今回は、がんと心の関係を明らかにした『がんのセルフコントロール サイモントン療法の理論と実際』(カール・サイモントン、他:共著、笠原敏雄・河野友信:訳、創元社:1982年刊)という本をご紹介しましょう。
著者のカール・サイモントン氏らは、末期のがん患者のカウンセリングを通じて、患者自身の病気に対する態度が病状に大きな影響を与えることに気づき、リラクセーションとイメージ療法を中心とした治療法を考案し、大きな成果をあげたそうです。
その具体的な内容は、以下のようになります。
1.身体の筋肉に意識を集中し、頭から足先へと各部分の筋肉がリラックスするように命じる
2.木陰など、快適で静かな場所で休んでいる状況を想像する
3.がん細胞のイメージを具体的に想像する(このとき、がんはDNAが損傷した細胞なので、もろくて混乱した細胞であるとイメージするのが正しいそうです)
4.体内の白血球ががん細胞を攻撃し、がんが次第に小さくなっていく様子を想像する
5.自分が次第に元気になっていく様子を想像する
これを毎日3回実行するそうですが、これで末期がんの患者が劇的に治癒した例もあるそうです。
サイモントン氏らによると、同じ末期がんの患者でも、本人が生きる希望を失っていると効果が出ないそうですが、生きる希望と意欲を持っている患者の場合は効果が大きいそうで、彼らは次のように語っています。
「しかし、一方、自分が持っている力を最大限に動員して、病気の治療に積極的に参加したとするならば、逆に、生存可能年数を延ばすこともでき、さらに、その余生の過ごし方に重要な影響を与えることもできるという可能性を忘れてはならないのです。」
この本には、その他にも様々な情報が載っていますが、心理学者らしい分析だと感心したのは、自分が直面する問題から逃避するために病気になる人もいるという指摘で、こういう場合はいくら食生活を改善しても効果がないと思いました。
また、恨みの感情を克服することが大事だそうで、サイモントン氏らの経験によると、がん患者は恨みや過去に対する感情的な執着を持っている場合が多いそうです。
一方、彼らは心の問題以外に、運動の重要性にも気がついていて、1日1時間の運動を週に3回はやるよう薦めています。
最後に、興味深いエピソードを1つご紹介しましょう。
ある腎臓病の患者が腎臓移植手術を受けることになったのですが、移植手術から数日後に腫瘍が発見され、移植された腎臓にあったがんが転移したものだと分かったそうです。
そこで、医師が免疫抑制剤の投与を中止したところ、数日後には腫瘍が消失したそうで、私はこのエピソードを読んで、免疫機能が正常ならがんは簡単に治るということを確信しました。
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