マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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高田亥の子行事の夜のあばれ

2012年01月12日 06時50分20秒 | 桜井市へ
行事の前日に当家が作られた新しい神さんは行事当日の朝に山口神社へ祀っておく。

それはお仮屋あばれの前に新しい神さんと入れ替えて家型の屋形に納められる。

神さんの前でお仮屋あばれや膳あばれを繰り返してきた亥の子の子どもたちは日が暮れるころの再び出荷場に現れる。

またもや登場する亥の子の子どもたち。

出荷場の電器が消されると神棚に置かれたローソクに火が灯される。

待ってましたとばかりに、それを目がけて藁束を速球で投げる。

見事命中すればローソクの火が消える。

火が消されたら「火を灯せー 火を灯せー」の連呼。

口々に大声を掛けて火点けを催促する。

再び当家が火を点ける。

そうすれば藁束が飛んでくるという具合だが、執拗に藁を叩きつけていたこの年の灯明消し。

このときも膳あばれと同じように小さな小学生は年長者の真似をして藁を叩きつける。

背丈が低いものだから届かない。

大人たちからは「投げるんでなく飛ばすんだ」と檄がはいるが、そんな大人たちの声は子どもに届かない。

何度も、何度も藁を叩きつける。

何十分もそれが続いたのだろうか。



それを見学する人は出荷場を立ち去ろうとしない。

後半戦はようやく指示通りの藁投げに転じていった夜のあばれは1時間も越えていた。



長時間に亘る灯明消しはようやく終えた。

火との戦いはこうして幕を閉じたのであった。

舞台の後方付をしたら当家以外の人たちは解散した。

山の神が亥の化身となって暴れた亥の子たちは既に戻っている。

昨年に勤めた小学6年生の年長者は中学生になって卒業した。

この年の高田は小学生の男の子は9人だったが、暴れた子どもは4人であった。

村は再び静けさを取り戻した。

そのような状況を見計らって二人の当家が動き出した。

屋形を抱える小当家と大当家は真っ暗な道を歩いて神さんを戻しにいく。



目指すは山の神さんの山口神社だ。

次の当家に神さんを引き継ぐ儀式が始まるのである。

道中もさることながら神さんの遷しましは一切の灯りを点けずに無言で行われる。

万が一、道中で人と出会っても言葉を交わしてはならないのである。

神社に到着すれば神前に供えていた新しい神さんを古い神さんととり替える。

暗闇の中で行われる遷しましの神事である。

こうして新しい神さんを納めた屋形は次の大当家の家に納めにいく。

こうして新しい家で山の神さんを一年間祀られるのである。

(H23.12. 4 EOS40D撮影)