右隣に聡美、左隣りに香織、という状態で授業はスタートした。
雪は熱心にペンを動かす。
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すると聡美が雪の方にメモを寄越した。それにはこう書いてあった。
あの子いきなり馴れ馴れしく何なの?!ムカつくんだけど!
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聡美の方を窺うと、
顔を顰めてプリプリと怒っていた。
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雪はそんな彼女を見ながら、
何で‥挨拶しただけじゃんと返した。
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それを見た聡美は速攻ペンを走らせる。
あんた先学期あの子のせいでD取らされたの忘れたの!?
しかもあの子整形したんじゃない?
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聡美の刺々しい言葉の数々に、
雪も思わず冷や汗だ。
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幾分困惑しながら雪は自分の気持ちを書いた。
そうかもしれないけど、別にいいんじゃない
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それを見た聡美が文字を書き殴る。
よく分かんないけど何かムカつく、と。
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聡美はあっかんべーのように目を広げながら、自分も目はいじったことがあると雪に見せる。
「元々目は大きかったけどね!」
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「あっそ‥」と言って雪は聡美を宥めた。
もういい加減にして授業に集中しなさい、と。
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溜息を吐く雪を見て、香織が雪の方を向く。
雪は誤魔化すように笑顔を浮かべ、それを見た香織も笑顔を浮かべる。
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何とか聡美の敵意はバレてないようだ。
雪は安堵の息を吐きながらも、先ほど太一の横に居た男が言ったことの方が気にかかっていた。
横山か‥
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「行こ!」 「行こ!」
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授業が終わり、雪と聡美は速攻でノートとテキストを片して席を立った。
香織に手を振って別れを告げると、そのスピードに香織はアタフタと戸惑った。
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廊下に出ると既に太一が二人を待っており、聡美の顔を見るとポツリと呟いた。
「何で横山先輩がそんな変な噂を流すのかさっぱりっすネ」
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「やっぱイカれてんのよ!」と言って聡美がプリプリと怒っていると、太一は無表情のまま言葉を続けた。
「俺が聡美さんを好きなこと、皆知らないんすかネ?」
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「態度に出てないっすかねぇ」と淡々と続ける太一を見て、聡美は自分の顔が赤らむのを感じた。
今聡美は太一から、二度目の告白をされたようなものだ。
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「何言ってんの
」と声を荒げる聡美だったが、廊下の先に横山翔の後ろ姿を見つけた。
ポケットに手を突っ込んで、一人悠々と歩いている。この噂の出どころ、この誤解の黒幕だ。
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雪達はその後ろ姿を睨んだ。聡美は唸ってもいる。
変な噂を流して飄々としている横山に、言い知れぬ怒りを感じた。
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そのまま三人は横山を追いかけた。
ちょっと待ちなさいよと言いながら小走りで進む。
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遅れて教室を出てきた清水香織が雪に声を掛けようとしたが、気付かれなかった。
香織は一人暗い表情を浮かべながら、ガリッと爪を噛んだ‥。
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「横山!」「ちょっとあんた!」
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横山翔は後ろから声を掛けられていたが、知らぬフリをした。
追ってくる雪と聡美、そして太一の方に振り返ってもみたがすぐに無視して背を向けた。
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その態度にますます聡美は腹を立てたが、横山は鼻歌を歌い始めると一人の女性に接近した。
このたび学科代表となった直美さんだった。
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横山は直美の持っている本を取り上げると、
「直美さんお久しぶりっす」と挨拶した。
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直美は突然現れた横山に驚いていた。
後ろから聡美達がずっと横山の名前を呼んでいることも気になる‥。
しかし横山は「気にしないで下さい」と言うと、直美に向けて視線を流した。
「どこまで運ぶんです? 俺持ちますよ。重いでしょ?」
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意味深な横山の眼差しに、直美はつい顔を赤らめた。
「あ‥C館まで‥」
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それから二人は連れ立って歩いて行った。
横山は直美が学科代表に就任したことを祝い、何かあったら俺に連絡して下さいと申し出る。
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直美は戸惑いながらも頷いた。突然の横山の接近に動揺しながらも、悪い気はしていないようだ。
雪達三人は、そんな様子を見てあんぐりと口を開けていた。
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二人の後ろ姿が見えなくなると、聡美は怒りの叫びを上げ、それを太一がたしなめる。
雪は一人考えに耽っていた。
こっちが去年のこと言わないからって調子に乗ってるのか‥?
それでもストーキングの件は無闇に言えない‥
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去年横山からしつこくつきまとわれたことは、雪にとっても忘れたい過去だった。
それでもこちらがそれを口にしないのをいいことに、おかしな噂を流すのなら黙っていられない‥。
そんなジレンマが雪を悩ます。
「ムカつくゥゥゥ~~!!」

廊下に聡美の絶叫が響き渡る。
心の中ではザワザワと、不穏な感情が胸を騒がせる‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<黒幕>でした。
聡美ちゃんも目をいじってるんですね。新たな発見でした。
そして淡々と告白する太一、いいですね~!赤くなる聡美もいい!
上手くいってほしいです^^
次回は<軍配>です。
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雪は熱心にペンを動かす。
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すると聡美が雪の方にメモを寄越した。それにはこう書いてあった。
あの子いきなり馴れ馴れしく何なの?!ムカつくんだけど!
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聡美の方を窺うと、
顔を顰めてプリプリと怒っていた。
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雪はそんな彼女を見ながら、
何で‥挨拶しただけじゃんと返した。
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それを見た聡美は速攻ペンを走らせる。
あんた先学期あの子のせいでD取らされたの忘れたの!?
しかもあの子整形したんじゃない?
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聡美の刺々しい言葉の数々に、
雪も思わず冷や汗だ。
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幾分困惑しながら雪は自分の気持ちを書いた。
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それを見た聡美が文字を書き殴る。
よく分かんないけど何かムカつく、と。
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聡美はあっかんべーのように目を広げながら、自分も目はいじったことがあると雪に見せる。
「元々目は大きかったけどね!」
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「あっそ‥」と言って雪は聡美を宥めた。
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溜息を吐く雪を見て、香織が雪の方を向く。
雪は誤魔化すように笑顔を浮かべ、それを見た香織も笑顔を浮かべる。
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何とか聡美の敵意はバレてないようだ。
雪は安堵の息を吐きながらも、先ほど太一の横に居た男が言ったことの方が気にかかっていた。
横山か‥
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「行こ!」 「行こ!」
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授業が終わり、雪と聡美は速攻でノートとテキストを片して席を立った。
香織に手を振って別れを告げると、そのスピードに香織はアタフタと戸惑った。
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廊下に出ると既に太一が二人を待っており、聡美の顔を見るとポツリと呟いた。
「何で横山先輩がそんな変な噂を流すのかさっぱりっすネ」
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「やっぱイカれてんのよ!」と言って聡美がプリプリと怒っていると、太一は無表情のまま言葉を続けた。
「俺が聡美さんを好きなこと、皆知らないんすかネ?」
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「態度に出てないっすかねぇ」と淡々と続ける太一を見て、聡美は自分の顔が赤らむのを感じた。
今聡美は太一から、二度目の告白をされたようなものだ。
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「何言ってんの
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ポケットに手を突っ込んで、一人悠々と歩いている。この噂の出どころ、この誤解の黒幕だ。
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雪達はその後ろ姿を睨んだ。聡美は唸ってもいる。
変な噂を流して飄々としている横山に、言い知れぬ怒りを感じた。
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そのまま三人は横山を追いかけた。
ちょっと待ちなさいよと言いながら小走りで進む。
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遅れて教室を出てきた清水香織が雪に声を掛けようとしたが、気付かれなかった。
香織は一人暗い表情を浮かべながら、ガリッと爪を噛んだ‥。
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「横山!」「ちょっとあんた!」
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追ってくる雪と聡美、そして太一の方に振り返ってもみたがすぐに無視して背を向けた。
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その態度にますます聡美は腹を立てたが、横山は鼻歌を歌い始めると一人の女性に接近した。
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横山は直美の持っている本を取り上げると、
「直美さんお久しぶりっす」と挨拶した。
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直美は突然現れた横山に驚いていた。
後ろから聡美達がずっと横山の名前を呼んでいることも気になる‥。
しかし横山は「気にしないで下さい」と言うと、直美に向けて視線を流した。
「どこまで運ぶんです? 俺持ちますよ。重いでしょ?」
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意味深な横山の眼差しに、直美はつい顔を赤らめた。
「あ‥C館まで‥」
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横山は直美が学科代表に就任したことを祝い、何かあったら俺に連絡して下さいと申し出る。
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直美は戸惑いながらも頷いた。突然の横山の接近に動揺しながらも、悪い気はしていないようだ。
雪達三人は、そんな様子を見てあんぐりと口を開けていた。
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二人の後ろ姿が見えなくなると、聡美は怒りの叫びを上げ、それを太一がたしなめる。
雪は一人考えに耽っていた。
こっちが去年のこと言わないからって調子に乗ってるのか‥?
それでもストーキングの件は無闇に言えない‥
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去年横山からしつこくつきまとわれたことは、雪にとっても忘れたい過去だった。
それでもこちらがそれを口にしないのをいいことに、おかしな噂を流すのなら黙っていられない‥。
そんなジレンマが雪を悩ます。
「ムカつくゥゥゥ~~!!」
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廊下に聡美の絶叫が響き渡る。
心の中ではザワザワと、不穏な感情が胸を騒がせる‥。
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<黒幕>でした。
聡美ちゃんも目をいじってるんですね。新たな発見でした。
そして淡々と告白する太一、いいですね~!赤くなる聡美もいい!
上手くいってほしいです^^
次回は<軍配>です。
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聡美目いじってたなんて~。
元々大きいのにいじったのかー。
太一がさらっと告白してたー!
新たな発見がたくさんありました^ ^
最近(本家)イメチェンした香織ちゃんは、眉も細く整えたんですね。
このときの香織ちゃんはまだ垢抜けてないというか、元の自分が強いように見えるんですけど、そう見えるだけなのかスンキさんが描き分けているのか~。
香織ちゃんは最近雪スタイルからの脱却を図りましたからね、スンキさんはそれ意識して描いてらっしゃるんじゃないですかね!
萌えない人物ですが、彼女の精神構造も分析すると興味深いものがあります。
また以降の記事で描写していければと思ってますので、見て行って下さいね~ん^ ^
りんごさんも、おっしゃってましたが、確かにおい聡美目いじってたんかい!と
つっこみましたわ
香織のこといじったーと言いながら
日本だったらうわっ絶対いじったーと思っても言えないし
しかも整形したとかあんなあっさり告白出来ないというか
韓国の整形は割と普通というか
日本人より遺伝子的に大陸寄りなので二重の出現頻度が低いらしいので
二重にするのは多いんでしょうね
管理人様
ほんとここ萌えねー
ですけど確かに精神面とか分析するとおもしろいのでしょうね
ちーとらは普通の生活を、描くようで
ヒトの持つ闇を暴くのでゾクッとしますなー
眉毛の描き方とか細かい技にも皆様気づくし
また管理人様の指摘が非常に納得感あるので思わず見比べたりしてます
韓国の整形事情、日本とは大分違ってそうですね!
日本よりも見た目をすごく重視する文化だそうですので、整形に対する感覚が違う気がしますね。
香織ちゃんは本当、読者に好かれる要素が何もないというか‥なんというか^^;
それでもスンキさんがなぜこの子をここまで見せようとしているのか、深く分析すれば分かってくるような気がして無下に出来ないんですよね‥。
本当にチートラはリアルで心に刺さるような闇や人間関係を描きますよね~!
しかし私が何よりもすごいと思うのは、全く違った精神構造を持った人物を何人も書き分けられる作者さんの力量です。
青田先輩は勿論、雪にも亮にも読者には理解できない部分があり、それを各々の人物の性格として書き分けられている‥。並大抵のことじゃないですよ‥一人一人生い立ちから家族構成、考え方や価値観まで細かく考えていないと出来ないことですからね。
‥とまた語ってしまいましたが、何にせよチートラサイコーってことで‥(漠然)^^;
>しかし私が何よりもすごいと思うのは、全く違った精神構造を持った人物を何人も書き分けられる作者さんの力量です。
↑思います。みな闇を抱えているというベースを持ちつつその背景は個々違う・・きちんとプロットや性格構成を作ったうえで作画してるんでしょうね。
結構マンガってあさって~(笑)の方向に行ってしまったらり、
この出てきた前ふりおとしどころは一体・・ということ多いじゃないですか。
でもきちんそそれが伏線として後から合致するように描かれてますよね。
ネタをほったらかしにしないで回収するというか。
でもじゃ~もうどんなエンドかは決まってるということでしょうね。
淳先輩、救済されるといいんですが。。
>じゃ~もうどんなエンドかは決まってるということでしょうね。
そうらしいですよ。
そして作者さん曰く、「そんなビックリするようなラストじゃない」らしいです。
二部の終わりのような、穏やかなものであればいいですが‥。
そして最近私が思うのは、淳先輩は雪に救済されるというよりは、自分が変だということを雪に気付かされて自分で自分を救っていく方向に行くんじゃないかな~と‥。
雪ちゃんは先輩を救えるほど彼を知らないですし、そんなに彼を好きなわけでもないような気がしていて‥。それこそ何年も付き合ったりしたら、雪が淳を救う展開もありえると思うのですが‥。うーん‥。
何にせよ今夜本家版更新ですね♪
淳先輩の報復はどういうものなのか‥あ~こわい‥。
>そして作者さん曰く、「そんなビックリするようなラストじゃない」らしいです。
じゃあ救いがあって終わるのか。。
>二部の終わりのような、穏やかなものであればいいですが‥。
穏やか・・なんか本家版みてもどんどん顔が邪悪に!
(ハングル一文字もだめなので・・あ~とかう~とかもわからん)
どんどん良くない展開のようなのが気になります・・・
>淳先輩は雪に救済されるというよりは、自分が変だということを雪に気付かされて自分で自分を救っていく方向に行くんじゃないかな~と‥。
なるほど・・でも確かに本人が気づかないといつまでもループから抜け出せず同じことの繰り返しのような・・
>雪ちゃんは先輩を救えるほど彼を知らないですし、そんなに彼を好きなわけでもないような気がしていて‥。
もっと淳先輩が向き合って自分のことさらけ出せばいいのに、と。
雪ちゃんでもそんなにもともと恋愛体質じゃないような。
自分から激情にかられるってタイプじゃないからそれなりに好きな気もするけど違うのかな。
人を好きになりやすさって結構才能というか個人差大きいし。