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昨夜降り続けた雨はすっかり止み、空には明るい太陽が浮かんでいた。
聡美と雪が構内でまったりお茶していると、突如一人の女子学生が興奮た様子で飛び込んで来た。
「マジ大大大ニュース!今そこで聞いたんだけど!横山と直美さん付き合うらしーよ!!」
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女子学生の声は大きく、その場に居た全員が一瞬にしてその噂を知った。
勿論、雪と聡美もだ。
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「マジ?!嘘でしょ?!」
「いや〜直美さんすぐ嫌になるでしょ、だって横山だよ?!」
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「横山、皆が見てる前で花束とプレゼント渡して、告白も盛大だったらしーよ」
「うっわ最悪‥マジ恥ずかしいわ」
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女子学生達は横山と直美が付き合うことについて、各々好き勝手に自分の意見を口にしていた。
どうやら横山の告白は映画のように派手なものだったらしく、それはそれは見応えのあるものだったらしい。
そんなドラマティックな告白(プロポーズ級だったらしい)を羨ましい、と思う子もいれば、
恥ずかしくてとてもじゃないけど耐えられない、と言う子も居た。
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雪と聡美はゲンナリとした表情で、その会話を聞いている。
な、直美さん‥何でまた横山なんかと‥。
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女子学生の話によると、横山の大仰な告白を直美さんは嫌がる素振りをしつつも、嬉しそうに受けたと言う。
横山に肯定的な子も居る中で、雪は一人黙り込んで考えた。
そういえば‥皆は横山があちこちちょっかい出してたのは知ってても、
あいつがヤバイ行動に走るってことは知らないんだよな‥
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横山のストーカー気質を知っていたら、まず彼に肯定的な見方は出来ない。
雪が横山からされたことは今思い出しても腹立たしく恐ろしいものだが、しかしそれもすでに去年のことだ。
今更そのことを口にするのも躊躇われ、雪はうむむと唸って口を噤んだ。
「んー‥でも羨ましいっちゃ羨ましいかも?
相手が横山じゃなかったら、あたしひょっとするかも~」
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悩む雪の隣で、聡美がどこかウットリとした眼差しをして呟いた。
どうやら聡美はロマンティックな演出に弱いらしい。
はて、そんな彼女の王子様は今どこにいて、何をしているのだろうか‥。
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その頃太一は、およそロマンティックとは程遠いところにいた‥。
携帯ゲーム機を両手で持ち、廊下を歩きつつも画面に釘付けだ。
うちの軍団、人数は増えたけど兵力ランカーがいない‥。
けど武器合成やら製錬が三時間かかるな‥。
うちの軍団員誰が占領した?徴収の時ダメージ受けるはず。助けなきゃな‥
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何が何やら分からないが(汗)、とにかく太一はゲームに夢中になっていた。
ゲーム内で重大な決断をする時が来たようで(課金するかどうかの瀬戸際らしい)、
その眼は真剣そのものだ。
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そのため、不意に横から足を出されたことに太一は気が付かなかった。
太一は思い切りつんのめり、脱げた靴が高く飛ぶ。
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地面にうつ伏せるような格好で倒れた太一の頭上から、聞き慣れた声が掛った。
「あれ?どうした~?転んだ?」
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ゆっくりと顔を上げた先に、横山翔の姿があった。
どこかニヤついた表情で、横山は太一を見下ろす。
「大丈夫?」
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太一は横山の顔を見上げながら、ゆっくりと身体を起こしかけた。
すると横山は太一の隣にしゃがみ込んで、彼に向けて手を差し出す。
「ちゃんと前見て歩かなきゃ~」
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しかし太一はその手を取ることなく、それどころか横山から顔を背けた。
差し出した横山の手が、手持ち無沙汰で元に戻る‥。
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すると横山の後ろを、彼と同期の男子学生達が通りがかった。彼らは思い思いに口を開く。
「太一転んだん?」「タッパあるから転びやすいんじゃん?」
「ははは 痛そ」 「ゲームがww」
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歩きながらゲームすんなよ、と横山は太一に軽く注意し、立ち上がった。
そのまま「昼飯食った?」と言って彼らと合流する。
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そしてそのまま一行は、太一の方を振り返りもせずに行ってしまった。
横山のくせのある笑い声が、響いて消えていく。
太一は立ち上がることも忘れて、その後ろ姿を眺めていた。
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心の中に小さな刺が一本、チクリと刺さったような気分で‥。
横山ご一行は、そのまま昼食を取りに学食へと向かった。
男子学生の一人が、ふと思いついて横山に話しかける。
「そういや太一の奴、去年お前にバスケのボール投げつけたんじゃなかったっけ?」
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何でそんなことがあったのに太一に良くしてやるんだ、と彼は不思議そうに言った。
その隣で横山が、ニヤリと笑っている。
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そして彼らは、去年の球技大会の記憶を辿った。
伊吹聡美をめぐって横山と太一が一騒動起こした、あの時の記憶を‥。
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「てかフツー女のために先輩にあんなことするかぁ?」
「あん時は翔の失言でそのまま流れたけど、考えてみりゃ太一の奴笑えるよな」
「あんなことまでやらかして、結局伊吹と付き合うことも出来ねーでやんのww」
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彼らは嗤いながら太一のことをこき下ろした。
それを聞いた横山は、どこか憂いを帯びた表情で彼らに向かって口を開く。
「まぁ‥俺が悪いんだからさ。キレて暴れて‥今考えるとどうしてあんなこと‥」
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しおらしい横山の態度に、彼を取り巻く連中は優しい。
「お前もようやく人間らしくなったか!」
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そして彼らは笑いながら食堂へと向かって行った。
横山翔の計画は、着々と進められている‥。
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<横山翔の計画>でした。
どんなんだったんでしょうね、横山の告白‥。
花束持って直美の前で跪いたりしたんでしょうかねぇ。。私だったらヤダな‥笑
そして太一がしているゲームは、
「上告の伝説」というゲームらしいです。
あと「手のひら三国志フュージョン」もやってるらしいです。
ゲームに疎いので全然分からないですが‥^^;
ピンクのカバーからして、お姉さんのDSですかねぇ。
次回は<秘密の共有者>です。
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http://www.youtube.com/watch?v=_QReN2RPhYA
他人を使ってプレッシャーをかけるこういうやり方は、個人的には「イケメンでも有罪」です。が、韓国のドラマや映画ではしばしば見かけます。
韓国男子の恋愛関係を表現する言葉として「10回切って倒れない木はない」という言葉もあります(今でもそうなのかは知りません)。ただ、相手の意思に関係なくそれだけしつこくアプローチかけるのは、一つ間違えれば完全にストーカーですからね…。やっぱり苦手です(笑)。
ブラック淳とかお亮さんの企みとか全て吹ば飛ばして一番引いた回かも
横山そんな告白してたのかil||li (OдO`) il||li
まあそれは良いでしょう如何にもさもあらんですから
やはり、直実先輩
嫌そうながら、嬉しそうって。。
この人苦手ですわ
理解しあえないタイプ
そんなこと、されたら100年の恋も冷めるので
自己陶酔は一定必要かもしれませんが
リアリズムに撤すればするほど酔えない私としてはドン引き回でした
正直聡美の反応も、ギリギリなんですよね
雪と違ったタイプとは雖も友達としての親和性実はかなり低いのでは
そして太一に対する横山サイドのメンバーの反応も更に理解不能
あんな嫌がる女に無理強いする横山にバスケットボール投げるのそんなにダメですか?
暴力は暴力ですけど太一に対してそこまで批判出る要因がわからない
まあ横山の手管に籠絡するような輩と、いってしまえばですけど
韓国の感じ方だから?
とかく色々相容れない回でした
むくげさんの、全体においてビシッビシッとまとまった各辛口に、私の気持ちも便乗させて頂きます。←ちゃっかり
まぁ私は亮さんブラックには全然ひかなかったけどね~(笑)
太一がアヤツらに好き勝手言われるの、マジ悔しいッス!
でもまぁ、横山なんかとツルんでるヤツラだからその程度か。
直美さんて、ホントよく分からん。いつもそう。極悪じゃないけど、地味に変。
みゆきちゃん同様、こーゆーテのが一番苦手かも。正論ぽいコト言ってるワリにはチグハグてゆーか。
まぁ最近では、ミンスと仲良くしてあげてる一方で、ケータイ(蓮画像 inの)取り上げてくれるというチグハグさは応援しますが。笑
そーなのです。
チートラじっくり観察してると、太一と柳の良さを実感します。
中庸って大事なんだな・・と。
バランス取れた男の価値って、年を取れば取るほど実感しません?
若いうちはちょっと冷たい悪い男に惹かれる時期がありますが、ほんとあれって若さ故で・・
>でもまぁ、横山なんかとツルんでるヤツラだからその程度か。
そーそー
しかし一応こいつらも一流大学の学生なんですよね・・
>直美さんて、ホントよく分からん。いつもそう。極悪じゃないけど、地味に変。
>みゆきちゃん同様、こーゆーテのが一番苦手かも。正論ぽいコト言ってるワリにはチグハグてゆーか。
ほんとそう。地味にめんどくさい女だし。
直美のリアリティってすごいですよね。こういう人実はいるいるみたいな・・
サブキャラにも手を抜かない、スンキさんは恐ろしい子!(白目)
太一がこんな扱いされてることに憤りを感じてならないわ。
さすがYukkanenさん!すごいです!
「今こそが現金決済のタイミング・・・!」ですって。
むくげさん
>そんなこと、されたら100年の恋も冷めるので
激しく同意!
青田先輩の付き合い公開宣言で萌えましたが、
あくまでも二次元だから出来た萌え心・・・
実際で皆に囲まれて「本当?本当?」されたら・・・
うわぁ、無理。
しかも気持ちも確かめ合ってないのに
「俺と付き合おう!ほら、皆見てるよ!空気読んでYesだ!」なんて。
好きな人にされても無理です(汗)
あ、そして直美先輩の反応は「(プライドのためか、)嫌がるふりしてたけど、それがうまく出来なくて、実は喜んでるのが見え見えだった」って感じです。
>太一に対する横山サイドのメンバーの反応も更に理解不能
これは結構ありえる雰囲気変化じゃないでしょうか。
だって・・・男たちはバスケに夢中でしたし、
横山の暴れも女たちに聞いただけでしょう。
彼らが横山に目を向かったのは、
きっとボールが横山の顔を叩いた瞬間から。
そしてお酒を何度か一緒に飲んだだけで妙な仲間意識を建つのは全世界の男性の共通点・・・じゃないでしょうか?
プレッシャーを超えてまるで嫌がらせですね‥^^;
韓国男子はまだまだ肉食系なのでしょうか。
百歩譲ってカップル間のサプライズなどではアリかもしれませんが、告白にこういった演出はナシですなぁ‥。
むくげさん
韓国ドラマなどを見ていても思うのですが、映画のような演出が日本よりも多く見られますよね~。
ベタな展開が好まれるというか、ロマンティックや叙情的な面が韓国では好まれるのでは?と。。
リアリスティックな人間にはキツイところかもしれませんね‥^^;
そして私が思うに、太一って他の男性陣からちょっと変わった男子と思われてるのかなぁと。
いつもヌナ二人と一緒だし(しかもかなり可愛い部類の。嫉妬の対象になりやすい)、飄々としていて何考えてるのか分かりづらいし、ゲーム大好きオタク気質だし‥。
だから一層何か事件が起きた時にマイナス視点で見られるんじゃないかなぁと。
そこに加えて横山は最近ご飯をおごったり皆に尽くしたりしてるわけですから、ここで横山の評価が上がって太一の評価が下がるのはしょうがないのかも‥。
姉様
体調が芳しくない中、コメありがとうございますTT
私もなかなか姉様のところ遊びに行けずすいません~~。また必ず!
直美さん、微妙ですよね‥。本当姉様のおっしゃるとおり、極悪じゃないけど何かズレてるというか。。
一緒にいたらストレス溜まりそうです^^;
CitTさん
ゲームの種類は作者さんのブログに書いてあったかな?作者さんも3DS持ってるらしいですね~。
太一がやるようなゲームソフトはやらないみたいですが。
あの太一が意気込んでるコマは、課金するタイミングだったのですねww
それはあの顔になるかも^^ふふふ