春の観光シーズン終り、北国街道の海野宿に聞く十一の声
(「夏暦」41号「花籠」より)
メッセージが添えてあった。
「短歌往来」の評論月評をご覧頂いたそうだ。
感謝。