『土岐善麿の百首』 河路由佳
2024/6/8 税込1870円 ふらんす堂
ふらんす堂の歌人入門シリーズ⑩として刊行された。
河路由佳は歌人で日本語の研究者であり、土岐善麿の研究者。
私は善麿のいくつかの歌集を持っているに過ぎない読者。
特にローマ字歌集『NAKIWARAI』の作品全てを日本語表記に
してみようと試みたことがあったが、すぐに断念した経験を持つ。
それらを十分に読み込んでいるわけではないので土岐善麿の
あらすじを知るのには最適の入門書である。
私が短歌を始めたころ買ってみた商業誌の巻頭作品が善麿であった。
『オレンジ月夜』 河路由佳
2024/5/27 税込¥2.640円 港の人
河路由佳の意欲的な活動は目覚ましく、
先月には5冊目の歌集『オレンジ月夜』を刊行されている。
これもまた感想文を送るまでには十分に拝読できて
いないのだが目に留まった作品を紹介しておく。
不穏なる空に大きな鳥の飛ぶ形の青空ぽっかりとある
音もなくUFO降りてきたように朝からショベルカーが来ている
地震にはあらずわたしの骨格を揺らし実家に重機が刺さる
コロナ禍の徒歩通勤の路地裏はマスク外して大股でゆく
土岐善麿を詠んだ作品もある。
土岐湖友と名のりし善麿二十歳(はたち)にて儚き人への恋歌多し
善麿の「湖面荘」の跡訪ねれば広し 高級マンションの建つ