Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<雪と淳>全面対決

2013-06-29 01:00:00 | 雪2年(全面対決、攻撃の終了)
A大学の学園祭がすぐそこまで迫ってきていた。

各学科が出し物として店をやったりイベントを企画したりするのだが、

経営学科もそろそろその出し物を決定して、申し込みをしなければならなかった。



授業終了後、雪が机に突っ伏していると、その話し合いが前方の席でされているのが耳に入ってきた。

「それじゃ具体的な意見はもうない?他の案でもいいよ。

居酒屋の他に提案がある人は言って」




なかなか意見や提案は集まらない。まとめ役の青田淳は溜息を吐いていた。

そんな淳に、柳瀬健太が声を掛ける。

「やっぱ他の学科と同じように居酒屋でいいんじゃねーか?」

「それだと毎年全く同じなので、学祭に誰も参加しなくなります」



経営学科は惰性で毎年居酒屋をイベントとしてやってきたようだ。

その事実には色々意見が別れるところだった。

「いいじゃん居酒屋!毎年同じってことは理由があるんだって!」

「同じ事何回もして何が面白いんだよ。面倒くさい」



居酒屋を開くという意見そのものには淳も賛成しているが、問題はそこへの皆の関心の低さだった。

「じゃあ軽食屋は?お好み焼きとかそういうの」「それじゃ居酒屋と変わんないじゃん」

「学祭の日雨降りそー」「んなこと言うなよ。テンション下がるわー」



雪は皆のダラダラとした話し合いを聞いていた。

出てくるアイデアは既存のものばかりで、皆の関心の薄さが伺える。



知ーらない、と雪は始め背を向けた。

やりたい人だけで勝手にやってくれ、と。



しかし話し合いは遅々として進まない。皆意見というより文句や愚痴ばかり口にする。

思わずグッと言葉を飲み込む雪。



そして結局、雪は再び彼らの方へと向き直った。

小さな声で声を掛ける。

「あの‥先輩!」



「て‥提案があります‥」

「お、赤山!何だ?我らが経営学科の期待の星!言ってみろ言ってみろ!」



健太先輩が発言するよう促し、恐る恐る雪は口を開いた。

「私が一年の時入ってたボランティアサークルで、大学の前のビヤホールを借りて居酒屋をやったんです」



「それがすごく上手くいって‥天候にも左右されないですし。

あとはインディーズバンド呼んで、ライブハウス風にするのもいいかもって‥」




雪の意見に、健太や他の先輩達は「いいかも」と乗り気になった。

しかし、青田淳だけは違った。真っ向から切ってかかったのだ。

「それはちょっと難しいんじゃない?オーナーの許可なんて簡単に取れない。

君たちのサークルではどうやったの?」




雪は多少たじろぎつつも、それに答えを返した。

「あ‥人脈で‥」「その人にまた頼める?」

「いえ‥」「それじゃ上手く行くとは言い切れないよね?」



取り付く島のない淳の意見。

しかし雪も負けていない。続けて自分の思う所を述べた。

「‥だとしても、出来ないことはありません。

前に先輩たちがやったときはかなり上手く行きました」




「じゃあ資金面はどうなる?

バンドを呼ぶにしても店を借りるにしても、その予算はどう工面するの?」




意見を戦わせる青田淳と赤山雪。

周りの視線は痛いくらいに、首席と次席の討論に注がれた。

「他の学科は皆構内で居酒屋やるのに、俺達だけ外ですれば客足も減るんじゃないかな?」

「そうだよねー」「これ以上お金掛けたくない」



周りの意見は淳寄りだった。

だとしても、ここではいそうですかと引き下がる訳にはいかない。



イラつく雪。

頭ごなしに意見を否定する彼に、今までの悪感情が堰を切ったように溢れ出る。

「でも差別化されて逆に良くないですか?却ってお客さんが来るかもしれません。

場所が問題なら、張り紙や案内板を構内に沢山作って、案内すれば良いんじゃ‥」


「その程度の宣伝はどこでもやるさ」



淳も又、今までの鬱憤が溢れ出るのを感じていた。

しかし頭は冴え渡り、理論でその意見を叩き潰す。

「学祭だからって派手なだけの企画なら、やらない方がマシじゃないか?」








その対決の激しさに、教室は静まり返った。

柳がドン引きしつつフォローに入り、健太が淳の肩を抱く。

「ちょ‥お前‥」「うははは!経営学科の熱い精鋭達よ!魂が騒いじまうか?いや~立派立派!」



「ま~あんまデカイことはせんでさぁ。安パイで行こうぜ安パイで」



淳は息を吐いた。軽く疲労を感じている。

そしてふと気づいた。赤山が言い返して来ないぞ、と。

また怒ったか?















その雪の目には、激しい感情が何も無かった。

あるのはただひとつ。

諦めだけ。



そして最後に彼女は、ポツリと一言呟いた。

「‥はい。私の考えが足りなかったみたいです」








彼女は去っていった。





たった一人で。












淳は扉が閉まってからも、彼女の残像を見ているかのように視線を留まらせていた。





しばらくして、柳が淳の表情を窺いながら口を開いた。

「ん~、オレは赤山ちゃんの提案イイと思うけどね」



「そこまでケチョンケチョンに言わなくてもイイんじゃない?

お前らしくもない‥一体どーした?」




淳が黙っているので、柳は続ける。

「要はコネさえあればいいんだろ?うちの兄貴の友達が大学の前でバーを始めたんだけど、

そこの雰囲気も良いし、しかもその人もうちの学科の卒業生だから、結構乗ってくれる気がするけどね」











雪は一人きりで去って行く。

心の中は先程の昂ぶりと、落胆と、苛立ち、そのほか形容できない感情たちが、底のほうに揺蕩っている。

しかし雪の理性がそれを押さえ込んだ。

もうどうでもいい。私には関係ない



彼女は諦めた。

憤りも興奮も、全てを腹の中におさめながら。

今までそうやって、生きてきたんだ。










同じ頃、淳は中庭で一人ベンチに座っていた。



自分の中に生まれた感情に、少し戸惑っていた。

先ほどの柳の言葉が頭の中を廻る。

お前らしくもない‥一体どーした?




自分でも分かっていた。

あまりにも自分らしくない、と。

彼女にまつわる、記憶の全てが蘇ってきた。


前から嫌いだった。



無理に笑うのも、



自主ゼミの時の彼女が思い浮かんだ。

何か聞かれても、すぐに愛想笑いを浮かべる彼女。

観察するような目つきも、



笑いながら寄ってくる大多数の合間から、

いつもその目つきは鋭く刺さり、気に障った。

全て見透かすかのようなその表情も。



毎日を平穏に過ごしていくために構築した、見せかけの自分自身を尽く彼女は見破った。

侮辱を受けたら他人を利用して傷つけ返し、戸惑う彼女に報復したつもりだった。



しかし気がついたら、幼稚な振る舞いをした自分が居た。



堰を切ったように溢れ出る悪感情。

自分で自分がコントロール出来なくなる不快感。

ずっとウザかったから‥大人げなく詰め寄ってみたけど‥



人が自分の振る舞いを受けてどんな反応をするかなんて、全て分かってたつもりだった。

なのに‥







怒ると思ったのにな‥




その時淳の心の中で、何かが引っ掛かった。

静かな空間の中で微かに、それは淳の意識を惹く‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<雪と淳>全面対決 でした!

遂にお互い正面切っての対決でしたね!

次回は3部にて追加された、この全面対決後の雪と淳とのエピソードです。

<雪と淳>攻撃の終了 です。


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6 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (りんご)
2013-06-29 01:22:56
たびたび…こんにちは^^;;

ここだったんですね…!
なるほど、すごい
ようやく私、話がつながった…U+203C
そしてプロローグへ…となるわけですね

いつもありがとうございます☆
返信する
Unknown (tea)
2013-06-29 16:12:02
こんにちは。

本家版でこの回を読んだ時は韓国語がわからないから、痴話喧嘩をみんなの前でしてる‥‥(・・;)って思ってました。

なるほど、ukkanenさんの翻訳&解説でスッキリしました!
第三部でもこんな風に過去に遡るのですね‥。
本当にありがとうございます。
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Unknown (Yukkanen)
2013-06-30 09:52:42
りんごさん

またまたこんにちは~!
話がつながりましたか!時系列解釈ブログとしては何よりの褒め言葉です‥☆ありがとうございます!
この言い争いとかグループワークとかは訳すのがちょっと大変でした‥。(^^:)
プロローグ編も気合入れて書いてますので、またいらしてください!!
返信する
Unknown (Yukkanen)
2013-06-30 09:59:36
teaさん

こんにちは!またいらして頂いて嬉しいです☆
この話は絵だけみたら何がなんだかですよね‥。
拙い翻訳ですが、楽しんで頂けたようで幸いです。

第三部プロローグが、今のところ時系列でいうとこの話の続きになると思います。
まだ解明されていないところもありますので、本家版を楽しみに待ちましょう♪

またいらして下さいね♪
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度々失礼… (ちょびこ)
2013-07-06 08:53:29
過去記事にまで登場失礼します。

怒るかと思った…
いや、もう先輩の中の、特に女性へのイメージからして、ヒステリックに泣きわめくコトすら想定してたんじゃないでしょうか。
そしたらシメタもの。せいせい大嫌いになれるのに、雪ちゃんたら…笑

私もそんな雪ちゃんが好き。

それにしても、周りもビックラこいたでしょうね。あの青田先輩があんな厳しい口調で?!って。
そんな先輩の一面を引き出せる雪ちゃんが、やっぱり好きU+2661
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すごい! (Yukkanen)
2013-07-06 17:28:48
ちょびこさん

過去記事にまでコメント頂けて恐縮です!
気が付きませんで、返信おくれてすみません。

本当、柳先輩とかちょっと引いてましたもんね!
健太先輩はあの性格だから特に気にして無かったですが‥汗

雪ちゃんは知らぬ内に先輩の気を引いてしまったのですね!
あの自分を押し殺す雪ちゃんにはどこか物悲しさを感じます。。

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