ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

学校タブレット故障多発問題

2023年10月31日 09時10分00秒 | デジタル・インターネット

 私もタブレット端末を愛用しています。最初はiPadAir2、次が第6世代iPad、現在は第9世代iPadです。うちで使用しているメイン機がMacBook Proであるからということも理由の一つですが、多少値段が高くとも、仕事のために持ち歩くからには高い性能を持つ機械を選ぶほうが安心であるからです。

 それだけに、昨日(2023年10月30日)の18時付で朝日新聞社のサイトに掲載された記事「故障多発の学校タブレット、2年前に変色も 新規調達は別メーカーで」(https://www.asahi.com/articles/ASRBZ5D3SRBZPTLC00H.html)を目にして、あれこれと考えをめぐらせてしまいました。

 話の舞台は徳島県です。日本で教育現場用PCの性能の低さは一部でよく指摘されていることですが、記事に書かれている内容を見る限り、低性能のタブレット端末ではないかと思われます。あるいはバッテリーの寿命なのかもしれませんが、第6世代iPadを3年8か月使用し、MacBook Airを2011年8月から2019年3月まで約7年7か月使用し、現在に至るまでMacBookを4年7か月使用している私には、性能あるいは品質の問題であるとしか考えられません。

 徳島県教育委員会は、2020年度に、県立高校などの29校について16500台のタブレット端末を一括で配備しました。およそ8億円かかっています。単純に計算すれば1台が48000円超であったということになります(実際には違うでしょうが、記事を読む限りでは当時のiPadより高かったような気もします)。そのうち、3500台以上が故障しているとのことです。機械に個体差があることは当然であるとしても、20%を超える割合で故障が発生しているというのは、個体差の問題ではなく、全体的な品質あるいは性能の問題であるとしか思えないのです。これでは「一部の授業で停滞を招いている」としてもおかしくないでしょう。

 上記記事には「故障機は全て中国の『ツーウェイ』社製で、猛暑によるバッテリーの異常が大半という。このため新規調達の際は同社製を除く方針」であるとのことです。iPadしか使用したことがない私には、ツーウェイ社製のタブレット端末がどういうものかがわかりません。ただ、Googleで検索してみると、IT media PC USERというサイトに2023年4月13日付で「総務省がCHUWI(ツーウェイ)を『行政指導』 一部モデルで認証の取得漏れなどが判明 当該機種では『5GHz帯Wi-Fi』は使わないように」(https://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/2304/13/news080.html)という記事が掲載されており、「ツーウェイが日本で販売しているPCやタブレットについて、必要な認証を取得していない5GHz帯の無線LANの通信が可能だったことと、技適などの表示が紛らわしい(正しくない)状態で販売されていたこと」が紹介されています。電波法に違反するものであったという訳で、「徳島県教育委員会が学習用端末としてHi10 Xなどを配備した公立学校の児童/生徒に対して、5GHz帯の無線LAN通信を行わないように呼びかけてい」たという事実もあるようです。徳島県の学校では問題のある機械が使用し続けられていたということになり、その段階で何らかの検討を行うべきであったとは言えないでしょうか。

 しかも、いかにも教育委員会らしい話というべきか、2021年5月に徳島県立城ノ内中等教育学校で「同社製のタブレットが黒く変色し、保管庫にすすが充満して発火をうかがわせる事案があった」と、徳島県教育委員会の担当者が明らかにしたそうです(上記朝日新聞社記事によります)。さらに「消費者庁にも伝えていなかったという」おまけ付きです。非常に危険ですし、2021年5月の時点で性能や品質を検証すべきでした。徳島県知事も「公表の遅れも明らかにずさん」と認めざるをえなかったほどなのです。

 以上は、10月30日に徳島県知事によって開かれた記者会見で明らかにされたことであり、知事は「代替機を緊急調達するための費用を盛り込んだ補正予算案を編成し、県議会の11月定例会に提案する考えを示し」ました。そして、知事は「『子どもたちの教育機会を損なってはならず、対応を急がねばならない』と強調し、調達にかかる時間を優先し、端末を新たに購入するかリースするかを選ぶ方針。県議会の招集を待たずに予算措置する専決処分も検討するとした」とのことです。このような機械はリースのほうがよいのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。民間企業、私立大学などであれば購入よりリースのほうが一般的ではないかと思われるのです。

 徳島県知事は「入札、機種の選定、品質確認などこれまでの経緯を検証する。専門家や文部科学省などの協力も得て解明したい」とした上で「県主体の検証は、副知事をトップとする緊急チームで行う」という旨も述べました。当然のことでしょう。

 それにしても、このような記事を読んで、日本企業がiPadのようなタブレット端末を生み出しえなかったこと、国産の機械が選定されなかったことを嘆いてしまうのは、私だけでしょうか。


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