異教の地「日本」 ~二つの愛する”J”のために!

言論宗教の自由が保障され、ひとりひとりの人権が尊ばれ、共に生きることを喜ぶ、愛すべき日本の地であることを願う。

【動画】「もう400人が悲しみ抱いて亡くなった」~福島浪江町の女性が訴え(2/5首相官邸前抗議集会にて)

2016-02-06 21:25:05 | 福島、原発

2016年2月5日の「再稼働反対!首相官邸前抗議」の様子です。
福島県浪江町の女性­が切々と訴えていました。撮影=木下昌明。

 

 

http://www.labornetjp.org/news/2016/0205kinositaより転載

「もう400人が悲しみ抱いて亡くなった」~浪江町の女性が訴え

    木下昌明

 動画(4分)

 2月5日金曜日、反原発の抗議行動の夜、国会議事堂前駅の階段をのぼっていくと一際大きな声と手を叩く音が聴こえてきた。地下鉄の入り口にいつも陣取っている野球帽の男性だ。この人の勇ましいコールが聴こえてくると気分が高揚してくる。

 官邸前では福島の浪江町の女性がスピーチした。「浪江町の住民はうらみと怒りと帰れない悲しみを抱いて、もう400人以上が亡くなっています」と、そして素通りして帰宅を急ぐ人々を前に「いま目の前を通る人々には帰る家があるでしょ。わたしたちには帰る家がないんです」と訴えていた。

 そのあと双葉町の亀屋幸子さんが「10月16日墓参りに帰ったとき虫よけのキンチョールをもっていったが、虫もスズメもカラスもいませんでした」と訴えた。その<フクシマ>は安倍政権の原発再稼働の音頭とともに忘れさられようとしている。

 抗議デモは寒さの影響もあって参加者は少なくなっていたが、それでも官邸前ばかりでなく国会前も希望のエリアも、原発反対の声が国会の森に鳴り響いていた。

 スピーチする人々の中には病いを抱えている人もいる。希望のエリアでは埼玉からきた男性が、「年内もつかどうかといわれ12月21日に胃とS字結腸の大手術をしたが再びスピーチできてよかった」と喜びを語った。また「継続は力なり」と、いまは参院選に勝つための活動を始めている、と訴えていた。

 テントひろばはこの日で「1609」と1600日を超えた。その隣の経産省前でも抗議の声を上げていた。フクシマを忘れてはならない!

 

Created by staff01. Last modified on 2016-02-06 11:57:58 Copyright: Default

 

 

 


恵方巻き大量廃棄に「食べ物を無駄にする…/売れ残り食品の廃棄を禁止する法律、フランスが全会一致で可決

2016-02-06 20:17:40 | シェアー

恵方巻き大量廃棄に「食べ物を無駄にするぐらいならこの習慣はなくしたほうがいい」 ...

netgeek.biz/archives/65755
- 恵方巻き大量廃棄に「食べ物無駄するぐらいならこの習慣なくしたほうがいいという声 ... 2月3日の節分に食べると縁起が良いとされる恵方巻きについて、全国のスーパーやコンビニで売れ残りが大量廃棄される事態が起き、「食べ物  ...

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http://www.huffingtonpost.jp/2015/05/25/france-give-wasted-food-to-charity_n_7433984.htmlより転載

売れ残り食品の廃棄を禁止する法律、フランスが全会一致で可決

 |  執筆者:
投稿日: 2015年05月25日 17時44分 JST 更新: 2015年05月25日 17時47分 JST
 

膨大な食品の廃棄量に頭を悩ませるフランスで、大手スーパーマーケットがまだ食べられる食品を廃棄処分することを禁じる法律が制定された。

この法案は、5月21日にフランスの国民議会で全会一致で可決された。一連の法律によって、店舗の面積が400平方メートルを超えるスーパーマーケットは賞味期限切れなどで販売できなくなった食品を処分することができなくなる。

売れ残った食品は慈善団体に寄付するか、家畜の飼料や肥料に転用しなければならなくなり、法律に従っていることを証明するため、スーパーマーケットは慈善団体と契約を結ぶことも義務付けられる。

supermarket france

フランスのレクスプレス誌によると、フランス国民1人あたりの年間の食品廃棄量は平均20~30キログラムになるという。これはマクドナルドの「ビッグマック」139個分に相当する量だ。

これを金額に換算すると、一年で120億~200億ユーロ(約1兆6000億~2兆6700億円)が無駄にされていることになるとレクスプレス誌は報じている。

この膨大な量の食品廃棄物を減らすため、フランス政府は3年前に、廃棄される食品の量を2025年までに半減させるという大胆な目標を打ち立てていた。

イギリスと同じく、フランスのスーパーマーケットでは、これまで販売できなくなった食品の多くを化学薬品で処分してきたが、今後このような方法で処分することは禁止される。

レクスプレス誌は「まだ食べられる食品が廃棄処分され漂白剤がかけられていることは、恥ずべき事態だ」というフランスの農産食品業担当大臣ギヨーム・ガロ氏の言葉を伝えている。

フランスの大手スーパーマーケットチェーンルクレールのCEO、ミシェル・エドワール・ルクレール氏は、今回の新しい法律を歓迎するとしながらも「不要になった食品の回収や配送がスムーズに行われるようにするため、トラックや冷蔵庫を流通業者に提供するなどして、支援を行う必要がある」と語っている。

supermarket waste uk

イギリスもフランスから学ぶことができるだろう。2014年に発表されたレポートは、イギリスでは毎年430万トンの食品が余分に生産されているものの、飢えている人たちに寄付されるのは、そのわずか2%にすぎないと報告している。およそ370万トンの食品が、埋め立てや熱処理などの方法で処分されているのだ。

また、インディペンデント紙が掲載した、イギリスのフードバンク「Feeding Britain」の報告書によれば、2014年にイギリスのスーパーマーケットチェーンのモリソンは、納入が17分遅れたという理由で、約1万個のコーニッシュパスティ(ミートパイ)の受け取りを拒否したという。

一方で、イギリスにはフードバンクを利用するイギリス人が少なくとも50万人いると推定されている。

フランスが制定した今回の新しい法律には食品廃棄の問題を学校の授業に取り入れることも含まれており、企業もこの授業に関わることができる。

この記事はハフポストUK版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:佐藤卓/ガリレオ]

 

 

 

 


ナチスの生みの親「緊急事態条項」は、独裁者が喉から手が出るほど欲しがる「切り札(ジョーカー)」!

2016-02-06 17:25:10 | 憲法

IWJ Independent Web Journal

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/279522より転載
 
 

【TPP】「守った」と強弁の農産品も7年後にはすべて関税撤廃の可能性!福島議員が安倍政権の嘘を徹底追及!

2016-02-06 15:32:52 | TPP

IWJ Independent Web Journal
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/286054より転載

【国会ハイライト:TPP】「しっかり守れた」と強弁する農産品も7年後にはすべて関税撤廃の可能性!?民主党・福島伸享議員が安倍政権が隠す驚きの譲歩内容を追及!

 「この協定を見る限り、農産物は何一つ、関税撤廃の例外となったり除外になるという保証はないんじゃないですか」――。TPP交渉に関する安倍政権の重大な「嘘」が国会で明らかになった瞬間だった。

 2015年10月5日に発表されたTPPの「大筋合意」。蓋を開けてみれば、農産品では全体の8割(2,328品目中1,885品目)で関税撤廃、政府が「守る」と言い続けてきた「聖域(コメや乳製品など重要5品目)」でも3割(細目で586品目中174品目)が撤廃されるというもので、「国益を守れた」とは到底言えない結果となった。

 しかし安倍総理や森山裕農水大臣は、カナダなどがさらに多くの品目で関税撤廃に至ったことを引き合いに出し、「しっかり守れた」と苦しい強弁に終始してきた。

 だが、政府が他の交渉参加国より数か月遅れて発表した協定案全文の仮訳には、日本を「名指し」して、関税撤廃を免れた農産品についても、「TPP発効の7年後には、関税撤廃に向けた再協議をする」と、しっかり明記されていた。つまり、安倍政権が「しっかり守れた」と豪語する農産品についても、将来的には関税撤廃される恐れがあるのだ(※)。

(※)政府が2月2日に仮訳を発表した協定案の付属文書2-D「日本国の関税率表:一般的注釈」項目9(P.217)には、以下のような規定がある。

 「オーストラリア、カナダ、チリ、ニュージーランド又はアメリカ合衆国の要請に基づき、日本国及び当該要請を行った締約国は、市場アクセスを増大させる観点から、日本国が当該要請を行った締約国に対して行った原産品の待遇についての約束(関税、関税割当て及びセーフガードの適用に関するもの)について検討するため、この協定が日本国及び当該要請を行った締約国について効力を生ずる日の後7年を経過する日以後に協議する」

 この政府が隠していた事実について、2016年2月3日の衆議院予算委員会で、民主党の福島伸享議員が追及した。

 金銭授受問題で辞任した甘利明氏に代わり、TPP担当大臣に就任した石原伸晃氏は、福島議員の質問に対し、「再協議を求められた時、日本はどういう態度で臨むのか。私は再協議には臨まないんだと思います」と断言した。

 これに対し福島議員は、協定案の英文では「SHALL」と受動動詞を使っており、「再協議には応じなければならない」ことが明記されていると指摘。石原大臣の「嘘」を喝破した。

 「他の国で、こんな多くの農産物輸出国から一方的に『7年後に再協議に応じろ』と名指しされている国って他にあるんですか?どこの国があるんですか?逆に言えば、日本は自動車でアメリカに対して、あんまり取れなかった。30年間かけてピックアップトラックの関税はなくならない。乗用車も15年までは関税は維持されるというふうになっているけども、それに対して、再協議を行うという条文があるんですか?どうなんですか?」

 「守り」である農産品では、7年後の再協議で聖域すらも関税撤廃になりかねない、一方で、「攻め」であるはずの自動車分野では、15年から最大30年間も日本車にかかる関税は維持される。さらに米国に対しては、関税が永久に撤廃されない可能性すらある(※)。そのような状況で、日本側も、逆に他国に対して関税撤廃を迫る条文は確保できたのか?――という問いだ。

(※)2015年11月に民主党が行った官僚ヒアリングでは、日米並行協議において、発効後に日本側が協定違反をした場合、自動車の関税引き下げ開始時期、関税撤廃時期が後ろ倒しされていき、永久に関税が撤廃されない可能性があることが明らかになった。

 これに対し石原大臣は、他の工業製品では早期の関税撤廃が実現するものが多くあることをあげ、「ピックアップトラックとか自動車だけを捉えて、その交渉がダメだったというのは、私はアンフェアだと思います」などと論点をずらし、福島議員の質問には答えようとしなかった。

 福島議員は、この石原大臣の姿勢に、語気を強めた。

 「こんな多くの農産物輸出国から名指しで再協議、7年後の協議を申し入れられている国は日本だけなんですよ。不平等の条約じゃないですか。片務的じゃないですか。どういう交渉をしたんですか!」

 これに、すかさず安倍総理がフォローに入った。総理は、協定案の再協議のくだりに、「この協定の規定に基づく日本国の権利又は義務に影響を及ぼすものと解してはならない」という文言が盛り込まれていることを紹介し、「再協議を求められても、日本に不利な合意をする必要はまったくない」と強調した。

 しかし、「日本に不利な合意はしない」と言いながら、驚くほどの譲歩を重ねてきた安倍政権である。総理の答弁は、その説得力に大いに疑問がある。ましてやこの再協議は、わざわざ現状よりも高いレベルの関税撤廃を目指すことを前提とするものだ。「少しも不利にならない」という保証はどこにもない。

 その後も福島議員は、政府が「勝ち取った」とする自動車分野において、「自動車の輸出額はいくら増えるのか?」「農産品の影響試算は出して、なぜ自動車の影響試算は出さないのか?」と、追及を重ねた。

 これに対し石原大臣は、「試算してないんですよ、これは。ブレも大きいですし」などと述べ、明言を避けた。

 多くの疑問に、ほとんどまともに答えることができない安倍政権の姿勢が、浮き彫りとなった。以下、質疑の該当部分の文字起こしを掲載する。

(佐々木隼也)

 

(2016年2月3日)衆議院予算委員会での福島議員による質疑文字起こし

 

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緊急事態条項の導入は「災害」を名目にした「戦争への準備」 小口幸人さんに聞いた(その2)

2016-02-06 04:23:21 | 憲法

マガジン9 http://www.magazine9.jp/article/konohito/23097/より転載

2015年10月7日up

この人に聞きたい

小口幸人さんに聞いた(その2)
緊急事態条項の導入は
「災害」を名目にした「戦争への準備」

 安倍首相は来年夏の参院選で、憲法改正を公約に掲げると明言しました。現政権はかねてから、反対の多い9条ではなく「合意を得やすい」ところから改憲論議を進めていくという方針を明らかにしており、環境権や「緊急事態条項の創設」などが具体的なテーマになるのではないかといわれています。
 緊急事態条項とは、自然災害や戦争などの緊急事態に、憲法秩序を一時停止して非常措置を行う権限、すなわち「国家緊急権」を政府に与えるというもの。「素早い対応が可能になる」などの声がある一方、その強大な権限が濫用される危険性も指摘されています。「本丸」の9条改憲を実現させるための「お試し改憲」とも揶揄されますが、そんなに軽く片付けてしまっていいものなのでしょうか?
 緊急事態条項が憲法に定められるとは、どういうことなのか。実現すれば、何がどう変わるのか。東日本大震災で被災地支援に携わった経験を持つ小口幸人弁護士にお話を伺いました。

小口幸人(おぐち・ゆきひと) 1978年生まれ、東京都町田市出身。中央大学卒業後、電機メーカーのトップセールスマンとなるも、弁護士を志し退社。2008年に弁護士登録、1年4カ月の東京勤務を経て、司法過疎地である岩手県宮古市の「宮古ひまわり基金法律事務所」三代目所長として就任。3年7カ月の間に1000件以上の相談に対応。同地で東日本大震災に遭い、全国初の弁護士による避難所相談を実施。被災者支援・立法提言活動に奔走するとともに、困難な刑事弁護事件も多数扱う。
憲法レベルで国家危急権を定めるということ

編集部
 前回、日本には憲法上の「国家緊急権」はないけれど、それに相当する定めがさまざまな法律の中にすでにある、だから新たに災害対策として憲法に緊急事態条項を加える必要性はない──というお話をお聞きしました。
 ただ逆に、法律ですでに決まっているのなら、それを憲法に書き込んでも特に問題はないのでは? とも思ってしまいそうです。仮に、自民党の改憲草案にあるような形で緊急事態条項が定められたら、何が変わるのでしょうか? 

小口
 まず、災害に対する備えは、法律や条令、政令や通達の中にたくさんあって、それを前提として緊急時の準備もある程度行われています。そんな中、突然内閣が緊急事態を宣言させて権限を集中させた場合、逆に現場は混乱する可能性が高いということです。現場の人が自分たちで判断して動こうとしても、「総理が緊急事態を宣言した」となれば、「これから内閣がどんどん政令をつくって指示を出すから待機せよ」ということになりかねない。でも、国のトップに現場の情報が渡って判断が降りてくるのには時間がかかりますし、どんな天才が出す指示でも、事前の備えやマニュアルにはかないません。だからこそみんな、災害に備えてマニュアルをつくろうとするわけですよね。災害直後、通信状態もよくない中で「緊急事態宣言」なんて出されたら、混乱を拡大するだけではないでしょうか。
 それから、自民党草案の条文では、何人も「国その他公の機関の指示に従わなければならない」とあります。現行の災害救助法や災害対策基本法では、指示の内容によって「命じられる」「協力を要請できる」と言葉が使い分けられていますし、指示できることも限定されていますが、ここではそれもありません。普通の読み方をすれば、緊急事態には一定程度人権を制限されてもしょうがない、ということになります。
 もちろん、今の法律でも一定の人権制限はできますが、それが過度にならないように、必要十分なことは何か、不当に制限しないためにはどこまでか、ということがしっかり考えられてバランスを取ってある。あくまで法律なので、憲法の範囲内に収まるよう、不当に人権を制限しないよう調整した上でつくられているわけです。ところが、憲法上に「従わなければならない」ということが書かれると、同じ憲法レベルということで、「こっちの必要性が上がったからこっちの権利は制限する」という乱暴なことが可能になり、不当に人権が制限される恐れがあります。緊急時に、その場で慌てて判断したら、広く、過剰に制限される可能性は大でしょう。

編集部
 憲法レベルの定めになることで、過度な人権制限が行われる危険性が増大するということですね。

小口
 そうです。そしてもう一つ、私が「憲法で国家緊急権を定めること」の弊害だと思っているのは、それが「伝家の宝刀」になってしまうということです。

編集部
 伝家の宝刀、ですか?

小口
 例えば、国家緊急権が憲法で定められたとしますよね。その後、国会でこんな質疑が行われたとします。「1万年に一度、こういう大災害が来ると言われていますが、それに対する備えはしないんですか」。私が総理なら、こう答弁しますね。「わが国の憲法には緊急事態条項が定められております。もしものときにはそれで対応できますから大丈夫です」。…なんとなく大丈夫そうに聞こえませんか?

編集部
 だから具体的な備えはしなくても大丈夫、という…。

小口
 それがあるだけでとなんとなく安心、のような気にさせられてしまう。これが「伝家の宝刀」だと思うんです。でも、実際はこの伝家の宝刀、抜いても全然役に立たないんです。災害が起きた直後、とっさに次から次と内閣が決めていく、そのときに何を決めるかはわからない、そんなことでは、うまくいくはずがないでしょう。
 たしかに法律に必要な定めはある、でも憲法にも何か置いておいたほうがより安心じゃないか、という気持ちはわからなくはありませんが、実際には、災害対策としては全然役に立ちません。「準備していないことはできない」、これが災害対策の原則です。憲法だから準備していないこともできる、なんていう魔法はありませんよ。

本当の目的は
災害ではなくて戦争にある

編集部
 ちなみに、「緊急事態条項が必要だ」という人から、具体的に「こういうときにないと困る」という指摘は出ていないんですか?

小口
 ほぼ一つだけですね。国会議員の任期延長についてです。東日本大震災のときは、翌月に予定されていた地方統一選挙が特例法で延期されましたが、国会議員については憲法で任期が決められていて、法律で例外を定めることができない、という指摘です。たとえ大災害の直後であっても、議員の任期が切れたらそこで選挙をしないといけないということになる。それができないと困るから、緊急事態条項の中に国会議員の任期延長規定をつくっておくべきだ、というんですね(※)。

※自民党の改憲草案第99条の4では〈緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。〉とされている。

編集部
 うーん、それはそれで重要なのかもしれませんが、それだけのために憲法を変えないといけないの? とも正直なところ思ってしまいます。

小口
 研究者の方に意見を求めたところ、現行憲法の解釈の範囲内で対応できるという声がありましたし、私もそう思います。それこそ、憲法9条があるのに自衛隊をもてるということに比べたら、よほど穏当な解釈です(笑)。もちろん、ちゃんと憲法に明記すべきだという方もいますし、それはわからなくもないのかな、と思いますが、ただ、血税を使って国民投票をやるまでの必要はなく、公職選挙法を改正して、災害が起きても選挙ができる方策を練った方がいいと思います。早めに投票権を配るとか、インターネット投票等を可能にするとか、移動投票車みたいな制度を設けて避難所を巡廻するとか、いくらでもやりようはあると思います。

編集部
 そうなると、たとえ「伝家の宝刀」とはいえ、それほど必要性が高いとは思えない条項を、なぜそんなにつくりたいの? と思ってしまうのですが……。

小口
 それは簡単です。災害は国民から賛成を得るための単なる口実、ダシにすぎなくて、本当の目論見は「戦争」にある。戦争が起きたときに備えるためのものなんだと思います。最近の一連の流れを見ていれば明らかです。
 自民党の改憲草案では、緊急事態を〈我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他〉として、戦争も自然災害も同じように扱っていますが、一緒にするなと言いたいですね。
 実際にはこの二つが起こったときに必要なことはまったく違います。戦争は事前に外交交渉があって、それらが決裂して軍隊を出動させるわけですから、国のトップに権限を集中させる必要があるのかもしれません。しかし、災害はすでにお話ししたようにまったく逆です。国のトップに突然権限を集中すると、かえって混乱してしまう。必要なのは市町村長など現場のトップへの権限委譲です。
 実際、緊急事態条項がある諸外国の憲法も、多くは軍事関係と災害の場合を分けて定めているんですよ。

編集部
 そこをあえて一緒くたにしている……。

小口
 災害対応を目的として押し出せば賛成される、という読みでしょう。実際、メディア報道などでも批判は少ないですよね。「災害対応のためだ」と言われれば批判しづらいですから。批判が少ないので野党さえ騙されかねない状況です。その意味では、「こう言っておけば通るだろう」と、メディアも国民も舐められているんだと思います。

災害自体が
「なかったこと」にされるかもしれない

編集部
 仮に、国家緊急権が制定され、災害の際に発動されたとすると、どんなことが起こる恐れがあるのでしょうか?

小口
 いままで話した現場の混乱が一つですが、もっと怖いのは情報統制だと思います。
 実は、第二次世界大戦末期の1944年12月には東南海地震、1945年の1月には三河地震と、それぞれ震度7クラスの地震が起きているのですが、みなさんご存知ないですよね? 実は、戦争に悪影響を与えるということで情報統制されて、当時もほぼ「なかったこと」にされたのです。十分な復旧復興活動も行われませんでした。

 東日本大震災を経験した者からすると、一番怖いのは、原発事故を隠されることです。自民党の改憲案なら、それが可能です。内閣が緊急事態を宣言して、「災害復旧活動の混乱を招くような報道やデマに繋がる通信は規制する」ということで、報道については事前規制を、インターネットについては通信規制をして、違反者への罰則を定めてしまえば、原発事故は簡単に「なかった」ことにできると思います。なんせ放射能は見えないんですから、ガイガーカウンターで測定でもしない限りはわからない。東日本のときも、原発事故に関する情報は、みんな国と東電の記者会見に依存していましたよね。例外はツイッターぐらいでした。あのときのことを思い出していただければ、絵空事ではないことがお分かりいただけると思います。

編集部
 誰かがガイガーカウンターで測定したとしても、その情報を拡散する術がないですね。

小口
 そうなんです。情報を伝達する方法がなくなる、というのは本当に恐ろしいものです。自分が見聞きしたもの以外は知ることができないんですから。
 災害直後という、ただでさえ通信が不十分になり混乱しているときは、どうしても政府からの情報に依存しがちです。4年前の原発事故のときだって、みんな、固唾を呑んでテレビで東電や枝野官房長官の記者会見を見ていたじゃないですか。緊急事態条項がなくてもあんな状態だったんです。更に国が情報を規制できる権限を憲法に定めたら、災害直後は、国が見せたいものしか見られなくなっても全然不思議ではありません。

編集部
 あのときは、事故の状況や放射能の広がりについて政府がなかなか情報を出さず、避難も指示されなかったために、被曝してしまった人たちが大勢いました。

小口
 それが、緊急事態宣言が出されて国家緊急権が発動される、なんていうことになったら…。いわゆる「御用学者」以外の学者やメディアは一切情報発信できなくなるし、移転の自由を制限して、住民の避難を止めることだってできてしまいます。国道は物資の輸送のために使用するから他の車両や人は一切通さないとか、いくらでも名目は立てられますから。

編集部
 逆に、避難していた住民を強制的に帰還させることもできてしまいますね。

小口
 さらに、今は特定秘密保護法もあるので、そうして隠された情報はおそらく二度と出てこなくなります。「原発事故が起こった」こと自体が、あとあとまで隠されたままになる可能性まであるんです。

編集部
 「本丸」の9条改憲に向けた「お試し」のようにも言われる緊急事態条項ですが、実際には9条改憲に匹敵するくらいの大きな意味を持ってしまうものなんですね。

小口
 もちろんです。そもそも日本国憲法の制定時には、国家緊急権の規定を設けるべきだというGHQ(連合国軍総司令部)の意見があったと聞いています。GHQは軍隊ですから、緊急事態に関することへの配慮はバッチリだったわけです。でも、当時の国会で審議の末に、濫用の恐れへの懸念もあって緊急事態の規定は置かれなかったという経緯があります。国家緊急権というのは、あまりにも強力な権限を政府に集中させることになるから、濫用されると非常に恐ろしいということが認識されていたんですね。
 第二次世界大戦前のドイツで、世界でもっとも民主的ともいわれたワイマール憲法がありながら、ナチスドイツの独裁が実現してしまったのも、そのワイマール憲法に規定されていた国家緊急権を解釈によって濫用され、ついには全権委任法の制定につながっていったからだと言われています。国家緊急権を導入する改正なんていうのは、憲法を学んだ者からすると、最もとんでもない改正です。歴史的に見ても、もっとも危険性の高い条文といえるかもしれません。
 それでも、政府が国家緊急権の規定をどうしてもつくりたいというのなら、まずは「戦争の備えである」ことを堂々と掲げてからにしてほしいと思います。それをせず、実際には何の役にも立たないのに「災害対応のため」と言い続けるのは、あまりにも被災者をバカにしている。災害を、そして被災者をダシに使うのはやめてくれ、と言いたいですね。