産経より転載
筆談区議 共生社会に向けて前進をPR
4月の統一地方選で、2人の聴覚障害を持つ議員が当選した。東京都北区議の斉藤里恵さんと、兵庫県明石市議の家根谷(やねたに)敦子さんだ。
「筆談ホステス」の著書もある斉藤さんを迎えた北区議会は、音声変換システムを導入した。発言者の声は同時翻訳ソフトで文字化され、タブレット端末に表示される。
斉藤さんが発言する際は、パソコンに打ち込んだ文字を音声変換ソフトが読み上げる。
明石市議会は、本会議場や委員会に手話通訳者を配置した。立候補、当選という2人の行動がもたらした成果だ。
障害を持つ人自身による行動や訴えが、環境を変える近道であることを示す好例といえる。さまざまなハンディキャップを持つ人が当たり前に参加、貢献できる共生社会の形成に向け、こうしたあらゆる機会をとらえていきたい。
2020年に東京で開催するパラリンピックを、その大きな契機としなくてはならない。
こんなこともあった。
政府がパラリンピック選手専用の強化拠点を新設する構想を公表したところ、当のパラリンピアンから反対の声が上がり、方針は変更された。
彼ら、彼女らが求めたのは一人一人のアスリートとして、五輪選手強化に使用されているナショナルトレーニングセンターを共用することだった。
障害者スポーツの枠に隔離されることなく、五輪選手と同じ施設、技術、環境で、互いに鍛え合う強化を望んだ。
日本パラリンピアンズ協会がまとめたアンケートでは、9割以上の選手が五輪拠点との一体化を求めたという。
専用施設を設けるという政府の当初案も、よかれと考えてのものだったろう。だが、当事者の声がなければ、独りよがりの、ありがたがられない施設に巨費を投じるところだった。
共生社会の形成に必要なのは、障害者自身が声を出し、手を挙げ、訴えることだ。社会がこれに傾ける耳を持ち、主張しやすい環境をつくりあげることだ。
車いすに乗って街に出て、わずかの段差を乗り越えることにどれだけ困難を伴うか、初めて知る。気づいたら、声に出す。その小さな一つ一つが、やがて社会を変えると信じたい。
筆談区議 共生社会に向けて前進をPR
4月の統一地方選で、2人の聴覚障害を持つ議員が当選した。東京都北区議の斉藤里恵さんと、兵庫県明石市議の家根谷(やねたに)敦子さんだ。
「筆談ホステス」の著書もある斉藤さんを迎えた北区議会は、音声変換システムを導入した。発言者の声は同時翻訳ソフトで文字化され、タブレット端末に表示される。
斉藤さんが発言する際は、パソコンに打ち込んだ文字を音声変換ソフトが読み上げる。
明石市議会は、本会議場や委員会に手話通訳者を配置した。立候補、当選という2人の行動がもたらした成果だ。
障害を持つ人自身による行動や訴えが、環境を変える近道であることを示す好例といえる。さまざまなハンディキャップを持つ人が当たり前に参加、貢献できる共生社会の形成に向け、こうしたあらゆる機会をとらえていきたい。
2020年に東京で開催するパラリンピックを、その大きな契機としなくてはならない。
こんなこともあった。
政府がパラリンピック選手専用の強化拠点を新設する構想を公表したところ、当のパラリンピアンから反対の声が上がり、方針は変更された。
彼ら、彼女らが求めたのは一人一人のアスリートとして、五輪選手強化に使用されているナショナルトレーニングセンターを共用することだった。
障害者スポーツの枠に隔離されることなく、五輪選手と同じ施設、技術、環境で、互いに鍛え合う強化を望んだ。
日本パラリンピアンズ協会がまとめたアンケートでは、9割以上の選手が五輪拠点との一体化を求めたという。
専用施設を設けるという政府の当初案も、よかれと考えてのものだったろう。だが、当事者の声がなければ、独りよがりの、ありがたがられない施設に巨費を投じるところだった。
共生社会の形成に必要なのは、障害者自身が声を出し、手を挙げ、訴えることだ。社会がこれに傾ける耳を持ち、主張しやすい環境をつくりあげることだ。
車いすに乗って街に出て、わずかの段差を乗り越えることにどれだけ困難を伴うか、初めて知る。気づいたら、声に出す。その小さな一つ一つが、やがて社会を変えると信じたい。