Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

彼女の味方

2017-01-07 01:00:00 | 雪3年4部(狂った計算式〜制裁)
静香に手を引っ張られ、雪は全速力で走らされた。

ぽかんと口を開けた健太の顔が遠ざかる。

「ええええ?!」



色素の薄い長い髪が、目の前で舞っていた。

突然の出来事に、ただただ圧倒される雪‥。



「ちょ‥ちょっと待って!待ってーーっ!」



キキッとブレーキが掛かり、ようやく二人は止まった。雪はゼーゼーと肩で息をしている。

「何?!なんなんですか?!」

「あの図体のデカイのが怖い顔で近付いて来るから!」「えぇ?!」



「来る!と思ったら〜チョー怖かった〜」「‥‥‥」



雪は息を落ち着けると、怪訝な顔でその理由を静香に問うた。

「あの人は私の先輩なんですけど‥どうしてでしょうか?」

「え?そりゃまぁ‥」(色々ね‥)



静香は含みのある返事をした後、その理由を説明し始めた。

「実はあいつ、前からあたしにちょくちょく絡んでくんのよね。

あたしが淳ちゃんのオンナだって勘違いしてるみたい」
「えぇ?」



「淳ちゃんとどういう関係なのかってやたら聞いてくんのよ。

あたしとワケアリだって踏んで詮索してくるの」




「あっ!誤解しないでね?

こうして正直に自分からぶっちゃけたワケだし」




「絶対に淳ちゃんに言っちゃダメよ?」「‥‥‥‥」



調子の良い先手を打たれながら、雪はプルプルと怒りに震えた。

黒いオーラを纏いつつ、悶々とそのオーラの中で静香を睨む。

つーか柳瀬健太‥あの人なんでずっとああなんだろ‥

とにかく!先輩もこの人との関係は何でもないって言ってたけど、なんだかムカつくんですけど!

いや、ていうか‥




「それで先輩とは何でもないって言ってくれたんですか?」



引き攣った笑顔を浮かべつつ、静香に事実確認をする雪。

しかし案の定、彼女は健太に否定をしてない様子だった。

「ん〜それは‥ん〜‥」



雪は声を上げながら、ハッキリと静香に釘を刺す。

「私が怒ると思ったんですか?!そんなことせず正直に話して下さいよ!告げ口しませんから!」



んー‥



静香は雪から目を逸しながら、煮え切らない態度ではぐらかし続けた。

そして勉強のチェックが終わっても、静香はなぜか雪の後にくっついてくる。

「ねぇちょっと〜!」



「交通費、後で絶対返して下さいよ?!」「夕飯代も借りちゃダメ?」
「ダメ!」



不本意ながら金欠の静香に交通費を貸した雪。

そして今夕飯代をせびられている‥。

「腹ペコじゃ勉強出来ない〜」「‥‥‥」



ぐぅぅと鳴るお腹を押さえながら、静香は恨めしそうに雪の顔を見た。

雪は溜息を吐くと、静香を店へと連れて行ったのだった。



「アンタ勘違いしてるみたいだから言っとくけど、」



「本来あたしはさっきみたいに逃げる女じゃないのよ。

今みたいなしみったれで貧乏くさい女でもないし」
「はいはい」



温かな宴麺に手を伸ばしながら、静香は不本意そうにそう語った。

今は牙を隠しているだけにすぎないのだと。

「健太だか何だか知らないけどあの図体のデカイ男、やたらイライラして突っかかって来てさぁ‥。

亮に頼んでボコボコにしてもらいたいわ。いつもだったらそうするのに‥」




「‥‥‥‥」



雪はむっつりと黙り込みながら、以前河村氏が静香のフォローをしていた場面を思い出した。

「うちの姉ちゃんが‥ とりあえずオレが代わりに謝るから」



そして、店の前で一人涙を流していた光景も。



雪はゴォォと黒いオーラを纏いながら、目の前の無神経な女を睨む。

ていうか自分のことなのにどうして河村氏を巻き込むの?

皆が迷惑を被るでしょうが!




ふと、初めて静香とテーブルを囲んだ時の会話を思い出した。

「先に噛み千切ることが出来なきゃただの間抜けなカモよ。

それは家族の間柄だとしても変わらないわ。今回の件が終われば、次のターゲットはあたしの好きなようにする」


あの時は、今にも私を取って食いそうな目つきをしていたのに



思わず背筋が凍りそうな眼差しと、まるで銃口を突きつけられているような恐怖を、

あの時静香と相対していた雪は感じていた。



こんな関係になるだなんて、あの時の自分は想像もつかなかっただろう。

今ではすっかり落ち着いた



運が良かったんだよね。もし喧嘩になってこの人が掴み掛かって来たらと思うと‥



雪は頬杖をつきながら、以前目にしたことのあるこの人の凶暴な面を思い出していた。

そして先日期せずして遭遇した、彼女が抱える闇を垣間見たあの一瞬のことも。

こんな性格になったのも、何か理由があったんじゃないか?






雪の手首を掴んだあの瞬間、静香の瞳孔の絞られた瞳の中に、得体の知れない感情が凍った。

何かが彼女の中に爪痕として遺されている、そんな直感が雪の中を駆け抜けたのだ。



雪はあの時掴まれた手首を見つめながら、段々と知ることになった河村静香という人間について考えていた。

自身の感情を出来るだけ客観視しながら。

まぁ、ぶっちゃけムカつく相手だけど、人間的にはどこか可哀想な人でもあって‥。

何よりもこの姉弟は二人共まず手が出るっていうのがちょっと‥




大人しく食事をしている静香に向かって、雪は落ち着いた声でこう話し掛けた。

「確かに、柳瀬健太は私でも時々殴りたくなることがありますよ」



その声に顔を上げる静香。雪は話を続ける。

「でもね、ずっとこんな風に過ごしてたって何も変わらないって思いませんか?

面倒でも、まず動いてみないと‥」







説教かよ、と聞こえてきそうな表情をする静香に向かって、雪は根気よく言葉を続ける。

「考えてみて下さいよ」



「大変かもしれませんけど、頑張れば就職出来るなんてラッキーじゃないですか!

このご時世、なかなか入れるもんじゃないですよ」




雪はまるでプレゼンターのように静香が今置かれている状況を改めて説明し始めた。

何やってるんだか、と若干自虐的に思いながらも、雪は舌を滑らせる。

「自分の力で稼いで堂々と使えるんです。美術館に行っても良いし趣味で画を描いてもいい。

ダサいと思うかもしれないけど、少なくとも今は好きになれないかもしれないけど、

実際静香さんは美人だし頭も良さそうなんだから、このままじゃもったいないですよ」







テーブルに置かれた静香の手が、徐々に握り締められていくことに雪は気付かなかった。

雪はペラペラと饒舌に、まるで静香の機嫌を取るように立ち回る。

「それを生かせば誰よりも上手く行きそうなのに‥。

あ、足りなかったら言って下さいね。今日はうちの店からのおごりですから!」




すると静香は雪のことを凝視しながら、一言こう口に出した。

「それじゃアンタ、あたしの味方なの?」



「え?」






瞬きもせずに、静香は雪のことを真っ直ぐに見つめてくる。

雪は彼女から目を逸らせずに、その予想外の質問に答えあぐねた。

「あ‥私はその‥味方というか‥」



「味方ってことよね?」







畳み掛ける静香の瞳の中に、以前雪が恐怖を覚えたあの色が溶け込んでいた。

嘘も世辞も全て見透かす、そんな鋭さを帯びた瞳‥。



「はい‥まぁ‥」



曖昧にそう返した雪に、静香は何も言わずただ食事を続けた。

雪の胸の中に、言い様のない不安と違和感がこびり付く。

何だろう‥



どうして突然そんなことを‥?



静香が麺をすする音を聞きながら、どこか落ち着かない気分で雪は彼女の前に座っていた‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<彼女の味方>でした。

静香と雪の回でしたね。

最初あんなにも静香にビビってた雪ちゃん、もう対等に喋れるようになって‥。

そして「店からのおごり」を雪ちゃんが出来るのか‥?!後から雪が払うのかなぁ‥ホロリ


次回は亮さんの回ですよー。

<けじめ>です。



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2 Comments

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Unknown (うめやん)
2017-01-08 08:49:35
依存する対象が雪にスライドしただけにみえてしまいますね、、(´-`).。oO

雪、、静香は危険物取扱注意よおー!と言いたいです(笑)

それとも理解者として雪を認め始めたのかな?
、、、まだわかりませんね、、
静香は自力で這い上がってもらいたいなあ。。じゃないと意味が無い気がします。
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うめやんさん (Yukkanen)
2017-01-14 22:09:37
危険物取扱注意よぉ〜!
はい、私も言いました。笑
ナメてかかると取って食われる‥恐ろしいですよね。。雪ちゃんの身が案じられます。。
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