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A大経営学科四年の学生達が、授業を終えたところだった。
ザワザワと騒がしい教室内に、一際大きな声が響く。
「じゃあお前来週から出勤すんのか?単位はどーなんの?」
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柳瀬健太は青田淳から、来週からZ企業にインターンに行くことを聞き出したところだった。
単位も取得出来るインターンらしく、淳は余裕の表情だ。健太は羨むように言う。
「Z企業はインターンの審査基準も高かったのにすげーな!そのまま社員になれんのか?」
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健太は淳にZ企業のインターンについて聞きながらも、
教室を出て行こうとする他の四年生達に声を掛けるのも忘れない。
「お?!お前ら就活セミナー行く?俺も一緒に行くからよ!」
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柳瀬健太は大きな仕草と憂うような声で、淳に話しかけ続けた。
自分も含むまだ就職が決まらない四年生は、教室の半分になってしまったと。
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「淳はセミナー行かねーんだろ?
Z企業のインターンなら行く必要ねーもんなぁ!いいよな~!」
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柳瀬健太の声は大きかった。そのため教室中の学生が、淳の進路を知ることになる。
Z企業だって‥羨ましー‥うちの学科から何人行ったっけ?‥、囁くようなヒソヒソ声が聴こえていた。
「それじゃーな!」 「はい」
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淳は健太の挨拶に頷き、同じように別れを告げた。
すると教室の入口から、明るい声が聞こえてくる。
「先輩方、終わりました~?お疲れの先輩方を、僕がオモテナシしちゃいますよぉ~!」
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ワッと横山翔を囲んで声が上がる。横山が先輩達にご馳走すると言うのだ。
そしてそのまま、その場にいた四年生の大半は横山について行った。柳瀬健太もだ。
「うははコイツめ!優しいじゃねーか!直美も良い奴捕まえたなぁ~?」
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そしてその輪の中に、ケラケラと笑いながら横山を囲む男子二人が居た。
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淳の脳裏に、ついこの間まで同じような笑顔を浮かべ、
自分に寄って来ていた彼らの姿が思い浮かぶ‥。
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淳は呆れたように息を吐くと、じっと彼らの姿を眺めていた。
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「あ!」
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そんな視線に気がついたのは、横山だった。パッと笑顔を浮かべると、淳に向かって言葉を掛ける。
「先輩!インターン内定おめでとうございます~!
これからはなかなか会えないんでしょーねー?」
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横山はそう言った後、淳に背を向けて教室を後にした。男子学生達が、賑やかに笑い声を上げて彼に続く。
大きな目を見開きながら、淳は彼らを見送った。
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不意にポケットに入った携帯電話が震えた。メッセージが入っている。
先輩、今後空き時間は図書館でバイトをすることになりました。
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雪からだった。
彼女からのメッセージを受け取った後、淳は一人空を見つめる。
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頭の中に、先日目にしたあの場面が思い浮かんだ。
親しげに家へ帰っていく雪と亮、そして雨の中で渡せなかった傘‥。
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喧騒が去って行く。
今まで自分の周りに居た人々がごっそりと、横山翔に連れられて去って行った。
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淳は一人教室に取り残され、その場に立ち尽くしていた‥。
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外に出た横山ら一行は、何を食べようかと言ってワイワイと歩いていた。
後方に横山と健太が並び、含みのある表情でニヤリと笑い合う。
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夏休み初旬から、横山が布石を打っておいた健太との繋がり‥。
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それがここに生きている。
地道な活動は実を結び、全てが彼に味方しているように思えた。
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横山の脳裏には、先ほど一人教室に取り残された青田淳の姿が浮かんでいた。
横山は口元に笑みを浮かべながら、始まったばかりの作戦の行く先を思う‥。
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<取り残された彼>でした。
短い記事ですいません~!
最後、教室に一人残された先輩のカット。
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皆さんこの画をよく覚えておいて下さいね。先のストーリーで重要になってきますヨ^^
次回は<亡霊>です。
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しょーもなっ、って感じですよ・・
イライラする二人がくっついて相乗効果2倍じゃ効かない。
淳は悔しいなんて思う男ではないはず。(じゃないとヤダ)
あまりのくだらなさと低レベルさに呆れるので目を見開いたかと。
舌打ちがやれやれに繋がるってほんと文化的差異を理解していないと違う風に訳されてしまいそう・・
CitTさん曰く安易に(笑)
>最後のカット…はあのシーンに繋がりますね
読み込み不足でしょうか・・気付けない・・
落ち着いて読み返してみなくては。
日本語Ver.読んだ事無いんですが、
ここのコメントで公式訳の悪名を聞いてきた私に
日本語Ver.のイメージはそんな感じです。
ちょびこさんの思ったこと、私も思いました。
横山「ざま見ろ!」
青田「・・・」(←悔しくない)
そうです!あのシーンに繋がりますよ~^^
また先の記事でも言及しますので、しばしお待ちを~♪
蓮と恵の記事は3月中旬で3日連続を予定してます。
また遊びに来て下さいね~^^
CitTさん
いつもありがとうございます‥!
ここの先輩の舌を鳴らす音は、日本語的には「はっ」と息を吐く感じ(見下す感じ?)かな、と思い修正させて頂きました~^^
ここの先輩は、横山の陰謀を見破っていると私も思います~。だから自分が取り巻いていた学友たちが居なくなった云々よりも、青さんがおっしゃったように横山が淳に持っている悪意に対しての沈黙なんだろうなと。
そして姉様は横山に萌えないから読み飛ばしているんだと思います(笑)
そっかー。舌打ちにも違いが。
先輩は「やれやれ」といったトコロでしょーが、横山本人はしてやったりと思ってるトコロが気に入りません(笑)
あと、先輩のあの立ち姿…
私、何と関連するのか分かってません。
破門でしょうか。
あちゃー。
「小学一年生やあるまいし…」といった様子に、悔しさのニュアンスは全く感じられません。むしろ、そんな人間を好き好んで集めているオヨンゴンとキムサンチョルに、「アホやろあいつら」とでも思っているんでしょう。見下している感ありありです。
ただ、インホのあの笑みの意図がユジョンに伝わっているとしたら、オヨンゴンのそれも伝わっているんでしょう。人気取り行為の背後にある意図と、こっちに向けられた明確な悪意とを十二分に感じ取ったうえでの、あの立ち姿ですね。
これ知らないと大分意味変わってきますね、知れてよかったです!
「あいつといれば得する」みたいな考えの顔もぼやけた取り巻きについては、先輩痛くもかゆくもなく、うざい人間関係減ってむしろラッキーくらいに思ってそうですが…。
柳さえいれば大学卒業まで友人関係特に不自由なさそう。
とにかく先輩は翔のことを
馬鹿馬鹿しいと思ったようです。
今まで貴方のしてきた仕草をコピーしてますが?
意味は「気に食わない」。
2.韓国の舌打ち:「つっつ」と2回以上。
意味は「可哀想orなさけないor見下ろし」。
韓国ウェブ漫画は日本漫画に多くの影響されてるので、
1の舌打ちもみえますが、
先輩が人気者となった翔を見ながら
舌打つ時の擬声語はどうみても2ですね。
先輩、友達とらわれても悔しくないのかな(笑)
最後のカット…はあのシーンに繋がりますね笑
って本家は絵しか見てないから違うかもしれませんがw
本家に追いつきそうですね^ ^
蓮と恵の番外編の記事も楽しみです!