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<御嶽山噴火>死の頂 動かぬ6人 沈痛の緊急消防援助隊

2014-09-30 09:45:43 | 災害

毎日新聞 より転載

<御嶽山噴火>死の頂 動かぬ6人 沈痛の緊急消防援助隊

 物陰に隠れるように倒れた人、灰に埋もれルートが分からない登山道--。緊急消防援助隊として愛知県から出動した部隊の男性消防士長(32)が29日、毎日新聞の取材に対し、御嶽山(おんたけさん)山頂付近で心肺停止の6人の登山客らを発見した際の様子などを語った。噴火直後から負傷者らの治療を担った災害派遣医療チーム(DMAT)も同日、「大噴火するかもしれないと思うと怖かった」などと話し、自らの死を意識しながらの作業だったことを明らかにした。

【写真】噴石が直撃し、屋根に大きな穴が開いた頂上山荘

 援助隊は同日午前6時50分ごろ、長野県木曽町の黒沢登山口から入山。先頭の隊員が有毒ガスの検知器を携行し、進んだ。心肺停止とみられる6人の姿を見つけたのは山頂の剣ケ峰周辺だった。前日の28日に発見されながら搬送を断念したためか、6人のうち4人の体には毛布が掛けられていた。

 6人のうち3人は剣ケ峰山荘南の田の原側で倒れていた。消防士長は「(山荘に逃げ込もうとして)田の原側から登って逃げてきた人だったかもしれない」。現場は、どこが登山道なのか分からないほど灰に埋もれていたという。

 残りの3人は山荘のテラスで見つかった。1人はテラスの下の足場部分に、身を守るためなのか、隠れるようにして倒れていた。他の男女とみられる2人は壊れたテラスに並んであおむけになっていた。「カップルだったのかもしれないなと思った」。沈痛な表情を隠そうともしないで、消防士長はつぶやいた。山荘の屋根には灰が降り積もり、部分的に石などによって壊れていた。

 一部には毛布が掛けられていたが、搬送や治療の優先順位を決めるトリアージのタグは付けられていなかった。消防士長は6人全員に救命の見込みがないとされる黒のタグをそっとつけたという。

 隊長(49)によれば、同隊が火山災害の現場に行くのは初めて。担架など20キロ近い荷物を持って登る隊員もおり、疲労の色は濃いという。取材に対し「いつ噴火するか分からない危険な状況だった。(常に)全員を救えるわけではないから」と感情を抑えるように語った。【野口麗子】

 


御嶽山噴火で見えた火山予知の難しさ 川内原発の再稼働に影響するか

2014-09-30 09:12:50 | 原発

転載

御嶽山噴火で見えた火山予知の難しさ 川内原発の再稼働に影響するか

投稿日: 2014年09月30日 07時27分 JST 更新: 1時間前
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9月29日、御嶽山が27日に噴火し、多数の犠牲者が出たことで、噴火予知の技術的な能力や態勢面などで困難な要因が山積していることを印象づけた。御嶽山、28日撮影。陸上自衛隊提供(2014年 ロイター) | Reuters
 

[東京 29日 ロイター] - 長野、岐阜両県の県境に位置する御嶽山が27日に噴火し、多数の登山者が死亡、心肺停止になったことで、噴火予知の技術的な能力や態勢面などで困難な要因が山積していることを印象づけた。

今冬にも再稼働するとされる九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の近くには、頻繁に噴火する桜島があり、鹿児島県の住民に心理的な影響を与える可能性もありそうだ。

ただ、今回の噴火と、川内原発の審査で検討対象となった巨大噴火リスクとでは、被害規模や発生頻度が大きく違うため、安倍晋三政権は両者を同一視はできないと強調する構えだ。

■再稼動影響ないと政府、反対派は懸念強める

水蒸気爆発による今回の御嶽山の噴火と、蓄積したマグマが大量に噴出し、高温の火砕流の到達距離が100キロを超える「カルデラ噴火」とは、発生頻度や被害の及ぶ範囲などの点で大きく異なる。

気象庁によると、御嶽山は2007年3月にごく小規模な噴火を起こし、今回の噴火はそれ以来。

一方、火山学者によると、巨大なカルデラ噴火は日本列島ではおよそ1万年に1度の頻度で発生してきたという。

日本で最後の巨大なカルデラ噴火は、約7000年前に鹿児島沖で発生した。南九州には、鹿児島湾北部に位置し、南端に桜島がある「姶良(あいら)カルデラ」など複数のカルデラ火山がある。巨大なカルデラ噴火が発生した場合、南九州一帯に及ぶような破局的な被害をもたらすというのが定説だ。

菅義偉官房長官は29日午前の記者会見で、御嶽山の噴火が川内原発の再稼動に影響を与えるかどうかについて「ないと思う」と述べた。菅長官は「今回は水蒸気(爆発)なので、予測は極めて難しいと言われていた」と語り、政府方針である原発再稼動に影響はないとの認識を示した。

一方、地元の原発反対派からは懸念の声が高まる。2012年の鹿児島県知事選に立候補(落選)した向原祥隆氏(出版社経営)は29日、ロイターの取材に対し「水蒸気爆発だから予測できないとか、マグマが噴き出すような噴火であったら予測できたとか、後からの説明に過ぎない」と述べ、政府の見解を批判した。

噴火発生の翌28日には、鹿児島市内で川内原発の再稼働に反対するデモがあり「1万人以上が集まった」(向原氏)という。鹿児島で反原発運動を主導してきた向原氏は「昨日も一昨日も、桜島はかなり噴煙を上げている。集会では、御嶽山の予測ができなかったことを多く人が触れていた」と強調した。

同県では、10月に川内原発が立地する薩摩川内市など5カ所で同原発の審査に関する住民説明会が行われる予定だ。

■巨大噴火、予測困難と火山学者

原子力規制委員会が策定した新規制基準で初の合格となった川内原発の審査では、カルデラ噴火が近い将来、発生し、施設に影響を与えるリスクがあるかどうかが検討された。

その結果、川内原発の半径160キロ圏内にある複数のカルデラが同原発の運用期間中に、破局的噴火を起こす可能性は「十分に小さい」うえに、「監視によって前兆を捉えることができる」との結論に至った。

ただ、川内原発の審査合格が見えてきた段階で、複数の火山学者からは規制委の結論の導き方に対して、異論が聞かれた。火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣・東大名誉教授は5月下旬、ロイターの取材に対し、川内原発の運用期間中に、破局的噴火が起こるかどうかについて「起こるとも、起こらないとも言えない」と述べた。

東大地震研究所の中田節也教授は、8月25日に規制委が開いた「原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チーム」の会合で、「巨大噴火の時期や規模を予測することは、現在の火山学では極めて困難」と指摘した。

中田教授はカルデラ噴火の前兆を捉えることができるとする点については否定しない。同教授は5月下旬、ロイターの取材に対し「数カ月前、数週間前なら確実に異常は捉えられると思う。大きな噴火なら、もうすこし長めに(前兆が)起こると思う」と述べる一方で、「それ(前兆)が数年前に起こるとか、数年前に理解できるものではない」とも語った。

原発施設に高温の火砕流が飛んでくるようなカルデラ噴火が発生するならば、核燃料を原子炉から取り出して火砕流が届かない安全な場所に搬出する必要があるが、数カ月間では終わらない作業だ。

規制委の田中俊一委員長は、核燃料を原子炉から取り出して輸送キャスクに入れて外部に搬出できるまでの期間について「通常の輸送は、5年程度は(川内原発など加圧水型では格納容器横の燃料ピットで)冷やしてから」(9月10日の会見)と述べている。

(浜田健太郎 取材協力 斎藤真理 編集:田巻一彦)

 


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