ピーナッツの唄

毎日の出来事や、スポーツ観戦、読書や映画等の感想を中心に、好奇心旺盛に書いています。

小説「震度0」

2008-05-25 13:54:08 | 勉学
最近、何かとせわしくしていてなかなか本が読めていない。佐伯泰英氏の「居眠り磐音江戸草紙」を20数冊、一気に読了した反動かなと思っている。

そして直近に読んだのが、何時も警察の内部を深く掘り下げた作品の多い、横山秀夫氏の作品でした。

阪神大震災の報が入ったN県の警察本部で、警務課長が失踪するという事態が発生する。震災の被害状況が刻々と報じられるなか、警務課長の捜索が内々で続けられる。キャリアでトップの本部長、同じく若手キャリアでNO2の警務部長、準キャリアの警備部長、そして地元出身のノンキャリアの3人の部長達。色んな思惑が交差し、捜査方法に対する対立がある。飽くまでマスコミに漏れないために暗躍しなければならない事態。更に官舎に於ける幹部の夫人たちの交流と夫々の動きがある。この小説のなかから読み取れるのは、一県警本部のだけでない、キャリアと称する一部の幹部を頂点に据えた、官公庁の内部牽制の図式であろう。キャリアは更に上を狙い、ノンキャリアは退職後の行き着く先を見極める。そのために保身とスキャンダルの抑制に汲々とする姿である。やがて真相が思わぬ形で明らかにされるが、幹部たちが狙うのは、一切を闇に葬ることである。

しかしてN県警本部は本日も「震度0」なのである。

最近のTVドラマや小説などでも、こんな警察のキャリア支配の図や、隠蔽体制の告発めいたものが多くなっている。小生の好きなTVドラマ「相棒」や大沢在昌氏の「新宿鮫」シリーズ等もこの範疇に入る作品だろうと思います。

コメント (6)
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