![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/1b/d1ad8f8f6efc58987c828b5e593b063c.jpg)
亮は絶句した。
目の前の雪が、突然鼻血を出し始めたからだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/63/4af784480bd7bc088c2552da7afe1529.jpg)
そんな亮の表情を見ながら、雪は不思議に思って彼に尋ねた。鼻の辺りに違和感を感じながらも。
「‥改まってどうしたんです?別にいいですよ、何でダッシュして来てまで謝っ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/45/901d47b989c7cc75301a9729c5c96d9f.jpg)
そして鼻を拭いた手元を見て、雪は目を丸くした。
「ん?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/31/5c1483856d42099747962014f92cd5cf.jpg)
‥秋の葉色づく構内に、雪の叫び声が響く。
慌てる雪と、呆れる亮‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/28/b9f01a91f3408614d1f8330c8fda552b.jpg)
「‥‥‥‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/ef/e2b6bd206b93099b3e4a00e8f3f5af8d.jpg)
暫しアタフタした雪であったが、やがてティッシュで鼻を押さえながら上を向いた。
するとそんな雪に向かって、荒い口調で亮がこう言う。
「頭下げろ!喉まで血が行っちまうだろーが!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/43/1744c24a85419a1ea0126af9c0053c1e.jpg)
さすが喧嘩で鼻血を出し慣れた亮である。亮はそう言いながら幾分強い力で、雪の頭を押さえ込む。
雪は鼻を押さえながら、どうしてこんなタイミングで鼻血が出るのかと、その間の悪さを呪っていた。
こんな自分は、亮からからかわれるのに絶好のカモだ。
「授業中に鼻でもほじってたんか~?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/38/eab590acf70e4aab5c47696ba0eb7e5e.jpg)
案の定亮はそんな雪を見ながら、ニヤニヤと笑ってそう口にした。
違いますよと言い返そうとする雪に、亮は缶ジュースを寄越してその反論を封じ込む。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/a9/07f06a2db9944c55e08cd220832d9759.jpg)
雪がジュースを受け取って黙りこむと、亮は幾分得意そうな顔でこう言い始めた。
「頭に血でも上っちまったか?度々そうなった女共を見て来たけどよ‥。
オレのセクシーさに耐えることが出来なくて‥」
「もう!バカな事言わないで下さい!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/93/516e6a9a6d90ed1aee1f5f5f079d8d8a.jpg)
怒ってそう言い返す雪に、亮はニヤリと笑って更に続ける。
「おい、正直なところを言ってみろって」「何をですか?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/6e/080dbcda3407e8922ef337541885120d.jpg)
そして亮は己の顎に指を添わせダンディー(?)なポーズを取ると、雪に向かってこう質問した。
「マジで客観的に見て、正直淳よりオレの方がイケメンじゃね?公平に顔だけ見たら、だぜ。
高校の時も論争になってよ‥」「何言ってるんですか‥この人は‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/44/99b1af1bc562786e6fb92aa7b86d3b56.jpg)
呆れながら流そうとする雪に対し、亮は尚も食い下がった。
スペックやこれまでの経緯など全部取っ払って顔だけ見た時に、どちらがよりイケメンなのか、と。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/8f/3e00677e8c027b20577d9e9adae2ca2b.jpg)
雪はニヤッと笑いながら、亮に向かって口を開く。
「そりゃあもちろん‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/dd/f61cbb1d756d336746e8883766ac8587.jpg)
そして亮の方を振り返った雪が目にしたのは、
可愛い仕草で自分を見つめる、亮の姿‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/be/088ff5cbe26c209a897574f5401f3a38.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/c9/91e6e61bbb0397afb873cd6adc24e648.jpg)
雪は一瞬言葉を忘れ、目の前にある亮の顔に見入っていた。
しかし次の瞬間笑顔を浮かべ、用意したその台詞を口にする。
「もちろん青田先輩ですよ」「今躊躇ったな?」「チガイマスヨ。ワタシガイツ?」「棒読みじゃねーか」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/5a/7d507678c3ddf847101bc16fc2b07eeb.jpg)
雪は本心を亮から見破られ、彼から目を逸らして口元を手で覆った。
実のところ雪は、濃い顔の男性がタイプなのだ‥。
「オッケー了解ッ!!客観的評価頂きましたァ~!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/d1/5dded3f8835d02e8d66cd43ae2549ed5.jpg)
亮は高らかに笑いながら、雪の本心を汲み取って彼女をからかう。
「いや~どうしよっかなぁ~!日頃から気をつけなきゃいけなかったのに、
鼻血まで流させちまって‥マジイケメンでゴメンナサイね」
「違いますってば!!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/9a/36b01b8c8a9af9ab1666d86c555fee70.jpg)
雪は真っ赤になりながら、必死になって否定した。
と同時に、その勢いで鼻に詰めていたティッシュがポンと外れる。
「うおっ!何してんだ!ティッシュ貸せティッシュ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/5a/7ac7143798b71a8900c1c8cf8ceaeef1.jpg)
亮は慌てながら、雪の膝の上に載っていたティッシュを何枚か引き出した。
「ったくよぉ!どーしてお前はこうなんだよ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/07/bd6ed936877f8da35983a38ace91ccae.jpg)
亮はティッシュを雪の鼻に当てながら、強い口調でそう口にする。
その言葉の奥の方に、彼女を心配する優しさを込めながら。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/aa/102a7807ef4d6cb83eed1f098ec386bc.jpg)
鼻に当てられた大きな手の平越しに見える、彼の顔。
雪は瞬きも出来ないままに、その眼を見開いてじっとその顔を見ていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/f1/498298ac474502ca3683550b68caf6ea.jpg)
鼻から喉へ、赤い液体が落ちて行く。
その光景は雪の心に、赤い痕跡を残して行く‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/39/c9a982a584dfe9b6bf0372b042fb95a0.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/65/bb3c581e986ccad697ffe971ae47957b.jpg)
亮はティッシュを手で押さえながら、どうして彼女が鼻血を出しているのかを思って眉をひそめた。
目の前にある彼女の顔はどこかやつれて、目の下には若干のクマも見える。
「ったくなんなんだよこのザマは。お前、最近すげーキツイんじゃね?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/92/8bdf94a6b3d14aea20b2a72815dc11b4.jpg)
「ほら、頭下げろって!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/52/2ac2e79030f001214138d7d27cf47288.jpg)
「お前一日の睡眠時間はどのくらいだ?寝れてんのか?睡眠時間が足りねーからこんな‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/77/2f812f39eca38224c73527e7ab6fe638.jpg)
雪は頭を下げた姿勢でも尚、亮の顔を見続けていた。
心の中に赤い痕跡がポタポタと、ゆっくり、しかし色濃く残って行く。
「疲れてんのにどうして午前中仕事すんだよ。その分寝てから大学に来るべきだろーが」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/47/d64f45d516e7497312f21c23188d6b7c.jpg)
少し厚めで形の良い唇が、自分を心配する言葉を紡ぐ。
雪は鼻に当てられた亮の大きな手を意識しながら、
「自分でやりますから‥」と言って彼の手からティッシュを受け取った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/cd/63bb370afbaa466df05e634ba1d9a610.jpg)
雪は自分で鼻を押さえると、さっと亮から視線を逸らした。
亮はそんな雪を見ながら、呆れるように小さく息を吐く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/f5/6c3c0d50e5a13cdafd9084cfc195857c.jpg)
そして亮は、疲れて見える雪に対してこう声を掛けた。
「お前家帰ったらよぉ、母親にスタミナのつく牛骨スープでも作ってもらえよ。分かったな?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/64/60d1bb9d1c915338fa45fe7fd6b144a3.jpg)
亮は色々と気苦労の多い雪を心配していた。
「もうあのおかしなヤツもいなくなったことだし、もっと気を楽に持てよ。
‥ったく、服にもついてら」 「あ‥すいませ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/65/c1e731532202f6657c662f4823e14241.jpg)
雪は彼の服に自分の鼻血がついてしまったことを謝りつつ、この間のことについて礼を述べた。
「あ!そういえばスプレー、本当にありがとうございました!
あいつの目、パンパンに腫れたと思いますよ。まともに見れなくて残念です、本当に!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/8c/bded243ea860feb4beb4e2f6cb547dcd.jpg)
亮は「そっか」と言って満足そうに笑った。
「ほら見たか!オレのそんけんの明!」と言い間違う亮に、雪が苦笑いで「先見ね‥」と言い直す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/ce/202bbc3a390b65119b453b083846ed8d.jpg)
すると不意に亮は大きな声を出し、パッと顔を上げた。
「あ!んじゃオレ行くわ。遅刻したらまた殴られちまう」
「あ、はい」「お前も授業行けよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/c2/44530444a5ab7c9ca5f2ccc87f7aaf39.jpg)
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そして亮はジャケットを羽織ると、雪に背を向けて後ろ手に手を振った。
「家でちゃんと休めよ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/5c/001fb4f67ea63ba3d17bceda11dd9648.jpg)
ザクザクと、亮は落ち葉を踏みながら去って行く。
雪は暫くベンチに腰掛けたまま、亮の後ろ姿をじっと見つめていた‥。
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<赤い痕跡>でした。
こ‥これは‥
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/a0/2993d83ad6481a9cfdd1898ba64b89f0.jpg)
この自然の風景の中で時が止まる感じ‥
この場面とかぶります。。
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ひぃ~どうなるの?!とハラハラですが、作者さんのブログでは来月休載とか‥。
まだまだ先は長いかもですね‥。
というか、雪ちゃんの好みのタイプって濃い顔(亮>淳)だったのか‥!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_shock_s.gif)
今回のハイライトは、やっぱりこのキュート亮さんですね~^^
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/be/088ff5cbe26c209a897574f5401f3a38.jpg)
亮派の皆様には堪らないショット!いいなぁイケメンは‥。
次回は<覗く素顔>です。
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まさか雪ちゃんの「好みのタイプかも」より「カッコイイ」の言葉の方がより強い好みのタイプ(ややこい)だったとは、ほんとビックリです。
まあでもその設定だからこそ、淳さまと一緒にいる時の雪ちゃんの恋心が本物ってことなんでしょうが…
にしても亮さんのこのユ◯クロシャツ、血染め2枚目。
遠藤さん…元気でやってるかな。
この回真っ先にかにさん!朝早っ。亮祭りにかにさん、シックリシックリ
血て、なかなか落ちないですよね、ユ◯クロで買いだめ説有力
ナッ!亮の顔の方が好みか~!
私ならイケメンにあんな仕草されたら鼻血ますます流れるー!
雪ちゃんが鼻血出した時上向いたのは、おばあちゃんっこだったからですね~きっと。
よっ!亮派隊長、かにさん!
今回は亮派にはたまらん展開でしたよね~。
先輩に告白した雪ちゃんですが、今回雪ちゃんが何らかの感情を亮に自覚したっぽいので、先輩ともこれまで通りでは居られない気がしますよ‥。
うわーどうなるんだー
そしてあのシャツ、確かに遠藤さんに続いて血染め二枚目ですね‥ww
>りんごさん
やはりあのシャツはユ◯クロで買いだめですね。
韓国にもあるのだろうかユ◯クロ‥。
えっーと思ったら師匠もそれで閉めていたので初出ですよね(笑)
私もまさかの濃い顔好き設定に、((((゜д゜;))))でした。。
というか、それならあの人‥濃い顔代表ナイスガイ又斗内も結構タイプなのでは‥と白目です。
ホンソルの顔の好みが初めて明かされたような気がします。バタくさいのが好みなら、勉強云々以上に、ホンジュンのアメリカ留学は羨ましかったかもしれませんね。
韓国語版はただの「ええ・・・すごい」
血が流れ出るのを止める為に頭を後ろにする(これどんな動詞ですか・・・?
空を見上げるポーズの事ですよ)
人が多かったですが、いつかから
「血が止まることじゃなく、ただ喉へ流れるだけ」
「血が固まって喉を塞ぐから危ない」という話が広まりました。
てかこれ本当かな?だって塞ぐ前に流れ落ちるんじゃないですか。
とにかく、インホたんの言う「頭下げろ!常識だぞ!」はこの広く知られた手当方から。
それにしても人の彼女に「俺ハンサムだろ?」なんて聞いてるのに
この暖かい雰囲気のコメント流れ。
もしこれが青田先輩になれなれしい平井和美だったらどうだったんでしょうか。
雪ちゃんも嘘つくと態度に出てるし・・・
先輩だったら上手く逃げますのに。
「ぷはは~人の彼氏に可愛いと言われても嬉しくないでしょ?」とか。
>その光景は雪の心に、赤い痕跡を残して行く‥。
>心の中に赤い痕跡がポタポタと、ゆっくり、しかし色濃く残って行く。
“ヒロインの鼻血”がお笑い(?)にならず、かつ亮とふたりの単純ラブラブではない妖しさというか、これから起こるであろう何か危険な空気をはらんだ描写がすごいです!
今回、私は真っ先に「彼の心情」での先輩の喉を流れるコーヒーの場面を思い出しました。
鼻血には、座って小鼻をつまんでうつむいて出血が止まるまでおとなしくしている、というのが基本的な対処方法ですよね。上を向いて喉に流れた鼻血を飲み込んでいると、血の匂いや流れる感触などで気分が悪くなったりするので、そうならないためにもうつむくとされています。(って、皆、ご存じでしたね。知ったかぶりの蛇足でした(^^ゞ )
そして私はCitTさんの
>人の彼女に「俺ハンサムだろ?」なんて聞いてるのに
に同感でしたよ。
うむむ。亮さん、雪と淳のカンケイに気付いていたんじゃなかったでしたっけ・・・?
雪ちゃん、昨夜の出来事、今でもうきうき思っているのかしら・・・。
あ――っ!亮派の皆さん、ごめんなさいっ!盛り下げてしまいましたっ!
韓国にもユ◯クロあるのですね!
情報ありがとうございます!!亮は一体どこで買いだめしているのだろう‥。
>CitTさん
鼻血の止め方については、韓国も日本も同じような認識な感じがします!
りんごさんも仰ってましたが、顔を上に上げるのは昔の考えで、今は亮さんおすすめの顔を下に下げる方‥のような。
「俺の方がハンサムだろ?」については、やっぱり亮さんの専売特許な感じがしますね。彼だから許されるというか‥。キャラ得‥。
>どんぐりさん
亮はバタ臭い顔なんでしょうね‥。韓国代表の又斗内とハーフ代表河村亮‥どっちが雪ちゃんのタイプでしょうか(愚問)
そして”赤い痕跡”に感想下さってありがとうございます!先が分からない分、こうやって不安を感じる描写でぼやかすしかないという‥。