まつや清の日記 マツキヨ通信

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田辺信宏静岡新市長「地震・津波・原発の不安を希望に変える」

2011年04月27日 | ニュース・関心事
今日は、副議長の選出、所属常任委員会の決定、監査委員の選出、専決処分などの臨時静岡市議会でした。専決処分をめぐる討論についてこの前の段階でアップしています。田辺新市長がどんな発言をするか、注目でした。

上記の発言は、田辺市長が短い挨拶の一部です。静岡市を世界水準の都市にしていく、その時の二つのことについて心がける。一つは地域経済に資する、もうひとつが防災、地震、津波、原発への不安を希望に変え安心をめざす。

しっかりとメモをとっていなかったので正確さに欠けるかもしれませんがそのような趣旨であったと思います。佐野慶子議員はメガフロートについての議案質疑を行い、何とかして原発への発言を引き出そうとしました。

選挙応援に立った自民党や新政会の方々の「答える必要はない」「議案質疑の範囲を外れている」「誰も聞きたいことでそれは6月議会だ」とヤジが飛び交いました。メガフロート提供は前市長の決断ですので答弁は無理でしょう。

確かに、浜岡原発停止については田辺市長は明確な発言をしていないと云う中で、上記発言で原発を含めていることは問題意識はあると云うことになります。どんなスタンスであるのか、マスコミがどう報道するかも注目です。

福島第一原発高濃度汚染水処理のための清水港海釣り公園(メガフロート)提供

2011年04月27日 | ニュース・関心事
2011年4月27日 本会議 メガフロート専決処分賛成討論

 ただ今、上程されております専決処分 第103号議案 静岡市清水港海釣り公園条例廃止 の承認ついて「会派 虹と緑」を代表して、賛成討論は慣れていませんが、賛成の立場で討論を行います。

 この専決処分の経緯は、清水副市長の議案説明、佐野議員の質疑にも明らかになっておりますが「3月11日に発生した福島第一原発震災によるタービン建屋等に滞留した放射能で高濃度に汚染された排水処理に大型浮体式海洋構造物(メガフロート)を提供するに緊急を要したため」というものです。
 賛成するにあたって、3点の問題、3つの課題について述べたいと思います。
 まず第一の問題は、地方自治法第179条の第1項の「議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認める時」に該当するか否かにについてであります。

3月11日東日本を襲ったM9の巨大地震、大津波、原発震災という3つの被災が重なった観測史上例のない被害の甚大さ、自然の無慈悲さ、いまだ被災の全容が把握できていない現状にあります。新たな文明史を切り開かんとする復興会議の設置や復旧に向けた第一次補正予算は4兆153億円の審議も始まっていますが、財源確保策めぐる国会での与野党対立、大連立の動きなど、統一地方選挙の結果も受けた権力闘争の様相もあり、緊急を要する震災対策は遅々とした歩みとなっています。

特に、福島原発震災は、深刻で発災から50日になろうとしていますが、4機の原発からは、今なお大量の放射性物質が放出され、大気と土壌と海水、地下水の放射能汚染は広がり続け、世界の原子力災害でも1986年のチェルノブイリ原発事故に並ぶレベル7と評価されるに至っております。
こうした中で経緯の中で4月1日、東京電力からのメガフロート提供が静岡市に要請されたわけです。

小嶋善吉前市長の決断過程は、市長選挙さなかということもありますが、放射能をとにもかくにも冷却・封じ込めるための緊急性からして第179条の第1項の議会を開催する暇のなかったものと了解するものであります。私自身は、今回の原発震災は「形を変えた核戦争後の社会」「2001年9・11に匹敵する2011年3・11と世界を変えた自然災害」と認識しており、この福島原発震災対処は、東京電力、政府だけでなく全国の自治体、市民、住民も含め、あらゆる英知を結集しなければならないものであり、今回の専決処分は小嶋善吉前市長の英断であったと考えております。

 第2の問題は、高濃度の汚染水処理に提供されたメガフロートがいつの時点で、どのような形で役立ちうるのかという問題であります。

4月1日に議会への説明がなされる過程で、私たちは、超法規的措置が求められる緊急事態という認識は共有するが、既に海釣り公園として7年以上経過しており、高濃度の汚染に耐えられるものであるのか、メガフロートから汚染水が海に漏れるということはありえないのか、技術的にどのような担保があっての提供なのか、東京電力、三菱重工とその確認が必要であるとの態度をとりました。

ただちに、この間の政府と大手マスコミ情報に市民科学の立場から問題点を指摘している原子力資料情報室の元東芝の原子力技術者の後藤政志と連絡を取りました。後藤氏は、海を汚染させないため汚染水を貯留するタンク建設が必要であるが、緊急避難措置としてメガフロートの活用を容認したい、ただ、138m、46m、3mの浮体構造物が、船体強度として弱点があり、海洋の輸送時、原発岸壁での貯留時など波の影響をどれだけ受けずに活用できるか、長期の海上放置はできず陸上への移転が必要となるとのことでした。その意味で、緊急一時的対処としては不明な点も残りますが「役立ちそうだ」と考えております。

ただ、問題が残されています。

静岡市の決断の4月1日から2週間を経て4月18日に東京電力は、福島第一原発原子力発電所・事故の収束に向けたロードマップを公表、その中で「放射能物質で汚染された水(滞留水)閉じ込め、保管、処理、再利用」のステップ1、ステップ2を示し、清水港海釣り公園のメガフロートの役割が収束ロードマップの中でその位置を明らかにします。1号機から3号機の計6万7500トンの汚染水。このうちメガフロートに1万トン、バージ船に1200トン、復水貯蔵タンクに1号から4号機の核2000から2500トン、そして集中廃棄物処理施設に3万トンで賄うと云うものです。その後、4号機にも地下5メートルもの大量の汚染水が存在することが明らかになっています。

ところが、東京電力の高濃度の汚染処理、いわゆる「玉突き排水作戦」は、集中廃棄物処理施設にもともとあった低レベル汚染水1万トン、5号機・6号機の低レベル1500トンをこともあろうに海に放出することを前提にしたものであることが4月4日に明らかになりました。漁協にも自治体にも何の連絡もなく放出しました。これは許されるものではありません。

私は、4月5日放射能汚染測定に福島原発立地の20-30キロのいわき市、広野町、双葉町、川内村、浪江町、飯舘村、三春町を移動している最中に財政課長から「今日、海釣り公園条例を廃止します」との連絡を受けました。翌日福島県漁連幹部の方との面談をしましたが、悲しみと怒りに満ちたその厳しい表情を今でも忘れることが出来ません。

メガフロートが収束に向かう、向かってほしいロードマップの中に位置づけられという意味において提供を支持するものでありますが、果たして海への低レベルという名の放射性物質の放出が許されるでしょうか静岡市としては東京電力のこうした事実を知らされていないわけでありますが、きちんとした抗議と汚染水処理の全体像を5億円もの市民の財産を提供するわけでありますので対等の立場で情報の共有を求めるべきであります。

 第3の問題は、このメガフロートの提供が福島原発震災への緊急かつ超法規的な対処であることの事実を東海地震と浜岡原発震災への対応という意味においてどのように認識するかについてであります。

 漏れ聞くところでは、前市長はこの福島原発震災への対応は、ある意味で浜岡原発震災も起こりうる事態との認識の下に「津波対策が万全になるまでは浜岡原発の停止をも検討すべき」も念頭においた危機管理的決断と聞いております。今回の専決処分は前市長の決済でありますが、田辺信宏新市長によって提案をされており、この点をどのように認識されるかは、実に重要な問題であります。

今回の市長選挙においても原発震災への対応は政治争点の一つでありました。市長は中部電力との安全協定締結を掲げております。午前中の市長のあいさつでは、世界水準の都市を目指し、1、地域経済に資する、2、地震・津波・原発の不安を希望に変えることを述べました。大変、心強く受け止めました。昨日も静岡県を含む原子力発電所を抱える9つの道、県知事が一同に介し、1、福島第一原発事故の原因を徹底究明、2、国が電力会社に求めた津波対策は不十分、3、原発から半径10キロの圏内の原子力防災対策区域(EPZ)を見直すことを合意しました。
   
25日川勝知事は、定例記者会見で、浜岡原発3号機の運転再開と6号機の新設の前提条件として、1、国による中立的安全期間の設立、チェック機関設置を受けた中電の浜岡原発への安全対策の実施、3、地元や「県防災・原子力学術会議」への安全対策の説明と検証を上げ、磐田市、袋井市、藤枝市、焼津の4市長が県知事に「EPZを30キロ圏内に広げる」ことを求めた際に「2012年に定期点検を実施する4,5号機についても、その後の再開は容易でない、廃炉を決定した1,2号機の使用済み核燃料の対策も必要」との認識を示しています。

浜岡原発の停止については、東海地震、さらに東南海、南海地震の複合型が来るまで浜岡原発を停止すべき、国が耐震に関わる新指針、津波対策も含めバックチェックが出るまで停止、中部電力地震が津波対策を完成するまで停止の三段階があります。県市長会においては、三上湖西市長は津波対策が出来るまで停止を提言、西原牧之原市長は個人の見解として津波対策ができるまで停止すべきとの見解を示されております。

この議論は、原発なくしたら電力は大丈夫かの議論を巻きおこしますが、中部電力については、原発依存度が2010年度14%と全国でも最低レベル。そもそも、発電施設電力は、原子力350万kw、火力2390万kw、水力522万kw、自然エネギー1,6万kw計3263万kw、2010年度の供給力は安全を積もって2916万kw、夏の最大が2610万kw、5号機は止まっていましたから、原子力がなくても充分。しかも、10年度はまだ公表されておりませんが、09年度施設稼働率は、原子力46%、火力44%、水力86%。火力を80%にすれば原子力はまったくいりません。

福島県で起きていることは明日の静岡県であり、福島第一原発から50キロのいわき市でおきていることは明日の静岡市です。福島原発震災が教えてくれていることは原子力を人間はコントロールできない、という事実であります。浜岡原発が、福島原発と違って東海地震の震源意気の真上になるという意味で、地震が来たら福島原発震災どころでなく世界で一番危険な原発であります。田辺市長の浜岡原発停止を求めるスタンスに市民は注目しています。以上3点が賛成の立場としての問題提起であります。

最後に課題について3点。第1は、このメガフロートの譲渡額は明確になっていません。第2は、指定管理者制度で委託している清水漁協との協議がついていません。第3は、これが一番の問題でありますが、海釣りという公共空間、公園が喪失しているわけでありまして、ソーラス条約もあり市民による海釣り場所をどう確保するか、一方で、経営としては赤字になっているわけであり、このことも含め、この種の公共空間の必要性についてもゼロからの議論を進める手法も必要である、ということであります。

 以上述べて、3点の問題と3点の課題を述べて第103号議案への賛成討論を終わります。